いらっしゃいませ!
名前変更所
数日前からアイツの様子が可笑しいのは分かっていた。
ばかみたいに騒いで俺に近づいてくるあいつが、最近修業が終わるとすぐ俺の傍から離れる。
そういう時は、心は読まない。
悪いことを企んでいる様子ではないからだ。
そしてふと思い出した。
去年もこんな時期があったな、と。
「ピッコロー!!」
あぁ、今日か。
俺は後ろから聞こえた声に、ゆっくりと振り返った。
頬を赤く染め、俺のことを見上げているゆえ。
ゆえはチラッとだけ手元を見ると、深く息を吸い込んでから口を開いた。
「 」
聞こえた声は、地球人たちが理解出来る言葉ではない。
だが、俺にはその言葉の意味が理解できた。
なぜならそれは”ナメック語”だったから。
不慣れなイントネーションのその言葉を一生懸命言おうとする彼女を見て、俺はバレないように口元を緩める。
「”ピッコロ、誕生日おめでとう”」
最近様子がおかしかったのはこれか。
修業が終わってすぐ、俺の居ない場所でデンデとこそこそしてたのは。
食べ物もいらない。
他のものもいらない。
そんな俺に対して、少しでも幸せを渡そうとしてくれる彼女が――――愛おしい。
「”私は、ずっとピッコロの傍にいるよ”」
「・・・・」
「”大好き、愛してる。永遠の愛を、誓います”」
聞きづらく、戸惑いがちな言葉でも。
俺は何も言わず全てを聞き、それからゆえを優しく撫でた。
「”俺もだ”」
離れ際に耳元で囁やけば、意味が分かったらしくゆえが真っ赤になる。
なんだ、さっきまで俺よりも恥ずかしいことを言ってた奴が。
今更恥ずかしがることか?
可笑しなやつだな。
だからこそ、見てて飽きないのかもしれないが。
「っ・・でね、ピッコロ!」
「ん?」
「今日はこれだけじゃないんだ・・・プレゼント」
ね、一緒に来て?
そう誘うゆえはどこか色っぽくて。
俺は疑うこと無くその手を取り、神殿を降りた。
「お前・・・・」
「し、知ってる、でしょ」
「まぁ、知ってはいるが・・・」
「たまには!こういうのも・・・いいかなと、思って」
俺が案内された場所、それは高級なホテルだった。
しかも普通のホテルじゃない。
ラブホテル。
いわゆる男女が営むためのホテル。
知識にはあった。
少しだけゆえから聞いたことがあったからな。
だが、実際来るのは・・・初めてだ。
「神殿だとデンデのこともあるから、あんまり無茶しなくなったでしょ?だから今日だけ特別・・・今日だけね!!!」
やたら今日だけを強調させるゆえは、ベッドの傍にあった棚を開けて――――物凄いスピードで閉じた。
「・・・?どうした?」
「ん!?あ、いや、な、なんでも、ない」
なんでもない、だと。
そんなことが言える顔をしてないのは確かだ。
動揺している表情に、真っ赤な顔。
気になった俺はゆえをベッドの上に引きずり込み、そのまま押し倒した。
そしてすぐさま傍にあった棚に手を伸ばす。
「何があったんだ?ん?」
「あぁあぁあ見ちゃダメ!!」
「何をそこまで・・・!?」
じゃらりと音を立てて棚から色んなものが落ちた。
それは俺にも知識がないような、大人の玩具の数々。
ただ見ればその利用方法ぐらいはすぐに想象がついた。
まぁ、そういうホテルなのだからあっても不思議ではないか。
そう冷静に考える俺とは真逆に、俺の下にいるゆえは茹でダコのように赤くなっていく。
首輪に、手錠に、小瓶と・・・玩具。
別にそういうことに興味があるわけではないが、使えるのなら”使わない手”はないよな?
「ピッコロさん」
「なんだ」
「あの、ものっそい悪い顔してますよ?」
「そうか?別に何も考えていないが?」
そう言いながら腕を伸ばし、落ちた首輪と手錠をゆえの目の前に掲げた。
冷たい鉄の感触に目を細めてゆっくりと笑う。
ヒクッと顔を引きつかせたゆえに、隙をついて首輪を着けてやった。
「ひ、つめた、ちょ、なに着けて!?」
「・・・・」
「あ、こら、引っ張るなっ」
ゾクリと。
背筋に、欲望が走る。
いつも支配欲に飢え、彼女を全て俺のモノにすることで欲を満たしていた。
そんな俺を強く揺さぶる魅力的なビジョン。
着けられた首輪の先は俺の手の中にある。
これを引っ張れば彼女は従順に従うのだ、俺に。
魔族としての俺にとって、それがどれだけ欲を満たすモノか。
「・・・これは、思ったよりも・・・やばいな」
「うわ何その発言。変態っぽい」
「こんなところに誘うお前は変態ではないと?」
「いいいいいや!!こんなのがあるなんてのは知らなかったんだから!?別にこの部屋は一番最高級だったからってだけで・・・っ」
言い訳を続ける彼女に再び生まれた隙。
俺は一瞬で彼女の両腕を捕まえ、手に持っていた手錠に通した。
そのまま手錠を、ベッドの端に括りつける。
見開かれた目が何かを訴えるが気にしない。
俺を誘ったのはお前だ。それにお前がプレゼントなんだろう?
そう言ったのも、お前じゃないか。
「こ、こら、アブノーマル反対!!」
「プレゼントはおとなしくしてろ」
「や、プレゼントだからって好き勝手させるなんて・・・っ」
そんなつもりはない?
そう言うつもりか?
なら言わせはしないと、口づけで彼女の口唇を塞いだ。
半開きだった口唇を割って舌を入れれば、動きに合わせてゆえが足をもぞもぞと動かす。
「んっ・・・・」
「フッ・・・どうした?足が動いてるぞ?」
「う、うるさいな・・・・」
こいつはキスが好きだ。
たとえその気じゃなくても、キスだけは強請ってくる。
そんなことをすれば、俺が襲うことも分かっているだろうに。
今まで無かった欲をどうしてここまで抱くようになったのか。
全て、こいつのせいだ。
俺に無かったものを押し付け、教え、聞かせたのだから。
だから責任を取ってもらおうと、俺はニヤけながら服の中に手を入れた。
「んっ・・・・!」
「どうした?もう、固いな?」
「ぁ、ちがっ・・・」
「違わないだろう?」
「んぁっ!!」
胸の頂点を軽く抓む。
ふわり。
それだけで彼女から甘い香りが漂うのを感じた。
ああ、この香りは。
「濡れてきたんじゃないのか?」
「っ・・・・!」
胸をいじりながら囁やけば、ゆえが顔を背ける。
同時に首輪から伸びる鎖が俺の手の中でジャラリと音を立てた。
欲が、疼く。
俺から顔を背けるその顔を、俺に向けさせたいという欲が。
それに恥ずかしがって涙を浮かべるお前の表情が見たい。
――――一度沸いた欲に勝てるほど、俺は”いいやつ”じゃないんだ。
「こっちを向け」
「っ・・・や、だ」
「ゆえ」
「・・・・はずか、しい」
それが煽りだと、気づいてないのか?
震えながら目を瞑ったゆえに限界を感じた俺は、手の中に持っていた鎖を軽く引っ張った。
「っ!」
首輪が引っ張られ、ゆえが苦しさに俺の方を向く。
ちょっと悔しそうに俺を睨むその表情が、俺の血をざわつかせた。
どうして、こうも。
お前は俺を煽るのが上手いんだ?
首輪を引き寄せたまま、深く口付ける。
快楽に震える身体が愛おしい。
「ん、変態っ・・・!」
「そろそろ諦めろ」
嫌じゃないってのは分かってるんだ。
だってそうだろう?
本当に嫌なら魔法でなんとでもなるはずだ。
逃げ出そうとしないそれが、お前の”了承”の証。
「濡れてないのなら、触っても構わんだろう?」
「や、やだっ」
「ん?これは、なんだ・・・?」
「ぁ・・・・」
イヤイヤと暴れようとする身体を押さえ付けて。
甘い香りを放つそこに触れるか触れないかの場所へ、そっと手を伸ばす。
下着の上からなぞるだけで伝わる熱。
何度か手を這わせれば、俺の指にねっとりとした液体がついた。
「濡れてないんだろう?」
「っ・・・・」
「じゃあ、これはなんだ?」
「うる、さい・・・っ」
「ククッ・・・・」
耳元で囁きながら下着をずらしていく。
それだけで言い訳出来ないほどの液体が、俺の手を汚した。
恥ずかしさに負けて目を瞑るゆえを、引っ張って俺の方を向かせる。
同時に濡れそぼったそこへ指を差し入れると、ゆえの目から涙が零れた。
「っあ、ひぅ・・・!!」
「どうした?いつもより反応がいいな」
「そんな、あ、やぁっ・・・ん、やぅ、ふ・・・」
「そんなことない、か?そのわりには・・・」
「ん!?あ、だめっ・・・あ、ひ、ぁぁ・・・・あぁああっ!!!」
奥でクイッと指を曲げる。
その瞬間、ゆえが悲鳴に似た声を上げてびくびくと身体を震わせた。
「イったな」
「・・・・っ」
「いつもより早いな?・・・素直に言ったらどうだ。いつもより”気持ちいい”ってな」
俺がこう言えばお前がどう返すかぐらい分かってる。
「ば、かっ・・・」
「言えないのか?まぁ、どちらにせよ止めるつもりはないがな」
「この、緑、やろー・・・・っ」
「ほう。まだ余裕がありそうだ」
「っひあぁ!!や、んぁ・・・!!」
分かってるから言うんだ。
お前をもっと、メチャクチャにしてやるために。
中に入れた指をゆっくり動かす。
焦らすように2本目の指を入り口近くに当てれば、無意識かゆえの腰が少し浮いた。
「は、あぁっ」
「入れて欲しいのか?」
「あぁあ、んんっ、ふ・・・ぁ」
まだ、理性が残っているようだ。
俺の言葉に歯向かうように、ぐっと口唇を噛んで声を抑えようとしている。
そんなもの――――崩すに決まってるだろうが。
「せっかくだ・・・少し使ってみるか」
言いながら身体を離し、散らばった小道具の中から小瓶を拾い上げた。
中でとろりと揺れる液体。
側面には”媚薬”の文字。
思わず、口元が緩む。
「ぁ、なに、すっ・・・・!?」
小瓶を開け、どろりとした甘い液体を口に中に含んだ。
そしてそれを蜜が溢れるそこへと流しこむ。
シーツが汚れることなど気にしなかった。
舌で押し込んで、そのまま液体が零れないように塞ぐ。
「なに、してっ・・・!!」
「暴れると溢れるぞ」
「こぼれていいよっ!人の身体で何遊んで・・・」
言葉が、途切れた。
様子を伺うようにゆえの顔を覗きこめば、そこにあったのは驚きと快楽に塗れた表情。
「ひ、な、なに・・・・!?あぁああっ!!!」
指を差し入れただけでびくっと身体が震え、絶頂に達したことを俺に教える。
「は、あぁぁっ、や、だめ、こんなっ・・・・!!!」
「どうした?・・・あぁ、まだ欲しいのか」
「だめ、や、あぁああ!!」
最初は知らなかった感情。
知ることすらないと思っていた欲望。
それを教えたのはお前だ。
こうやって俺を崩していくのも、お前だけだ。
だから。
「あぁあぁ・・・っ、もぉ、や、こわれちゃ・・・っ」
「壊れれば良い・・・ほら」
「やだ、やだぁ・・・ひ、あ!」
もっと、俺の前で。
壊れて狂え。
お前が教えたのが悪いんだ。
こんな俺に、何よりも大きい欲を教えたお前が。
「ピッコロ・・・・っ」
「っ・・・なんだ?」
甘く名前を呼ばれ、思わず身体が震えた。
「だい、すき・・・大好き・・・・」
「あぁ・・・俺もだ・・・」
1人が好きだったはずの俺が、どうしてこうもお前を求めるのか。
いや、1人が好きなのは変わってない。
でもそれはお前がいてこその孤独なんだ。
お前がいない孤独は、きっと耐えられない。
口に出して言うことはないだろう。
だが心の中にはある。
何よりも強い、欲望と愛情が。
「ちょうだい・・・っね、ピッコロ、いいでしょ・・・っ」
急かすように言うゆえに限界を感じ、俺は自分の熱を蜜の中に埋め込んだ。
予告なく突き立てられたそれに、ゆえがまた声を上げる。
「ひあぁあっ・・・!!」
「なんだ・・・?入れただけで、イッたのか・・・?」
「や、あぁ、きもち、いいっ・・・・」
「・・・・っ」
あの液体のせいだろうか。
快楽に素直になるゆえを見て、一気に熱が高まるのを感じた。
さぁ、もっと感じろ。
もっと乱れて、俺だけに見せろ。
「ぁ、ひぅ・・・・んっ」
甘い声だけをあげる口唇を塞ぐ。
舌を絡めて感じ合い、更に深く腰を突き立てた。
奥にゴツリと当たる感覚。
また大きくゆえの身体が震え、今日何度目になるかも分からない絶頂を知らせる。
「っあぁあ・・・・!!だめ、ね、本当に、もう・・・っ!!」
涙目で訴えられるだけ、意味のないことだ。
「止めると、おもうか・・・・?」
「本当におかしくなっちゃう・・・っ」
「なればいいだろうが。ここには俺しかいない・・・」
「へんた、いっ!」
「変態はどっちだろうな?」
「私は、ちがっ・・・ん、あぁ・・・!」
「違わないだろうが」
「やぁあぁ、ひ、っあ!」
求めて、壊して。
最初はお前に押し付けられるだけだった愛情を、いつの間にか俺も押し付けるようになっていたんだな。
それでも、構わないんだろう?
俺はこんな俺でも・・・愛してくれるんだろう?
何度奥を突いても、俺はただただ愛し続けた。
「ピッコ、ロ・・・生まれて、来てくれて・・・ありがと・・・」
「・・・・っ」
「あ、ぁぁ・・・っ」
憎かった自分の生まれが”幸せ”に変わった日。
本来の”魔族”としての俺で、望むがままにお前を貪ろう。
何度も、何度も。
数えられないほどに。
「ピッ、コロ・・・!お願い、も、本当に無理っ・・・!!」
「止めるわけないだろうが・・・それにイッてるのはお前だけだぞ?」
「ひ、あぁあぁ・・・ッ!!」
また吐き出したのは1回だけ。
それでも、媚薬を仕込まれたゆえの身体は限界近くまで快楽を感じていた。
ゆるゆると腰を動かすだけでゆえが涙をこぼす。
何度か突いてやれば、すぐに腰を上げて絶頂に達した。
「も、あ、やだぁ・・・・!!」
これだけ狂ったこいつを見たのは初めてかもしれない。
だからか、俺はいくらゆえが懇願しても、その動きを止めることをしなかった。
「欲しいんだろう?」
「やだ、やぁ・・・、も、死んじゃう・・・ねぇ・・・っ」
「聞こえんな・・・やめて欲しがっている割には・・・まだ、してほしそうだからな」
「違・・・、あぁ、や、あぁああっ!!」
普段留めている髪が解けて、白いベッドの上に広がっている。
腰を動かしながらその髪を拾い上げて口付けると、ゆえが目を見開いた。
反応して、中がぐっと俺を締め付ける。
「どうした?」
「ん、髪、好き・・・なの?」
「・・・・好き、なのか分からん。ただ綺麗だとは思うぞ。ガキなお前には少し似合わないかもしれないがな?」
「ひ、ど・・・・」
「冗談だ」
俺はお前の髪が好きだ。
お前だから、なのかもしれないな。
別に他人のには興味などない。
だがお前のには興味がある。
手を伸ばして、触れてみたくなる。
「ゆえ・・・・」
まだだ、まだ。
足りない。何もかもが足りない。
お前が押し付けた感情が、俺の全てを変えたんだ。
1人でいることが全てで。
少しだけある穏やかさに時々身を委ねればそれで十分だった。
それを壊したのはお前だ。
俺にまとわりついて。
どれだけ怒っても俺に温もりを与えて。
欲望を、植えつけた。
「あぁああ・・・っ!!」
「は・・くっ・・・!」
「ぁ、す、き・・・好き・・・」
お前に触れてないと落ち着かない。
お前が俺のものじゃないと、気に食わない。
――――さぁ、責任を取ってもらおうか?
「まだだ」
「え、うそ、や・・・!!!」
幸せを感じる自分の生まれた日に。
俺は苦笑を浮かべながら、また目の前の彼女を貪った。
PR
この記事にコメントする
サイト紹介
※転載禁止
公式とは無関係
晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
検索避け済
◆管理人 きつつき ◆サイト傾向 ギャグ甘 裏系グロ系は注意書放置 ◆取り扱い 夢小説 ・龍如(桐生・峯・オール) ・海賊(ゾロ) ・DB(ベジータ・ピッコロ) ・テイルズ ・気まぐれ ◆Thanks! 見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。(龍如/オール・海賊/剣豪)
簡易ページリンク
【サイト内リンクリスト】 ★TOPページ 【如く】 ★龍如 2ページ目 維新
★龍如(峯短編集)
★龍如(連載/桐生落ち逆ハー)
【海賊】 ★海賊 さよならは言わない
★海賊 ハート泥棒
【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)