Erdbeere ~苺~ ★47.考えてるのは結局 忍者ブログ
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2015年06月03日 (Wed)
47話/シリアス/※ヒロイン視点

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ブゥが待ってくれる時間は1時間。
眠るように待つブゥを見ながら、私達は神殿の奥で作戦会議をしていた。


その作戦は、出来る限り時間を稼いで、最終的な戦いは精神と時の部屋で行うというもの。

まぁ、単純な作戦だ。


「本当に大丈夫かしら・・・・」
「これしかないんだ、方法は。最悪、地球とデンデが残っていれば・・・どうにかなる」
「非情だけど・・・・その通りだよな」


精神と時の部屋なら外部への影響は出ない。


・・・最悪、精神と時の部屋の扉を壊してしまえば、ブゥを閉じ込めることだって出来る。


でもその作戦の中でどうしても納得出来ないことがあった。

それは精神と時の部屋への案内を、ピッコロ一人でするという部分。


「ねぇ、ピッコロ。精神と時の部屋へは私も行く!!」
「ダメだ」
「なんで!?もし二人が危なくなったら戦うことになるんだし、私も・・・!」
「っ・・・・ダメだ!!精神と時の部屋へは俺一人で行く」


何度言っても、ピッコロは首を横に振り続けた。

なんで。
もしトランクスと悟天がやられて、戦うことになったらピッコロだけじゃ・・・!


それなら私も行って生存確率を上げたほうが良いに決まってる。

これだけは、食い下がれない。


「絶対だめ、私も行く!」
「ダメだ」
「いやだ!!」
「言うことを聞け、ゆえ。絶対にダメだ!!」
「なんでそこまでダメなんだよピッコロ。ゆえ強いし、心強いだろ?」


見かねたクリリンが私の味方をしてくれた。

少しは聞いてくれるかな?と淡い期待をしたのも束の間、そのクリリンの助言によってピッコロの表情が更に険しくなった。


「・・・・ダメだ、と・・・言ってるだろうが・・・・」


低く、絞りだすような声。


「なんで・・・っ!ピッコロ、私はいつだってピッコロの・・・・」
「お前は死んだら元に戻れないだろうが!!!」
「ッ!」


聞いたことのないような声で怒鳴られた。
肩を掴まれ、堰を切ったようにピッコロの怒りが私に降り注ぐ。


「俺達には最悪、何かあってもドラゴンボールがある。だがお前にはドラゴンボールの力が及ばない可能性が高い。現に神龍が言ってただろうが、お前の存在は神を超えているから影響出来ないと!!」
「そ、それは・・・」
「それにお前は死んだら魂が消えてしまうんだろう?俺達は死んでも向こうで肉体と魂を残してもらえるだろうが・・・お前は、何も残らない・・・っ!!」


私の肩に置かれている手が、震えていた。

見上げれば、ピッコロの鋭い瞳と視線がかち合う。


なんで、そんな不安そうな顔してるの。
どうして・・・そんなに、震えなくたって。

いつもみたいにしてよ。


ワガママ言った私が、恥ずかしいじゃないか。


「自分で言ったんだろうが。悪魔は、悪を道連れに魂を消滅させるための存在だと」
「・・・ピッコロ」
「俺達の魂は必ず残る。前に俺はそれで界王様のところで修業させてもらったからな。たとえ生き返れなくても、その状態でお前に会うことは可能だろう」
「・・・・・それは」
「何が何でもお前と共にある道を選びたいんだ、俺は」


可能性に賭けるのではなく。


「頼む、ゆえ、聞いてくれ・・・」


初めて見た。
こんな、ピッコロ。

いつも何だかんだ強気だったりするのに、さ。


「そうか・・・・ピッコロの言うとおりだな。聞いてやれよ、ゆえ
「聞かないってんなら、ぶん殴ってでも聞かせてあげようか?」


優しいクリリンと、恐ろしい18号の言葉に頷くしか無かった。


ピッコロと離れるのは嫌だけど。
そこまで考えてくれていたピッコロの気持ちを、無駄にすることも出来ない。


「なら、この話は終わりだな。・・・お前たちは最悪、デンデだけでも・・・頼む」
「あぁ・・・任せとけ!」


ヤムチャの返事に皆も頷く。

それを見たピッコロは満足そうに笑い、またブゥの監視に戻っていこうとした。


なんとなく、その背中を追いかけて。
隣に並んでから左手を握った。


「っ・・・どうした?」


どうしよう。

私も柄になく、不安で手が震えそうになっていた。


ピッコロと離れるのが怖い。
ピッコロがもし、死んじゃったら、とか。

トランクスと悟天が死んじゃったらとか。


自分の見えない場所で怖いことが起きようとしてる。

それが、不安でしょうがなかった。


――――だから。


「ピッコロ、お守りあげる!!」


あえて笑顔でそう言った。

不安にさせないように。
バレないように。


ま、バレてると思うけど。

彼に隠し事なんて、出来ないから。


ゆえ・・・・」
「ほら、これ、お守り」


繋いでいた左手を両手で挟んで、そこに魔法を掛けた。
キラリと赤い光が煌き、ピッコロの手の中に赤いリストバンドを出現させる。

魔法陣が刻まれた特別なリストバンド。


ピッコロに命の危険が迫ったら、どんなところにいても一度だけ安全地帯に飛ばしてくれる。

本当の、お守り。


「・・・いいのか?」
「私の代わりだと思って、もってて。絶対ピッコロの力になるから!」
ゆえ・・・・」


ピッコロの手が伸びてきて、私の頬を撫でた。

この温もりが離れることが嫌で頬を擦り寄せれば、ピッコロが嬉しそうに笑う。


あと、何分だろうか。
こうやっていれるのは。


「ピッコロ・・・・」


私達はただ寄り添って、ブゥを監視し続けた。
その時が来なければいいのにと、思いながら。


























「もう、待てない!!!!待つのは嫌だ!!!」


残り、20分ぐらい。
あと少しだってのに、待ちきれなくなったブゥが今にも暴れそうな勢いで声を上げ始めた。

それを見ていたピッコロの手が、離れる。

思わず握り返しそうになった私の手を、ピッコロ自身が止めた。


「・・・・ゆえ
「・・・・っ」
「行ってくる」


震える手は何も掴まずに伸ばされたまま。

ブゥのところに向かっていったピッコロを見ないよう、私は神殿の中にいる皆と合流することにした。


「っ・・・・」
ゆえちゃん・・・・」
「・・・大丈夫かい?」


弱った私を見せるわけにはいかない。
そんなことしたら、ピッコロを苦しませるだけだ。


中に入った私を出迎えてくれたブルマと18号に、小さく笑みを見せる。

・・・・しっかりしなきゃ。


「大丈夫。・・・ピッコロが行ってるんだ。私だって、ちゃんとしなきゃ」
ゆえ・・・・」
「大丈夫大丈夫、ね!!」


笑いながらふわりと空中に浮いた。


「何するんだ?」
「瞑想」
「ったく、ゆえもピッコロに似て真面目だよなぁ」
「ピッコロの弟子ですから?」
「うわー、説得力バリバリだなその言葉・・・・」
「ちげぇねーや!!」


ヤムチャがげっそりとした表情で呟くと、皆が笑う。

私がやることは、ピッコロの代わりに皆を守ること。
ピッコロならきっとそうするだろうから。


ぎゅっと手を握りしめて。

心の中で祈り続ける。


「・・・・・」


笑っちゃうよね。
悪魔が、祈りを捧げるなんてさ。


「不安になるんじゃないわよ。私の息子と、チチさんの息子がいるのよ・・・!!勝てるに決まってるでしょ!!」


震える声でブルマが怒鳴った。
その声に誰もが止まり、そして誰もが頷く。


「あぁ、あたりまえだぜ!」
「トランクスと悟天だもんな!」
「ピッコロもいるんだからねっ」


さりげなくピッコロをアピールすれば、はいはい始まったって感じの目で見られた。


「ほんと、よくあんな奴と付き合ってるな」
「え、18号それ何気に酷い・・・」
「あんな不器用なやつイライラするだけだろう?」
「それ18号もなんじゃ・・・ごふっ!?」


浮いてた私の腹部に思いっきり18号の拳が刺さる。

あ、これ、ピッコロのよりやばい。
容赦なさすぎる攻撃に浮遊を止め、そのままぽてっと地面に落ちた。


「う・・ぐ・・・・」
「あぁあぁ18号!?何してんだよーー!!」
「っ・・・余計なこと言うからさ。こんなんで倒れてちゃ、勝つなんて無理だね」
「い、いまのは、ぐふ、痛い・・・です・・・」


倒れつつも18号の顔が赤いのを見て少しニヤける。

もちろん。
それがバレないわけもなく。


無表情で見下された私は、ひくっと顔を引きつかせた。


ゆえ?」
「す、すみません」


結論、18号はピッコロより怖い。

18号の殺気にビクビクしつつも、いい感じに緊張がほぐれて自然な笑顔が出る。


「やっぱりアンタは笑ってるほうが似合うよ」
「っ・・・・・」


もう一つ追加しよう。
18号は、ずるい。


さらりと恥ずかしくなるようなことを言われて、私は俯いてしまった。

18号が勝ち誇った笑みを浮かべているのは、見なくてもわかる。


「もー・・・皆も笑ってないで。とりあえず今のうちに腹ごなしでもしておく?」


皆の緊張や恐怖も同じように解いてあげようと、私は魔法で皆の目の前に豪華な中華料理を出現させた。

女性陣の周りにも豪華なデザートを置けば、皆の目がそれに釘付けになる。


「なによー!ゆえ、やるじゃないアンタ!こういう時こそ、弱ってちゃだめってやつよね!」
「な、なぁ・・・魔法で出したものって美味しいのか・・・・?」
「食べてみればいいじゃない、ほら」
「んぐっ!?」


怪しみながら肉まんを持ったヤムチャの口に、ブルマが容赦なく肉まんを突っ込んだ。
もがもが苦しみながら抗議していたヤムチャだが、美味しかったのか目を輝かせながら口を動かし始める。


「おお、うまいぞこれ!!」
「本当か?なら俺も!!」
「私は食べるもの必要ないからね。代わりにアクセサリーでも出しておくれよ」
「じゅ、18号ってば・・・」


ワイワイしながら皆と笑い合うだけのことに凄く安心感を覚えた。


出た食事を全部平らげようとし始めるクリリンとヤムチャ。
私の魔法で出したアクセサリーを嬉しそうに見つめる18号。

心配そうにしながらも、ケーキに目を輝かせてるブルマとビーデル。


皆と同じく食事にがっつく亀仙人。


「・・・・」


このまま、ここに
ピッコロと・・・悟天と、トランクスが戻ってくれば。


――――――バチッ!


「っ!?」


鋭い音を立てて、神殿の外側の空気が弾けた。

慌てて様子を見るために顔を出せば、そこにあったのは最悪の光景。


「・・・・ニィ・・・」
「っ・・・・うそ、魔人、ブゥ・・・・?」


ビーデルの声に、ブゥがニヤリと笑う。

私達の目の前に現れたのは、間違いなく魔人ブゥだった。


ああ、どうして。
そんな。

皆の表情が、絶望に満ちていく。


「アンタ、トランクスと悟天君をどこにやったのよ!!!!!」


ブルマの怒鳴り声にも反応できない。

怖いんじゃない。
壊れそうなほど、苦しい。


だって、ここにブゥだけが出てきたってことは。


ピッコロは?
悟天は、トランクスは・・・?


「ちょっと腹が減ったなー。どうしよっかなー。チョコにするか?アイスにするか?」


私達の気も知らず、ブゥは私達をお菓子に変えようと近づいてきた。

それを見たクリリンが皆を守るように構えるが、止める。


「クリリンは18号達もいるでしょ。デンデを頼むね」
「え・・・!?」
「私は・・・ここで、戦う」
「ダメよ!!そんな・・・・っ!!」


ブゥが笑いながら出してきたビームを、魔法の壁で弾いた。
一瞬の攻防に、私とブゥ以外はその場に固まったまま。


私はもう一度クリリンの方を向いて微笑んだ。

私の覚悟は――――変わらない。


「クリリン、皆を頼んだよ・・・・」
ゆえ・・・・ッ!!」
「ピッコロを殺されたかもしれない今。私は優しくなんていられないんだよ。早く行って!!」


強く怒鳴り、クリリン達を逃した。
それを追いかけようとするブゥに鋭い気団を打ち込み、足止めをする。


「・・・なんだお前、戦う気か?いいぞ。お前と戦うの、楽しかったからな」
「・・・・・ピッコロと、悟天と、トランクスの仇・・・・絶対に討つ!!」


皆を守るとか。
皆を逃がす、とか。

きっとそんなのは言い訳だ。


私が真にしたかったのは、これ。


よくも、よくも、ピッコロを。
私の愛する、彼を。


「よくも!!殺したなっ!!!!」
「っ!?」


一気に魔力を開放し、握りしめた拳を魔人ブゥの右手に打ち込んだ。

それだけで空間が歪むほどの衝撃が走り、ブゥの右腕が吹き飛ぶ。


「・・・・!お前・・・やるな」
「楽しそうに笑われたって嬉しくないよ。アンタを痛めつけてやりたいんだからさ、私は」
「ニヒヒ・・・!」
「っ・・・・笑うなって言ってんだろ!!」


苛立ちに任せて地面を蹴った。
ブゥが防御した手を膝蹴りで突き破り、ふわりと空中に浮いてもう片方の足で回し蹴りを放つ。


だが、ブゥにそんなのは通用しない。

すぐに再生した手で回し蹴りを放った方の足を掴まれ、そのまま地面に叩きつけられる。


「っが!」
「にひひ・・・っ」
「っにゃろ・・・・!!」


すぐに起き上がって反撃に出ようとするが、明らかに相手の動きのほうが早い。

反撃に出ようとした手を思いっきりありえない方向に曲げられ、声にならない悲鳴が上がる。


「っ――――――あああああ!!!!!」


痛い。
痛い、痛い!!

でもこんなの、ピッコロ達が受けた痛みに比べたらきっと。


「っしね!!!!」
「っ・・・!?ぐっ!」


無事な方の腕でブゥの顔をつかみ、魔力で頭を吹き飛ばした。

もう、足元はフラフラだ。
だけどブゥが死ぬ気配は見えない。


私じゃ、勝てないの?

やっぱり最初の時に殺しておくべきだったんだ。


そうすればこんなことには。


「ふ、・・・・ぅ」
「なんだ、もう終わりか?」


思わず泣き出しそうになって、唇を噛みしめる。
ゆっくりと身体を再生しながら歩み寄ってくるブゥを、ただただ見ていた。


・・・・その時、だった。


ゆえ!!」
「!?」


逃げたはずの18号の声が聞こえ、思わず振り返る。
振り返った先には何故か皆が居て。


「ニィ・・・・」
「っ・・・・まずい・・・!!!」


ブゥが笑みを深めて私の後ろに向かって歩き始めた。

痛む身体を引きずり、私もそれを追いかける。


「っち。アンタ達だけでも逃げな!!」
「だめだ、18号!!逃げるぞ!!」
「何いってんのさ!!このままじゃゆえが・・・!」
「18号ッ!!」
「え・・・?」


私を助けに来ようとしてくれていた18号の目の前に、ブゥが一瞬で移動した。

振り上げられた手。
弾け飛ぶほどの、気。


18号は悲鳴を上げる暇もなく防御の構えを取ってその場に留まった。

それを見た私は咄嗟に18号を突き飛ばして――――


「・・・!?ゆえッ!!!」


赤い、世界に。

飲み込まれて、いく。


ゆえ――――――ッ!!!」


自分がどうなったかなんて分からないまま。
鋭い痛みと、染まる赤い世界に身を委ねた。







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