Erdbeere ~苺~ 紳士的で優しい彼? 忍者ブログ
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2015年02月16日 (Mon)
未トラ・セル/全体的に甘め/ゼノバ軸/ヒロイン=魔人
※各キャラで短編で書いてますので、お手数ですがお好みの彼までスクロールしてください

順番は未トラ→セル

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★未トラ/甘/※ヒロイン視点


私がパラレル世界の歴史修正から戻ってくると、トキトキ都はいつもと違う空気に染まっていた。
仕事を受ける場所や時の巣は変わってないが、お店のあたりがやけに騒がしい。


ピンク色の装飾。

アクセサリー屋さんに殺到する女性タイムパトローラーの姿。


そして漂う甘いお菓子の香り。
今日は何かのパーティなんだろうかと首を傾げた私に、後ろから声が掛かった。


「あ、戻ってきたんですね」
「トランクス。今日は何かの祭り?」
「え?」
「だってほら、なんかすんごい賑やかだよ?」
「あー・・・えっと、これは・・・」


困ったようなトランクスの表情。
・・・何か、聞いちゃいけないことを聞いたんだろうか。


「ナイショだったら別にいいよ?」
「あ、いえ、そうじゃなくて・・・知らなかったんだなって思って」
「?」
「今日はバレンタインデーなんです。女の人が、お世話になってる人や・・好きな人、想い人に気持ちを伝えるためにチョコレートを渡す日なんですよ」
「バレンタインデー・・・・」


記憶を探れば、確かにそういうのがあった気がする。
ここでは地球出身の人が多いから、イベントも地球寄りになってるんだろう。

お世話になってる人や、好きな人。

思えばこの目の前にいる人には、たくさんお世話になったし、ずっと一緒にいたいという気持ちも強くある。


つまり、バレンタインデーに渡すべき人。
頭の中で必死に家の冷蔵庫の中身を考え、何とかなるだろうと決めつけた私はトランクスの手を引っ張った。


「・・・・トランクス」
「はい?」
「ついてきて!」
「え?わわ!?」


そのままタイムマシン乗り場まで走り、空を飛ぶ。

目指すは空に浮いている建物。
私達が特別に与えられた、自分の家のような場所だ。


ここに誰かを招くことはあまりない。

特別に与えられた場所だからこそ、招いたとしても師匠達ぐらい。


だから人を招くのなんて数週間ぶりなわけで。
家の前に辿り着いた瞬間、私は部屋の中が汚かったことを思い出し、勢い良くトランクスの方を振り返った。


「あ、あの!!!」
「はい!?」
「・・・・部屋、汚いんだけど・・・いいかな・・・・」
「え?ええ・・・ええ!?入っていいんですか?」
「うん?もちろん!」


少しトランクスの頬が赤いような気がしたが、気にせずトランクスを招き入れる。

自分自身、この部屋に戻ってくるのは何日ぶりだろう。
最近ずっと残りの歴史改変を修正してから、忙しくて部屋に戻ってきてなかった。

とりあえず目立つような邪魔なものは退けて、トランクスをソファに座らせる。


「ここで待ってて!」
「は、はい・・・」


冷蔵庫に走れば、たくさんのお菓子が目に入った。

私達魔人は普通の食べ物を必要とはしない。
だから食べ物は基本娯楽の一つ。そして娯楽は甘いモノ。イコールお菓子だらけ。


この時ばかりは自分の食生活を褒め称えた。
冷蔵庫のお菓子をありったけ取り出して、それに向かって指を向ける。


「ケーキになっちゃえ!」


ちょっと卑怯くさいけど、トランクスの目の前でチョコを買って渡すよりはマシだよね?
小さなチョコレート達がケーキへと変化したのを見て、私はそれをお皿に盛りつけた。


「トランクス、おまたせ!」
「いえ・・・」


ちょっとぎこちない返事が返ってくる。
何故か緊張してるトランクスの目の前にケーキを置いて、魔術でぱぱっとお皿とお茶を出した。

漂ってくる紅茶のいい香り。

チョコレートの甘い香りと混ざって、穏やかな気持ちになる。


「これは・・・?」


ぎこちない笑みの次は、キョトンとした表情。
そんなトランクスの目の前にフォークと皿を渡し、ケーキを取りやすい位置に動かした。


「バレンタインデー、なんでしょ?」
「そ、そうですけど」
「だからトランクスにチョコレート!」
「・・・・ありがとうございます、でも・・・その」


トランクスは静かに皿を置くと、隣に座った私の肩を掴んだ。
いつものトランクスからは考えられないほど強い力に、私の身体が思わずこわばる。

それでもトランクスは私を離してくれなくて。
離すどころか、私に顔を近づけながら囁いた。


「こんな状況にされると・・・勘違いしてしまいますよ?俺だって、男ですから」


普段は純粋な笑顔を浮かべて私の名前を呼ぶトランクスが。


―――今はゾクリとするような色気のある声で、笑って、私を見つめていた。


心臓が、騒ぐ。
今までなんとも無かったはずなのに、急に顔が熱くなる。


「・・・・そんな反応されると、本当に止まらなくなります」


純粋で、紳士的な彼。
その裏側にある、男らしく色気のある男としての彼。

意識し始めると跳ね上がった鼓動は止まらない。

息苦しいほどにドキドキして、思わず顔を背ける。


そんな私を見てクスリと笑った彼は、普段の彼とは違う。

トランクスの手が私の頬をそっと撫でる。
長い間一緒にパトロールしてたけど、こうやって触れ合うのは・・・初めてだ。


「こっち向いてよ、キウイ。・・・イヤじゃ、なかったらでいいから」


その言い方は、卑怯だよ。

嫌なわけがない。
きっと分かってて言ってるんだ。

実は紳士のふりなの?トランクスって。


「っ・・・・」
「向いてくれた。良かった・・・・」
「トランクスのばーか」
「ええ!?いきなり!?」
「ひ、卑怯だもん、こんな、こんな・・・・」


キス出来るぐらいの位置にある顔。
喋るのですら、息が詰まる。


「ドキドキ、するに決まってる・・・」


トランクスとはドミグラを倒した後もずっとパートナーだった。
というより、半ば強引にそうさせられたのだが。

でもイヤじゃなかったし、私はトランクスといれることが嬉しかった。


ああ、これが、恋?恋愛?


「・・・・キウイは、恋愛したことないんだっけ」
「うん・・・」
「なら教えてあげるよ。ううん・・・俺に教えさせて欲しい。俺の傍に、いてほしいんだ」


口づけはされない。
きっと私が頷くまで、このまま。

まるで煽られてる気分。
耐え切れなくてトランクスの頬に触れたら、考えていることがバレたのか意地悪く笑われた。


トランクスって、こんな表情も出来るんだ?

知らないトランクスが、いっぱい。


「トランクス・・・・」
「返事として、受け取っていいの?それ」
「う、ん」
「じゃあ遠慮無く」


塞がれた口唇。
どうやら私の中の紳士なトランクスとは違うトランクスが、これからは見れそうだ。



(またこれからもよろしくお願いしますね?)


































★セル/甘/※ヒロイン視点



この人は、セルは、何を考えてるか分からない。
完璧な存在とかいうらしいけど、それはまた過去での話。


タイムパトロール後、何故かトキトキ都に現れた彼は、私を見て声をかけてきた。

魔人って存在を初めて見るらしく、私に興味を持ったらしい。


それから彼と師弟関係を結ぶまで早かった。
彼は面白い技を持っていたから、その力を吸収するつもりでお願いしたんだけど。


・・・いつの間にか、優しく話を聞いてくれる彼に惹かれ始めていた。


冷静に弱点を解析して教えてくれたり、人が落ち込んでる時はそれを察して話を聞いてくれたり。
ちょっと危険なところ以外は、ただの紳士だ。


「・・・・どうしたのだ、こんなところで」
「あ・・・・」


バレンタインの今日、そんな彼に私はチョコレートを渡すか悩んでいた。

でも渡してどうなるとか考えると渡す勇気は出ない。
彼は人造人間であり、そういう感情があるかは微妙だからだ。

それに、私のような子供が相手にれるかも、分からない。


「セル」


考えこんで一人。
広場の奥で佇んでいた私に、セルが足音を立てながら近づいてきた。

セルのその大きな身体を見上げ、心配させないようにと笑顔で手を振る。


「どうしたの?」
「どうした、ではないだろう?お前がこんなところにいるから来たんだ」


そう言って私の近くの壁に身体を寄せた。
私も隣に並んで壁に寄り掛かる。

近くに感じるセルの体温。

それは言われなければ、ただの人間そのもので。

再び考えこんでしまった私の頭を、セルの大きな手が掴んだ。
わしゃわしゃと乱暴に撫でられる感覚が、少し恥ずかしい。


「わわ!」
「ふむ、魔人の髪というのは不思議な感触だな」
「ある意味髪の毛じゃないからね・・・・」


ピンクの髪の毛に見立てた部分をセルの手がなぞる。
くすぐったくて思わず笑えば、セルも微笑を浮かべた。


――――綺麗、だ。


こんなに怖くて、大きな身体をしているのに。
セルはとても綺麗でかっこいい。


「・・・・どうした?」
「う、ううん」


かっこいいなって思ってました。

なんて言えるはずもなく、私は咄嗟に顔を逸らした。


「・・・・」


逸らした先に映る、パトローラーのカップル。
サイヤ人の女性が同じサイヤ人の男性にチョコを渡して、幸せそうな笑みを浮かべていた。

羨ましい、わけではない。

ただ見ていて凄く・・・切なくなっただけ。


「・・・・(私に、できるかなぁ)」


人造人間ってことは、感覚は人間ベース。
私みたいな魔人はセル自身も言ってたけど、異端な存在なはず。

そんな私が、チョコを渡したとして、気持ちを伝えたとして。
叶う可能性なんて、あるんだろうか。


「今日は考え事が多いようだな」


セルの落ち着く声が心地いい。
気持よくて目を瞑れば、更にセルの手が私を撫でた。

この温もりが続けばいいと、そう思う。

だから無理にこの関係を越えようとして、壊さなくても・・・。


キウイは、今日が何の日か知っているかな?」


どきりと心臓が跳ねる。

知らないわけがない。
今も心の中はそのことばかりなのだから。


「知ってる、よ?」


戸惑いがちに答えた私に、セルがいつもとは違う笑みを浮かべた。
戦闘時に見せるようなちょっと意地悪い、そんな笑み。


「ならば私に何か渡すものがあるのではないかね?」


また、心臓が跳ねる。

まるで心を読まれているようで。
でもチャンスだからと私は勇気を出してチョコレートを取り出した。


どんな風に取られても構わない。

師匠だから、感謝の気持ちとして取られても。


「こ、これ・・・あの、私の、気持ちです」


なんだか凄く乙女なこと言ったような気がする。
頭を下げて渡してしまい、セルの表情が見えなくてドキドキした。

無言の、空気。
伝わってくるのはセルの温もりと、手から離れたチョコレートの重さ。


「受け取ろう。・・・そして、聞きたいことがあるのだが」
「は、はい?」


思わず敬語になってしまう私に、またセルが笑う。


「私以外に渡してはいないだろうな?」


少し低い声で、囁かれた。

ドキドキする心臓を抑えながら、最後の抵抗でセルから離れる。
それを逃がすまいと私を追い詰めてくるセルは、いつもの紳士的な表情のまま。


じりじりと、いつの間にか壁際に追い詰められて。

そこまで小さくないはずの私すら、セルの身体にすっぽりと覆いかぶさられてしまい、広場が見えなくなった。


「セルってば、そ、そんなこといわれたら・・・・さ」
「ん?」
「勘違いしちゃうよー?なんて!」


精一杯の抵抗。
壊れてしまいそうな心臓を、保つための精一杯の。


勘違いしたままで居たかったけど、このままだと私、もう――――


「あぁ・・・別に構わないが?というより私はそういう意味で言ったつもりだったんだが」


―――――壊れる。


「私はお前が他の奴にコレを渡しているのが気に食わんのだよ。・・・意味は分かるかね?」
「あ、え、うん?」
「どうした?その肌でも色が分かるぞ・・・面白いほどに、真っ赤だ」


からかうように私の口唇に触れたセルが、突然ドアップになった。
一瞬だけだったそれを、私が理解するまで掛かった時間は5秒。

理解した瞬間、私はへなへなとその場に座り込んだ。

キス、された。暖かかった。すごく。


「覚悟しておくんだな。私にこのような感情を植えつけたお前に、最後まで責任を取ってもらうつもりだ。残念だが・・・逃げ場はないぞ」
「・・・・よ、よろしく、お願いします・・・」
「良い返事だ」


(紳士な彼は、本当に紳士で、大胆な人)





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