Erdbeere ~苺~ 中途半端な知識に感謝しよう 忍者ブログ
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2015年03月15日 (Sun)
ピコ夢/甘/ホワイトデー企画/悪魔連載ヒロイン/※ヒロイン視点

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ホワイトデーとは。
バレンタインデーと同じくお菓子の会社の策略によって作られたモノ、らしい。

私も元々は天国の存在だから、こういうイベントには疎いんだけど。


とりあえずバレンタインデーは「私がプレゼントだよ!」っていう凄くベタなので乗り切った。
ただ、ホワイトデーにこうなるなんて思ってなかっただけで。

私は朝早くから自分の上に乗っているピッコロを見て、顔をヒクつかせた。


「あの、ピッコロさん」
「なんだ?」
「な、なにしてるんですかね・・・・?」
「分かるだろう?」


わ、分かるだろうって言われても。

襲おうとしてる様子ではないけど、ただ睡眠妨害に来たって感じでもない。


・・・となると。あれ、今日修行でしたかね?
私の頭の中はホワイトデーにヤキモキするピッコロを見る予定しか無かったのに。

色々悩んだ挙句、無言のままで私を見下すピッコロにいつも通り挨拶をした。


「お、おはよ・・・・」
「あぁ、おはよう」
「あの・・・それで、これは一体?」
「分からんのか?」
「いや全然わからないんですけど・・・ってか潰れる・・・っ」


私にまたがるとかではなく、普通に私を潰して座ってるせいで身体が悲鳴を上げる。
重さから逃れるために暴れだした私を見て、ピッコロがやれやれと首を振った。


「なんだ。今日はホワイトデーだろう?」


あ、もう、なんかもっとワケが訳が分からなくなったよ?

ホワイトデーだから私の上に乗るの?
むしろ首を振りたいのは私だと、上に乗り続けるピッコロを一発殴った。


「何ワケわかんないこといってんの!!重たいよ!!退け!!」
「・・・何?」
「いやだってホワイトデーだからって私ののしかかってる意味が・・・分からないんだけど・・・っ!?」
「・・・・ホワイトデーはバレンタインデーのお返しをするんだろう?」
「へ・・・?」


バレンタインデーはホワイトデーのお返しの日。
まぁ、そこは合ってる。

私はそこでもう一度自分の行いを振り返った。


私がバレンタインデーにあげたのは、自分自身。
それはピッコロが食べ物を食べれないからしょうがなく選んだ選択肢だったんだけど。

バレンタインデーの、お返し。

つまりこれはまさか。


「え、お返しはピッコロです、的なやつ?」
「そうだが?」
「・・・・う、うん」


・・・どうしよう。

そんなこと言われても、どう扱えばいいのか分からない。


ピッコロを食べさせて!なんて言おうものなら、どうせ途中で反撃に合って私がひどい目に合うのは目に見えている。
とすれば、デートに付き合ってもらうとか?


「じゃあ、今日一日私に付き合っていただけますか?」


本当はチョコをくれれば良いんだよ、とか。
ちゃんと教えてあげるほど、私は優しくない。

滅多にないんだからさ。ピッコロが私の好きにされる日なんて。


にやりと笑って伸ばした手に、緑の大きな手が重なる。


「よしじゃあ・・・早速」






























「・・・本当にここでいいのか?」
「いいのいいの!」


人里離れた場所。
人間が立ち入ることが難しい世界の果てにあるそこに、私達は浮かんで居た。

目の前に広がる一面の花畑。

しかもそれは一切人間の手に触れること無く成長したもので、自然界の美しさと強さを私達に見せつけていた。


天高く伸びる木。
見える地面全てを埋める、見たこともないような花。

平和に浸る蝶や動物達。

私の傍まで来た鳥に魔法をかけて、指先に呼び寄せる。


「お前の言うデートとやらは、俺の知識とは違うようだが?」
「何言ってんのさ。好きな人とどこかに行けばそれでデートだよ」
「・・・・ゆえ


人混みが嫌いなピッコロは、あまり下界に降りたがらない。
降りたとしても何時通りの荒野で修行だったり、滝の傍だったり。

だからこういう綺麗な場所を見せてあげたいって思ったのが、本音だった。


そりゃもちろん、見せつけるように人前でピッコロとデートしてみたいとは思うけど。


嫌なところに連れてっても、楽しくないから。
鳥を解放してあげた私はピッコロに向き直り、そっと手を繋いだ。


「やはり難しいな、恋愛は」
「お互いに良ければそれでいいんだよ。私はピッコロとどこかに出かけてみたかっただけだし!」


毎日やることと言えば修行か、瞑想しながらお話か。

ちょっとぐらい刺激が欲しかっただけ。
違うことを、たまにはしてみたかっただけ。


ちらりとピッコロの横顔を盗み見れば、優しげな表情で目の前の光景を見つめていた。

良かった。ピッコロも喜んでくれてるみたいだ。


「・・・・だが」
「う、うん?」


ぼーっとピッコロを見ていたところで突然目が合い、思わずびくっとする。


「これでは俺がお前にしてもらってるのと同じじゃないのか?」
「ん?」
「俺の方から礼をするのが普通だろう?お前が俺をココに連れてきてコレを見せたのでは・・・俺はまた貰ってしまったようなものだろう」


ったく、ピッコロってば気難しいなぁ。
理解出来ないことを理解しようとしてくれるのが嬉しくて、そっと肩を寄せる。


ピッコロは静かにそれを抱きしめてくれた。

うん、これ。これだけで幸せ。


「にひひ、幸せ」
「・・・ますます分からん」
「もー、ピッコロ気にしすぎだよ?こうやってピッコロの時間をたくさん貰えてるから幸せなのに!」
「・・・・・」


強い風が吹いた。

辺り一面の花が揺れ、そして儚く花びらが舞う。


綺麗だ。
この光景を一度でも良いからピッコロと見たいと思ってた。

希望が叶って、大満足だ。

山の奥に隠れ始めた太陽を見てピッコロを見上げた。


「そろそろ戻る?」
「・・・・いや」
「うん?もう少しいる?」
「いや・・・次は、俺が連れてってやる」
「へ?のわぁっ!?」


私の肩に触れていた手が腰に回され、もう片方の手が私を抱き上げた。
俗にいう、お姫様だっこ状態。

間近に見えるピッコロの顔にドキドキしてしまい、思わず顔を逸らした。


「わ、私、飛べるけど・・・!?」
「せっかくだからいいだろう?それとも、嫌か?」
「い、いやじゃないですが・・・ドキドキします」
「フッ・・・なら問題ないな」


舞う花びらと、意地悪く笑うピッコロの表情。
どっちも綺麗だけどピッコロの方が綺麗だなんて思ってしまった私は。

―――――末期、だったりして。































ある意味非現実的な光景を私は見てる。
さっきまで見てた花畑は無くなって、目の前に映るのはいつも通りの光景。

そう、普通の、ごく普通の街。

人混みというほどではないけど人はいる。
夕日が差し込み始めたそこは、人生で初めての”遊園地”


「ピ、ピッコロ・・・?」
「なんだ?」
「い、いいの?」


普通の人間と変わりない軽い服装に変えた私達は、遊園地の中に居た。
あまり大きな遊園地ではないからそんなに混雑してないとはいえ、ピッコロはこういう所が苦手だったはずなのに。

私の言おうとしていることに気づいたのか、そっぽを向きながらピッコロが私の頭を撫でた。


「・・・・お返しなんだ。俺よりもお前が優先だろうが。それに俺もお前となら・・・別にこういうところも悪く無い・・・」


その表情は別に無理をしている様子はなく。
安心した私は、遠慮無くピッコロを連れ回すことにした。


とはいえ、遊園地の乗り物なんて私達にとってはただの軽い玩具。


ジェットコースターも自分たちで飛んだほうが早かったし、お化け屋敷も怖くない。
だけど楽しかった。この貴重な体験と、ピッコロとデートしてるって事実が。


「ふはぁー!!たのしかったー!!あとは観覧車だけかな?」
「ったく、全部制覇するとはな・・・・」
「軽いモンでしょ!あ、飲み物買ってくるね!」
「ん?あぁ」


普段なら魔法で飲み物ぐらい出すけど、ここは下界。
さすがに不用意な魔法はマズイから、自販機で水を買うことにした。

幸いすぐ近くに自販機を見つけ、小走りでそれに近づく。


と、その時。
小さく後ろから腕を引かれ、足が止まった。


「おわっ!?な、なに?」


ピッコロが追いかけてきたのかと思って振り向けば、まったく見知らぬ男が2人。

振り払おうと思えば振り払えるけど・・・別に殺意は感じない。
とりあえず話を聞くために向き直る。


「なに?私に何か用?」
「俺達と遊ばない?カワイコちゃん」
「か、かわいこちゃん・・・そんな歳じゃないし、何より私デート中だからお断り」


ナンパ、か。

私をナンパするなんて凄い度胸だ。
だってほら、私、ピッコロと同じように異型だし。


揺れる翼と尻尾を見せつけるように背を向けても、2人は引こうとしない。


「デートって言ったってあいつだろう?」
「そうそう、あんなやつより、俺達との方が楽しいぜ?」
「うわ、見てたの?ストーカーじゃん!」
「しょうがないじゃん。お嬢ちゃん可愛すぎるんだもん!」
「ずっと無愛想なあんな彼氏より、俺達の方が・・・・」


ああもう、うるさいな。

アンタ達に何が分かるってんだ。ピッコロの何を知ってる。


「まるで美女と野獣って感じだよねぇ?」
「お嬢ちゃんには似合わないかもしれないけど、彼よりはお嬢ちゃんを喜ばせて・・・がっ!?」


段々苛ついてきた私は、後ろからピッコロが2人に声を掛ける前に1人目をデコピンで軽くふっ飛ばしていた。
ふっ飛ばされた男の隣にいたもう1人が、それを見てその場に座り込む。


「ひ、こ、この女・・・!?」
「はいはい。アンタも悪口言ったんだから・・・ちょーっとだけ、ね?」
「へ?ごふっ!?」


はい、終了。

呆然と見ていたピッコロの手を引っ張りながら、私は倒れている男たちを振り返ること無く観覧車へと進んだ。


観覧車に乗り込んで、一息。
誰も見ていないことを良いことに買えなかった飲み物を魔法で出した私は、ペットボトルの水をピッコロに渡した。


「はい!」
「あ、あぁ・・・・」


静かな、空間。
向かい合うように座っていた私達は、お互いに目線を合わせること無く外を見ていた。


なんとなく、喋りにくかっただけなんだけどね。

あんなところ・・・見られちゃったから。


数分前の自分の暴力を後悔してため息を吐く。
そのタイミングと一緒に、ピッコロが少し私の方を見た。


「・・・・どうして、あんなことをした」


耳の良いピッコロなら聞こえてたくせに。
そう思いつつ、これ以上話すタイミングを失うわけにはいかないと理由を話した。


「だって・・・」
「俺のことを、馬鹿にしたからか?」
「・・・・分かってんじゃん」
「だが別に間違ってはいないだろう?俺は異型だ。あいつらからすればな」
「っ・・・・」


そう、間違ってはない。
間違ってはないけど。

納得出来ない。


「納得出来ないから殴った」
「お前な・・・」
「ピッコロは誰よりもかっこいいの!分かる!?それはもう油断すれば心臓が飛び出て死んじゃうぐらいにはステキでかっこいいの!!!!」
「なっ・・・・」


思わず、怒鳴っていた。
納得してもらえないことに、ちょっとイライラしちゃって。

ピッコロは分かってないんだ。

自分の魅力を、かっこよさを。


だから思わず怒鳴っちゃったけど、言った後で顔が熱くなるのを感じて後悔した。
慌てて顔を隠すように窓の外を見た私を、ピッコロは許さない。


「おい」
「っわ・・・」


観覧車が少し揺れ、何時の間にかピッコロが私の隣に座っていた。


「ったく・・・そんな顔をするな」
「・・・だ、だって」
「襲いたくなる」
「え、あ、全然想像と違っ・・・・」


いつもの調子を取り戻してピッコロから離れようとしたが、もちろん逃げられるわけもなく。
手を押さえこまれ、気づけば深く口付けられていた。

両手を掴む強い力。

時々漏れる低い声。吐息。

ほらやっぱり、ピッコロは素敵だ。
ドキドキして死んじゃうよ、気を抜くと。


「ん・・・」
「・・・もうあんなことはするな。後々めんどくさいことになるかもしれんからな」
「うん」
「だが・・・嬉しかった」
「・・・・ね、ピッコロ」


離れた口唇を追いかけて、軽く触れるだけのキスをする。


「ありがとう。最高の1日だったよ」
「フッ・・・俺もだ」


ひょんな間違いから始まった1日に感謝しながら、私達はずっと口づけを続けた。
観覧車が最初に戻るまで、ずっと、ずっと。



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