Erdbeere ~苺~ F7.届かない手 忍者ブログ
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2015年08月27日 (Thu)
7話/戦闘/甘/※ピッコロ視点

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強い。
その一言だった。

悟飯も俺も、手加減などしていないはずなのに。


まるで子供のように弄ばれている。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


だが、俺はこの戦いに少しずつ手応えを感じていた。

理由はゆえの攻撃パターンにある。
確かに俺達の実力じゃゆえに弄ばれてしまっているが・・・致命的な攻撃も受けてはいない。


何故ならゆえの攻撃パターンは、あの頃から変わっていないからだ。

過去のゆえと修行してきたこの半年が、俺の力になった瞬間だった。


「言っただろうゆえ。同じ攻撃パターンを続ければ、実力差のある相手にも遅れを取る可能性があると!!」
「っ・・・な、なにさ、偉そうに・・・・!」


語りかけながら戦い続ける。


俺達の目的はゆえを倒すことじゃない。
目覚めさせることだ。

今はこうして攻撃を回避し続けるだけでも、俺たちにとっては有利になっていく。


「ちょこまかと・・・!!」
「はっ・・・ピッコロさん、どうします?」
「とりあえずお前はそのまま戦え。避ける方向は俺が教える。隙が出来た瞬間に全力で叩き込むぞ」
「分かりました!」


悟飯をメインに戦わせる。
俺はゆえに聞こえないよう、念で悟飯に攻撃のパターンを教えた。


その間、少し後ろで動きを見定める。

狙うは唯一の”隙”


「いつまでそうやって避け続けてるつもり!?」
「っ・・・目を覚ますまでですよ、ゆえさん!」
「私は寝てるつもりないけど?」
「そういう意味じゃ・・・ないんですっ!!」
「ッ!!」


悟飯の攻撃が偶然的にゆえに隙を作った。

頬をかすめた攻撃に、ゆえの体が揺らぐ。


俺はその瞬間を見逃さず、一気に距離を詰めてゆえの体を羽交い締めにした。


「な、なにすんだ変態ッ!!」
「ハッ!変態で結構だな・・・悟飯、やれ!!」
「はいっ!!」


暴れるゆえの背中に口から気弾を放ってダメージを負わせる。
もちろんのこと、その攻撃にゆえは苛立った様子で俺の方を見た。

後ろから迫り来る悟飯など魔法で吹き飛ばすつもりなのだろう。


だが、それはさせない。

これが最大のチャンスだ!!


「っ・・・!?」


俺の方を見ていたゆえが、余裕の表情で悟飯を吹き飛ばそうとして―――止まる。

俺がもう一度、妨害するために気弾を放ったためだ。
ゆえはそれを吹き飛ばしながら悟飯の方を振り向くが、もう遅い。


「すみません、ゆえさん・・・・っ!」
「がふっ・・・・!?」


悟飯の全力の攻撃がゆえの頭を捉えた。


ガン!とと響く鈍い音。
飛び散る、血。

同時にゆえの体がゆっくりと宙を舞った。


「やったか!?」
ゆえさん・・・」


悟飯が心配そうに見つめる中、ゆえが頭を押さえながらゆっくりと俺達の方を睨んだ。
赤い血が、目元まで垂れてきている。


だがその額には。


「嘘だ・・・僕、本気でしたのに・・・・」


そんなの分かっていた。

聞かなくても分かる。
悟飯の一瞬膨れ上がった気が、それを教えてくれていた。


ヘタすればゆえの頭ごと吹き飛ぶであろうその力。

でも存在し続けている、ティアラの輝き。


「ったいな・・・頭ふっとんだかと思っちゃったよ・・・・」


ゆらり。
ゆえの魔力が大きく揺らいで、殺気が強まる。

黒い髪から滴り落ちる血を手にとったゆえは、それを舐めて笑った。


「仕返し、してもいい?」
「ッ!!」


一瞬でゆえが目の前に現れる。

俺達は慌ててその場から飛び退き、ゆえとの距離を保った。


「ピッコロさん。・・・これ、狙う相手が違うかもしれませんよ」
「・・・俺もそう思っていたところだ」


飛び退いた俺達が視線を合わせた先に映る、一人の男。

そいつはフリーザとゆえの間の安全な区域で、俺達の方を見てニヤニヤと笑っている。


そして手元には怪しい機械。
明らかに怪しい。


「ピッコロさん、お願いします。僕は出来る限りゆえさんを止めます!!」
「あぁ・・・頼んだぞ!!」


俺が一人で男に突っ込もうとした瞬間、目の前にゆえが飛び出してきた。
それを超サイヤ人になった悟飯が食い止め、俺の方を見て頷く。

超サイヤ人になった悟飯でも、あのゆえを食い止めることが出来るのは数分だろう。


その隙に俺は男のところまで近づき、首根っこを掴んだ。

俺の動きが追えてなかったらしい男は気もかなり低い――――大したこと無さそうだ。


「っ!!き、貴様・・・!」
「見物とはいい度胸だな?その手に持ってるものを渡してもらおうか?」
「ハッ・・・!お前があいつの夫か。なら残念だったな。この機械を壊しても、アイツは元には戻らない!!」
「何・・・?貴様、でたらめを抜かすな!!」


全てを聞き出すまでは殺せない。
その苛立ちも込めて、俺は空いてる方の手に気を貯めた。


バチッと気が弾け、首根っこを掴まれた男がそれを見て顔を引きつらせる。


「殺されたくなかったら言うんだな・・・本当のことを」
「ほ、本当のことだ。あの頭についてるティアラは寄生虫と同じだ・・・もう機械を壊しても、あいつのティアラは外れない。あのまま脳に寄生し続けるだけだ!」
「寄生・・・!?」
「あぁ、そうだ。壊しても外れない・・・無理やり外そうとすれば、あいつの脳ごと取れるだろうな!」
「貴様・・・ッ!!!」
「ピッコロさん!!避けてくださいッ!!」
「っち・・・!」


話を聞いてる最中だったが、俺は諦めて男を放り投げた。

その後ろから飛んできた攻撃を避ければ、目の前に黒髪が舞う。


「遅いぞ、ゆえ
「うっさいな。アンタが勝手に絡まれてたんでしょ、ソルベ」
「お前が逃して来たんだろう」
「戦ってくださいー。ったく、次は助けないよ?」


ゆえのことを気安く呼ぶな。
ゆえが”ソルベ”と呼んだ男に、苛立ちが募る。

寄生、だと?

信じるべきなのか?


だが、むやみに機械を壊すのも危険だということは何となくだが分かった。
やはりここは目を覚まさせるしか、道は。


「何かわかりましたか?ピッコロさん」


ソルベとゆえが何やら言い争う中、俺達も小声で話をする。


「あのティアラはアイツの脳に寄生してるらしい・・・」
「き、寄生!?」
「あぁ・・・機械を壊しても寄生してて外れないらしい。しかも脳に寄生してるせいで、外しても脳ごとやっちまう可能性が・・・・」
「そ・・・そんな。本当なんですか?」
「信じたくはないが、お前の攻撃で壊れないところを見ると・・・・」


血に染まっているティアラは、傷ひとつ付いていない。

悟飯の全力の気弾を受けてあれだ。
普通の技術のものなら、軽く吹き飛んでいるだろう。


「ちょっとお兄さん達」


悩んでいると、ゆえがゆっくりと俺たちの方に近づいてきた。

妖しい笑み。


ゆえらしく、ない。
大人な、妖艶な、悪魔の笑み。


「いつまで遊んでんの?・・・行くよ?」
「ッ・・・構えろ、悟飯!!」
「はいッ!!」


戦うしかないのか。
目の前に容赦なく叩きつけられる拳を見ても、俺の戦いには戸惑いが混ざる。


拳をなんとか捌きながら、俺は考えていた。

寄生されている。
それが事実なら。


目覚める以外に、道が無い?

引き剥がすことも、壊すことも、出来ない?


「ッ・・・・!」
「よそ見してると死んじゃうよッ!!」
「させない!!」


ふらついた俺に襲いかかる魔弾を、悟飯が弾き飛ばした。


「ピッコロさん、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ・・・すまん」
「・・・・僕が戦いますから、ピッコロさん。ピッコロさんは・・・語りかけてください」


悟飯とゆえの拳がぶつかり合う。
いつものゆえとは違う、本気で殺すための戦い方。

まるで、悪魔。


そう、悪魔。


ゆえ!お前の契約者は俺だろう、思いだせ!!!」


悪魔の主として契約したのはこの俺だ。
”フリーザ”なんかに様をつけるなど、許されない。

語りかける。

強く、叫ぶ。


ゆえ!!」


圧倒的な魔力が悟飯を弾き飛ばして。

ゆえのどこか苛ついた表情が、俺を睨む。


「うるさいな・・・!!」
「思い出せ。お前が思い出すまで、俺は言い続けてやる」
「なら、その口取ってあげるよ!!」
「フッ・・・俺はお前の契約者であり、師匠だ。お前にやられると思うか?」
「そのわりには弱っちいけど、ね!」
「ッ・・・・!」


顔面を狙う攻撃を、なんとか躱した。


あぁ、確かに弱い。
お前にとって、俺は弱いだろう。

いつからかお前に勝てなくなった。

純粋な技術だけなら俺が優っているが、他は全てゆえが勝っている。


だが、勝てなくても――――負けもしない。


「ちょこまかと、避けんなっ!!」
「当てれないお前が悪いんだろう?俺に教えられたことを忘れたのか?」
「そんなこと・・・・っ!」


ゆえが真っ赤な目を俺に向けて俺に飛びかかってきた。

思わずバランスを崩した俺に、まっすぐ細い手が伸びてくる。


俺の目の前に掲げられる手。
バチバチとはじけ飛ぶ魔力。


「ッ・・・・!!」
「ピッコロさん!!!」


こればかりは、避けれない。
そう思い、自分の体に気を纏わせて防御した瞬間だった。


「っ・・・・ぅぁ・・・・!!!」


ゆえが、もがき始めた。

ティアラのあたりをかきむしるようにして、俺から離れる。


「は・・・ぁぁ・・・!!やだ、やだ・・・あぁぁあ・・・・っ」
ゆえ!!目を覚ませ!!お前はそんなものに操られるやつじゃない!!」
ゆえさんっ!!」
「っぁ、うるさい・・・・うるさい・・・・っ!!」


もがき苦しむゆえの手を取れば、それは振り払われた。


「ピッコロ・・・っ」


久しぶりに呼ばれた名前。
頼む、頼む。

ゆえ・・・俺の元に。

























「戻りなさい、ゆえさん」
「・・・・」


もがき苦しむゆえにフリーザの声が掛かった。

周りを見れば、数百もいた戦士たちは誰も見当たらない。
他のやつやルシフェルが倒してくれたんだろう。


ゆえさん」


フリーザの声に、目の前のゆえがゆっくりと顔を上げた。


「はいはい、戻るよ」
ゆえ・・・っ!」


伸ばした手は届かない。

ゆえは冷たい目で俺を見てからフリーザの元へと戻った。


フリーザは満足そうに笑っている。
今すぐにでもアイツの喉を掻っ切ってやりたいたいほどだ。

でも、出来ない。


分かっている。

あのフリーザの実力は・・・ここにいる誰も、敵わないことを。


「まだですかねぇ?孫悟空は。暇になりましたね・・・もう少し遊ばせておいてもよかったかもしれませんね」
「ほんとだよ。私もっと戦いたかったなー」


フリーザとゆえが普通に話しているのを見ていると、後ろで何やらブルマが騒ぎ出した。
どうやら悟空とベジータが修行している星と連絡が取れたらしい。


「ちょっと、みんな気を上げて!孫くんが戻ってくるわ!」


言われたとおり気を上げる。
今の俺達にはこれしかない。

悔しいが、アイツに頼るしか。


「悟空、はやくしろ・・・!」


全員で一斉に気を上げた。


目の前にいるのに触れられないアイツを。
もう一度俺のものにするために。

頼るしか、ない。


「悟空・・・・!」


俺の叫びと他の奴らの叫びが、重なった。
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(龍如/オール・海賊/剣豪)