いらっしゃいませ!
名前変更所
「こちらが、俺のパートナーです」
そう紹介された私は、私の次に特別任務に任命された後輩に向かって一礼した。
あんまりこういうのは得意じゃないけれど、目の前の子が目を輝かせて私を見ているのは、そう悪い気分がするものでもない。
それに、どんなことがあってもパートナーと言われるのも嬉しかった。
トランクスとはあの後、この街ができるまで、そしてこの問題が再発するまでずっと一緒だった。
信頼関係が分かるその呼び方が、私はわりと気に入っていた。
「ふふっ」
「・・・?どうしたの?嬉しそうだね」
後輩に別れを告げた後、思わず笑う私を見てトランクスが首を傾げる。
任務漬けだったせいで街に戻るのは久しぶりだ。トキトキ都のときとは比べ物にならなくなってしまった広大な街が、私とトランクスを出迎える。
「何度聞いても、パートナーっていい響きだなぁって思って」
「それは・・・当たり前じゃないですか。パートナーですから」
街の柱に映る私の顔は人間じゃない。魔人だ。魔人でも関係なく、彼はそう言ってくれる。
「さて、久しぶりの休日だけど。どうする相棒?」
任務が苦痛というわけではないが、最近だと休みはレアだ。
それにいつ次の任務に呼ばれるか分からない私たちは、基本休みも一緒に過ごす。
買い物?それとも最近出来たレストラン?まだまだ施設が増えていくこの街を一望しながら尋ねると、トランクスは意外な答えを出した。
「君の部屋がいいな」
「え。・・・・なんも、ないけど?」
「あぁ、それでもいいよ。たまにはゆっくり休みたいだろ?」
「まぁ、たしかに・・・」
私達の部屋は特別に用意されている。
任務が多くてあまり使ってないから、いらないとは言ったんだけど。
「よし、じゃあ戻ろうか」
飛行ライセンスを持ってる私たちは、そのまま空にある自分たちの部屋に向かった。
ふと地上を見れば、たくさんの人達が私たちに向かって手を振っている。
イケメンで人気なトランクスにか、それとも私の英雄という肩書に振ってくれている人達か。
どちらにせよ、照れくさいことには変わりなく、私は目を逸らしてスピードを上げた。
「「相変わらず人気だね」」
部屋に着くと、お互いの言葉が盛大にかぶった。
「さっきの女の子、真っ赤になってトランクスに手を振ってたよ?」
「そうかい?でもその隣にいたフリーザ族のパトローラーは、君のこと見つめてたけど」
「なにそれ、もしかして妬いてくれてる?」
「君こそ」
言い合いながら近づく。
距離がゼロに近くなると、さすがに足を止めてしまった。
それを見たトランクスが意地悪く笑いながら私の手を取る。
真面目で、しっかり者。隙がなく誰からも人気のイケメン。
けれど実は普通の男で、私を引っ張る手は意外と乱暴で、それでもって意地が悪い。
「・・・・っ、ほんとの、トランクスのこと知ったら、皆どう思うかな」
「さぁ?どう思われてもいいよ。俺は、君がいれば十分だ」
「・・・・あー、逆に人気出ちゃうかも」
「君こそ、そんな顔俺以外に見せないでね?・・・人気どころか、襲う輩が出そうだからね」
「な、なにそ・・・・っ」
ゼロ距離で、塞がれる。
私はそっと目を閉じて、久しぶりに味わうその感触に溺れた。
こうして手をつなぎたかった。
強く指を絡めて、お互い離さないようにして。
それからキスも。無意識に口を緩めて深いキスを煽る。
「っは・・・ほんと、その顔、他ではしないでよ・・・?」
色っぽい顔にそんなこと言われても。
「トランクス、こそ」
英雄でも、何でもない。
私はただの女の子。そう、彼の、前では。
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