Erdbeere ~苺~ お人形なんかよりも貴方のほうがマシ 忍者ブログ
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2015年04月19日 (Sun)
フリーザ夢/F公開/ネタバレ有り/ダーク?甘/※キャラ視点


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「ね、フリーザ。地球の地獄ってどんなとこ?」


からかうように尋ねる彼女に、私は殺気立った。

私が死ぬ前に軍を率いてた”最高司令官”
実力も、その度胸も、私が認めたモノ。


そんな彼女が、私を復活させた部下の仲間に入っていたのは嬉しい誤算だった。

あぁ、でも―――今のこの状況はよろしくない。


「フリーザちょっと痩せた?やっぱり地獄だと力奪われちゃうんだねー」


私の怒りに触れるワードにしか触れない彼女。
苛立ちに任せてプリンを睨めば、プリンは詫びれもなく私に笑みを向けた。


以前は素晴らしいと思っていた彼女の度胸が、今はただただうっとおしい。

わざと尻尾を振り回して床を叩けば、笑いながら私に近づいてきた。


「そんなに怒らないでよ!ずーっと待たせるから、ちょっと意地悪しただけじゃん」
「・・・・あなた達がよみがえらせるのが遅すぎるんでしょう」
「そこら辺はソルベにいってよねー。私は脳筋担当なの。ちゃんと星の支配数は増やしてたんだから!」


うっとおしいが、戦闘力的にも頭脳的にも、使えるのはプリンの方でしょう。

一瞬こいつを殺してしまおうかと思っていた考えを引っ込め、私はプリンに近づいた。


「それはご苦労様でした。・・・一つ、お聞きしたいのですが」
「うん?」
「なぜ貴方が軍を率いていないのですか」
「え?」
「・・・正直、ソルベより貴方のほうが軍を率いるのには向いていますよ。力の意味でも」


キョトンとした顔。
久しぶりに見ますね、貴方のその顔は。

私の前でも表情豊かに笑ったり怒ったりするのは、貴方だけでした。

思えば、ずっと貴方のことを・・・考えていたような気もしますね。


復讐心の片隅で、ずっと。
その思いが何なのかは、分からない。


「いやぁ、私、元々この軍にも入る気なかったんだよねー」
「・・・・ほう?」
「あ、復活させたくなかったわけじゃないよ?ただ」


すっと、彼女の表情が変わった。
いつも笑顔を見せ続ける彼女の表情が、淋しげに歪む。


「フリーザに率いられなきゃ、意味ないからさ・・・ま、復活させるって聞いて入ったんだけど!」


ただの部下のはずなのに。
プリンの表情は、何故か私を落ち着かせる。

そして前よりも強く訴えかける復讐心。


必ずあのサイヤ人共を殺せと。


「せっかく生き返ったのに、また戦うの?」


彼女を見ていると色々な感情が湧いてくる。
でも私は、止まれない。

決まっているでしょう、復讐することなんて。


私がソレ以外に何をするというのです?


ただまたフリーザ軍として仕事をしろと?
あのサイヤ人どもに怯えながら?

――――ふざけるな。


「・・・当たり前でしょう。貴方は何を言ってるんです?怖気づいたのなら私が殺して差し上げますよ、そんな部下はいりません」


その瞬間、彼女が何故か少し笑った。


「またフリーザが死んだら・・・その時は死ぬ前に私も殺してよ。もうフリーザがいない世界なんてまっぴらだからさ」


貴方が何を考えてるのか、私にはわかりませんよ。

忠誠心?
違う。


じゃあなんですか?友情?

そんな、薄っぺらいものじゃない。


彼女が私に抱いている感情が、分からない。
ただ分かるのは、私もきっと同じ感情を抱いているだろうということだけ。


「奇遇ですね」


素早くプリンの目の前に近づき、笑みを浮かべる。

指先に気を集中させてバチバチと鳴らせば、プリンは怯えることなく私をまっすぐ見つめた。


「私もそう思ってました。まぁ、ありえませんが・・・もし私が死ぬ時があったら、その時は貴方にも地獄に付き合ってもらいますよ」


あんな人形よりかは、貴方を見ているほうがマシです。


「アイアイサ!」


馬鹿にするように言ったのに、プリンは笑ったまま。
普通なら苛立つはずなんですけどね。どうしてでしょう?


上がる口端。

気づけば私も、笑みを浮かべていた。


「・・・一つ、聞いていいですか?」
「うん?」
「貴方が持っているのは忠誠心ですか?それとも、恐怖心?」
「えー?もー、これだけアピールしてるのに、まだその段階なのー?」
「・・・・・」


分からないの?
そう言って跪く彼女の姿は、何故か綺麗だった。

私を見上げる目が、私を貫くように光る。


「愛、ですよ」


ああ、なんてくだらない。

愛ですって?
そんなくだらないことを、この私に?


昔ならそう言えたはずの言葉を、私は言うことが出来なかった。































目の前に映る光。
花畑。お人形たちのパレード。


そうか、私はまたここに。

こんな地獄に、戻ってきたのか。


「ッ・・・!!!」


苛立ちが身体を支配する。
でも何も出来ない。

ここでは無力なのだ。

ミノムシのように吊るされて、何も出来ない。


「・・・・」


私は結局プリンの心を理解できないままだった。

彼女の忠誠心が、愛だとして。
本当だったとして。


彼女は私をおいてきた。

道連れにしてやると、冗談だとしても言ったのに。


こんなことなら本当に道連れにしてやるんだった。
お人形たちのパレードを見るより、彼女のうるさい話を聞いていたほうがマシだ。


「それは心外だねー」
「・・・・!?」


頭上から聞こえた声に、吊るされた身体を揺らす。
なんとか上を向けば、そこには今考えていた彼女の姿があった。


「なぜ、貴方が・・・・」
「なぜって、地獄に来いって言ったのはフリーザじゃん?」
「・・・・だからといって本当についてくる馬鹿がいますか」


おバカさんですね。
本当に本当の、おバカさんです。


貴方のような馬鹿は初めて見ました。

苛立ちを忘れて笑う私を、プリンが見つめる。


「愛ってこういうことなんですよ、フリーザさ・ま!時間はたっぷりあるし、私がここでお人形のパレードより良いこと教えてあげちゃいます!」


―――どっちも、ごめんですが。


「ならば貴方に任務を与えましょう。この地獄を、私にとっての天国に変えて見せてくださいよ。出来なかった場合、殺しますよ」


挑発的な言葉に、彼女は笑った。


「お安いご用です、フリーザ様」


私にとってはどちらも嫌ですが。
お人形よりははるかにマシでしょうね。



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