Erdbeere ~苺~ 完璧な存在すぎて勝てません 忍者ブログ
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2025年03月10日 (Mon)
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2015年04月05日 (Sun)
セル夢/ゼノバで魔人ヒロイン/ギャグ甘/師弟関係かつ恋人/※ヒロイン視点

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「私はお前が・・・好きなのだと思う」


私達の関係はそこから変わった。


突然のセルからの告白。
いや、私みたいな魔人に?って思ったけど、本気らしく。

師弟関係かつ、恋人同士となった私達。


”恋愛”というものをしたこと無い私にとって、知識と完璧な頭脳を持ったセルは、ある意味――――強敵だった。


キウイ、どうしたんだ?」
「へ?」
「何やらぼーっとしているようだったからな。気分でも悪いのか?」
「う、ううん・・・違うよ」


そう言って私を撫でる手は優しい。
ドキドキしちゃって、セルの顔が見れなくなる。

今までは拳をぶつけ合うだけの関係だったはずなのに。

なんでこんなにドキドキするんだろう。
調子、狂っちゃう。


「フッ・・・いつものような元気さがないな?まぁ、そんなお前も可愛いとは思うが」
「う、うるさいな!」
「おやおや、褒め言葉が足りなかったかね?」
「その余裕っぷりがむかつく・・・!!」
「むかつくのなら、私のほうが見れるくらいにはしたまえ」


ほらまた、余裕な感じの声。

カチンときた私は自分を落ち着けるために息を吐き、そして頭を撫で続けているセルを睨むように見上げた。


「・・・っ」
「何故睨む」
「睨んでません、見上げてます」
「ほう、それは配慮が足りなかったな。お前が見えやすいよう、しゃがむべきだった・・・ほら、これで見上げる必要は無いだろう?」
「ッ~~~~~」


セルが片膝をつき、私の目の前に跪く。
そうしてやっと目線が合う私達の身長差。


目の前に映る、ドアップなセルの顔は綺麗だ。


こんな人が残酷な殺戮者だったなんて嘘みたい。
歴史の改変の中でその現場を見たけど・・・・あの時のような独特の恐怖感ってものが今のセルにはまったく存在しない。


「また逸らすのか?」
「じゃ、じゃあちょっと離れてっ」
「この方がお前の顔が見えるだろう」
「っこのサド紳士が・・・!!!」
「おっと・・・」


苛立ちのあまり蹴りを放つ。
もちろんどんなに近い距離でも、当たらないと知っていての攻撃。

案の定、私の蹴りはセルの手によっていとも簡単に止められた。

そしてニヤリと、セルが意味ありげな笑みを浮かべる。


「危ないな。そんなに修行がしたいならいいたまえ。付き合うぞ」
「おわっ!?」
「では修行を再開しよう。これから10分間、私の攻撃から逃げ続けろ。逃げ切ったらお前の勝ちだ。ただし逃げきれなかったら私の勝ち・・・この後の時間、私の好きにさせてもらおうか?」
「変態的な発言に聞こえますけど?」
「そう聞こえたのならそうかもしれんな?もしくはお前が期待しているんだろう」
「するかっ!!」
「いいのかそんなに余裕で。もう始まっているぞ」
「ッ・・・・のっ、おおお!?」


一瞬で止められた間合いに、呼吸が止まりかけた。
慌てて身を翻せば、私が立っていた場所が轟音を立てて抉れる。


ああ、うん。

さすが師匠です。
こういう関係でも手加減はないですね。


って、そんなこと考えてる場合じゃ無さそうだ。

目の前に伸びてきた手を捌き、何とか距離を取る。


「ああああぶなっ」
「ふむ、今のを避けるか・・・・」
「いや、結構ぎりぎりで・・・」
「もう少しスピードを上げるか・・・これでどうだ?」
「人の話を聞いてセ・・・ぶわふっ!」


突然スピードを上げたセルの攻撃に、女とは思えない声が出た。


もう一度私の手を掴もうとする手を気弾で弾き、距離を取り直す。
それでもついてくるのを予想していた私は、逃げながら振り返らずに触覚からビームを飛ばした。

後ろで弾ける、気の音。


ああ、これは振り返らなくても分かる。
確実にかき消されて追ってきてる。


「相手のことを見なくても判断出来るようになったのは良い成長だ」
「そりゃどーも!成長のご褒美に少し手加減してほしいんだけどね!」
「何を言っている?私のモノなんだお前は・・・お前自身にも、完璧に近づいてもらわなければ困る」
「ええー・・・やっぱり完璧がタイプなの?」
「・・・違うんだ。勘違いしないでほしい。お前が完璧でなければ好きではないというわけじゃなく・・・・」


”完璧になって、誰にも届かない高嶺の花になってほしいのだよ・・・私だけのモノにな”


囁かれた、声。
逃げていたはずなのに、真後ろからその声を拾ってびくりと身体が跳ねた。

思わず振り返りながら裏拳を放つ。


が、しかし。
それに当たる感触はしなかった。


「そんなことしなくても・・・私は、その、セルだけのものだ・・・よっ!!!」


言葉は甘く。
でも放つのは気弾。

裏拳がかわされてからすぐ気配のした方向に気弾を撃った私を、セルが笑いながら褒めた。


「気を読む力が強くなってきたな。素晴らしい」
「照れちゃうなー」
「ほう?嬉しいのか。ならば今日の夜は少しデートにでも出かけるか?ご褒美に」
「う、お、はい、よ、よろしく・・・?」
「どうした、顔が赤いぞ」
「っ・・・・・」


だ、だから。

そういうのが困るんだ。


急な切り替え。
攻撃とか修行中の言動は容赦無いのに、こういうときに限って優しくなる。

紳士な彼と、残酷な戦いを楽しむ彼。


どっちも好きだからこそ・・・困る。


「ならその調子で私から逃げ続けるんだ。あと、5分だぞ?」
「うわぁああ!!!会話から急に攻撃するな!!!」
「会話中に油断していいとは言っていない」
「っ・・・・!!」


さすがにふざけてられなさそうだ。
目の前の彼の視線が鋭くなるのを感じて、私はまたセルから距離を取った。


でも、スピードは確実に彼の方が上。

すぐに回り込まれるのを予想していた私は、セルが目の前を通せんぼする前に方向転換した。


「!」
「へへーんだ!!そんなの毎回引っかかる・・・うああぁあああ危ないぃいい」
「っち・・・」


逃げた先に飛んでくる複数の気弾。

避けたら舌打ちされるなんて、理不尽だ。
どんだけ勝ちたいんだこの師匠は。


「・・・大人しく捕まって私の好きにされたらどうだ・・・!!」
「え、ちょ、いきなり発言がまじな変態に・・・っ」


突き出された拳を気力で弾く。
次に来た蹴りをどうにか避け、反撃とばかりに腕を伸ばした。

そのまま伸ばした腕を回転するように振り回し、周囲の風を巻き込んで竜巻状の気風を起こす。


「そぉら!!!」


捉えた。


そう思って気を上げた瞬間、私の伸ばした両手は逆に捉えられていた。

ぐるんと腕がねじれてゴムみたいに揺れる。
魔人でよかったとホッとしたのもつかの間、ぐいっと腕を引かれてセルの胸の中に飛び込んだ。


「ほわっ!?」
「残り1分・・・残念だったな」
「・・・・本気出したな?」
「さぁ、どうだろうな?」


あーあ、もう。

何やってもセルには勝てないや。


諦めた私はそのままセルの胸に顔をうずめた。
甘えるように擦りよければ、ぎゅっと抱きしめられる。


「では・・・この後の時間を全て私にくれるかな?お嬢さん」


なんだよもう、この完璧な人は。


かっこよくて。
強くて。

なのに、変に紳士で。


勝つことを諦めた私は、顔を上げずに頷いて答えた。


「どうぞお好きにっ」
「良い返事だ」


どうせ完璧なあなたには勝てませんから。
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