Erdbeere ~苺~ 興味の形は人それぞれ 忍者ブログ
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2015年05月02日 (Sat)
セル夢/恋人未満/ゼノバ軸/ヒロイン=魔人/※キャラ視点

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トキトキ都。
何故か私はそこに存在していた。

どうしてかなど覚えていない。

ただ暴れることも許されず、仕方なく違う暇つぶしを考えていた私は、この首都にいる戦士達を弟子にして”ゲーム”をすることにした。


弱い奴らは修業の最中で消え失せる。
それでも構わない。ただの暇つぶしなのだから。

何か一つに執着しているわけでは、ないのだから。


「・・・・・ん?」


そんな刺激の足りない日々が、いつ刺激的になってくれるのだろうかと思っていた頃。

私の目の前を見覚えのない戦士が通り過ぎた。
他の奴らと何の違いもないはずのその戦士が、何故か私は気になった。


「お嬢さん」
「ん?」


気だるそうに振り返った彼女は”魔人族”だ。

謎の力を持つ不思議な種族。
私の弟子にもいるが、彼女は――――やはり、違う。


今まで私が暇つぶしに鍛えてきた戦士たちよりも、数倍強い。

その目、雰囲気、感じる気。
間違いなくこの私をゾクゾクとさせるものがそこにはあった。


「・・・私の弟子にならないか?」
「へっ?」
「お前の持っているその力の全てを、この私が引き出してやろう」


私が引き出せる力があるのかは分からない。

だが欲しかったのだ、彼女が。
弟子として?ゲームの道具として?・・・分からない。


彼女は私の言葉を聞いて、クスッと笑った。

その雰囲気にまた惹かれる。
なんだ・・・何が私を求めさせてるんだ?


「残念、私もう師匠がいるんだ!だから、暇な時にね」
「・・・・っ待て!!」
「っのわ!?あ、あぁあぁあああ・・・!?」


走り去ろうとする彼女の手を掴んだ瞬間。
彼女が悲鳴を上げ、その手からポトリと何かを落とした。


巻物、だ。

しかも邪悪な雰囲気を放っている。


私は無意識にそれを拾い上げようとして、彼女に止められた。
そのたった一秒で、私と彼女の周りの風景が変わる。


「ッ!な、なんだ、これは・・・・!」
「あーあ。試作の巻物だったのに・・・セルが不用意に引っ張るから!!」
「す、すまない・・・・」


優しい表情から一転。

赤い目に睨みつけられ、反射的に謝罪の言葉を口にした。


「それで、ここは?」
「セルゲーム会場」
「何・・・!?」
「歴史の中で修業に良さそうな会場を、巻物に詰めてもらってたんだよねー。ほら、いちいち場所移動するのもだるいでしょ?」


つまりこれは。


「レプリカの会場だよ。うーん、思ったよりいい感じ!センスあるね、セル」


笑う彼女は私をまっすぐ見つめてそう言った。

やはり、何かが違う。
手を伸ばして、無理矢理でも手に入れたい感情が湧き立つ。


強いものに惹かれるのは当然だ。

私が、完璧な人造人間なのだから。


――――ああ、そうか。私はそれで惹かれたのか。

すっかり忘れていた。
この首都につれてこられてから、どうやら平和ボケしてしまっていたようだな。


「お嬢さん、名前はなんというのかな?」
キウイ
「そうか。キウイ・・・私は、お前と戦いたい」
「・・・・え、いきなり?」


キョトンとする彼女の足元を狙って拳を振り下ろした。

そうだ、この感覚だ。
久しく忘れていたな。


血が湧き立つようなこの感覚。

ゾクリと快楽に似た何かが背筋を駆け巡って、私は思わず笑みを零した。


私の攻撃を避けたキウイが私を睨みつけている。
それすらも、私を満足に誘う蜜。


「何すんのさ!!やだよ、ただでさえ師匠の修業で疲れて・・・っ!」
「つべこべ言わずに戦うんだな・・・この異空間の中で、死にたくないのなら」


もう一度拳を撃ち出せば、その攻撃は軽々と彼女の手に止められた。


「・・・・最高だ」


思わずもれた言葉。
久しく忘れかけていた戦いの心と残酷な感情が牙を向く。

彼女も戦う気になったのか、少し呆れた表情を浮かべながら拳を構えた。


「ベジータ師匠に怒られちゃうなぁ・・・今から修業なのに」
「ほう、お前の師匠はあのベジータか?この私にボロボロにされた、あいつが、師匠」
「・・・・」


その言葉で彼女の気が変わったのを感じた。

殺気が混ざった強い気。
いいぞ、最高だ。それでこそ戦いだ。


「行くぞ」
「来なよ。師匠を悪くいったんだから・・・ちょっとやってやる」





























見えるのは空。
この私が、背中を地面につけている。


「どーだ、思い知ったか?これが師匠の力だ!」


楽しそうに笑う彼女が私を見下ろしながら言った。

私が負けた?
この、まだ未熟そうな戦士にか?


でもなぜか、孫悟飯に負けたあの時のような怒りは湧いてこなかった。


それよりももっと戦いたいと身体が疼く。

もっと彼女の表情が見たいと、何かが支配する。


「んじゃ、私帰るね」
「待て・・・!」
「なにさー。もう動けないからいいでしょ!」
「フッ・・・私は負けたなどと、いっていないぞ・・・・」
「だめだめ、私の勝ち!」


そう言うと彼女は私の手の上にカプセルを置いた。


「じゃ!」


消えた彼女を見て、また笑みが溢れる。

見つけたぞ。
私を満たしてくれる完璧な存在が。


完璧にふさわしい、存在が。





























あれから私は彼女を追いかけ続けている。
この感情の本質がどこにあるかなど、理解しないまま。


キウイ
「うわ、またきたの?」
「当たり前だ」


戦いを求めているのか。

彼女を、求めているのか。


「・・・・しょうがないな。今日も修業あるから、ちゃっちゃと終わらせるよ」
「終わらせられるか楽しみだな」
「そう言って昨日も負けたくせに!」
「・・・・・・・」
「あ、やだな怒んないで!」


分からない。

分からないが、私は。


「じゃあ、行くよ?」
「あぁ・・・来い」


この時間が最高に好きだということだけは、確かだ。






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