Erdbeere ~苺~ ピンチになりました 忍者ブログ
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2015年05月06日 (Wed)
フリーザ・セル・ピッコロ夢/ヒロインがピンチになった時シリーズ

※フリーザ→セル→ピッコロの流れですので
お手数ですが好きなキャラまでスクロールお願いします

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ピンチって好きでなるものじゃないんだと。
目の前の光景を見て、私はただそう思った。

やばいってのに頭の中は案外冷静で。


ただ、溜息だけが出て行った。










■フリーザ/甘/部下以上・恋人未満/側近ヒロイン/※キャラ視点




何故なんです。
何故貴方のような実力者が、こんな。


「ッ・・・・」


イライラが私を支配していく。

原因は私の側近の1人が星の殲滅中にいなくなってしまったこと。
ただ、それだけ。


役立たずだと放置して捨てても良かったのですが。

あれほどまでの実力者。
私が、少なからず認めた戦士です。


そんな彼女を押さえ込んだ敵の手法を、見てみたいではありませんか。


「・・・・・」


とはいえ、何故か強い苛立ちを抑えきれない私が居た。

戦いの最中で壊されたスカウターが、部下の働きによってようやく私の手元に戻る。
スイッチを入れてあたりを探れば、意外と彼女の気は近くにあった。


「・・・・?おかしいですね」


姿を消して数時間。
てっきり敵に捕らえられていると思っていたのに、そこにあるのは彼女の気の数値だけ。


疑問に思いながらその場に近づいた私は、大きなクレーターを見つけてヒクッと顔を引き攣らせた。


・・・・まさかとは、思いますが。


「・・・・」


ふわりと浮いてクレーターの中を覗くと、そこには予想通りの光景が広がっていた。


崩れた岩。
崩れ落ちた機械の数々。

敵との交戦が、ここでもあったんでしょう。


そしてその残骸に下敷きにされて気絶している探し人――――キウイの姿。


「何をしてるんですか貴方は」


何故か一気に苛立ちが抜けていくのを感じる。

安心した?
まぁ、彼女は使える人材ですからね。


少しは心配しても、なんらおかしなことは。

自分のモヤモヤに言い訳しながらそのまま彼女に近づく。


「・・・・がはっ」
「っ!」


近づいてから、瓦礫の中から何かが彼女を締め付けていることに気づいた。
死にぞこないの機械か。

どちらにせよ彼女が思ったよりも重症で、私は急いで彼女に駆け寄った。


「起きなさい、キウイ!」
「っあ、ぐ・・・・」
「・・・なるほど、これですか」


この星の住民が作った戦闘用機械だろう。
壊れてでもなお、相手を殺せとインプットされているのだろうか。


キウイが負傷している部分を的確に締め付ける鉄の腕。

私はその腕を手刀で断ち切り、見えた機械の身体を片足で踏みつけた。


「はっ・・・あ、フリーザ、さま?」


痛みから開放されたキウイが私の名前を呼ぶ。

安心からか怒りが芽生え、踏みつけていた機械を粉々に打ち砕いた。


飛び散る部品。
それを目にしながら、キウイが不思議そうに首を傾げる。


「フリーザ、様、なんでここに・・・・」
「貴方が遅いからでしょう」
「探しに、きてくれたんですか・・・?」


嬉しそうに笑う彼女に湧き立つ安心感。
平常心を装いながら彼女に近づいた私は、乱暴に彼女を抱き上げた。


「フ、フリーザ様!?」
「お黙りなさい。・・・ただ私が助けに来たと思いますか?帰ったらたっぷりと説教してさしあげますよ」
「ええ・・・!」
「こんなくだらない奴らに傷をつけられるなんて・・・貴方はそれでも私の側近ですか」
「すみません・・・」


何故だろうか。

苛立ちは消えたというのに、怒りは治まらない。


私は彼女を抱きかかえたままクレーターを振り返った。
怒りの正体はきっとあれだろう、と。

彼女を強く抱きしめて支え、片方の手の指先をクレーターに向ける。


「フリーザ様?」
「・・・あいつらで全てですか?あなたにその傷を負わせた奴らは」
「そ、そうですが」
「・・・・」


よく見れば、彼女の身体のいたるところに酷い切り傷があった。
ザーボンさんやドドリアさんよりも秘めた力を持つ彼女がここまでされるなんて、どうせ不意打ちや卑怯な手を使ったんでしょう。


伸ばした指先に気を集中させ、微笑む。


「見ておきなさい」


一瞬だった。

怒りに任せた気弾はクレーターを一瞬で包み込み、新しい穴として空洞を作り出した。
彼女を傷つけたガラクタ達の姿は、1ミリたりとも見えない。


これで、いい。

満足気に彼女を抱え直した私に、キウイが少し嬉しそうに笑った。


「ありがとう、ございます。私のためなんかに・・・」
「フッ・・・貴方のため?勘違いしないでほしいですね。私の貴重な部下が減るところだったんです。これは私のためですよ」
「・・・はい」


自分でも本音か分からない冷たい言葉。

それでも彼女は、嬉しそうに笑っていた。





















■セル/甘/師匠以上・恋人未満/ゼノバ軸/ヒロイン=魔人/※ヒロイン視点




タイムパトローラーとは。
歪んだ時間軸を修正する、時間の戦士。

皆とは違う時間軸の中に入って戦うから、それは危険なわけで。


「ま、油断するとこうなるんだよねぇ・・・」


乾いた笑みしか出てこない。


ここはとある歪んだ世界線――――パラレルワールドの中。
いつもどおり歪んだ世界を修正しようと来ていたのだが、思ったより敵が強くて。


この通り、やられてしまったというわけだ。


相手は凶悪化の影響を受けたベジータ。

気を抑え、なんとか岩陰に隠れているが、見つかるのは時間の問題だろう。


「やっちゃったな・・・・」


魔人特有の回復も、段々追いつかなくなってきている。
立ち上がろうとしても膝が笑っていうことを聞かない。

完全にアウトだ。

連戦が続いたせいで、気がだいぶ落ちてきてしまってる。


一旦回復したいけど・・・そんな時間くれないだろう。
案の定、ベジータの気が私の近くの岩場で止まって息を呑んだ。


「分かってるんだぜ、そこにいるのはよぉ」


ああ、なんて悪役な。

凶悪化したベジータは、本当に凶悪化してるのか分からないぐらい悪役っぷりがハマっていた。


声と同時に後ろの岩場が崩れる。
慌てて飛び退けば、ベジータの笑みが目の前に見えた。


「ぐっ!」
「逃がさねぇぜ」
「あぁああっ!!!」


えぐられる感覚。
手加減ぐらいしてよ、私はベジータの前に悟飯や悟空とも戦ってんだから。

なんて、理不尽なのさ。


・・・・そんなこと言っても、目の前のこいつは聞いてくれないだろうけど。


「っ・・・かは!」
「ハッ。気に食わんが、カカロットには礼を言っておくか。おかげでこいつを仕留められる」


うっすらと、目の前の凶悪な笑みに恐怖を感じた。

もしこのまま本当に死んだら。
私はどうなるんだろうって。


考えこともなかった。

パラレル世界で死ぬことの意味を。


誰からも気づかれないんだろうか。
パラレルのこの世界軸に、ただ現れた異様な魔人として扱われて。

消えていく、だけ?


「・・・やだ、なぁ」


死ぬ恐怖よりも、誰にもお別れを言えないのが辛かった。

しかも本来の時間軸なら味方であるベジータに、殺されるんだから。


ポツリ。
涙が落ちた。

その瞬間、ベジータの手が私の頭を掴んだ。


――――終わりかな。


「何か言うことはあるか?」
「ベジータ・・・・」


バチッと気が弾けて私の身体が吹き飛んだ。
一応再生しようとしてみるが、気が足りなくて中途半端になってしまう。

ベジータがトドメとばかりに気を練り上げている。


「セル」


師匠。
こんな弟子でごめんなさい。


さよならと心の中で呟いた私の視界に、見覚えのある背中が飛び込んできた。

それはベジータの気弾を全て弾き飛ばすと、素早く私に気を送り込む。


「貴様!!何をしているんだ!!!」
「ッ!」


セルの怒鳴り声。

現実に引き戻された私は、貰った気で身体を修復させた。

こんなセルの怒鳴り声を聞いたのは初めてで。
驚いた私はそのままセルを見つめる。


どうして、セルがここに?

あれ、夢でも見て・・・。


「夢だと思うか?」
「セ、ル・・・」
「あまりにも遅いから心配で見に来たんだ。・・・お前ともあろう者が、そこまで追い詰められるとはな・・・相当きつい戦いだったんだろう」


そう言いながらセルはバチバチと全力で気を開放した。


「なんだ?邪魔する気か?」
「さぁな。いう必要はないだろう。どうせ”ここの”お前は消えるんだ」
「・・・やってみるか?」
「あぁ・・・どこからでも来たまえ」
「セル・・・!」


そんな簡単に、駄目。
あのベジータは凶暴化の影響を受けて――――!


「がっ!?」


止めに入ろうと手を伸ばした先で、ベジータが一瞬で膝をついた。

ぱちぱちと瞬きすれば、セルの腕がベジータの腹部をしっかり捉えているのが目に入る。


見えなかった。
いつも修業をつけてもらってる私ですら。


「ベジータ。お前がしたことは許されんことだ。・・・悪いが、楽には殺さんぞ」
「ハッ。やってみやがれ!!」


セルの力は圧倒的だった。
いつも見ている力とはありえないほど違う、セルのスピードと力。


それは確実にベジータを追い詰め、ひれ伏せさせる。


「くだらん」
「・・・・・」


動かなくなったベジータを見下ろした後、私の方を振り向いたセルは・・・久しぶりに”悪人”のカオをしていた。


「・・・次はお前の番だ」
「へっ」


言葉と同時に頭をガシッと掴まれる。
あ、痛い、痛い!!


「・・・何故一度引き返して私を呼ばなかった」


私を見下ろすセルの瞳は、いつもより鋭くて冷たい。


「え、あ、それは・・・・」


必死過ぎて思いつかなかった。
思わず黙りこむ私を、セルが強く抱きしめる。

怒られて殴られるんじゃって思ってた私は、その温もりに身体が震えるのを感じた。


「震えているな・・・怖かったんだろう?もう大丈夫だ」
「セ、ル・・・っ」
「お前が無事で・・・良かった」
「ごめん、なさい・・・・」


セルの気が揺らいでる。

それだけで、私を心配してくれたんだって分かって嬉しくなった。


「無茶はするな。・・・次は必ず私に連絡しろ。いいな」
「うん・・・」
「では、帰るか」
「うん。・・・ね、セル」
「ん?」


いつもどおりの紳士なセルに戻った彼を見て、私は微笑んだ。


「ありがとう、セル」
「・・・あぁ。当たり前だろう。お前は私の・・・・」


その先は聞こえなかったけど、いいように解釈することにした。

・・・だって。


私を支えるための手が、帰るまでずっと、繋ぎっぱなしだったから。




















■ピッコロ/R15/甘/ちょいグロ/連載ヒロイン/※ヒロイン視点




えーっと。
いやー、どうするかな。この状況。


「なに笑ってやがる!?」
「いやー、大ピンチすぎて?」


私の目の前には、人質に取られてるビーデル。
そしてここまでするか?と言わんばかりの敵の人数。


こいつら、前に私とビーデルがやっつけた強盗グループのメンバーらしい。

それで今回、私達に復讐するために全員で来たんだと。


「はぁ・・・・」


ざっと見た感じ、敵の人数は30前後。

私は10人に囲まれ、ビーデルもその他の奴らに囲まれて手足を縛られてる。
はっきりとは見えないけど、死角にも結構人数がいそうだ。


ゆえさん、私の事なんていいですから・・・!」
「いやいや。兄弟子の奥さん傷つけたら怒られちゃうってば・・・・」


どれだけ人数がいても、魔法でどうにかなるのが力。

でもそれは、あくまで”周りに被害が及ばない時”のみのこと。


人質に取られてるのが18号だったり、クリリンとかならどうにかなかったかもしれない。
だけどビーデルが人質じゃ、一度の失敗でビーデルが傷つく可能性が。


そして傷ついてしまったら・・・取り返しがつかなく可能性が高い。


「嫁入り前の人間を、そんな風に縛っちゃかわいそうでしょ」
「おいおい。彼女は人質だぜ?お前がいうことを聞かなきゃ・・・」


ぐいっと引き上げられたビーデルの顔。
見えない場所から微かに聞こえる、鉄の音。

・・・・厄介だ。


全員が見えてればまだしも、敵の居場所がなんとなくでしか把握出来ない。


これじゃあ、むやみに動くだけ無駄かな。
むやみに暴れて一人でもビーデルを傷つけたら、そこでゲームオーバーだ。


「・・・んで、私に何をお望みで?」
「じっとしてればいいぜ」
「ふーん?」


じっと、ね。

嫌な予感がして唾を飲む。
彼らの手に握られている武器の数々――――嫌な予感はたぶん、的中するだろう。


「分かったよ。そのかわりビーデルには手を出さないでね」
「あぁ、約束してやるよ・・・お前が」
「本当に動かないですんだらの話だけどなぁ?」
「何?・・・あぐっ!?」
「!!ゆえさん!!!」


顔を蹴りつけられた。

ガッ!と鈍い音がして、口の中に鉄の味が広がる。


それでも約束は約束だ。
私はその場に座り続けた。


「おら、どんどんやっちゃおうぜ!」
「いい女だなぁ?脱がすのもいいんじゃねぇの?」
「それは後ででもいいだろ?まずはこの生意気なやつを・・・跪かせねぇとよぉ!」
「がはっ・・・・!はっ・・・・!」


とりあえずやられたフリをしておく。
実際は攻撃を加えられるタイミングで演技してるだけで、ほとんどのダメージは魔法で相殺しているので問題ない。


ただ、身体への傷は残るけど。

ナイフが服と腕を切ったのを見て、私は眉を潜めた。
赤い血が、地面を染める。


「おいおい、もっと泣き叫んでくれなきゃつまんねぇだろ?」
「血を見たぐらいで叫ぶかっての・・・」
「あぁ!?」
「ぐっ・・・!!」


腹部を蹴られて息が詰まった。


とりあえず、このままやられてるフリをして解決する方法を探さなきゃ。
私は切られても蹴られても冷静に意識を保ち、力を周りに集中させた。


敵の場所さえ分かれば、あとはこっちのもんだ。

ビーデルも手足が自由になって、敵が傍にいなきゃ普通の人間より強いから勝てるはず。


「おい、女」
「っ・・・・」
「もうやめて!!ゆえさん・・・っ!」
「黙れ、こいつ!」
「きゃっ!!」
「おい!!約束が違うよ?ビーデルに手を出すな!!」


私の声を聞いて、ビーデルを殴ろうとした男の手が止まった。

どちらにせよ向こうもビーデルしか切り札がないんだ。
慌てる必要は、ない。


「ひっ・・・・」


ビーデルの悲鳴が聞こえ、冷静に自分の右腕を見た。
私があまりにも冷静に対応するせいか、苛立った犯人の1人が私の腕にナイフを刺したらしい。

ま、痛みはないから、あとで治療すればね。

そのまま意識を集中させ続けた私は、大体の状況を把握して反撃することにした。


「(ビーデル、聞こえる?)」
「!」
「(声出しちゃだめ、心の中で会話して)」


まずはビーデルに把握した今の状況を伝える。

その間にも殴られたりでダメージは受けてるけど気にしない。


「(ゆえさん、う、腕が!大丈夫なんですか!?)」
「(大丈夫、一時的に痛みを感じないようにしてるから。それよりも・・・今、ビーデルの後ろのところに10人、横に3人ずついるね?)」
「(・・・は、はい)」
「(そいつらの武器と動きを一気に抑えこむから、その間に誰もいない奥側に逃げて。・・・オッケー?)」
「(!)」


私達が閉じ込められてるのは、工場の倉庫みたいな大きな一つの寂れた部屋。
こんな部屋じゃ、どこに逃げても広すぎて見つかる。


だからこういう場合は誰もいない場所へ逃げて、背中を壁につけるのが安全。

私がチラリとみた部屋の奥は唯一誰もいない安全ゾーンだった。


「(いくよ?)」
「(は、はい・・・・)」
「(せーの!)」


バァン!

爆発に近い音が響き、ビーデルを捕まえていた男達が吹き飛んだ。
そのままビーデルを拘束していた紐を魔法で消し、ビーデルの後ろ側に待機していた男たちの武器を全て鉄くずに変える。


「この女ァ!!」
「やるっての?悪いけど、私は優しくないわよ!!」
「がふっ!?」


ああなれば、ビーデルの勝ちだ。

笑みを浮かべた私は自分の周りの男たちも弾き飛ばし、拘束道具を全て外した。


ゆえさんっ!!」
「お、ビーデル。かっちょいいね!」
ゆえさんっ・・・!!よかったぁ・・・!!」


ビーデルは追いかけていった男たちも全て倒したらしい。
数秒前とは比べ物にならないぐらい静まり返ったそこで、私達は顔を見合わせて笑った。


さーって。

通報はビーデルがするだろうし、私は・・・。


ゆえさん!!」
「ん?」


振り向いた瞬間、胸を貫いた痛み。

痛みを抑える魔法を解除していた私は、その痛みに思わず息を止めた。


「へへっ、ざまぁねぇな、女・・・!」
「ちょっとアンタ!ゆえさんに何すんのよ!!」
「おおっと、動くなよお嬢ちゃん。この女と同じことになるぜ?」
「ッ・・・」


どうやら、拳銃を持った男が1人だけ意識が残っていたらしい。
胸に手を当てれば血がだらりと流れる。


回復しようと手を動かすが、今まで体に負ったダメージは予想以上に大きかったらしく。

そのまま近づいてきた男に押し倒され、痛みに魔法の集中が切れた。


「っぐ!」
「最初からこうしときゃよかったなぁ・・・女はよぉ!!」
「ッ!!」


ピリッと布が破ける音が響いて、肌が外気に晒される。
普通の女ならここで泣き喚くんだろうけど。

私、こんなんじゃ怖がらないから。

それにもう、勝ちは確定だし。


思わず笑みが溢れる。
近くに感じた――――気配に。


ゆえ!!」
「ビーデルさん!ゆえさん!!!」
「ッ!なんだ・・・がっ!?」


その気配は扉を突き破ると、目にも止まらぬ早さで私の上に乗っていた男を掴んで壁に叩きつけた。


「ビーデルさん!」
「悟飯くんっ!」
「ふはー。さんきゅ、ピッコロ。たすかっ・・・・」


悟飯とビーデルが感動の再会をしている中、犯人を捉えたピッコロは私の方に戻ってこない。

恐る恐る近づけば、ピッコロが恐ろしいほどの殺気を放ちながら犯人の首を締め始めた。


「ピ、ピッコロ!」
「がっ・・・・」
「貴様、よくもゆえに・・・!!貴様には地獄を見せてやる・・・!!!」
「ピッコロ、殺しちゃだめ!ね?」
「だが・・・!!」
「そんな奴のためにピッコロの手を汚すなんて・・・!やだよ!」
「・・・チッ」


久しぶりに感じた、魔族としての本気の殺気。
ピッコロはチラリと私の方を見ると、不満気に舌打ちして首から手を離した。


空気を吸い込むことが出来た犯人が、崩れ落ちながら強く咳き込む。

ほっとしたのもつかの間、その男の目の前にしゃがみ込んだピッコロは、犯人の腹部にグッと爪を立てて笑った。


「ひっ・・・!!!」
「命拾いしたな?だがお前には死ぬのに等しい苦しみを味あわせてやる」
「ッが・・・あぁああああああ!!!!????」


突き刺した爪から、ピッコロが死なない程度の気を流し込む。
私達にとっては普通のエネルギーでも、彼らにとってそれは電流に近い刺激物。


もちろん、そんなのものを体に流されれば・・・・身体が引き裂かれそうな痛みに襲われるだろう。

ピッコロはそれを、犯人であるあの男に味あわせたのだ。


え、えぐい。
さすが元大魔王というべきか。


「がはっ・・・・」


痛みに失神したのか、男はぐったりと倒れこんで動かなくなった。

その男を乱暴に蹴り飛ばした後、すぐにピッコロの手が私を掴む。


「悟飯、後は頼んだぞ」
「はい!ゆえさん、ビーデルさんを守ってくれてありがとうございますっ」
「大事にしなよ、可愛いお嫁さんなんだからさー」
ゆえさんってば・・・」


照れくさそうに笑うビーデルを見ながらその場を後にした。
出たところでピッコロが慌てたように魔術で私に服を着せる。

そして誰もいないことを確認すると、強く私を抱きしめた。


ゆえ・・・っ」
「っわ!ど、どうしたの!」
「どうしたのじゃないだろうが・・・!ビーデルを守れたことはいいが・・・お前が、こんなに・・・」


ピッコロに言われて自分の身体を見る。

ナイフで切りつけられた傷や、殴られた傷が目に入り、苦笑するしか出来なかった。


でも私は、丈夫だから。
こんなのこうやって、魔法が使えれば。


「大丈夫。ほら」


心配するピッコロの前で、魔法を使う。
それだけで傷ついた身体はじわじわと元に戻り、やがていつもどおりの私の肌になった。


――――だけど、ピッコロの表情は苦しげなまま。

私の頬を優しく撫で、そのまま髪を掬いあげて口付ける。


「・・・・ゆえ。お前が傷つくところは見たくないんだ。無理を、しないでくれ」
「うん、ごめん・・・ね。でもピッコロが来てくれるって信じてた」
「あぁ・・・すまなかった。遅くなって、すまなかった・・・!」


こんなに取り乱したピッコロを見るの、何時ぶりだろう。

私のことを散々傷つけてくれた犯人たちに恨みはあるけど、ピッコロの珍しい表情が見れたってことで・・・許してあげますか。


「ピッコロ、ありがとう、本当に・・・ありがと」
ゆえ・・・お前はしばらく俺の傍を離れるな」
「え、それなんて過保護」
「いうことが聞けんのか?」
「わっ、ば、ばか、近いっ・・・!聞きます!聞きますから!」
「フッ・・・それでいいんだ」


こりゃ、しばらくは外出禁止かな。

過保護に進化したピッコロに引きずられながら、私はそう苦笑するしかなかった。
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 ・気まぐれ

◆Thanks!
見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)