Erdbeere ~苺~ 理解が追いつくよりも先に 忍者ブログ
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2025年03月09日 (Sun)
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2016年03月01日 (Tue)
桐生×ヒロイン←秋山/甘/※ヒロイン視点

※オブジ軸

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理解なんてものは、必要ないのかもしれない。
そう思うことが多いこの神室町は・・・


今現在、そのすべてを、超えていく世界になった。


「なんか・・・見慣れてきた」


ポツリと呟いた声に反応して、ありえない存在が――――ゾンビが、私の方を向く。

もう慣れてきてしまっている私の身体は、そいつに怯えを示さない。
むしろ餌だとばかりに血が疼き、手元の銃を迷いなく突き付けてしまう。


そして引き金をひく。

飛び散る、わけのわからない液体。


そんなものが地面を汚しても、今は誰も怒らない。
当たり前だ。

怒れる人なんて、いないのだから。


「えげつないなー、ほんと」


こんなとこ、すぐにでも逃げ出したいぐらいの場所。
私はそこに一人で足を踏み入れ、必要な物資を見つけに行く。


「よっし・・・こんなもんか」


ここにいるのは私達だけじゃない。
他の逃げ遅れた人とか、わざとこっち側にくるような奴もいる。

そいつらが落としてったものも、私達にとっては貴重品。


―――――。


「ん?」


しっかり回収して帰ろうとした私の耳に、一発の銃声が響いた。

冷たく乾いた音。
聞き慣れてしまったその音を、間違えるわけがない。


しっかり銃を構え、使う予定のなかったもう一丁の銃を取り出す。

壁に背をつけて。
しっかりと標的を捉える。


捉えた先の標的は私に気づくこと無く、その場でごそごそと何かを探っていた。



見覚えのある、影。

私は銃をおろし、撃たれないようにわざと音を立てて姿を現した。


「!・・・・なんだ、あけちゃんか」
「よう、秋山。何してんの?」
「それはこっちのセリフだよ、あけちゃん。何度言ったらわかるのかな?」


綺麗な笑顔。

・・・が、今。
私の目の前で殺気を放っている。


「あー・・・・」


そういえば、秋山には何度か注意されたんだよな。
出てくるなって。


「その顔だと、俺が言ったこと覚えてるみたいだね?」
「い、いや、だって・・・・」


”危ないから、あけちゃんはできるだけ出ないで”

そう言われたのを、はっきりと覚えてる。


でも大人しくできるわけないだろ?
桐生だって犯人ぶっ飛ばすために色々走り回ってんだ。

そいつらのために、資源の調達ぐらいは、私だってしたい。


私は、弱くないのだから。


「秋山、そうは言うけど・・・正直厳しいだろ。地下にはたくさんの生き残りをかくまってんだ。また前みたいに攻められたら武器は足りないし、物資も足りない」
「・・・そんなのは、俺がどうにかするさ」
「あのな、真島の兄さんももう居ないんだ。外に出れるやつらは人数不足なんだよ!」
「それでも俺は、あけちゃんがこんなところに出るのは許せない」
「なんでだよ!!」


こういうのは、むかつく。

心配してくれてるのは嬉しいけど、度を超えたそれは”侮辱”にもなりうるからだ。


「・・・・俺は、あけちゃんが心配なんだ」
「わかったわかった」
「なら帰ってくれるよな?」
「やだね!」
「・・・・あけちゃん」
「めんどくせーな。なら、秋山、一緒行こうぜ」
「・・・・・」


秋山が驚いて目を見開いた。
そして、笑い出す。


「はは・・・!こりゃまいったよ、負けだ」
「私に勝とうなんて100年早い!ってことで行くぞー」
「っと、ちょっと待った!」
「・・・・なんだよ?」


早速行こうとした私の手を、秋山が引っ張った。

その勢いでバランスを崩した私は、秋山の腕によって壁側に寄りかかる状態になる。


と、そこに。
何故か逃げ場を塞ぐように秋山が立つ。

壁と秋山に挟まれて身動きが取れなくなった私は、キッと秋山を睨みつけた。


「なーんだよ」
「こういうときに危険なのはゾンビだけじゃないってことを、教えておこうかと思って」


後ろから襲いかかってきたゾンビを振り返らずに撃ち殺す秋山を、私はただ見つめる。

鮮やかでカッコイイなぁ、なんて。
思えたのはその一瞬だけだった。


「っ!!!」
「どうやったらあけちゃんは、俺が男だって・・・思うのかな?」
「お、男だっていつだってわかってるよ!!」
「そういう意味の男じゃないんだけど・・・」


笑顔は崩れない。
だんだんと近づいてくる秋山の顔に、思わず視線を逸らした。

でも、まだ、近づいてきてる。

それは見なくても気配で分かった。


吐息が、耳に掛かる。
クスッと笑ったのが息の掛かり具合で分かって、イラッとした。

でも、睨みつけることは出来ない。


だ、だって、近い・・・!


「そう、そんなふうに意識してほしかったんだよねぇ」
「・・・・っなに、が・・・!」
「もうここまで来ればわかるでしょ?」


抵抗出来ない私をいいことに、秋山の唇が私の耳に触れた。

慣れない感触にぴくりと身体が震える。


そこでやっと身体に力が入った私は、抵抗するために腕を動かした。
でも相手は男――――しかも、一般人なのに一般人とは思えないやつ。

私の抵抗はいとも簡単に押さえこまれ、さっきよりも更に動けなくなった。


「あ、あきやま!!」
「桐生さんがいるからって油断はいけないよねぇ?俺だって、あけちゃんをそういう目で見ている男かもしれないんだよ?」
「やめ・・・っ」
「ふふっ・・・・」


熱い。
むかつくのに、抵抗出来ない。

桐生にされる時とはまた違う感覚。


怖い?

――――怖い。


「ッ・・・・」


弱いのか、私って。

抵抗出来ない悔しさに叫んでやろうかと思ったその時。
ふわりと嗅ぎ慣れた香りが鼻をくすぐって、押さえつける力がなくなった。


「・・・・っ?」
「桐生さん」
「おい、秋山。人の女に手ぇだすとは穏やかじゃねぇな」


久しぶりに聞く、桐生の声。

目を開けた先に見えた桐生は、いつになく苛ついた様子で秋山の腕をひねりあげている。


「ったた!き、桐生さん、それ以上は手が・・・!」
「・・・チッ、次はねぇぞ」
「・・・・でも、あけちゃんがもし俺を選んだら、問題ないですよね?」


――――ゾクリとした。


秋山の瞳が私をまっすぐ捉えている。
動けなくなるぐらい、妖艶な笑みを浮かべながら。

あんな表情、するなんて。


戸惑い動けないでいた私に、ゆっくりと桐生の腕が伸びてきた。

そして私を乱暴に抱き寄せる。


「そんなことがあり得るとは、思えねぇけどな」
「きりゅ・・・・!?」
「あーあ・・・挑発したつもりが、挑発し返されるなんて・・・」


平然と言葉を返す秋山に、それどころじゃない私の頭が思考を停止させる。

私達の方を見て歩き始める秋山。
私の目の前には、桐生の顔。


ぬくもりが残る、唇。


「て、てめ・・・!何すんだバカ桐生!!」
「バカはお前だろ」


いつもの調子で口を開いたことを後悔した。

一瞬で、後悔した。


「ま、待って、桐生」
「あ?」
「ご・・・めん、なさい・・・」


あぁ。
本気で、怒ってる。

次に何されるかわからないと感じた私は、必死に目を閉じた。


「・・・・・」


くちづけ?
それとも、何?

強引な彼の行為の数々を思い出し、震える。


でも、想像したどれも、されなかった。

ただ優しく抱きしめられる。


「桐生?」
「・・・・よ」
「え?」
「行くなよ」


短い言葉でも。
直接的な嫉妬というのはあまり見せない桐生だからこそ、破壊力は抜群だった。


いつも嫉妬するのは私だけだと思っていた。

いや、桐生が嫉妬することは知っていたけど。
ただそれはいつも素直なものではなくて。


「桐生、私が、お前以外のところに行く女に・・・・見える?」


そしてその素直じゃないってのは。

”私にも言えること”、だった。


「・・・・っ」


言い終わった後、恥ずかしくなる。

でも、恥ずかしがってる暇なんて無さそうだ。


抱きしめられたまま腕を腰に伸ばす。
そこにある銃をしっかりと握りしめた。

そして目の前の桐生も、どこに忍ばせていたのか、ハンドガンを取り出していた。


「・・・・多く殺した方が、さっきの続きの主導権握るってどう?」


・・・このままじゃ、調子が出ないと思ってさ?

最初から勝敗のわかる勝負。
ふっかけた私の方を見た桐生が、普段見せるようなキザな笑みを浮かべて言った。


「いい度胸だな。・・・覚悟しろよ」






















覚悟できてることも、知ってるくせに
(だから大丈夫だよ。絶対に私はお前だけのものだから)
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