Erdbeere ~苺~ ★29.歴史の書2.魔貫光殺砲 忍者ブログ
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2015年03月22日 (Sun)
29話/戦闘/ほのぼの/※ヒロイン視点

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歴史の巻物に吸い込まれる。
色んな音や光景に飲み込まれながらたどり着いたそこは、既に戦いの場だった。

ピッコロと悟空が傷だらけでラディッツと対立している場面。

そこに着地を失敗した私がどさっと地面に落ちる。


「っ!?」
「ったぁ・・・・」


ピッコロの驚いた顔が私を見た。
同時に激しい衝撃音が響き、宇宙船から見覚えのある子供が飛び出す。

あれは、あの気は・・・悟飯だ。


「お父さんを、いじめるな!!!!」


怒りによって目覚める悟飯の力。
あの時から、悟飯にはあの力があったんだなぁって嬉しくなってしまう。


あの力でセルを倒しちゃったらしいからさ。

見れなかったけど、きっとかっこよかったんだろうなって思う。


私が記憶で見た通り、悟飯がラディッツへと飛び込んでいった。
そこで悟飯の攻撃が当たれば歴史通りなのだが――――。


「ハッ。クソガキが」


悟飯の攻撃が当たる瞬間、ラディッツの気の感じが変わった。

邪悪で禍々しい気。あの恐竜と同じ雰囲気。
悟飯はその気に弾き飛ばされ、ラディッツの足元で気絶した。


・・・歴史が、変わってる。


私は急いで地面を蹴り、悟飯の方へ飛び込んだ。
ラディッツが悟飯に攻撃しようと手を振り上げたその瞬間を狙って、ラディッツの足元から悟飯を救い出す。


「ふー、セーフセーフ」
「・・・貴様、何者だ?」
「ナイショ!」


おどけて笑ってみせれば、相手が一気に苛立ちの表情を浮かべた。

さて、と。
今回は前みたいに簡単にはいかなさそうだと、周りを見ながら冷静に判断する。


まずラディッツ。

変な力で強化されているせいで、今の2人じゃ手も足も出ないどころか嬲り殺されるレベルの力の差が出ている。

次にピッコロと悟空。

この時点でだいぶ体力を消費しちゃってて・・・ここからラディッツの隙を作るのは難しそうだ。


でも本来なら隙を生むはずの悟飯の攻撃が、もう無い。
つまりこれは、私が代わりにやらなくちゃいけない?


ピッコロと悟空に最後のトドメをさしてもらう体力を残しつつ、ラディッツを謎の術を解くぐらいにはボコボコにしなきゃいけないだろう。


「わりと難しそうだけど・・・やるっきゃないか」
「なんかしらねぇけど、おめぇ・・・オラ達と戦ってくれるんか?」
「女、貴様この前の・・・」
「話は後。・・・2人は無茶しない程度に戦ってね?作戦があるなら、その作戦のための隙を作るから、お願い」


あくまでも、トドメを刺すは悟空たち。

あくまでも、悟空が死ぬのは必須。
私はそのためのキッカケや補助の存在にすぎない。


「なんだ?貴様みたいな女が俺と」
「やるってんだよ」
「ッ・・・・!がっ!?」


正直、この時代の戦闘力なら私にはなんの問題もない。
むしろ問題は、やりすぎてしまわないか、だ。

ラディッツの腹部に軽く拳を当て、仰け反った身体に更に追撃を加える。

勢いで地面にめり込んだラディッツは素早く体勢を立て直し、私に向かってきた。


「貴様ァ・・・!」
「っ・・・・」


強化されてるせいか、一撃一撃は少し重い。
攻撃を確実に捌きながら小さくダメージを与え続け、ラディッツの体力を消耗させる。


「ぐ・・・」
「やるじゃん・・・」
「はっ・・・馬鹿に、しやがって・・・っ!?」


ラディッツの体力が落ちていき、怪しい邪悪な気が掻き消えた。

はじけ飛んだ気と共に、ラディッツがぐらりと体勢を崩す。
その隙をついて悟空が彼の腕を羽交い締めにし、ピッコロに対して叫んだ。


「ピッコロ、今だ、やれーーー!!!」


歴史が、戻った。

私は静かにその場から離れ、歴史の結末を見守った。


本来、悟空を殺すために作った技。
”魔貫光殺砲”

それは本当に彼を殺した。


でも結局それ以降は、彼を殺すために使われることはない。
最終的には私や悟飯に引き継がれた、彼特有の技。


「魔貫光殺砲!!!」


貫かれるラディッツと悟空。
2人の魂の輝きが一瞬で失われたのを見て、私はその場から離れた。


これでこの時代での私の仕事は終わり。

短いようだけど、これだけでいいのだ。


正しく歴史が流ればそれで良い。
この時代の私は何をやってたんだろうな?なんて、ちょっと考えてしまった。


「・・・・全然覚えてないな」


思い返してみても、自分が何をしてたかなんて思い出せない。

悪魔として自由気ままに暮らしてたことだけは覚えてる。
それ以外、何も覚えてない。だって。


ピッコロ以外、私とまともに契約した奴はいないから。

正しくはこんなに長く、だけど。


「・・・・」


悪魔は人間の欲望を叶える”認められた悪”
大体の人は悪魔に復讐や人殺しを頼み、それが済んだら魂を捧げて死んでいく。

私と契約した人たちも皆同じだった。

復讐欲、征服欲。
もっとそれが欲しくて、契約違反を犯してくるやつらはたくさん居た。


だけど結末は同じ。

誰一人として逃さず、私は魂を食べ尽くした。


「そう考えてみると、私もだいぶ昔は悪だったのかも?」


思わずクスッと笑って、思い出したように巻物で時間軸を移動した。































戻ってきた。
私の目の前に寝るピッコロは、未だ苦しそうな呼吸を続けている。

残りの巻物は2本・・・か。

綺麗になった巻物を魔法で時の界王神のところへ送り、残りの巻物を広げた。


「これは・・・・」


さっきの時代とそう遠くない。

ピッコロがサイヤ人との戦いのために、悟飯に修行をつけている時代の巻物だった。

悟飯はこの頃、ピッコロに半年間放置されたんだよね。
その間ピッコロはピッコロで修行してるんだけど、どうやらその修行中で介入してくるようだ。


今度の敵も、一番最初の巻物の時と同じ。
ピッコロがただ試し打ちのために戦った恐竜のようなバケモノが、凶暴化してピッコロを返り討ちにしている。


「よし、早速・・・」
<待ちなさい!?>
「うおおおう!」


いざ巻物の中へ!と魔力を高めた瞬間、頭上から時の界王神の声が聞こえて慌てて止めた。
文句を言おうとした私にその隙を与えず怒鳴り声が響く。


<アンタ、まさかもう行こうとしてるんじゃないでしょうね!?>
「え、ほら急がないと?」
<・・・急がないとじゃないわよ。さすがに連続で時空移動をし続けるのは身体に負担が掛かるわよ!!>
「でも休んでるうちにピッコロが消えちゃったらどうするのさ!!」


聞いてられない。
たとえ身体が悲鳴を上げても、私は。

もう一度巻物に魔力を集中させる。

頭上から聞こえてくる時の界王神のことなんて、気にしない。


言いたいことも言えてないのに。
ピッコロとしたいこと、まだたくさんあるんだから。


「大丈夫だから。時の界王神・・・私を誰だと思ってるのさ?」
<・・・確かに、ルシフェルだったけど・・・でもそれは、元の話で今は・・・!>
「違う違う」
<?>
「私は、ピッコロのためならなんだってやっちゃう・・・およめさん、だから!」


過去のピッコロに言っちゃったもんね。

”お嫁さん”って。

願いを叶えるためにも、私はまた時空を越えた。
確かに魔力の消耗は激しくなっていたけど、気にならなかった。


そんなことよりも、早く、早く。

――――ピッコロにお嫁さんに、ならなくちゃ。
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