いらっしゃいませ!
名前変更所
ハロウィン。
どこかの外国のイベントらしいけど、私には関係ない。
関係ない、と思っていたのだが。
「うっぜぇ・・・」
町中はそのハロウィンの色に染まりきっていて。
うまく身動き取れない状態に、私は少しだけイラッとした。
くっそ、イベントなんて関係なく仕事やろうと思ったのに。
仕事も仕事で、いつも潜入してるキャバクラが”ハロウィンイベント”なんてものをやってるせいで客が凄すぎて仕事にならなかったのだ。
いつもなら的確にターゲットに近づいて情報を抜き取れるのに。
「・・・ちっ」
苛ついた私は、この街の中を離れることにした。
ここからならアイツの家が近かったっけな、ちょうどいい。
ハロウィンの騒動から抜け出してきた私は、うまく桐生のアパートに転がり込んだ。
もう寒い時期だってのに、人混みをかき分ける作業のせいでちょっと暑い。
部屋の中に入ると、桐生が呆れた表情で私を迎えた。
挨拶もなしにただ私のことを見ている。
挨拶もナシは私も同じか。
「静かに入れねぇのか」
「っさいな、しょうがないだろ。外があんなんだとは思わなかったんだよ・・・」
「何年ここで暮らしてるんだ?」
「・・・・昔はこんなでもなかっただろ」
桐生の言葉に返す言葉が見つからず。
ふてくされるように桐生の傍らに座り込んだ。
ふわり、と。
甘い匂いとお酒の香りが鼻をくすぐる。
ふと見れば、桐生の手元にはお酒入りのチョコがあった。
なるほど。
誰かにもらったんだな。
桐生はこういうのを自分から買うタイプじゃねぇからな。
「なんだ、ハロウィンか何かでもらったのか?」
笑いながら少し体重を掛けると、桐生が押し返すように力を込めた。
「お前も欲しいのか?」
「んなわけないだろ。お前がそんなの食べてるのが珍しかったから、聞いただけだ」
「・・・・ま、お前の想像通りだ。ハロウィンに巻き込まれた」
「だろうなー」
適当に返事をして。
水でも飲もうと立ち上がった瞬間、私は凄い力で腕を引っ張られて体勢を崩した。
勢いに勝てず、あぐらをかく桐生の胸元に飛び込む。
「っは・・・!何すんだ!」
「菓子」
「へ!?」
「菓子がなきゃ悪戯し放題なんだろ?」
「いやなんか違う・・・っていうか桐生お前、酔ってんな?このチョコわりと凄い酒の匂いが・・・っ!?」
言葉は途中で途切れた。
目の前には桐生の顔。
熱いほどの温もりを感じる唇。
苦しくなる、息。
同時に感じた酒の味は、かなり苦くて強いものだった。
「んっ、ふ・・・!」
「っ・・・ほら、さっさとよこせ」
乱暴な口調でニヤリと笑う桐生は、悔しくも様になっていた。
だがこのままやられっぱなしなのも気に食わない。
余裕な桐生に応えるように私もニヤリと笑って、ポケットから飴を取り出した。
キャバで仕事をした時にたまたま放り込んでおいた飴だ。
「はいお菓子。これで悪戯はナシな」
「・・・・ちっ」
「完全にやる気だったろお前・・・」
酒も入っているからか。
私の言葉を否定せず、桐生は渋々私から飴を受けとった。
そんな桐生の手を追いかけて、向かい合うようにして桐生のあぐらの上に座る。
そしてゆっくりと手を差し出した。
もちろん何を言うかなんて、決まってるだろ?
「トリックオアトリート」
「は?」
「は?じゃない!お前自分だけ菓子もらっといて私の要求には答えないつもりか?」
桐生のことだ、あのチョコ以外のお菓子は持ってないだろう。
そしてそのチョコも今、桐生の口の中に消えたのを確認した。
「ほら、菓子よこせよ。無いなら悪戯だぞ?」
勝利を確信して笑う私を。
異常な力が引き寄せ、そのまま押し倒した。
もちろん、そんなこと出来るのこの目の前の男しかいない。
「っ・・・おい」
「悪戯するんだろ?してみろよ」
「酔っぱらい・・・!は、離れろッ」
「断る」
ひっぺがそうとしても離れない。
苦しくて背中を殴るが、びくともせず桐生が笑った。
近づいてくる唇が私の首筋に触れる。
思わず震えてしまう体を押さえつけても、桐生はそれをやめようとしない。
「ん、ったく、調子のりやがって・・・・」
手を伸ばしてしょうがなく応える。
「っは、おい、いつまで・・・!」
「まだだ」
「・・・・もう悪戯はいいだろ、ちょ、こら、桐生・・・っ!」
困ったような声しか上げれない私を、自由にする彼の手がむかつく。
でもそれに抵抗出来ない私の身体も――――また、苛ついた。
作り変えられてしまったんだと。
彼の温もりに反応してしまう自分に、強く感じさせられる。
そんなことをぼやっと考えていると、いつの間にか両手が頭の上に押さえつけられていた。
目の前で首元を緩める桐生はとても大人な、危険な、香りがして。
「ま、待て桐生、私これからまだ仕事が・・・っ!」
「嘘つけ」
「~~~!酔ってんだろ!!」
「酔ってるからなんだ?ほしいモンは欲しいんだ・・・俺が我慢できるやつだと思ってんのか?」
「・・・・っ」
だからってこのまま、やられるのは。
ちょっと、気に食わない。
私だってこういう女だ。
負けず嫌い。無意味な抵抗だってしたくなる。
再び近づいてくる桐生の瞳を見て、私は笑った。
そして、囁く。
「大好き、一馬」
目が、大きく見開かれた。
うっしゃ。勝ったな、なんてちょっと笑えたのは一瞬。
もちろん、この先の展開も読める。
分かってるくせにしちまうんだ・・・毒されてるよな?
「その言葉の返事を、今からたっぷりしてやるよ」
どこかの外国のイベントらしいけど、私には関係ない。
関係ない、と思っていたのだが。
「うっぜぇ・・・」
町中はそのハロウィンの色に染まりきっていて。
うまく身動き取れない状態に、私は少しだけイラッとした。
くっそ、イベントなんて関係なく仕事やろうと思ったのに。
仕事も仕事で、いつも潜入してるキャバクラが”ハロウィンイベント”なんてものをやってるせいで客が凄すぎて仕事にならなかったのだ。
いつもなら的確にターゲットに近づいて情報を抜き取れるのに。
「・・・ちっ」
苛ついた私は、この街の中を離れることにした。
ここからならアイツの家が近かったっけな、ちょうどいい。
ハロウィンの騒動から抜け出してきた私は、うまく桐生のアパートに転がり込んだ。
もう寒い時期だってのに、人混みをかき分ける作業のせいでちょっと暑い。
部屋の中に入ると、桐生が呆れた表情で私を迎えた。
挨拶もなしにただ私のことを見ている。
挨拶もナシは私も同じか。
「静かに入れねぇのか」
「っさいな、しょうがないだろ。外があんなんだとは思わなかったんだよ・・・」
「何年ここで暮らしてるんだ?」
「・・・・昔はこんなでもなかっただろ」
桐生の言葉に返す言葉が見つからず。
ふてくされるように桐生の傍らに座り込んだ。
ふわり、と。
甘い匂いとお酒の香りが鼻をくすぐる。
ふと見れば、桐生の手元にはお酒入りのチョコがあった。
なるほど。
誰かにもらったんだな。
桐生はこういうのを自分から買うタイプじゃねぇからな。
「なんだ、ハロウィンか何かでもらったのか?」
笑いながら少し体重を掛けると、桐生が押し返すように力を込めた。
「お前も欲しいのか?」
「んなわけないだろ。お前がそんなの食べてるのが珍しかったから、聞いただけだ」
「・・・・ま、お前の想像通りだ。ハロウィンに巻き込まれた」
「だろうなー」
適当に返事をして。
水でも飲もうと立ち上がった瞬間、私は凄い力で腕を引っ張られて体勢を崩した。
勢いに勝てず、あぐらをかく桐生の胸元に飛び込む。
「っは・・・!何すんだ!」
「菓子」
「へ!?」
「菓子がなきゃ悪戯し放題なんだろ?」
「いやなんか違う・・・っていうか桐生お前、酔ってんな?このチョコわりと凄い酒の匂いが・・・っ!?」
言葉は途中で途切れた。
目の前には桐生の顔。
熱いほどの温もりを感じる唇。
苦しくなる、息。
同時に感じた酒の味は、かなり苦くて強いものだった。
「んっ、ふ・・・!」
「っ・・・ほら、さっさとよこせ」
乱暴な口調でニヤリと笑う桐生は、悔しくも様になっていた。
だがこのままやられっぱなしなのも気に食わない。
余裕な桐生に応えるように私もニヤリと笑って、ポケットから飴を取り出した。
キャバで仕事をした時にたまたま放り込んでおいた飴だ。
「はいお菓子。これで悪戯はナシな」
「・・・・ちっ」
「完全にやる気だったろお前・・・」
酒も入っているからか。
私の言葉を否定せず、桐生は渋々私から飴を受けとった。
そんな桐生の手を追いかけて、向かい合うようにして桐生のあぐらの上に座る。
そしてゆっくりと手を差し出した。
もちろん何を言うかなんて、決まってるだろ?
「トリックオアトリート」
「は?」
「は?じゃない!お前自分だけ菓子もらっといて私の要求には答えないつもりか?」
桐生のことだ、あのチョコ以外のお菓子は持ってないだろう。
そしてそのチョコも今、桐生の口の中に消えたのを確認した。
「ほら、菓子よこせよ。無いなら悪戯だぞ?」
勝利を確信して笑う私を。
異常な力が引き寄せ、そのまま押し倒した。
もちろん、そんなこと出来るのこの目の前の男しかいない。
「っ・・・おい」
「悪戯するんだろ?してみろよ」
「酔っぱらい・・・!は、離れろッ」
「断る」
ひっぺがそうとしても離れない。
苦しくて背中を殴るが、びくともせず桐生が笑った。
近づいてくる唇が私の首筋に触れる。
思わず震えてしまう体を押さえつけても、桐生はそれをやめようとしない。
「ん、ったく、調子のりやがって・・・・」
手を伸ばしてしょうがなく応える。
「っは、おい、いつまで・・・!」
「まだだ」
「・・・・もう悪戯はいいだろ、ちょ、こら、桐生・・・っ!」
困ったような声しか上げれない私を、自由にする彼の手がむかつく。
でもそれに抵抗出来ない私の身体も――――また、苛ついた。
作り変えられてしまったんだと。
彼の温もりに反応してしまう自分に、強く感じさせられる。
そんなことをぼやっと考えていると、いつの間にか両手が頭の上に押さえつけられていた。
目の前で首元を緩める桐生はとても大人な、危険な、香りがして。
「ま、待て桐生、私これからまだ仕事が・・・っ!」
「嘘つけ」
「~~~!酔ってんだろ!!」
「酔ってるからなんだ?ほしいモンは欲しいんだ・・・俺が我慢できるやつだと思ってんのか?」
「・・・・っ」
だからってこのまま、やられるのは。
ちょっと、気に食わない。
私だってこういう女だ。
負けず嫌い。無意味な抵抗だってしたくなる。
再び近づいてくる桐生の瞳を見て、私は笑った。
そして、囁く。
「大好き、一馬」
目が、大きく見開かれた。
うっしゃ。勝ったな、なんてちょっと笑えたのは一瞬。
もちろん、この先の展開も読める。
分かってるくせにしちまうんだ・・・毒されてるよな?
「その言葉の返事を、今からたっぷりしてやるよ」
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【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)