Erdbeere ~苺~ チョコに入っているものは 忍者ブログ
2025.07│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
いらっしゃいませ!
名前変更所
2025年07月01日 (Tue)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2015年02月14日 (Sat)
桐生・峯・秋山夢/テーマは「大人なバレンタイン」/※ヒロイン視点

バレンタインデー企画
各キャラ短編になってますので、お手数ですがスクロールで好きなキャラまで飛んでください

順番は桐生→峯→秋山です

拍手



世の中はバレンタインデーとかいうイベントで盛り上がってる。
そんなのは私に関係ねぇだろ?って思ってたのは、ついこの前まで。

今では慣れないこの日に戸惑う自分がいる。

手元にあるのはアイツのために買ったチョコレート。


どうしようか。
アイツの家に行くか、それとも呼び出すか。

悩んだ挙句私は携帯を手に取り、今から行くとメールして家に向かった。





























★桐生夢/甘/微エロ/龍5軸


「よ」
「あぁ・・・」


桐生のアパートに入ると、ひんやりとした空気が私を迎えた。
こいつ暖房も入れてないのかよって思いながら、鞄の中に手を入れる。


「これ」


かしこまったら渡せない気がして。
私はそっぽを向きながら手に持ったそれを桐生に差し出した。

桐生は何も言わずに首を傾げ、差し出された物を受け取る。
袋を開けないでも香る甘ったるい匂いに、桐生が気づいたのか微笑んだ。


「バレンタイン、か。珍しいな?お前がこんなことするのは」
「う・・・・お前が疲れてるみたいだったから。甘いのもいいと思って」


うっせぇ!・・・って言いかけ、なんとか押さえこむ。

言葉の通り、桐生を元気づけるために買ってきたものだ。
ここでツンケンして喧嘩したら、結局同じこと。


桐生にとっては慣れない環境で。

全てを包み隠して。


桐生が辛いのは私だって分かってる。
でも傍にいることぐらいしか、私には出来ない。


「お前、これ・・・」


袋を開けていた桐生が、中を見て手を止める。
出てきた小さなカップに詰められたフォンダンショコラは、明らかに手作りと分かるものだった。

そう、私が作ったものなのだから。

恥ずかしくなって目を逸らせば、後ろで袋を置く音が響いた。


「きりゅ」


気に入らなかったか?
そう聞くつもりだった私の唇は一瞬で塞がれた。


「んっ・・・」
「・・・ふ」


桐生から洩れた甘い声に、背筋がゾクリと震える。
キスしながらそっと目を開ければ、私のチョコは丁寧に机の上に置かれていた。

それを確認してたら、急にぐんっと視界が変わる。


見えるのは桐生と――――小汚い天井。


「桐生?」
「ありがとな」
「・・・あぁ」


からかって来ないのは、桐生なりの優しさなんだろうか。
いつもなら「女らしいコト出来るんだな?」なんて、からかいそうなものなのに。

思わず笑えば、桐生も静かに笑った。

久しぶりに見る笑顔が嬉しくて自ら唇を重ねる。

どんなことになったって私は桐生についていく。
そう誓ったんだ。だからこんな人生でも私は。


「癒やされた?」
「あぁ・・・だいぶな」
「良かった」
「でもまだたりねぇ」
「ん?何が欲しんだよ?」
「・・・お前に決まってるだろ、あけ


なんてベタなセリフ言いやがるんだ。

・・・もちろん、言葉には出さない。
突っぱねるのは明日で良い。今日だけしか出来ないことを、今は。


そっと手を伸ばし、桐生の胸元のボタンを外す。
一つ一つ丁寧に外していけば、痺れを切らした桐生が私に覆いかぶさった。


「おい、こらっ・・・・」
「焦らすつもりか?」
「んっ!」


耳元を噛まれ、力が抜ける。
少しだけ仕返しに「仕方ないやつだな」って耳元で囁いたら、ギラついた桐生の目が私を捉えた。


「・・・俺を求める言葉しか、言えないようにしてやるよ」


ああ、ほら、また。
ベタな言葉。


「文句、あるのか?」
「ねーよ」
「・・・あけ
「・・・一馬」
「愛してるぜ」


今度は仕返しじゃなくお礼に、桐生の唇に自らの唇を合わせた。



(チョコに入ってるのは、貴方への優しさ)








































★峯夢/甘/微エロ/龍3軸


部屋に香る甘い匂い。
無言で峯の部屋に入った私は、即座に出て行きたい気分に襲われてうなだれた。

そうだ、こいつは金持ち野郎だった。

しかもカッコイイ。モテるのも当たり前だ。

部屋を見回せば、案の定たくさんのチョコレートが散らばっている。
色んな女に渡されたんだろう。キャバ嬢、付き合いの女、仕事上の女・・・・。


「・・・帰るか」


鞄の中に入れたチョコレートが小さく見えるほど、その全てが高そうなものばかりで。
ここにいることすら辛くなった私は、来た場所を引き返そうと振り返った。

その瞬間、ガンッ!と正面に何かがぶつかってよろける。


「おわっ!あぶねーな・・・ってなんだよ。峯か」
「・・・私の部屋なんですから、私がいるのは当たり前でしょう」


こけかけた私の手を取り、あざやかな動きで私を抱きかかえた。
そのまま傍にあったソファに下ろされる。


・・・・また、香る。
この場所にもたくさんのチョコの香りが。


それだけじゃない。

いま私を抱えた峯からも、チョコの香りがした。


「・・・・ッ」


惨めだ。

いつもの私はどこにいったんだ。


「どうしたんですか、あけさん。こんな時間に」


冷静な峯の声が、私を更に追い詰める。
一応男女の関係である以上、少しぐらい察してくれてもいいじゃないかと毒づいた。

―――――もちろん、心の中だけで。

表面上では笑って、傍にあったチョコレートの箱を手に取る。
とても小さな箱だが、有名ブランドの名前が書いてあって思わずため息を吐いた。


「モテモテだなー」
「・・・・そうですか?ただの義務みたいなものじゃないんですか、女性からすれば」


義務、か。
そんな義務すら感じてこなかった私が、今年初めてそれをしようとしてるわけだが。


「お前コレ、ホワイトデーどうすんの?」
「?・・・秘書に返させてますが?」
「デスヨネー」


どんどん心が折られていく。
こいつ自身も、このイベントをただの義務としか思ってないようだ。

ああ、もう!!

このままじゃ、私らしくない。

すっぱり無かったことにするのが一番だ。
そう思った私は鞄の蓋を閉じ、そっと立ち上がった。


「どうしましたか?」
「帰る」
「・・・貴方は何しにきたんですか」
「・・・・・・恋人見に来るのに、理由がいるのかよ」


精一杯の抵抗。

嫌味を含めた私の言葉に、机の上を整理していた峯が手を止める。


「・・・自覚あるんですね、私の女だという」


ゾクリと響く低音。
急に下がった峯の声に、私は思わずその場に固まった。

近づいてくる峯の瞳が鋭く私を捉える。

それは喧嘩をする時に見せる本性の表情に近く、思わず後ずさった。


「な、なに・・・・?」
「分かってるなら早く渡すんですね」
「・・・・は?」
「一番欲しいものは一切もらえてないんですよ。今日、まだ」


動けない。
そのままジリジリと壁に追い詰められ、背中がトンと壁につく。

目の前には、壁に手をついて私を押さえこむ峯の姿。
逆らえないと感じ、渋々チョコレートを取り出して渡す。


「・・・・はい」
「ありがとうございます」
「わ、渡したんだからどけよ」
「まさか。これだけじゃないでしょう?私を待たせたんですから」


待たせたって、そんなこと言われても。


「だ、だって・・・峯はどうせたくさん貰ってるだろうなって思ったんだよ!」
「言ったでしょう?義務みたいなものなのだと」
「だったら私のも・・・・」
「それとこれとは別です。・・・俺は、あけのが欲しいんだ」


本当に、卑怯なやつだ。
皆の前では頭のキレる冷静なエリートなくせして。

こうやって私を追い詰めるときに、本性を現す。

まるで狼のように牙を向いて、私のことを捕らえるんだ。


「・・・・っだーもう。お前には勝てねぇよ。勝手にしろっ」
「好きにしてくださいぐらい言えないんですか?」
「むぐっ・・・・」


私を壁に押さえ込んだまま、もう片方の手でシュルリとネクタイを解く。
その姿に、どきりと心臓が跳ねた。


「なぁ、峯」
「はい?」
「・・・私を、好きにして?」
「・・・!」


私だけがやられるのは気に食わないから。

小さな抵抗とばかりに、峯の望んでいた言葉を耳元で囁いた。


「馬鹿ですか・・・貴方は」


余裕そうだった峯の表情が苦しげに歪む。
解いたネクタイを乱雑に放り投げ、私の唇に噛み付くように口付けた。

あ、珍しく余裕が無い。

どんな時だって綺麗好きな峯が、ネクタイを放り投げるなんて。


そんなことを考えていたら、身体がふわりと宙に浮いた。
抱きかかえられていることに気づいた私は、慌てて峯を見上げる。


「み、峯?」
「貴方のせいで本当に我慢できなくなりました。今夜はたっぷり付き合ってもらいますよ」
「え・・・い、いやまって。お前明日仕事なんじゃ・・・」
「そんなにヤワな鍛え方はしてないんですよ。・・・試してみるか?」


抱きかかえられた腕の中で受ける、いくつもの口づけ。
こうなったら逃げられないことを教えこまれているせいで、私の身体は素直に反応した。

まぁ、バレンタインデーだしな。


「他の奴にはやれない物をくれてやるよ、峯」
「・・・・だから貴方は・・・あまり煽らないでください」


(チョコに入っていたのは、嫉妬と愛情)














































★秋山夢/甘/微エロ


事務所に行ってすぐ、私の持っていたチョコを奪いとったこの男。
手作りでいびつなチョコレートを見てニマニマ笑う姿が、まるで子供のように見える。


「まずかったら捨てろよ」
「捨てれるわけないでしょ!全部食べるよ?あけちゃんのだし」


そう言って目の前の男――――秋山は、私が作ったチョコレートを口の中に放り込んだ。

まったく、何が嬉しいんだか。
こういうイベントは初めてに近いから、私には何も理解が出来ない。

ただまぁ・・・こんな風に喜んでくれるならいいかなって。

ちょっと微笑めば、それに気づいた秋山が満面の笑みを返した。


「美味しいよ!」
「・・・良かった」


花ちゃんのいない、汚い事務所で二人きり。
バレンタインなんて空気を感じる場所じゃないけど、私達にはお似合いかもしれない。

ソファの上でチョコを頬張る秋山に、机から身を乗り出して近づく。
私の行動に驚いた秋山が手を止めるのを見て、更に顔を近づけた。


「駿」


いつもの仕返しとばかりにそのまま口づけて。
口唇を割って舌を絡ませ合う。

ほんのりと香る、チョコの香り。

甘い。いや、私にとってはちょっと苦めのチョコレート。
机越しにしていた口づけはいつしか体勢のほうがきつくなって、私は一旦離れようとした。


だが、それは叶わない。


「んっ!?」
「・・・まだ、ダメだよ?」


身体を引いた私にもう一度口づけが落ちる。
そのまま口唇を話した秋山は私の方に回ってきて、私をソファに押し倒した。

覆いかぶさる秋山の目に、いつもの余裕が無い。

宿る欲望にゾクリとしてしまうのは、いつものこと。


「煽っちゃったね?・・・今日は手加減できないよ?」
「いつしたことあるんだよ・・・・」
「酷いなぁ、いつだってあけちゃんを壊さないように必死に頑張ってるのに・・・・」


耳元に秋山の低く掠れた声が響く。
そんな声で名前を呼ばれたら、もう、私だって止まれない。

誘うように秋山の首元に手を回し、ほっぺたに音を立ててキスをした。


「・・・・まいったな」


香るのはチョコレートとたばこの香り。

薄暗い部屋の中、秋山の顔がハッキリ見える位置まで近づいてきて―――笑う。

ちょっとボサボサな髪の毛。
飄々としているのに、獲物を逃すまいと狼のように鋭く細められた瞳。


飲み込まれそうだ。

声も、手も、温もりも。


ああ、バレンタインってのを利用して、私はただ秋山に触れたかっただけなのかもしれない。
欲情してる。それは秋山だけじゃなくて。


私も、してる。

いつもは素直になんてなれないから、だから。


「駿・・・」


伸ばした手が秋山の口元に伸びる。
秋山はそれを意地悪い笑みで捕まえて、ソファに押さえつけた。


「やめてっていっても、やめないよ?」
「・・・・好きに、すればいいじゃん」
「あーもう。素直なあけちゃんもいいなぁ。・・・普段も好きだけどね?」
「っさい!!」


こいつは平気で人が恥ずかしくなるようなこと言いやがって!

でも今日はバレンタインだから、さ。
素直になるというか、喜ばせてやろうって決めたんだ。


出かけた罵倒を飲み込んで、顔をそらす。

そして恥ずかしさに蓋をしながら口を開いた。


「駿の・・・好きに、し・・・・て」


精一杯だった。
消えるぐらい小さな声だったけど、秋山は分かってくれたようで笑っている。


「じゃあ、好きにするよ」
「・・・・ん」
「明日怒らないでよ?」
「それは・・・・わかんない」
「えー?じゃあ」


”明日起きれないぐらいに、いっぱい愛してあげるよ”



(チョコに入っていたのは、欲望)



PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
←No.299No.298No.297No.296No.295No.294No.293No.292No.291No.290No.289
サイト紹介

※転載禁止
 公式とは無関係
 晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
 検索避け済

◆管理人
 きつつき
◆サイト傾向
 ギャグ甘
 裏系グロ系は注意書放置
◆取り扱い
 夢小説
 ・龍如(桐生・峯・オール)
 ・海賊(ゾロ)
 ・DB(ベジータ・ピッコロ)
 ・テイルズ
 ・気まぐれ

◆Thanks!
見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)