いらっしゃいませ!
名前変更所
最近、どうしても気になることがある。
あんまり真剣になるようなものじゃないんだけど。
というか、皆からすればどうでもいいことかもしれない。
「・・・・?なんだ」
「見てただけ。かっこいいなーって」
「ハッ。どうせくだらないことでも考えてたんだろ」
「ひっどー」
軽口を叩きながら。
神殿で瞑想するピッコロを、真正面から見つめる。
気になるのはそんなピッコロの頭についてるアレ。
ふよふよと動くわけでもなく。
ただくっついてる・・・・そう、触覚。
あれが最近凄く気になっていた。
何が気になるって?そりゃ、感触とか、中身とか。
「・・・・・」
ピッコロはあの触覚を触らせてくれない。
夜の甘い時間ですら、私がそこに手をのばそうとすると怒って倍返しにされるのだ。
だから予想なんだけど。
ピッコロってばあの触覚が弱点なんじゃないかなって。
「今日は瞑想だけ?」
目を瞑るピッコロにそっと近づく。
尋ねながら気配を消して手を伸ばしたが、すぐに足で蹴られた。
い、痛い。
仮にも女の手を足で蹴る!?
目も開けずに蹴ってきたピッコロをキッと睨む。
「っなにすんの!」
「貴様が変な顔しながら近づいてくるからだろうが」
「目開けてなかったじゃん・・・」
「気配が気持ち悪かった」
「む・・・・」
このやり取りは毎回のことだ。
こんなことで本気で傷ついたりはしない。
私の頭の中は、ターバンを外したピッコロから見える触覚のことだけで埋め尽くされる。
「・・・これはただの触覚だ。何の意味もない」
「え、そうなの?じゃあ触らせてよ」
「人に触らせるような場所でもない」
「やっぱり弱点とかなんじゃ・・・・」
「違う」
「即座に否定するあたり、あやしーい!」
「・・・・・・・・・・」
あ、これ以上はやばそう。
ピシッとピッコロの額に青筋が立ったのを見て、私は一旦距離をおいた。
意地でも瞑想を続けているピッコロに、頭の中で悪い考えが浮かぶ。
とりあえず、触れればいいわけだし。
一瞬隙を作り出してやろうと、マントを掴んだ。
「ピッコロ~!」
「うるさいぞ。何度言われても・・・・っ!?」
ピッコロの声が変わる。
原因はもちろん、この私だ。
私は掴んだマントに魔法を掛け、一時的にそれを何トンもの重さに変化させた。
さすがのピッコロも、この変化には耐えられず背中を地につける。
そこにマウントポジションを奪えば、私の勝ちだ。
「き、貴様ッ!」
「おっとー!そのマントの重さで反撃出来るとでもー?」
目から光線を撃たれても、平然と弾いて触覚に手を伸ばす。
もう少しで手が触れる――――その瞬間。
「ぐえっ!?」
自分の首元がありえないほどの力に引かれた。
べしゃっと音を立ててひっくり返った私の上に、ピッコロが悪役顔で近づく。
起き上がろうにも起き上がれないレベル。
こ、これは。
「お前だけが奇妙な術を使えると思うなよ?」
「魔術とか卑怯だぞ!!」
「貴様が言うな!!」
「ぎゃーー!!襲われるっ!!変態退けーー!!」
上に伸し掛かられ、冗談半分で悲鳴を上げる。
するとピッコロはますます笑みを深めて、私に顔を近づけた。
「またやられ返されたら厄介だ・・・・魔法が使えないようにしてやろう」
「へっ?・・・・ひっ!」
魔法が使えないなんてどうやって?
そう考えてた私の足に走る、こそばゆい感覚。
なんとか首を動かして見てみれば、ピッコロの手がゆるりと私の肌を撫でていた。
くすぐったさに魔法で吹き飛ばそうとするが、思惑通り集中力がくすぐったさで消されていく。
「っは・・・・!ば、ばか、ここをどこだと思って・・・・!」
「神殿の外だな」
「ひゃっ、ぁ・・・!デンデ、に、見られちゃ・・・!」
「お前が変な声を出さなければ、いつもの修行と変わりないだろう?」
「ッ・・・ん!ちょ、ず、ずるい・・・っ!」
ピッコロに悪戯を仕掛けたらすぐこれだ。
嬉しいような恥ずかしいような返しをされる。
でも今の私は、ぞわぞわとした感覚に震えながらも、ピッコロの触手を見ていた。
興味持っちゃったもんはしょうがない。
このままやられ続けるぐらいなら・・・!
「えいっ!!」
「ッ・・・・!!!」
なんとか手を伸ばして。
ピッコロの触手に触れた。
ふにっとした感触。
あ、気持ちいいって思って触ってたら、ものすごい殺気を感じて思わず顔が引きつった。
「いい・・・・度胸だな・・・?」
「あ、い、いや・・・」
目の前に映るマジな顔。
「ふ、ふにふにで気持ちよかったです」
「そうか」
「ほ、ほめたよ?」
「そうか」
「っひゃ!?」
目が据わってるピッコロを止めようとしたけど、もう遅かったらしい。
触れるだけだった感触がやたら直接的なものになって、私の口から変な声が出た。
「ちょ、ほんとストッ・・・んっ!!だ、だめだからっ・・・!」
「聞こえんな」
「触覚、触った、だけでしょ・・・・っ!」
「俺も触ってるだけだが?」
「う、うそつけっ・・・・!」
触れるだけなら、こんな触り方するはずがない。
明らかに狙った触り方。
足の間に触れて。
耳元に吐息がかかるほど近づいて。
身体が、震える。
「変態っ!離しっ・・・」
「忘れてないか?デンデもナメック星人だぞ」
「だ、だからなに?」
「お前が騒げば・・・聞こえるかもな?」
「っ・・・・」
近づいていた唇を離して、ピッコロが私の真正面で意地悪く笑った。
あぁ、完全に火がついてる。
魔族としての、真っ黒い笑み。
「ッ、ん」
「どうした、さっきみたいに騒げ」
「こんな、こと言われて・・・さ、騒げるわけ・・・っ」
「ふっ・・・・いつまで耐えれるか見ものだな」
手が下着ぎりぎりの場所をなぞる。
思わず腰が震えて、ぎゅっとピッコロの手を掴んだ。
「腰が動いてるぞ・・・」
「欲求不満なんですかね・・・っ?」
「それはお前だろう?欲しく、なったんだろうが」
荒い息が掛かる。
もぞもぞと動いてしまう身体は、止められない。
ピッコロはこういう人だ。
神であり、魔族だ。
全部、”元”だけど。
そういうところも全部好きだ。
だから、逆に・・・こういう仕返しを、少しだけ、期待してたりとか。
「っ・・・」
「くくっ・・・諦めろ。大人しく降参すれば部屋に連れてってやるぞ?」
してるのかも、なんて。
「は、ぁ・・・っ」
悔しいけど思ってしまう。
「なら、さっさと諦めろ」
「・・・・触覚、触らせてくれる?」
「さっき触っただろうが」
「えー、弱点かも、しれないのに・・・っ」
「俺の弱点を見つけてどうする?どうせ・・・」
一瞬だった。
首筋にぞわっとした感覚が走り、吐息が漏れる。
「こうやって・・・・仕返しされるだけだぞ?」
分かってるよ。
分かってるのにちょっかいだしちゃって、仕返しされて。
なのに。
教えこまれたんだよ、私は。
この意地悪い魔族に。
「なら大人しく食われてろ」
今日もまた、負けるけど。
きっとまたやる。
そしてまた。
「触覚、触らせてよ」
「10倍返しにされたきゃ、やればいい」
「・・・・・」
それを、望む。
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