Erdbeere ~苺~ F6.始まった運命の交わり 忍者ブログ
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2015年08月25日 (Tue)
6話/戦闘/シリアス/※ピッコロ視点

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ただならぬ気配が漂った時。
俺は不覚にも、喜んでしまった。


「悟飯、気づいたか?」
「はい!都の方に・・・!」


ついに時が来たのだ。

この時が、俺が待ち望んでいた時が。


邪悪な気は大きなのがひとつ。
そして無数に数えきれないほどの小さな気。

雑魚兵でも連れてきたのだろう。


丘を越え、都に火が放たれるのと同時に俺達は敵の正体を見た。


「フリーザ・・・・」


なるほど、な。

必ず地球に関係する存在。
サリエル様の言ったとおりだ。


さぁ、返してもらうぞ。

俺のゆえを。


「おや・・・あなた達ですか」


俺達に気づいたフリーザが目を細めてこちらを見た。


この邪悪な気に気づいたのは俺達だけじゃ無いらしい。
後ろを見れば、複数の感じ慣れた気が俺たちの方に向かってくる。


「やっぱりピッコロ達は来てたか・・・!うえ、本当にフリーザだ」
「遅れてすまんかったのぉ、千豆をもらってきとったんじゃ」


クリリンと亀仙人。


「久しぶりだな」
「天津飯!」
「ヤムチャとチャオズは置いてきた。・・・危険そうだったからな」


天津飯。

わずかだが、戦えるメンバーが集まったという感じか。


とはいえ、今見えているだけでも相手の兵士の量は半端じゃない。
一人一人の力は本当にゴミみたいなものだが、亀仙人あたりは体力的に不安が残る。

しかも今回、戦力になる予定だった魔人ブゥが寝ているんだと。


悟天やトランクスは未来の戦士として無茶をさせないよう置いてきた。


つまり。


「最終的な戦力は、これだけか」
「・・・十分じゃないですか?」
「フッ・・・そうだな」


悟飯の言葉に思わず笑う。

フリーザはともかく、周りの雑魚だけなら俺たちで十分だ。


まぁ正直、問題はフリーザのみといえるだろう。
前のアイツとは思えないほどの力――――俺達でどうにかなるものなのか。


「皆ー!」
「え!?ちょ、ブルマさん、なんでこんなところに・・・・!」


フリーザと俺達のにらみ合いの中、空気を読まずに出てきたのはブルマだった。

緊張感無い声で、ブルマをここに送ってきたらしい得体のしれない奴と何やら言い争っている。


「私が何しに来たかぐらい分かるでしょう?・・・孫悟空はどこです?」


そんなブルマ達を無視して、フリーザは静かに口を開いた。


ああ、やはり目的はそれか。
分かっていたことだ。

こいつがここに来る理由など、それしかないと。


「今ここには居ない」
「別の星に行って修行中なのよ!!少しは待ちなさいよね!!」
「ブ、ブルマさん・・・・」


ブルマの強気は少しだけゆえを思い起こさせた。
ここにアイツがいたら、ブルマのように・・・いや、アイツよりも口の悪いことを言っていただろう。


「待つ?そうですね・・・私はこの時をずっと待っていました。今更待つことなんて気にしませんよ」
「ならきかせろ。フリーザ、貴様、ゆえをどこにやった」
ゆえ?・・・・さぁ?」


しらばっくれるそのフリーザの瞳に。

明らかなる、企みが見えた。


あぁ、そうか。
話さなくても別に良い。

俺は無理矢理にでも、たとえ無理だろうと、貴様からゆえを奪い返すんだからな。


「そう殺気立たれては、困りますねぇ・・・では、そろそろはじめましょうか?」
「なっ・・・・!待つって言ったじゃないのよ!」
「もう10秒待ったでしょう。・・・さぁ、行きなさい!!」
「この、ドケチーーーーー!!!!」


ブルマの罵声と共に、何百以上の戦士達が俺達の方へ向かってきた。

皆それぞれ構え、攻撃態勢に移る。


俺は最初拳を構えたが、一番はじめに拳を交えた相手を見て鼻で笑った。
そのまま腕を組み、足だけで敵を蹴り飛ばしてやる。


やはり、数だけだな。


力はゴミ以下だ。


「うひょー!一体どれだけあの宇宙船に入ってたんだよ!?」


クリリンが軽口を叩きながら適当に敵を気絶させていく。

ハッ・・・弱すぎて手加減も一苦労だな。
これだけの人数でも、生死を伴わないなら悟飯だけで十分だっただろう。


俺は闘いながらも必死にゆえの気配を探した。

必ず、こいつらと一緒に来ているはずだ。


「このままじゃ不利じゃ・・・皆、バラけるんじゃ!!」


亀仙人の言葉と同時に、俺達は戦地を広げた。


響く爆音。
俺を追ってくる、数百の戦士。

傍観しているだけのフリーザと、数人の付き人。


「貴様らにかまってる暇は無いんだがな・・・・」


俺には、やることがあるんだ。


闘いながら探し続ける。
岩場の細道に誘い込み、動きが違うやつや気配が独特なやつを探す。


「・・・・いないか」


とりあえず、この集団の中には居ないようだ。
確認した俺は右手に気を溜め、敵の中に放った。

それだけで目の前に居た数十の敵が地面にひれ伏す。


ゆえ、どこだ?

サリエル様が言っていた状況にぴったりの今―――お前は、こいつらに捕まっていたんだろう?


早く姿を現せ。
たとえ敵になっていたとしても、約束通り目を覚まさせてやる。


「がはっ!!」
「・・・・!」


人間より良い耳が、遠くから聞こえた声を拾った。


どこかで響いた攻撃を受ける声。

それは雑魚達の声じゃない。
この声は・・・悟飯だ。


俺はしつこい雑魚共に気弾を放った後、急いで悟飯の所に向かった。


「悟飯!」
「ピ、ピッコロさん・・・・うわっ!」


悟飯と、仮面の女。

黒いフードに身を包んだ女が、あの悟飯と対等に戦っていた。


それだけで俺はソイツの正体を知った。
アイツだ。アレが、ゆえだ。

どういうわけか少し魔力が不安定だが――――間違いない!


「悟飯!そいつだ、そいつがゆえだ!!」
「えっ!?・・・・!!ゆえさん・・・・っ!!」


他の奴らにも、ゆえが攫われたことは言ってあった。
悟飯の所に現れてくれるとは、かなり好都合だ。


俺の言葉に素早く反応した悟飯が、仮面を狙って気弾を放つ。

それは避けられること無く女の仮面を砕き、そしてその姿を露わにした。


「当たり、だな」
ゆえさん・・・・」
「・・・・」


フードの内側の表情は俺の求めていた通り。

ちらりと見えていた黒髪が風に舞う。
割れた仮面から見える目は、血の色に染まっている。


かつてないほど、冷たい瞳。


俺達はあんなゆえの瞳を見たことがあるだろうか。


「ピッコロさん・・・あれ・・・・」
「あれがアイツを捕らえ、操ってた原因だろう」


俺達は目を合わせて頷いた。


ゆえの額にぴったりのくっついている”ティアラ”
アイツはああいう頭につける飾り物が苦手だ。

だからこそ、絶対にアイツのじゃない。


そしてあれしか、怪しいのは無い。


「行くぞ、ごは・・・・」


悟飯と二人でゆえに向かおうとした瞬間。

後ろからさほど痛くない気弾を浴びて、苛立ちが増す。


「おいおい、俺達のこと忘れないでくれよ!」
「そうだぜ・・・!」
「チッ・・・・!貴様らのような雑魚にかまってる暇は・・・・!」
「でもピッコロさん、あのゆえさんを相手にしながらこの人数は厳しいですよ・・・!」


さすが悟飯だ。
言うとおり、冷静な判断をすれば今の状態は俺達が圧倒的に不利。

だが今の俺にはもう、冷静な判断をする頭は残っていなかった。


俺たちを取り囲む数百の戦士。

そして目の前のゆえ


引き下がるなんて選択肢は、無い。


「俺は引き下がれん。悟飯、お前はあの雑魚兵をどうにかしておけ」
「そ、そんな!それじゃあピッコロさんが・・・!」
「・・・・」


俺は修行した。
強くなった、はずだ。

それでも悟飯のその言葉に言い返せなかった。


「ねー、まだ来ないの?フリーザ様にアンタ達倒したらボーナス貰えるって聞いてるんだ~!早くして?」


口を開いたゆえは、前と変わらない。

ただその口から吐き出される言葉はゆえのものじゃない。


フリーザなんかに様を付けるわけがないだろう?

お前のことだ。
目が覚めたら”フリーザの糞野郎”って言うだろうな。


「悟飯」
「・・・・わ、分かりました。無理しないでくださいね?」


そう言って俺に背を向けた悟飯の前に、何かが飛び出した。


「ちゅどーん!」
「へ?ごふっ!?」


なんともこの場に相応しくないカワイイ声。
驚いて後ろを向けば、雑魚兵を片手でなぎ倒す――――青髪の少女。


ゆえ!?」
「ゆえさん!?」
「あ、ちょ、それだと本体と区別つきにくいから、私はルシフェルって呼んでね!」
「はい!・・・ってそうじゃなくて!ルシフェルさんはこの戦いには来ないってピッコロさんが・・・・」


悟飯の視線が俺とぶつかる。

あぁ、俺はコイツを置いてきた。
過去のゆえの世話になるのは、修行だけだと決めていたからだ。


ここに来る際、ちゃんと人形に戻してきたはず。

なのに、何故?


「本体と旦那さんのラブストーリー、見ないわけにはいかないでしょ?出てきちゃった!」
「なっ・・・・貴様勝手に・・・・!」
「役に立つから許してよ~!ってことで、雑魚兵は全部私にお任せ!」
「え、いいんですか?」
「いいよいいよ。殺さなきゃいいんだよね?任せといて!・・・・やーいやーい!!ビビリ共!!悔しかったらここまでおいでーー!!」
「ルシフェルさんってば・・・いくらなんでも敵がそんな挑発に乗るわけ・・・」
「あんのクソガキ!!おい!やってやろうぜ!!」
「のっちゃうんだ・・・・」
「んじゃ、いってきまーす!」


過去のゆえ――――ルシフェルは笑いながら手を振って、雑魚兵達に向かっていった。

俺たちを囲んでいた雑魚兵達が、ルシフェルの安い挑発に釣られて散らばっていく。


そして数秒後、岩陰に漂う影は俺と悟飯とゆえだけになった。


「いつまで待たせるのー?」


同じ口調なのに。
同じ、顔と声なのに。

俺達に向けられたゆえのその瞳は、冷たい。


そして吹き抜ける魔力は本物の殺気を含んでいた。


「ピッコロさん。戦う前に、声をかけてみましょうよ。・・・・僕、出来れば戦いたくないんです」
「・・・・・あぁ」


一歩前に進んで、ゆえの方を向く。

赤い瞳と、視線が合った。


「・・・・」
ゆえ、思いだせ。俺のことを」
「・・・・・誰?」
「ピッコロだ。お前と永遠と誓った。嘘だと思うなら左手を見てみろ」
「ん?・・・あれ、これ」


ゆえの左手に光る、俺との結婚指輪。
それがハマっていることに気づいていなかったのか、ゆえは不思議そうに指輪を見つめた。


「思い出せ、ゆえ。俺と過ごした時間を、悟飯との修行を!!」
「思い出してください、ゆえさん!!僕はゆえさんとは戦いたくないです!」
「っ・・・・」


鋭い目が、一瞬揺らいだ。


ゆえ


語りかけながら1歩ずつ近づく。
ゆえは語りかけてくる俺達に動揺を見せ、指輪と俺達を見比べた。

俺達が過ごした時間は、そんなティアラに負けてしまうようなものなのか?


ふざけてやがる。


「俺を見ろ、ゆえ!!貴様の主はこの俺様だ。フリーザなんかに様をつけるお前じゃないだろうが!!」


また、1歩。


ゆえさん・・・・!」
ゆえ、俺の手を取れ・・・!」


手が伸ばせる位置まで近づいた俺は、ゆえに手を伸ばした。

もちろんのこと、ゆえはそれを手刀で攻撃しようとする。
だが俺はギリギリまでその手を引かなかった。


信じたかったのだ、ゆえを。

この俺が信じるだの愛だの、ふざけた話だろう?


本当に、ふざけた話だ。
それをさせてるのはお前なんだ、ゆえ


ゆえ


俺は目を瞑った。

ヒュッと風を切る音が目の前に迫るが、痛みは走らない。


「・・・?」
「っあ・・・ぐ・・・・!」


目をあけると、頭を押さえて苦しむゆえの姿があった。
突然のことに俺は悟飯と目を合わせる。


「っ・・・は、ピッコロ・・・!」
ゆえ!?」
ゆえさん!」
「だめ・・・戦って・・・・私のことなんか、ぶっ飛ばして・・・・っ」
「何を・・・!?」
「おねが・・・・っ!自分でも、分からないんだ・・・頭が、壊れちゃいそうで・・・ぁああぁあああっ!!!!」
ゆえ!!」


上がる悲鳴と、再び俺を見た赤い目。

もう、それは。


―――――ゆえのものじゃなかった。


「っは・・・!イライラする。よくわかんないけど、ぶっ飛ばしちゃうから」
「・・・・悟飯。こいつをぶっ飛ばすぞ」
「え・・・?」
「フン。こんなくだらないものに操られる奴には、仕置きが必要だろう?」
「・・・・ピッコロさんらしいっていうか・・・・」


苦笑した悟飯も、どこか吹っ切れたように拳を構えた。

さぁ、ゆえ
目を覚まさせてやる。


そして教えてやる。

お前がどこに行っても、どうなろうと。


お前は俺のものだということを。




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