Erdbeere ~苺~ 従順にしてあげよう 忍者ブログ
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2025年03月10日 (Mon)
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2020年08月19日 (Wed)
第三者視点/フレン/ギャグ甘/ユーリ片思い気味

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朝早くから結界の外がざわついているとエステルから報告があり、様子を見に来たユーリは目の前の光景にやれやれと呆れている。
報告をしたエステルは慌てており、早く止めないのかと首をかしげるが、確認しにきたユーリとジュディスはそんな心配がどこにあるのかと首をかしげ返した。


「え、で、でも、2人ともなんだか本気ですよ?」
「いいんだよあれぐらい。っつーかあれぐらい日常茶飯事だ」
「えぇ!?」
「会話内容からするとただの痴話喧嘩でしょう?面白いから見ておきましょ。ついでにどっちが勝つか賭けでもしてみようかしら?」
「いいな。じゃあ俺はアメリィに」
「あら。いいの?普通ならフレンが勝ちそうじゃないかしら?」
「負けず嫌いだからな、アメリィは。何だかんだそこまで勝率悪くねぇんだぜ?」


心配するどころか近くに座って見学を始め、しかも賭けまで始めてしまった2人にエステルは頬をふくらませる。だが、自分一人で止めようにも激しい目の前の痴話喧嘩とやらに飛び込む勇気もなく、エステルも2人の横に座ることにした。


「んで?エステルはどっちに賭けるんだ?」
「わ、私は賭けなんてしません!怪我したときに治療するためにここにいます!」
「あ~、はいはい」


魔導器の発動する音、剣がぶつかる音。
それに混じって聞こえてくるのはもちろん賭けの対象になっている痴話喧嘩の声。


「っ・・・君はなんでいつもそうなんだ!」
「なにがよ!フレンこそ頭硬すぎなんじゃないの!?頭デッカチ―!!」
「それは君の方だろう!?何度言ったら分かるんだ!!」
「わかんないわかんない!何度言われても納得しない!」


アメリィの振るう大剣をフレンの剣が的確に流していく。
それを見越してか魔導器による攻撃がいくつもフレンの足元を崩そうと爆発するが、フレンはそれも読んだ上で最小限の動きで攻撃を反撃に切り替えていた。


「いまので実力の差は分かっただろう?」
「ちょっとちょっと。一撃も入れてないくせに私より強いつもり?」
「もちろん」
「むっかつく・・・そんなんだから足元掬われるんだよ」
「っ!?」


フレンが反撃の構えを取った瞬間、フレンの足元に光の輪が結びついた。
ニヤリと得意げに笑うアメリィが仕掛けた拘束術だろう。それによって体勢を崩したフレンにアメリィが大きく剣を振るうが、フレンはすぐに魔導器を発動させ光の剣で一太刀を凌いだ。
思わぬ反撃により逆に自身が体勢を崩すことになったアメリィに容赦ない追撃の剣が振るわれる。アメリィはそれらを間一髪で退けた後、大きく飛び退ってフレンから距離をとった。


「っなんでーー!!???」
「何度君と戦ってると思ってるんだ」
「むっっかつく!!!」
「そろそろ諦めて僕の言うことを聞いたらどうだ」
「いやだ!!!!」
「なぜだ!!僕より前線に出るなと言ってるだけだろう!!?」


その言葉にやっぱりなといいたげな呆れ顔を深めたユーリと、目をパチクリとさせるエステル。白熱しているため三人の存在に気づいていないフレンとアメリィは尚も剣を叩きつけ合う。傍から見ればただの痴話喧嘩にすぎない言葉と共に。


「いやだね!なんでこんな剣持ってる私が後衛に下がらなきゃいけないの!」
「君は戦い方が無謀すぎる!だからそんな怪我をするんだろう!」
「け、怪我!?何の話!!」
「ユーリから聞いたよ。君この前の戦いで右足をやっているそうじゃないか?」
「か、勘違いでしょ」
「そうかい?でも怪我していなければこんな攻撃は・・・・」
「ッーーー!!!」
「避けれると思うんだけどね?」


明らかに死角となる場所をついた攻撃にアメリィがバランスを崩す。それはユーリから見ても右足に異常がなければ簡単に体勢を立て直せるレベルの攻撃だったが、アメリィはそのままふらふらと尻もちを付き、痛みに顔を歪ませた。

そんな彼女の首元に、フレンの怒りのこもった剣先が突きつけられる。


「さて。もう一度聞こうか」
「っ・・・・」
「右足、怪我してるんだろう?」


言い訳を許さない雰囲気に賭けていたジュディスが笑う。


「あら、もう勝負つきそうよ?」
「どうだかな?」


何度も喧嘩してきたからこそ分かる、アメリィがこれだけで終わらないことを。いい意味でも悪い意味でも彼女は嘘を吐くのがうまい。だまし討ちされることなんて日常茶飯事だった。

思い出に浸りながらアメリィの口元がニヤリと弧を描いたのを見る。
あぁ、あれはやる気だ。なんて思っていたところにフレンが剣をしまってアメリィの耳元で何かを囁いた。その瞬間アメリィが見たこと無い表情でピシリと固まる。


「なっ、なに、言って・・・・!」
「君は本当に分かりやすいな・・・嫌なら正直に言った方がいいと思うよ?」
「い・・・・やじゃ・・・」
「・・・・くくっ」
「わ、わらうな!!!」
「いや・・・まさか一番はじめに'嫌じゃない’って叫ぼうとするとは思わなくて」
「~~~~っ!!」
「なんだかフレン、楽しそうです・・・・」


エステルのぽつんとした言葉にユーリは苦笑いを浮かべる。
あいつの爽やかな笑みの中に隠された意地悪さや意外と乱暴なところがあるというのはユーリやアメリィだけが知っている幼馴染の顔だ。それを楽しそうと言われるのは何だか面白いような可愛そうな気もして苦笑が深まってしまう。

それと同時に、目の前に知らないアメリィの表情があって思わず舌打ちした。
誰よりも男勝りな彼女の、真っ赤な――――喰っちまいたくなるような顔。


「・・・ほらよ」
「あら、負けを認めるの?」
「飽きちまった。もう少し寝てくるぜ」
「・・・あら」


ジュディスは何かに感づいたのか妖艶に笑いながら投げられたガルドを受け取った。
そして邪魔しないようにと不満げなエステルの手を取って結界の中へ踵を返す。


「え、あ、あの!」
「邪魔しちゃ悪いでしょう?バレちゃう前に帰りましょ」
「怪我・・・」
「それはあとでフレンがアメリィを引きずってくるわ、絶対にね」
「そ、そうでしょうか・・・?アメリィは怪我しても隠してばかりで・・・心配です」


不満げな表情に加えぷくーっと頬を膨らませたエステルに、ジュディスが笑いかけた。


「それならたぶん、今日で解決するわ」
「え?そうなんです・・・・?」
「ふふっ、もうちょっとすれば分かるわよ」
「??」


















体も、頭も熱い。
あの後部屋に引きずり戻されたアメリィは、熱の原因であるフレンを睨みつけた。


「お昼なんだけど・・・」
「出発自体は明日だろう?問題ないさ」
「そうじゃないよ・・・・」
「じゃあ、なんだい?」


アメリィの不満を分かっていて尋ねるフレンに何も言えなくなる。


「むー」
「隠す君が悪いんだろう?」
「それは・・・・」
「言っただろう?もし僕に隠し事をしていたら、お仕置きとして君を食べさせてもらうよって」


剣の打ち合いだけなら勝率は五分五分。
なのに恋人同士となってからはそういうことを平気で言うようになって太刀打ちできなくなった。喧嘩の頻度は下がっていないのに、勝率は下がっていく。

フレンに敵わなくなってしまったのは剣の腕が落ちたわけじゃない。純粋にそれだけフレンが積み重ねた経験が私の経験を抜いていって強くなっただけ。それを出し抜くにはだまし討ちが必勝法だったのに、最近ではああやって恋人同士の関係をうまく使って動揺させられてしまう。


「・・・・フレンに勝てなくなった」
「勝つ必要なんかないだろう?」
「あるよ。私がフレン守るんだから」
「・・・それはだめだと言っただろう?」
「やだ」


フレンの周りにはたくさんの素敵な女性がいる。その女性より自分が優れているところは戦いの腕しかない。アメリィにとってはそれが自分の存在価値であり、フレンのための力だと感じていた。だからこそそれを失いたくないと、ぎゅっと強く唇を噛みしめる。


「それぐらいしか・・・フレンの役に、立てない」


思わず漏れてしまった言葉に、しまったと思うよりも先にフレンがぎしりとベッドを軋ませた。
まだ熱のこもる肌をさらけ出したままのアメリィは慌ててフレンから体を隠そうとするが、力強いフレンの腕から逃げられるわけもなく、あっという間にベッドに押し倒される。


「そういうふうに考えていたのか、君は」
「・・・・・っ」
「僕は君といるだけでこんなに幸せだ。君と話せるだけで楽しくなれる。声を聞けるだけで元気が出るんだ。それで十分だろう?」
「・・・・」
「信じてないね、その顔」
「だって・・・・あれだけ素敵な女性に囲まれてたら、自信なくすでしょっ」


気品溢れるエステル。スタイル抜群のジュディス。知識において万能のリタ。
他にも貴族の女性たちと触れ合う機会の多いフレンからすれば、私なんて。


「僕だって子供の頃から君に片思いしていたんだ。ずっと、ずっと。この思いが君だけのものだと思うかい?」
「・・・うー」
「なるほど、君のそういう自分に自信がないところは相変わらずだね」
「だって」
「言い訳は聞かない。それはつまり僕の好意を信じれないということだ」
「え、い、いや、それはっ」
「もっと教えてあげるよ、君が素直に分かる方法で」
「まっ、待って・・・・!」
「待たない」


誰にも見せないような、ゾクリとする妖艶な笑みが私を見下ろす。
さらけ出された肌をするりと撫でる手がくすぐったくて、思わず吐息を漏らした。


「君は誰よりも魅力的だ。その強さも、純粋なところも」
「あ、ばかっ、へんたい!!」


ちゅっとわざとらしい音がして首筋に痛みが走る。
慌てて首筋を見れば普段着ている服で隠せるか隠せないかの位置に赤い跡がついていた。


「あ~~!こんなところに・・・・!」
「派手に前線で戦わなきゃばれないよ」
「そっ、そういうことする・・・!?」
「君はもう僕のものだからね。出来ることならユーリのそばにも行かせたくない。言うこと聞かない君には実力行使だ」
「ぐぬ・・・・」
「あと怪我も。怪我したらすぐにエステリーゼ様か僕に見せにくる。分かったかい?」
「・・・・」
「なるほど、分からなかったみたいだね」
「あ!!わかりました!!わかっ・・・・」


心配かけたくないという気持ちと、バレなきゃいいという考えを巡らせること数秒。たったその数秒の間ですらフレンは許さずアメリィの唇を塞いだ。


「ん、ぅ」


何度も何度も。
胸を叩こうが膝を突き上げて抵抗しようが、剣を持たないアメリィの力ではフレンに敵わない。
息をつくまもなく何度も唇を奪われたアメリィは、息も絶え絶えにうなずくことしか出来なかった。


「分かったかい?」
「わ、分かった、分かったから・・・っ」
「分かったなら早く右足の怪我をエステリーゼ様に見せにいくんだ。その傷は、僕の晶術だけじゃ綺麗になおらない」
「はーい・・・・!」
「次はないからね、アメリィ。もしまた今日みたいなことを僕に隠したら」


'次は、どんなことをしようか?'

笑みの中に隠された黒さを、幼馴染の私達は知っている。
その笑みが全力で今、私を押し倒している。逃さないと牙を剥く狼にも似たそれはきっと私の嘘を絶対に許さない。

過去にこの笑みのときにされたことを思い出し、一瞬で体が熱を取り戻す。
むっつりすけべだの何だのと悪口を言って抜け出せる雰囲気じゃない。
とにかく今は頷くしか無いと判断した体が、私の意思を無視して頷いた。


「隠し事、しないです・・・・・」
「よろしい」




















アメリィ!下がれ!」
「はぁ!?今からってときに・・・!」
「下がるんだ」
「は~~いっ」


戦闘中。フレンから出された指示にぶつくさ言いながらも下がるアメリィを見て、ユーリとジュディスとエステルがこそこそと話し出す。


「なんだか最近、アメリィが素直です」
「だから言ったでしょ?心配しなくても大丈夫って」
「フレンがなにか言ったのでしょうか?ずるいです・・・・私の心配は聞いてくれないのに」
「エステルー!!怪我した!!治療してー!!」
「ほら、お呼びだぜ?」


エステルの不貞腐れた顔も一瞬。アメリィが素直にエステルを呼ぶ声が聞こえたのと同時にエステルは嬉しそうにアメリィの元へ駆け寄った。
それを見届けた後、ユーリはアメリィの代わりに魔物を倒し、フレンに駆け寄る。


「何やったんだよ、あいつに」
「?特に何もしてないよ」
「そのわりには随分従順になってるじゃねぇか」


気に食わねぇな、と付け足さないように気をつけながら吐き捨てるユーリに、その心の声さえも拾い上げた幼馴染が黒い笑みを浮かべるまであと10秒。








まぁ、彼女は僕のものだからね

(でたでた、お前ほんっと独占欲つえーよな。それでよく10年も隠してるつもりだったな)
(だからこそ、だよ。もう逃したくはないからね)



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