いらっしゃいませ!
名前変更所
「俺は、愛だの恋愛だの、分からない」
だから、教えてあげるって言ったのに。
「・・・・俺は、元魔族だった。愛される資格など、ない」
私はそんな、ピッコロが。
ピッコロだけが。
「ゆえ、お前は幸せになれる。俺のことは・・・忘れろ」
してはいけないと言われると、興奮するって知ってる?
私は悪魔だから、そういうこと言われるとゾクゾクするの。
手に入らないものが欲しいと。
結局は、魔族と同じ。
元天使なんて所詮はこんなもの。
今の私はただの悪魔。
欲望に、忠実な。
「ゆえ・・・・?」
綺麗なベッドの上で目を覚ましたピッコロが、私を見て名前を呼んだ。
私はそれに応えるように笑う。
「一体何が・・・・っぐ!」
「あ、身体起こしちゃ駄目だよ。まだ傷痛むだろうから」
「っ・・・・」
ピッコロの体に刻まれた傷。
それは紛れも無く、私がつけた傷だった。
痛々しく傷ついた部分をなぞれば、ピッコロが歯を食いしばりながら再生能力で回復する。
すっかり傷がなくなったそれに、私はため息を吐いた。
「なんで治しちゃうのさ」
「なんでだと?何のマネだ、ゆえ」
「何のマネって、魔族なら分かるでしょ?悪魔の考えることぐらい」
魔族だから愛を拒むのなら。
同じ魔のつく種族の考えだって、分かってよ。
苛立ち紛れに魔力を解放してピッコロをベッドに押さえ付けた。
そのまま、ピッコロのお腹の上にのしかかる。
「っ・・・・!」
「私の、愛を、受け入れてよ」
「っが・・・!?」
とっくにピッコロより力は上だ。
戦うんじゃなくて、純粋な力だけならの話だけど。
でももう、いい。
強くなりたいなんて考えも浮かばないほど、私はただ彼だけを求めていた。
いつから狂ったんだろう。
ただ彼の傍にいられればいいと、思っていたのに。
「言ったはずだ、俺は・・・・!」
「そんなの、知らないよ・・・関係、ないんだよ・・・・ピッコロがどんな存在でも、私にとってはそんなの・・・!!」
泣き叫びながらピッコロを掴む。
大粒の涙が落ちて、ピッコロの腕を濡らした。
「ゆえ・・・」
「もう、なんだっていい。ピッコロが私のものになるのなら」
なんだって、良い。
「ゆえ、やめるんだ・・・・」
優しい声色に涙を拭く。
やっと見えるようになった視界の中で、ピッコロは何故か苦しそうだった。
それは、なんで?
私に痛めつけられるから?
・・・・違う。
「何故分からない!お前は、俺なんかより・・・!」
「わからないよ、私には」
ピッコロしか見えない。
そう言う前に私はピッコロの唇を塞いだ。
初めての口付けの味が、私をゾクゾクと震わせる。
「ピッコロ・・・」
「やめ、ろ・・・っ」
「やだ。そんなに嫌なら逃げ出せば?」
私は別に特別な力なんて使ってないよ?
ちょっとだけ、ピッコロを抑えるための魔力を使ってるだけ。
こんな力、いつものピッコロなら打ち破れるでしょ?
「ピッコロ・・・・」
「っ・・・・」
「逃げるきがないなら、私の好きにさせてもらうよ?」
「ゆえ・・・・っ」
掠れた声が私の名前を呼ぶ。
ああ、それだけで幸せ。
「ピッコロ」
だから私も呼んだ。
ピッコロの名前を、何度も。
それからもう一度口付ける。
ゆっくりと唇を離せば、お互いの荒い息が空間を支配した。
満足して離れようとした私の視界が、ぐらりと揺れる。
「・・・・?」
バチッ!と弾けるような痛みが体中に走った。
突然のことに驚いて真正面を見る。
さっきとは真逆の体勢。
私が下。
そして上はピッコロ。
「・・・・・・」
「・・・・・」
「逃げないの?」
「俺しか見えないんだろう?」
挑発的な言い方だった。
背筋をゾクリとさせるその言い方に、過去のピッコロが見える。
「なら一生俺のものになると誓えるんだな?俺のどんな愛情でも、受け入れられると」
――――さっきと、逆だ。
私の上で妖しく笑うピッコロは”魔”そのもの。
そして悔しくも、ピッコロの考えていることが分かってしまった。
魔のつくもの同士、純粋な恋愛感情なんて持ってない。
「言っただろう、俺には愛だの恋愛だの、分からないと」
「だから・・・私は・・・・!」
「だが俺はお前を支配したい気持ちがある。独占したいキモチが、お前たちのいう愛とはいえないほどの・・・・汚い感情が」
「っ・・・・」
「我慢してきたというのに、お前が、全てを台無しにしたんだ」
魔のつくものの気持ちを分かってないのは。
「お前を逃がすチャンスをくれてやったというのに・・・もう、逃すつもりはないぞ」
・・・・私だったのかも、しれない。
牙を向いた彼は私よりも冷たい目で私を見ていた。
赤い瞳が、今にも私を食らおうと光っている。
「逃げるなよ」
食い込んでいく爪。
痛い。
・・・痛い?
心地、いい。
「逃げないよ、ピッコロ」
手を伸ばしてピッコロを求めた。
これから行く先が、どんな行いより悪い道だったとしても。
これが私達の愛の形、でしょう?
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