Erdbeere ~苺~ ★5.笑いが耐えれなかった結果がコチラ 忍者ブログ
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2015年01月18日 (Sun)
5話/ギャグ/※ヒロイン視点

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身体中が痛む。
夕日をバックに私の上を飛ぶ師匠が、かっこいいけど憎かった。

痺れる右腕は、動かすことも出来ない。

当たり前だ。本気の魔貫光殺砲を食らったのだから。
腕が吹っ飛んでもおかしくなかったが、なんとか防ぎきった自分を褒めたい。


痛みと恐怖を克服するために、殺す気でやってほしいと頼んだあの日から、私の修行終わりはいつもこうだ。


血だらけで地面にひれ伏す。
ある意味日課。


「・・・生きてるか?」
「あったりまえでしょ」


残っていた魔力を自分に注ぎ、なんとか傷を癒やす。
立ち上がるときに目眩がしてふらつくと、後ろからピッコロが支えてくれた。

そこに、遠くから聞き慣れた声がかかる。


「ピッコロさん、ゆえさん!」
「よーうピッコロ、ゆえ。今終わりだったんか?」


遠くから手を振る、悟空と悟飯。

汗だくの二人。あの二人も修行してたんだろう。

まったくこの人達は、本当に修行馬鹿ばっかりだ。
私だって学ぶのは好きだけど、毎日は遠慮したくて最近は逃げようとしたりしてるのに。


・・・まぁ、すぐに捕まるんだけど。


ゆえさん、血だらけですよ・・・大丈夫ですか?」
「師匠様が容赦ないからねー!」
「でももうおめぇ、ピッコロより強いんじゃないんか?」


悟空の言葉に、ピッコロは反論しない。

確かにほとんど対等に戦えるようになった。
でもやっぱり経験の差は埋まらない。

何度やっても、あと少しのところで隙を取られて強力な一撃を喰らう。


「力としては強いかもだけど、実力はピッコロだよ。戦ってて分かる」
「・・・・フン」
ゆえさん。また僕とも戦ってくださいね!」
「もちろん!」


にっこりと笑い、とりあえず悟空たちを家まで見送ろうと一緒に歩き出した。

そういえばチチ怒ってないのかな。
悟飯に勉強させたいって、家に行くたび怒ってたような気がするけど。

あんなに怒られても、愛し合ってるってすごいと思う。

何だかんだ言いつつ、悟空を支えるチチも。


「チチー!けぇったぞー」


自然あふれる山の中。
姿を表した小さな家の扉を、悟空は乱暴に開けた。

そんなことしたら壊れそうだよ、なんて。
注意する前に怒声が響き、私とピッコロは思わず固まった。


「悟空さ!!いつもいつも修行ばっかり!!もう耐えらんねぇべ!!」
「チチ、でもよぉ、1年後ぐれぇには敵が・・・」
「そんなこと知ったことじゃねぇべ!!」


いつも怒ってるのは聞いたことある。
けど、なんだか今日のチチは本気の殺気を帯びていた。


傍観者として見ている私とピッコロも、たじたじになって動けなくなる。


悟飯は恐怖のあまり固まったまま。
あーあ。やっぱりお母さんが怖いんだな、あの歳は。


「いつもいつもピッコロみてぇなのと修行いってぇ・・・!」


ピッコロみたいなの、なんて言われても、ピッコロは何も言わない。
顔をしかめたまま、チチに背を向けるようにして立っている。


「そんな時間あるなら、裏山のご夫婦みたいにドライブにでも連れてくだ!」
「でもチチ、オラんとこには車も、免許もねぇぞ?」
「だったら修行やめて免許取りに行くだ」
「免許必要ねぇんじゃないのか?ピッコロも持ってねぇぞ?」
「おい!!そんなの俺が必要あるわけないだろう!」
「なら、決まりだべ!!」


チチが悟空たちを押し始めてるのを見て、奥さんって強いってのを改めて思った。

奥さんが強いのか?
ブルマもベジータのことたじたじにさせてたし、地球人の女性が強いと言えるのかもしれない。

そんなこと考えている間にも、免許を取りに行く話は進んでいて。


「これから教習所で、ピッコロも悟空も免許取りにいくだ!!しっかり常識を身につけてくるといいだ。そうじゃないと、ご飯抜きだべ!!」


あれ、ピッコロも?

バンッ!と乱暴に閉められた扉を見ながら、私は苦笑するしか無かった。







































「ぶっ!!あははははっ!!!!!」


次の日、本当に修行は無かった。
悟空の修行も、ピッコロも。

つまりはあの二人、本気で教習所に連れて行かれたのだ。


「ひぃっ、やばい、笑いすぎて息がっ・・・・」


上空から見下ろす教習所に、見慣れた姿が二つ。
やたら身長と体格が良い二人は、気を探ること無く見つけることが出来た。

そして最初の大爆笑に繋がる。


まず私が吹き出したのはピッコロの格好。
触覚を隠すためか野球帽氏のようなものをかぶり、Tシャツとジーパンを履いていた。


更にピッコロの頭の良さが私にとどめを刺す。


悟空は手間取っているようだったが、ピッコロはスイスイ車を乗れるようになっていた。
教官に褒められ、当然といった様子で丁寧にハンドルをきる。


「はっ、ひぃ、これ以上見たら死んじゃう・・・!くくっ・・・!」


ピッコロのこんな姿、めったに見られるものじゃない。

いつもやられまくってる恨みだと、私は魔法でカメラを出してその姿をおさめた。


「さてさて、綺麗に撮れ・・・・ひっ!?」


現像された写真を見て、笑いより先に悲鳴が上がる。

こっち見てる。
確実にカメラ目線なんだけど。
殺気を感じるしこの写真。

殺してやるといわんばかりに、見てる。これは。


「・・・・逃げとこうか」


ピッコロの貴重な写真はきちんとポケットに入れ、私はその場から逃げ出すことを選んだ。


こういう時の勘は、寒気は絶対当たる。
私は猛スピードで教習所から離れ、いつもの修行場所とは違う場所で羽を休めることにした。

もちろん、あの写真は大事に持ったままで。


「・・・ふふ」


何度見ても、笑いが湧き出る。


「ふふふふっ」


似合ってない、わけではない。
でも違和感がすごいのだ。

ピッコロといえば、あのマントって感じが染み付いてるからかな。


「かっこいいもんなぁ」


頭の中に思い出す、いつものピッコロ。

白いマントをはためかせるその姿は、かっこいい。

姿は地球人や私からはかけ離れてる存在。
それでもカッコイイと思わせるのは何故なんだろう。


厳しいけど優しくて。
不器用だけど、暖かくて。

意地悪だけどそこが。


「・・・・・」


深く考えようとして、止めた。


「・・・・い、いま、わたし」


何、考えてた?

ピッコロのこと、かっこいいなって、そればっかり。


胸がドキドキする。
苦しいぐらいに脈打つそこが、私の熱を高めていく。


「え、いや、うん、違うよね」


気づいてしまってはいけない感情だと気付き、私は必死に抑え込んだ。

まさか、そんな、師匠だと思っていた・・・主だと思っていた人を。


「好き、とか、そんな」


そもそも、相手はナメック星人だ。

好きになったところで、何かが出来るわけじゃない。


気持ちを伝えることすら叶わない可能性だってある。
今のこのうちに、忘れてしまうべきだ。

こんなの。


「ち、違う・・・・」


大きく首を振る。
目覚めろと言わんばかりに頬を叩いた。

でも気持ちは落ち着かない。

心臓の音は、うるさいまま。
違う。この気持は違うと。そう言い聞かせるように写真を見た。


「・・・・・」


あれ、おかしいな。
笑いも、浮かばない。


「・・・・・・・・・」


本当に、本当?
悪魔になって人を好きになっちゃうってそんなことあり?

愛を妬み嫌うような悪を背負った、私が?


―――――悪魔が、恋?


「うあぁあぁあぁっ!!」


認められないよりも恥ずかしさが勝り、私は大声を上げた。
その瞬間、ヒュッと風を切る音がして私の足元が抉られる。


「・・・・・」
「今日はこんなところで修行か?貴様にしては珍しいな」


抑えきれない殺気。

ギギギ・・・とぎこちなく振り返れば、私の気持ちを吹き飛ばすには簡単すぎる表情のピッコロが立っている。

その格好は、いつもどおりのマントとターバンだ。
だけど「あ、やっぱりかっこいい」なんて思ってる暇はない。


「何か言い残すことはあるか?」


そんなこと突然言われても。


「に、似合ってたよ、あの格好・・・・」


間違えば油になるその言葉を吐けば、この世の終わりかな?って思えるレベルの魔貫光殺砲が私の真正面から放たれた。


「殺す」
「ま、まって、最後の一言訂正させ・・・ひぃいいいい!!!」
「魔貫光殺砲!!!」





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