Erdbeere ~苺~ F8.届いても空をきる 忍者ブログ
2024.11│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
いらっしゃいませ!
名前変更所
2024年11月15日 (Fri)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2015年09月02日 (Wed)
8話/戦闘/※ピッコロ視点

拍手





悟空とベジータはフリーザを見ても驚かなかった。
フリーザも、悟空たちを見ても驚かなかった。

異様な空気の中、ベジータがゆえを見て舌打ちする。


「厄介なことになってやがるな・・・」


悟空と睨み合うのはもちろんフリーザ。

そしてベジータと睨み合うのは、ゆえ


フリーザと悟空は俺たちを置いてすぐさま戦いを始めてしまった。

復讐を果たしたかった彼にとって、この戦いこそが望んだもの。
正直今の雑魚兵との戦いは、本当にただの遊びだろう。


空中に浮かび上がった悟空とフリーザが拳をぶつけあう音が響く。

それを見つめながら、ベジータがゆっくりとゆえに近づいた。


「おい」
「うん?」
「貴様なんだその悪趣味な飾りは」
「悪趣味?」
「それのことだ」
「あ、これ?これ貰ったの、フリーザ様に」
「・・・お前・・・ピッコロの言ってることは本当だったのか」
「ん?」


戦うことを命令されていないからか。
ゆえはベジータに話しかけられても、平然と会話をしていた。

貴重な情報だと、俺はその様子を悟飯と共に見つめる。


「普通にお話は出来るみたいですね」
「そうだな・・・あのティアラは寄生してるといっていたが・・・見た感じでは、操るのではなく”記憶を書き換えられている”というほうが正しいように思えるな」
「そうですね。操られているなら、僕達に常に敵意を向けてもおかしくはないと思います」


冷静に判断する。

取り乱さないよう、必死に。


心の中を覗かれたらこの動揺がバレただろう。
本当はこんな冷静な判断など投げ捨てて、人の目すら気にせず、彼女を抱きしめに行きたい。

それで殺されても――――いいと思えるほどに。


俺は狂ってる。

アイツも狂っている。


俺達はお互いがいなければ可笑しくなる程に。


その、はずだ。


「その変なやつを外せ」
「ハズレないんだもん、これ」
「あ?・・・・はっ、そうか。外されたら困るからそういう風に教えこまれてるんだな」


ベジータがニヤリと笑ってゆえの腕を押さえ込んだ。


「なっ!痛ッ・・・!なにすんの!!」
「黙ってろ。その似合わないやつを外してやる」


あの野郎、乱暴しやがって。
そう思いつつ、ティアラに手を伸ばしたベジータを見守るしかなかった。


「っ・・・・!!あぁあああああ!!!!」
「ッ・・・な、なんだ・・・・チッ。どうなってやがる!」


ティアラを引っ張った手の中にあるのは、赤。
ベジータの白い手袋が、真っ赤に染まっていた。


原因は元よりあのティアラ。

俺達の方から見えたティアラは、ベジータの力によって少しだけ頭から浮いていたが・・・。


「ッ・・・・!」


そのティアラはにゅるにゅると動いていた。
動いて、触手のようなものをゆえの頭に伸ばしていく。

そしてまたぴったりと頭にくっついた。


「・・・・最悪な趣味だな」


寄生。

寄生虫。


ソルベの例えに、納得する自分が居た。


「おい」
「・・・・なんだ?」


痛がるゆえを置いて、ベジータが俺に近づく。


「あいつの頭のアレはなんだ」
「俺も詳しくは知らん。だが、あいつらが言うには”寄生虫”みたいな”機械”だと」
「ほう、機械か・・・なら俺達よりもブルマだな」
「・・・・!」


ベジータの言葉にハッとした。

そうだ。
アイツを支配しているのは、アイツらの技術だ。


つまり術ではなく、機械。

機械といえば、ブルマの分野。


「ブルマ!」
「っな、なによ?」


少し警戒したようなブルマの声を無視し、俺はブルマのところまで下がった。


「ブルマ。脳に寄生する機械を知っているか?」
「な、なによそれ。知らないわよそんなの」
「そうか・・・」
「もしかして、ゆえちゃんの頭にあるやつがそれなの?」
「・・・・あぁ」
「なるほどねぇ。ふふ、でもこの天才ブルマ様に出来ないことは無いわよ?とりあえず状態を見る必要があるから、ゆえちゃんを安全に診察出来る状態にしなさい。アンタ達の仕事よ!」


ブルマは得意気に笑って俺の背中を押す。


思わぬ希望に俺も笑みを零した。
それならもう、俺達がやることは一つ。

アイツをどうにか気絶させ、ブルマに引き渡すだけだ。


「フリーザ様、がんばれー!!」


悟空とフリーザの戦いを、楽しそうに応援するゆえの声が響く。


ブルマから離れた俺は今の話を悟飯達に伝えた。
ベジータは悟空たちの方へ行ってしまったが・・・戦いに夢中の今のゆえなら、俺達だけでも気絶まで持っていけるかもしれない。


「なるほど、ブルマさんなら確かに出来るかもしれませんね・・・・」
「行けるか?悟飯」
「はい。気絶させればいいんですよね?」


今のゆえを見たところ、”戦意”はないようだ。
フリーザの命令は”戦え”ではなく、”戻れ”だったからだろう。

悔しいが、完全にフリーザに従っている。


しかし今は好都合。

下手にこちらが敵意を出さなければ、先ほどのベジータのように近づくことは簡単だ。


「あれ、さっきのお兄さんたち」


俺達に気づいたゆえが、敵意なしの表情を向けてくる。


「よかったね、フリーザ様がとめてくれて」
「フン・・・別に止められなくても、負けはしなかった」
「へぇ・・・?」


挑発的な笑みを浮かべられても、俺は引かない。
悟飯が俺の傍でゆえの隙を伺っている。

先ほどのような失敗は許されない。

今度こそ。


「おい」
「なに?」
「お前、いつからフリーザの手下になった」
「え?いつって・・・」


もし俺の考えが正しいなら。

もしあのティアラが、”操る”のではなく、彼女に寄生して記憶を”書き換えて”いるのなら。


必ず生まれるはずだ。
矛盾が。


「半年前ぐらいだよ」
「それまでは何をしてたんだ?」
「なんでそんなこと聞くの?」
「答えろ」
「な、なに・・・それまでって・・・えっと・・・・」


ゆえが考え始める中、後ろでは激しい気のぶつかり合いが続いている。

いつもなら食い入るように見つめる戦いも、今は興味など無い。
興味があるのは、俺の目の前で頭を悩ませるゆえだけ。


「えっ、と・・・」
「どうした」
「・・・・ッ。つ・・・頭、痛い・・・」
「・・・ピッコロさん」
「・・・・」


矛盾部分を思い出そうとしたのだろう。
頭を抱え始めたゆえを見て、俺はそっとゆえから離れた。


そして入れ替わるように悟飯がゆえに近づく。

右手に、全力の気を込めてゆえに手を伸ばす。


――――そして。


「ごめんなさい、ゆえさん・・・っ!」
「ッ・・・・!」


轟音。

悟飯は先ほどの攻撃より数倍強い攻撃をゆえの頭に叩き込んだ。


なのにゆえはゆっくりと砂煙の中立ち上がる。
頭から血を流して、俺達を睨んだ。


「また、その不意打ち・・・?」


冷たい目が俺達を捉える。


「さっきから乙女の顔狙ってくれて・・・戻れとは言われたけど、”戦うな”とも命令されてないし、殺してもいいんだけど?」


イラついた様子のゆえが一歩踏み込み、近くにいた悟飯の腹部に拳を突き立てた。

ぐっ!と短いうめき声が響き、悟飯がその場に崩れ落ちる。
見た感じそんな重たい攻撃ではなかったが、少し平和ボケしたようだな。


「おい悟飯、お前さすがに・・・・」


怠け過ぎだろう。
そう言おうとした俺の目の前に、ゆえが飛び出してきた。


慌てて距離を置くが、間に合わない。

咄嗟の判断で防御すれば、右腕に触れた拳に痺れを覚えた。


「ッ・・・!!」


なんて、重たい攻撃だ。
こんな攻撃、ゆえが出来たか?


「あーあ避けちゃった。何避けてんのさ?私の頭の分、しっかり食らってよね・・・!!」
「くっ・・・・!やめろ、ゆえ!!お前が戦う相手が俺じゃないだろう!!」
「アンタ以外に誰がいるんだよ!!」


悟飯を救出しながらゆえの攻撃を受け流す。


「悟飯、立て」
「けほっ・・・・すみません、ピッコロさん」
「良い。次は俺が・・・・」

「おい」
「ん?・・・がはっ!」


俺がやる、と言いかけたその時。
ゆえの後ろにいつの間にかベジータが現れ、ゆえの腹部を容赦なく殴った。

さすがのゆえも、突然のことに足をふらつかせる。


そこに容赦なく気弾を撃ちこむベジータは、さすがというべきか。


「っく・・・!何してくれんだ!!」
「てめぇが気持ち悪い野郎に様付してやがるから、目を覚まさせてやろうと思ったんだ。感謝しやがれ」
「あぐっ!!」
「ベ、ベジータさん!さすがにやりすぎで・・・!」
「良い」
「ピッコロさん・・・・」
「あれで、良い。あのぐらいしなければ、アイツは・・・気絶もしない」


ベジータの容赦無い攻撃に悟飯が止めようとするが、逆に俺はそれを止めた。

今のゆえに、甘さなど必要ない。
アイツが目覚めて俺達の名前を呼ぶまで――――どんな手でも使おう。


容赦無い攻撃にさすがのゆえもふらつく。

反撃しようと拳を構えるが、軽々とベジータに受け止められていた。


「っ・・・!」
「フン。貴様もその状態じゃ、こんなものか」
「な・・・あ、ぎっ・・・!」


痛々しい声が響いて。
ベジータの蹴りが、ゆえの首筋に叩きこまれた。


ゆっくりと地面に吸い込まれていく身体。

俺は慌ててゆえの元へ駆け寄り、その身体を抱きとめた。


「・・・すまない、ベジータ」
「そんな気色悪いコイツを見てられないからだ。寒気がするぜ」


心底気持ち悪そうにゆえを見た後、ベジータはまた悟空たちのところへと戻っていく。

俺は腕の中にあるゆえの温もりに強い安心感を覚えた。
まだ何も解決していないのに、ただ、この温もりが嬉しく感じる。


「ピッコロ、そいついつ暴れだすか分からないんだから、ちゃんと保護しといてよ?」
「ルシフェル・・・あぁ、分かった」


遠くから声を掛けてくれたルシフェルに従い、俺はゆえの手足を魔術で縛った。


とりあえず、手に入れることは出来た。
あとはフリーザと悟空の戦いが終わるのを待って、こいつを、目覚めさせるだけだ。

待ってろ、ゆえ


「目覚めさせてやる」


お前は俺のものだということを、再び刻みつけてやる。


PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
←No.413No.412No.411No.410No.409No.408No.407No.406No.405No.404No.403
サイト紹介

※転載禁止
 公式とは無関係
 晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
 検索避け済

◆管理人
 きつつき
◆サイト傾向
 ギャグ甘
 裏系グロ系は注意書放置
◆取り扱い
 夢小説
 ・龍如(桐生・峯・オール)
 ・海賊(ゾロ)
 ・DB(ベジータ・ピッコロ)
 ・テイルズ
 ・気まぐれ

◆Thanks!
見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)