Erdbeere ~苺~ 番外14.微睡み 忍者ブログ
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2015年08月16日 (Sun)
ブゥ編終了後/ほのぼの/甘々/※ヒロイン視点

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目が覚めた。
薄暗い明かりの中、隣で寝ているピッコロを起こさないように時計を見る。


時間は朝4時。

まだ起きるには早い時間だ。


「ん・・・・」


身体を捻ってピッコロの方を見る。

ピッコロは目を瞑って、穏やかな呼吸で寝ていた。


薄暗い明かりの中でも目立つ緑の肌。
起こさないように手を滑らせれば、すべすべとした感覚にうっとりする。



お互いに裸だから。

触れ合った先が暖かくなる。


人間とは違う感触も、色も、香りも、吐息も、全てが私を魅了する。


「・・・・綺麗」


ピッコロは人間と違う自分の肌を時々嫌う。

赤い目を、魔族の目だと言ってあざ笑う時がある。


でも私はそれが好き。


「ピッコロ・・・」


ピッコロの香りは不思議な香りだ。
水以外を摂取しないからだろう、ほとんど特徴的な香りはしない。

強いて言えば、植物的な香り。


そして肌。


女性よりもすべすべの綺麗な肌。
蛇のような不思議な模様も、筋肉質な身体も、ドキドキする。


「ん・・・・」


思わず、真正面から抱きついた。

もぞもぞと動くピッコロを見て、少し微笑む。


「っは・・・かっこいいな、ほんと」


2m超えのピッコロは私をすっぽりと覆い隠すほど大きい。
こうやって並んで寝ている時が、一番視線が近くなる。


抱きついたまま顔を近づけて。

キス出来そうな位置で止まる。


眠い意識の中、うとうとしながら口を開いた。


「起きてるくせに」


ピッコロが起きないわけがない。

知ってるよ。
いつも私がこうやって早く起きた時は、私のひとりごとを聞いてること。

黙って心を、読んでること。


「・・・・ん」
「ぶふっ!」


返事の代わりにピッコロの手が腰に回って私を抱きしめた。
強い抱擁に、思わず変な声が漏れる。


そのままピッコロは私の髪をゆっくり撫で始めた。

寝ぼけたままの表情でピッコロの顔を覗きこめば、眠そうに目を開けたピッコロが私を視界に捉えて少し笑った。


「・・・・まだ、はやいだろ・・・・」
「うん」
「なら、寝てろ・・・・あまり早く起きると・・・襲うぞ」


眠そうに掠れた声。

細められた目から覗く、赤い瞳。


こんな無防備な彼を見れるのは私ぐらいだろう。


「んー」
「・・・・寝にくいだろうが・・・・」
「このままがいい~」


甘えるように擦り寄る。
静かな声で私を怒るが、その手は私を離そうとしない。


微睡みの中。

ピッコロが私に唇を近づけ、耳元で囁く。


「久しぶりに・・・・夢を見た」
「・・・・なんのー?」
「お前の、だ」
「私の?」
「・・・・続きが、見たいんだ。早く寝ろ・・・」


あぁ、これ。

ピッコロってば、寝ぼけてる。


絶対そんなこと言わないもん。
きっと起きたら忘れてるんだろうな。

だから私も言おう。


微睡みに任せて。


「なら、私も・・・ピッコロの夢見る・・・・」
「・・・・・あぁ」
「いっぱいキス、して・・・いっぱい・・・・」
「夢じゃなくても、してやる・・・・」


お互いに掠れた声で囁き合う。
寝ぼけたまま、気だるい身体を動かして口付けた。

貪るようなのじゃなくて、ただ触れ合うだけの口付け。


「あったかい・・・・」
「暑い・・・」
「離れる?」
「・・・・いや、いい」


目を瞑る。

そしてまた沈む。
微睡みの中に。




























また、目が覚めた。

起きた瞬間に分かる。
さっきとは違って、微睡んでる暇がある時間じゃないってことが。


「起きたか?」
「んー・・・寝てます」
「起きろ」
「やーだー」


ベッドサイドに腰掛けるピッコロ。
うっすらと入る日の光に照らされて、くしゃくしゃの白いシーツが眩しく見えた。


微睡みの中。


そっと手を伸ばして、そのくしゃくしゃのシーツを伸ばす。

それからピッコロの腰に手を回して擦り寄る。


「ピッコロ~・・・・」
「なんだ」
「夢、見れたー?」
「・・・・・あぁ」


何の話だ、って返されると思ってただけに。
素直な返事に少しだけ眠気が覚める。


「どんな夢?」
「いう必要もない。・・・いつも通りだった」
「いつも、通り?」
「お前とこうしてる夢だ」


あれ、まだ夢見てるのかな。
ピッコロから放たれる言葉が、甘くて溶けてしまいそう。

そのまま、口付けられて。


口づけの甘さと。

優しい温もりに、また微睡む。


「これも、夢かな?」
「何故そう思う」
「んー?いっつも意地悪な悪魔さんが、今日は優しいから」
「ほう?」
「んぐっ」


ほっぺたをぐにっと摘まれた。

でもその手もすごく優しい。


私は寝転がったまま。
彼はベッドサイドで私を見下ろしている。

この時間が。


すごく、好き。


「私も夢見たよ」
「・・・何のだ?」
「ピッコロの夢」
「どんな夢だ」
「いっぱいキスしてた」
「いつも通りだな」
「・・・うん」


目を瞑れば、いつもと同じ口付けが降り注ぐ。

夢なんか見なくてもいつだって味わえるのに。
夢ですら求めちゃうの、ダメかな。


なんて思ってたら、その答えを返すかのようにまた口付けられた。


もちろん、夢よりも好き。

今のこの時間が。
この微睡みが。


「起きろ」
「もう少しー」
「駄目だ」
「あと・・・・5分」
「ったく・・・」


呆れたようにため息。

それがピッコロのお許しだと知っている私は、もう一度目を閉じた。


「退け」
「ん・・・」


寝るモードに入った私を押しのけ、ピッコロも私の隣に寝転がる。


「5分だけだぞ」
「分かったから・・・・」
「・・・おやすみ」


微睡みの、この、ふわふわとした時間。
これが私の幸せな時間の一つ。

毎日繰り返されるこの微睡みに、また私は沈んでいく。



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