Erdbeere ~苺~ 知ってる?嘘って100倍返しにされるんだよ 忍者ブログ
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2024年11月15日 (Fri)
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2015年04月01日 (Wed)
桐生・秋山夢
※エイプリルフール企画
※桐生→秋山の順番になります。お好きな夢までスクロールお願いします

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★桐生夢/ほのぼの甘/※ヒロイン視点



身体中が痛む。
なんでって?・・・この仕事には、こんな痛みなんてつきものだからだ。

私は情報屋。

あの花屋と並ぶほどの、情報屋。


情報収集は楽じゃない。
花屋が町のいたるところにあるカメラを使って情報収集してるのとは違って、私は現地調達。

まぁそのおかげで、かなり鮮度の高い情報になるんだけどな。


「はぁ・・・・」


でも、それは危険も多い。

情報を売られたことに逆恨みして襲ってきた奴ら。
なんとか全員返り討ちにしたが、数が数だっただけに身体はボロボロだ。

アジトに帰り、鏡の前で自分の身体を晒す。


ああ、なんて女らしくない体だ。

傷だらけの体に乱暴に薬を塗っていく。


・・・なんだろう。
何故か寂しい。

最近、桐生の優しさに触れることが多くなったせいか。


「・・・・」


時間を見れば、4月1日の午前1時を指していた。
そういえば今日はエイプリルフール、とかだったっけな。


携帯を手に取り、おもむろに連絡先を桐生にする。


「桐生」


声が聞きたい。
なんだか、寂しいんだ。

桐生――――。

でも、そんなの素直に言えるわけないだろ?
だからエイプリルフールってのを、使わせてもらおうじゃないか。


「・・・・もしもし」
「どうした?お前がこんな時間に」


電話越しに聞こえる声はいつもの桐生。
たった1日に会わなかっただけなのに、久しぶりに感じる。


「いや・・・その寂しくて」


桐生の声が止まった。


驚いたような、戸惑うような。


私だって驚いてるよ。
まさかこんなこと思うなんて。

お前のせいだ、桐生。

お前が覚えさせたんだ、こんな感情を。


「寂しい?・・・何かあったのか?お前」
「・・・いや、別にないんだけどさ」
「お前が寂しいなんて、何かあったとしか思えねぇ」
「何かなきゃ・・・寂しいと思っちゃいけねぇのか?」
「・・・そういうわけじゃ」
「だったら、いいじゃねぇかよ」


桐生が珍しく言葉に詰まってる。
ちょっとおもしろい。

普段にない私を見て、戸惑ってるのが目に見えるようだ。


ありがとう、桐生。
お前のおかげでだいぶ紛れた。

その意味も込めて、ネタばらしする。


「なぁ、桐生」
「ん?」
「今日何の日か知ってるか?」
「なんだ?誰かの誕生日か?」
「はずれ。今日はエイプリルフールだ」
「エイプリルフール・・・・」
「そ、まさか私が本気で寂しいなんか言うと思ったのか?ばーか!」


イタズラが成功した子供のように笑って。
黙り込んだ桐生に、あぁこれは今日仕返しされるなって思いながら携帯を切ろうとした。

そんな私を止める桐生の声。


苛立ちも何も感じられないその声は、静かに・・・だけど確かに私を止める力があった。


「嘘だろ?」


余裕じみた桐生の声が私の耳をくすぐる。


「嘘ってのが、嘘なんだろ?なぁ、あけ


深く息を吸い込む音。
それと同時にアジトの入り口がガタン!と音を立てて開いた。


思わず、目を見開く。

電話の声と、目の前にいる人物の声が―――重なる。


「寂しかったんだろ?」
「っ・・・・」


携帯を切る音と同時に私の身体が桐生に抱き寄せられた。

機械越しに聞いていたのとは違う、低く掠れた声が私を支配する。


「っ、まて、きりゅっ・・・・」
「嘘だって、ちゃんと言えたら待ってやるよ・・・」


言えるわけがない。
そんな、本当は寂しかったなんて。


私はこれでも情報屋の鷹だぞ?

裏の世界の、女なんだぞ?


こんなことで弱音を吐いてて桐生の隣が務まると思うか?
意地でも口を閉ざそうとする私に、桐生の口づけが降りてくる。

何度も、何度も。


「っふ」
「ほら、言えよ。”嘘っていうのが、嘘”ってな」


甘い口づけに足の力が抜けた。
ガクンと体のバランスが崩れ、それを狙ったかのように桐生が私をお姫様抱っこする。

その足が向かうのは―――私のベッド。
嫌な予感がして暴れても、私の力は桐生に敵わない。


「ま、まてっ!?」
「待たねぇよ。言ったはずだ、嘘っていうのが嘘って言わないかぎり待たねぇってな」
「言うから、ちょっと!!」
「もう遅い。大人しく食われてろ」


”俺も1日会えなくて寂しかったんだぜ?”

そう言いながら笑う彼に、私は完全な敗北を認めた。


「・・・・寂しかった」
「あぁ・・・だから、今からたっぷりと愛してやる」


エイプリルフール。
勝てない相手への嘘は、ほどほどに・・・だな。





























★秋山夢/甘/※秋山視点



俺の彼女はいつもクールだ。
っていっても、表情はコロコロ変わるし可愛いんだけどさ。

裏の世界の人間なせいか、普通のことじゃ動じない。

喧嘩を売られてもすぐ突っ張っていくし、俺に何を言われても反撃してくる。


俺はそんな彼女の、”動揺”や”泣き顔”が見てみたいと思うようになっていた。
今日はエイプリルフール。まさにそれを実行する時。

こんないいタイミングは無い――――そうだろ?


「ねぇ、あけちゃん。話があるんだけど・・・いいかい?」
「あ?あぁ・・・いいぜ」


俺の事務所で本を読んでいたあけちゃんが、俺の前に座る。
眠そうに欠伸をする彼女はとてもかわいらしくて、今すぐにでも抱きしめて撫でたくなった。

おっと、でも我慢だ。

俺はこれからあけちゃんに、”別れ”を告げるのだから。


もちろんエイプリルフール。嘘だ。
嘘だけど、少しは動揺してくれるかなってさ。


「実は」


俺の予想だと動揺しながら怒って俺の前から消える、と思ってる。


彼女のことだ。そこまで取り乱したりはしないんじゃないかなって。
だけど嘘でもこういうことを言うのは胸が苦しい。

キリキリと締め付けるような罪悪感から逃げつつ、俺は”嘘”を放った。


「俺と、別れてほしいんだよねぇ」


あくまでも普段通り。
飄々とした様子で言葉を放った俺に、ありえない光景が飛び込んできた。


それは動揺なんてものじゃなかった。


ただ呆然として。
今にも泣き出しそうな表情を浮かべたあけちゃんが、口唇をかみしめていた。

そして落ち着くように息を吐き、俺に対して笑みを浮かべる。


「まじ、かぁ・・・。ま、そうだよな。秋山みたいないいオトコ・・・私にはもったいないって、ちょっと思ってたぜ」


怒りもしない。


「・・・・どうしてかなんて、聞く気もしねぇけど・・・これだけは言わせてくれよ。私は別に・・・秋山に全てを捧げられたことを、後悔してない・・から」


泣きもしない。


「・・・じゃ、あな」
「・・・!!待って!!」


ただ潤んだ瞳を俺に向けて。
苦しげに笑って、最後まで俺のことを褒めて。


・・・ああ、なんて馬鹿なんだ俺は。

俺は思ってた以上に、彼女に愛されていたんだ。


気付かずにこんな馬鹿みたいな嘘。
最低だぜ、ほんと・・・俺は。


「ごめん、あけちゃん」
「っ・・・・んだよ、離せっ・・・」
「嘘、なんだ」
「は?」
「今日、エイプリルフールでしょ?ちょっといたずらしてみたくなって・・・・」
「・・・・っ」


あ。


壊れたようにあけちゃんの身体が沈んでいく。


倒れかけた彼女の身体を支えるように、ぐっと力強く抱き寄せた。
泣いているらしいあけちゃんが、俺から顔を逸らす。


「見るな。触るな」
「・・・・ごめん」
「謝るなクズ」
「・・・・・・ごめん」
「もう、いいよ、ばか。しね、はげろ」
あけちゃん・・・」
「・・・・許してほしければ、今日の時間全部私によこせ」


暴言の中に紛れた、あけちゃんらしい言葉。
俺はそれを噛みしめるようにキスをして、更にあけちゃんを強く抱きしめた。


ごめんね。

来年は君が喜ぶような嘘を吐くよ。


次は泣き顔よりも、笑顔が見たいから―――なんて、ね。
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