いらっしゃいませ!
名前変更所
★ベジ夢/ベジ長編固定ヒロイン/甘/※ヒロイン視点
朝早く起きてブルマの家に行くと、凄く甘い香りが漂っていた。
それに吸い寄せられるようにして台所に来た私を、ブルマが迎える。
「あら?早かったのね、起きたの?」
「うん。甘い匂いがするから気になって来ちゃった」
この甘い香り、チョコレートかな?
そう思って台所を覗こうとした私に、ブルマから小さな袋を渡された。
なんだろう?と。覗いた袋には可愛いチョコケーキ。
今日誕生日か何かだっけ。
「・・・・?今日何かのお祝い?」
「何いってんのよ、バレンタインデーよ?」
「バレンタインデー?」
「あー、なるほど。知らないのね?しょうがないわね、私が教えてあげるわ!」
楽しそうに話し始めたブルマを止めるわけにもいかず、私はバレンタインのことをブルマから詳しく聞かされた。
バレンタインデーっていうのは、地球のイベントらしい。
お世話になった人や友達、そして恋人や想い人に渡すのだとか。
なるほど、だからチョコレートなんだ。
チョコを貰った私はとりあえずお礼を行ってその場を離れようとするが・・・・それはブルマの手によって阻止された。
掴まれてる。
思いっきり、腕を。
「ブルマ・・・?」
「ん?」
「こ・・・この手、何?」
「何って決まってんでしょー?アンタも作るのよ?チョコレート!」
ブルマの発言にヒクッと顔をひきつらせる。
「い、いや、私はこれからベジータと修行が・・・」
「アイツは重力室で一人やってればいいのよ!それにベジータにもあげたいでしょ?手伝い欲しかったし、作った分の半分は貴方が持っていけばいいわ」
まあ、あげたいけど。
あげたいけど、彼のようなタイプはただ受け取って終わりになる気がする。
イベントなんて関係ない。浮かれるな、とか言われて。
安易に想像できる光景に、私は首を振る。
「いいよ・・・ベジータどうせ・・・こういうの好きじゃないと思うし」
今のベジータは、ご飯と戦闘ぐらいにしか興味ない。
だから諦めようとして帰ろうとする私を、未だブルマの手は掴んだままだ。
地球人のわりに、物凄い力で掴むものだから引き剥がせ無くて困ってしまう。
これは変に逃げるより引き受けたほうが早そうだと、渋々頷くことにした。
「私、お菓子作りしたことないから・・・教えてくれるなら、いいよ」
「決まりね!!とびっきり美味しくて大きなの作りましょう?アイツ食べるから」
「え・・・い、いや、ベジータにあげると決まってるわけじゃ・・・!」
「あら?他にもあげるの?やめたほうがいいわよー。アイツ絶対怒るから」
怒るって・・・。
確かにベジータとはそういう関係だけど、ブルマが想像してるような甘い関係はない。
ただ一緒にいるのが楽しいだけで。
そんな感じ、だと思う。
考えてちょっと寂しくなった。
そういえば恋人らしいことなんて、したことないな。
「よし、じゃあほらこっちよ?」
ブルマに従って私は大量のチョコレートを作ることになった。
といっても、チョコレートを溶かして色々するだけ。
元々ベジータのために大量の料理を作り慣れている私には、さほど難しいことはなかった。
一番簡単な、トリュフだったのもあるけど。
「・・・む」
作るより難しいのは、形。
綺麗に丸くならないのを気にしながら作っていると、ブルマがくすりと笑った。
「そんなに綺麗に作らなくてもいいのよ?気持ちがこもってれば」
「・・・ううーん。でもベジータだし・・・・」
「あらぁ?もしかしてベジータが貴方のことどうでもいいって思ってると思うの?」
「そ・・・そこまでは思ってないけど」
イベントとして渡すより、食べるモノとしてただ渡す感じになりそうだし。
王子だから、見た目も気にすると思うし。
そんなこと考えながら丸めてたら、ブルマが丁寧に私のチョコを箱に入れてラッピングしてくれていた。
いつの間にか6箱分ぐらい出来ていて、手を止める。
「もういいわよ。はい、これ貴方の」
6箱から3箱投げ渡された。
手伝ったとはいえ、材料費なしでここまで貰ってしまうのはなんだか悪い気がする。
・・・・けど、それを言ったところでブルマのことだ。
いいのよ!!って言うだけだろう。だから言うのは止めておいた。
「じゃあ、渡してきなさい。あ、他の人に渡すならベジータに見られちゃだめよ?」
「だ、だから、ベジータはそんなの・・・・気にしないよ!」
嫉妬心?そういうの、見たこと無い。
いつも余裕で、ついてきたければ来ればいいってだけ。
本当に私達が恋人同士なのかも、分からない。
あるのは身体の関係だけなのかもしれない。
どんどん不安になっていく私の背中を、ブルマが優しくなでた。
「大丈夫よ、行ってみなさい?」
ちょっとお母さんみたいだな、なんて思いながら、私はブルマの言うことを聞いてベジータの所に向かった。
赤色の箱とピンクのリボンで可愛くラッピングされた箱を、大事に手に持って重力室に向かう。
「そろそろ休憩かな」
時計の針はちょうど12時を指す頃。
重力室に向かうついでに買っておいた水も持って行くことにした。
重力室に近づけば近づくほど、ベジータの気の力が強くなる。
「入るよー」
「・・・なんだ?今日は修行しないんじゃなかったのか?」
入るやいなや、厭味ったらしい言葉が投げかけられた。
重力室の数値は200gを示していて、入った瞬間ありえない重さが私を襲う。
地面に押さえつけられるような感覚。
息苦しささえ感じるその重さに、私はとりあえず超サイヤ人になった。
「ふはぁ・・・死ぬかと思った!」
「フン。これぐらいの重さで超サイヤ人にならんと耐えれないのか?」
「う、うるさいな・・・アンタみたいなのと一緒にするなっての」
「・・・・もう少し上げるか」
「あ、やめて死ぬ!!!」
重力修行にあまり慣れてない私は、更に重力を上げようとしたベジータに悲鳴を上げる。
ベジータはとてつもない重さのこの中でも、まったく超サイヤ人状態にならず動いていた。
しかも、まったく日常と変わらないレベルの軽々とした動き。
超サイヤ人になっても若干疲れてきて座り込んだ私を、腕組みをしたベジータが見下ろした。
「この程度で動けないのなら修行の相手にならないぞ」
「今日は修行しにきたんじゃないですー」
「・・・・邪魔しに来たなら帰れ」
「違う違う!そろそろ休憩だろうなーって思ってさ!」
「おい、貴様勝手に・・・!」
隙をついて気を操り、重力室の重力を10gまで下げる。
急激に軽くなった空気に超化を解き、持っていた水と・・・チョコレートを渡した。
「なんだ、これは?」
水を飲みながら、ラッピングされたそれを不思議そうに見つめる。
思ってた通りの反応に苦笑しつつ、残りの2箱を見せながらバレンタインデーの説明をした。
「なんか今日はバレンタインデーっていうんだって」
「・・・・あぁ、ブルマが騒いでたやつか」
「なんだ、知ってるんじゃん」
「ならこれは俺にか?」
「うん」
「・・・フン。お前もくだらないイベントに参加したがるんだな」
これも、思ってた通りの反応。
別に長年一緒にいるから、ベジータのことなんて分かってたつもりだけど。
あまりにもサッパリした感想で、苦笑しか浮かばない。
くっそう。残りのチョコレート悟空にでも渡してこようかな。
悟空にはお世話になってるし、純粋にお礼言ってくれそうだし。
「おい」
考え込んでいたら、いつの間にか私はベジータに手を掴まれていた。
「その残りは誰にやるつもりだ?」
「へ?うーんそうだなぁ、とりあえず」
言葉の先は出ない。
私が考え込んだとかじゃなくて、塞がれたのだ。
暖かい感触が私の口唇をねっとりと舐めあげる。
驚いて固まった私から残りのチョコを奪い取ったベジータが、意地悪い笑みを浮かべた。
「俺が1個で足りると思うのか?」
「え・・・や、あの・・・・」
「別に他の奴にやる必要はないだろうが」
「う、うん」
これってもしかして。
――――嫉妬、されてる?
頭の中でブルマが言っていたことがよみがえる。
”他の人に渡すならベジータに見られちゃだめよ?”
関係ない言葉だと思ってたけど、どうやら勘違いだったみたいだ。
「えへへ」
「・・・何笑ってやがる。食べたらさっさと修行だ」
「えーー!?」
鋭い目が、文句あるか?とばかりに私を捉える。
これは逆らえないと感じ、頷くしか無かった。
って、もうチョコレート食べ終わってるし!!
さすがのサイヤ人の食欲に呆然としつつも、修行に備えて立ち上がった私にベジータの小さな声が掛かった。
「うまかった」
ただ、一言。
普段言わないような、小さく、優しい声で。
その一言が嬉しくて後ろから抱きつけば、”修行は始まっているんだぞ?”という一言共に吹き飛ばされた。
(愛情表現が下手な彼でも、私はただついていきたいんです)
★ピコ夢/ピコ長編固定ヒロイン/甘/R15/※ヒロイン視点
神殿から下界を見下ろせば、ピンク色の広告が目立つこの時期。
私は自分の尻尾の怪我を治しながら、そんなこと興味無さそうに瞑想している彼を見た。
バレンタインデーのこの日。
この日さえも、私達は修行していた。
尻尾についた傷はその時のもの。
虚しくなってもう一度下界を覗けば、世の中のカップル達がチョコレートを渡したりデートしたりして楽しそうにしていた。
「・・・・・」
でもピッコロは食べる種族じゃない。
食べれないわけではないが、無理に食べるぐらいならチョコレートなんて渡さない方が良いだろう。
だから今日、私は何も準備してこなかった。
ブルマにチョコレートの代わりになるものを準備すればいいって言われたけど、それすらも思いつかなくてこの日を迎えたのだ。
「(ううーん・・・・)」
ずっと戦闘の修行だったら今日はボロボロだっただろう。
早めに瞑想に入ってくれたことを感謝して、私は下界を見下ろす作業に入った。
な、何か、何かヒントは。
いや何もしなくてもピッコロは気にしないだろうけど、それでもちょっとぐらい、恋人らしいことはしておきたい・・・ような気もする。
いつもピッコロは優しい。
こういうのはベジータと一緒で不器用だと思ってたのに、実はそうじゃなくて。
皆の前ではツンケンするけど、二人きりだと優しく私のことを見てくれる。
言葉が足りなくても行動で示してくれる。
「(たまには、お礼ぐらいしたいよね・・・・)」
元々恋愛を知っていた私のほうが翻弄されているこの状況。
気を使って優しくしてくれてるのも向こう。
「むぅ・・・・」
食い入るように下界を覗きこむ私は、傍から見れば変な奴。
そっと後ろを振り返ってピッコロが見ていないことを確認し、下界に身を乗り出す。
町に溢れる恋人たち。
チョコを渡したり、お酒を渡したり。
プレゼントとして多いのはアクセサリーやデザート、飲み物だ。
だけど、私の彼は特殊で。
欲しいものは大概出せる。それにアクセサリーだと邪魔になる。
やっぱり難しいかと。
ため息をついて戻ろうとした私に、一組のカップルが目に入った。
「ん・・・?」
照れた表情で彼女側が小さな手紙を渡している。
そうか、気持ちを綴った手紙ってのもいいな、なんて思っていると、チラリとその手紙の内容が目に入ってしまった。
「・・・っ!?」
”私がプレゼント、だよ?”
可愛らしい顔からは想像つかないほど、大胆な内容。
少し気難しそうな彼の表情も照れくさそうに綻び、彼女を抱きしめていた。
あの様子からして、甘いモノが嫌いな彼氏さんなんだろう。
――――って、私はなにしてるんだ!!
完全に覗き見じゃないか!!
さすがこれは駄目だ。みては駄目だ。
「(ぜ、全部は見てないからセーフ!!)」
「さっきから何をしてるんだお前は・・・・」
「おうふぅっ!?」
「もっと女らしい声はあげれんのか!!」
「だ、だっていきなり声かけるから!!」
ピッコロから声を掛けられ、慌ててその場から後ずさる。
下界の観察は神様の仕事であり、あんまり私がやっていいものではない。
それにあんなのを覗いてしまった後じゃ、後ろめたさが勝ってしまうのも無理は無かった。
明らかに様子のおかしい私を見て、すぐに何をしたか理解したピッコロが私の頭を掴む。
「貴様、勝手に下界の様子を探るなと言ったはずだが・・・?」
「いだぁああい!!」
「それに今は瞑想のはずだろうが。サボるとはいい度胸だな?」
「だ、だってーー!!」
「だって、なんだ?」
顔を近づけられ、囁かれた。
こうされることに私が弱いって知ってるから、本当にずるい。
「どうした?・・・顔が赤いようだが」
「ば、ばーか」
「ほう?謝りもせずに人を馬鹿にするとはいい度胸だな?」
「わー!!ストップ!!」
鋭い音が響いて、私が立っていた場所に気弾が降り注ぐ。
何とかギリギリの位置で飛び上がって避けた私に、ピッコロは未だ意地悪い笑みを浮かべていた。
だがすぐにその笑みも消え、突然スピードを上げて私の前に現れる。
まさかそこまでされると思っていなかった私は、慌てて受け身を取った。
「うわっ!?」
「修行をさぼってやがったんだ。思いっきりやっても構わないということだろう?」
「うわあぁあたんま!!!」
ガードする私の腕に叩きつけられる、容赦無い攻撃。
スピードも重さもある攻撃を何とか捌き切った後、私は飛ぶのを止めて神殿に足をつけた。
それを追いかけてくるピッコロに、小さな気弾をいくつか放つ。
もちろんそれは片手で簡単に弾き返され、返って来た一つが頬を掠って冷や汗が流れた。
「ひ・・・!?いやまって!ホント!さっきの戦闘修行で疲れたんです!!」
「瞑想をサボる余裕があるんだろう?」
「あ、いやそれはっ!はげちゃう!!!」
頭上を掠めた気弾に再び悲鳴を上げる。
髪の毛が。髪の毛がジュッって言ったよ絶対!!
「ほ、ほんとにタンマ・・・!謝ります。すみませんでした・・・!!」
朝から昼間で戦闘修行で全力で戦っていた私には、もう体力はない。
たったこれだけの戦闘でも、私の息は完全に上がりきっていた。
情けないといった表情で見下されても、私の身体はもう言うことを聞かない。
「・・・それで?結局何を見ていたんだお前は」
一番聞かれたくなかった質問に、私はさっと目を逸らした。
それがピッコロの加虐心に火をつけるとも知らずに。
「言うつもりは、ないと?」
ゆっくりと、確かめるような言い方。
嫌な予感を感じてピッコロの顔を見上げれば、極悪人かっていうほど悪い表情をしていた。
ピッコロの手が、優しく私の頭を撫でる。
そして目線を合わせるようにしゃがみ込み、口を開いた。
「言わないなら心を覗くまでだが・・・言うか覗かれるか、選ばせてやろう」
あ、言わないっていう選択肢はないんですね。
こうなれば逃げられないのは分かってる。
観念した私はその場に寝転がり、ピッコロの顔を見ないように白状した。
「・・・ほ、ほら、バレンタインでしょ、今日」
「あぁ。地球のイベントか。それがどうした?」
「い、いや、恋人たちのイベントらしいし・・・その、私も何かしたいなって思ったけど、ピッコロはチョコ食べないし、他のものも出せるし、ど・・・どうしようかなって」
全部言い終わってからピッコロの顔を見れば、もう意地悪い表情は無い。
代わりにある、ちょっと呆れたような優しい表情。
「俺はその気持だけで十分だと、毎回言ってるだろう」
「うー・・・でも」
「・・・・なら、覗いて何かヒントを貰ったのなら、それを受け取ってやる。何もないのなら今日もこうしてただ俺の傍にいればいい」
普段のピッコロからは想像もつかないような甘い言葉。
でもこれが、私の中では普通のピッコロになりつつある。
本当に優しいんだ。
神様と融合したからってのもあるだろうけど、その前からも不器用で優しかった。
今はその不器用さが無くなって、意地悪くなったぐらい。
近づいてくるピッコロの顔を見ながら私は下界の様子を思い出して―――息を呑む。
「あ、いや、えっと・・・・」
やってみる、か?
いやでも果たしてそれをして本当に喜ぶのか?
私がプレゼントだよ、なんて。
失敗したらどうする。
私がプレゼント?何言ってるんだお前みたいな空気を出されたら死んでしまう。
「あー・・・・の」
「どうした」
「バレンタインデーだし、その、プレゼントはしたい・・・わけだよ、うん」
「あぁ・・・それで?お前は何をくれるんだ?」
「・・・・・です」
「・・・?」
何とか声に出したつもりだったが、聞こえてなかったらしい。
首を傾げられ、もう一度勇気を出して・・・囁く。
「わたし、が、プレゼント・・・です」
一瞬、ピッコロの呼吸が止まった。
明らかにいつもと違う空気を感じ取って、やってしまった!!とすぐに後悔する。
これは失敗しましたよ。ええ、失敗ですよこの反応は。
何の反応もない時間が辛すぎて、たった数秒前の自分を踏んづけたくなった。
時間よ戻ってくれ。
そしたら自分の口を塞いで、この神殿から放り投げてやるから!!
「あ、あの、ピッコロ、や・・・やっぱなしで・・・・」
そう言って神殿内に戻ろうとした私を、ピッコロが抱き上げた。
「へ!?」
「煽っておいてそれはないだろう?・・・・逃げる気か?」
「え、い、いやだって、ものすごく”何言ってるんだ?”みたいな感じで止まったからさ!!」
「違う。お前がそういうことを言うと思わなかったからだ。だが・・・・」
ピッコロの足が神殿内の部屋に向かっていく。
抱きかかえられた私は、耳元で響くピッコロの声に身体を捩った。
いつもの声とはまた違う、掠れていて、欲望の満ちた声。
「プレゼントなんだろう?手加減はせんぞ」
まだ部屋じゃないのに、ピッコロの口唇が私の耳を噛む。
ぴくりと反応してしまう身体。
思わずピッコロの首元に手を回せば、更にピッコロの手が厭らしく動く。
耳元で響くわざとらしい水音。
舌が這う感覚と、吐き出される吐息。
ぞくぞくと震える身体を押さえつけるたくましい腕。
二人で時間を過ごす部屋の扉が開けられた瞬間、少し乱暴に投げ捨てられた私の身体は、柔らかくて大きなベッドに沈んだ。
「ほわ・・・!」
「・・・もう少し色気のある声は出せんのか」
「う、うるさいな・・・!!」
「くくっ・・・その調子がいつまでもつんだろうな?」
そんなこと言ってるピッコロにも、余裕は無くて。
いつもは焦らされるのに、焦らすことなく私の服を魔術で消し去った。
口づけながら這う指が私を確実に追い込んでいく。
ここまで来たら、もう恥ずかしさなんてない。
半分理性をなくした私は、ピッコロの頬に口づけて、囁いた。
「私は全部、ピッコロのものだよ・・・・」
普段恥ずかしくて言えないことも。
今なら言える。今日だからこそ、言える。
「いつだってピッコロの傍にいたい・・・いつだって、こうしてたい・・・」
明日になったらきっといつも通り。
無駄なことで喧嘩して、言い争って、夜は無理やりピッコロに連行されて。
「ピッコロ・・・私を、ピッコロの好きなように・・・めちゃくちゃに、して・・・?」
「・・・・っ、馬鹿が・・・!!!」
急速な動き。
荒く吐かれる息。
余裕をなくしたピッコロの口づけが、痛いほどに甘い。
「後悔するなよ。今日は本当に寝れないと思え・・・」
(なんでも持ってる貴方に捧げる、ハッピーバレンタイン)
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【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)