Erdbeere ~苺~ 3.5 愛し方が分からない 忍者ブログ
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2024年11月15日 (Fri)
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2014年08月17日 (Sun)

彼女が俺から離れていく。
その姿を見て俺は、突然彼女を手に入れたい衝動に駆られた。

そしてその衝動を、抑えこむことが出来ず。
俺は背後からあけを引っ張ると、そのままベッドまで引きずり込んで押し倒した。

突然のことに、あけは目を見開く。


「峯?」


あけは俺に持っていないものを持っていた。
それと同時に、俺に知らないことを教えてくれた。

見返りを求めない絆。
俺を恐れず、媚を売ることもせず、いつもただ俺の周りにいる。


最初はうるさかった。

俺に干渉するのが、気に食わなかった。


なのにそれがいつか、皆と同じように消えてしまうと思うと。
―――耐えられない。今すぐにでも、閉じ込めておきたい。


「・・・・」
「峯・・・・」


この衝動の正体が掴めないまま、俺はあけの両手をベッドに押さえつけた。
あけの手が小さく震えている。
それでもあけはそれを見せないように、俺のことを真っ直ぐ見つめた。


「どうしたんだ?そんなに、私がいなくなるのが不安だった?」


冗談めいた言い方。
でもそれが今の俺の心の中の、真実だった。


「・・・・あぁ」


失いたくない。
いつもは怒りを募らせるだけだった”裏切り”も、今ではただの恐怖。

失いたくない。
この心地よさを、永遠のものにしたい。


「俺はお前を」


――――失いたくない。


「っ・・・・!?」


あけの驚きの声は、声にならなかった。
ジタバタともがくあけを無視して、俺はその行為を続ける。

何度も、何度も。
貪るように口付ける。
相手の心を聞かずに塞いだ唇は、抵抗することなく震えていた。


「ん、んん・・・・」


こんなにも、誰かをほしいと思ったのは、初めてだ。
恥ずかしそうにもがくあけを、奪い尽くしたいと理性が揺れる。


「・・・・はっ、て、てめ・・・!」
「随分初々しい反応だな」
「な、慣れてないんだよっ!!つうかな、勝手にこんな・・・・!!」


真っ赤な顔で俺に文句を言おうとする口を、また塞いだ。

ただ欲望を満たすためにしか口づけを交わしたことのない俺は、欲望ではない何かが満たされていく口づけに夢中になった。

何が満たされているのか分からない。
でも止められない。俺の下で翻弄されるあけの姿を見るたび、ゾクリと身体が震える。


「っは、ぁ・・・も、たんま、峯・・・・」
「・・・好きだ」
「・・・・え?」
「好きだ」


つぶやくように、俺の口から漏れでた言葉。
それは俺すらも予想のしていない言葉で。

発した瞬間に、俺が壊れていくのを感じた。

そう、愛しているんだ。
彼女のことが、欲しくて欲しくてたまらない。


「あの、み、峯・・・嬉しいんだけど、その、私、恋愛にはあんまり・・・・んっ」


耳に入れたくない言葉を無理やり塞ぐ。
文句を言いながらも俺に翻弄されていく姿は、俺になかったものを満たしていく。


「峯っ・・・・」
「・・・・あけ
「まって、峯。私は・・・!」


聞きたくない。
ただお前は俺の傍にいればいい。

絶対に失わないように。

絶対に、俺から離れないように。


――――そうだ。








































俺が愛した女は、金も権力も必要としない女だった。
それ故に、俺は彼女をつなぎとめる方法を、知らなかった。

今までの奴らは皆、見返りだけを求めて俺についてきたのだから。
誰一人として、彼女のように純粋な気持ちで俺の傍に居た奴は居ない。


だからこそ、どうやって彼女をつなぎとめていればいいのか。

離れていこうとしたら、どうやって止めればいい?
金も、権力も、何にも揺らぐことのない彼女を。


―――なら。

止めることが、必要にならないようにすればいい。
俺は自分の愛情が歪んでいることに、気付いていた。

気付いていても、止められなかった。


「峯・・・も、う・・・・」


彼女の手につながる、鎖。
足の自由を奪う枷。

晒される素肌。

俺がつけた、独占欲の痕。


「峯・・・頼む、信じて・・・私は、絶対にいなくならないから・・・・」


永遠に繋いでおけば、逃げられることはない。

歪んでいると気付いているのに、俺は彼女を離さなかった。
まるでペットのように繋がれているあけは、潤んだ目で俺を見つめる。


「峯・・・・」


こんなことを、しているのに。
まだあけは、俺を真っ直ぐ見つめていた。

それが心地よくて。
軽い口づけであけを黙らせ、そのまま晒されたままの肌に手を這わせた。


「ぁ・・・っ」


傷だらけの、決して女性らしくはない肌。
脇腹に見える鷹の刺繍。

ただその反応は、金をつんで買ったどんな女よりも可愛らしい。

彼女が、こういうことに対して初めてなのは知っている。
なぜなら俺が、初めてを奪った本人だから。


俺はどれだけ彼女に恨まれているだろう。
どれだけ、殺意を抱かれているのだろう。

そう考えるだけでも、身体がゾクリと震える。

恐怖ではなく、歪んだ何かが満たされていく感情で。


「・・・もっと、触って欲しいですか?」


滅多に使わない敬語で問えば、あけが恥ずかしそうに目を瞑る。
行為の時にしか使わない声色と言葉で、俺はあけの反応を楽しんだ。

こんな反応ができるようにしたのは、俺だ。

そしてこの反応が見ることが出来るのも、俺だけ。


「う、峯・・・はずして・・・・」


じゃらじゃらと揺れる鎖の音。
俺はあけの望みを叶えることなく、肌に強く口づけた。


「っぁ・・・峯、おねがい・・・・」


聞こえない。
聞きたく、ない。


「黙って・・・抱かれててください」
「・・・・・っ」


また今日も、狂った愛で彼女を汚す。
わかっていても止められない、衝動のままに。




































彼女をペットのように閉じ込めてから、数ヶ月。
ついに彼女は、俺の前から姿を消した。

わかっていた、こんな愛し方が正しくないということは。

それでも、俺は繋ぎとめ方を知らなかったから。
こうするしか、なかったんだ。


でも彼女は昨日、心配して探していた大吾さんによって解放された。

大吾さんは特に俺を怒ることもせず、むしろ心配してくれた。
その優しさに、俺は泣きそうになった。


だが、泣く権利などない。
ボロボロになった彼女は、俺を恨んでいるだろう。

もう二度と、戻らない。


どれだけ金を出せば手に入るんだろうか。
見返りを必要としない、純粋な、心地良いあの愛は。

あけ以外の女に、あれを持つ女はいるんだろうか。


「・・・・・」


何もやる気が起きず、俺は昨日まで彼女がいたベッドに寝そべっていた。
携帯が何度も何度も鳴り響くが、見向きもせず無視する。

ぽっかりと、心に穴が開いてしまったような感覚。
もう一度寝ようと目を閉じれば、遠くから聞きたかった声が聞こえた。


「おーい、峯~」


そう、俺の名前を呼ぶ彼女の声。
俺はついに、幻聴まで聞くようになったのか。


「こらー、どこいんだー?片瀬が困ってるぞー」


そんな風に起こしに来てくれるなら、俺はいつだって起きてやる。

もう一度触れたい。
ずっとそばに居て欲しい。
それだけで良かった。

・・・なのに俺は、どうしてこんなことしか出来ないんだ。


「おーい」


虚しい。
ただ、虚しい。


「おーい、いんだろー」


声だけでも満たされていく俺の心は、どれだけ小さくなってしまったんだろう。


「おい」


このまま、夢の中で彼女に会えたら。
そんなことまで思ってしまう。


「おいこら!居るんじゃねぇか返事しろはげ!!!」
「っ!?」


バシン、と。
ありえない衝撃を腹に受け、俺は思わず目を見開いた。

幻聴だと思っていた声が真上で聞こえる。
ついに幻覚か・・・なんて呟けば、不機嫌な顔したあけが拳を固めた。


「OK・・・夢だと思うならもう1発だな」


拳を固めたあけの手首に見える、鎖の痕。
ゆっくりと身体を起こしながらあけの姿を見ると、あけは不思議そうに首をかしげた。


「ん?どうした?」


―――いや、そうじゃない。
何故?何故だ。


「どうした、じゃないでしょう。何故あなたがここにいるんです」


出来る限り平然を装うように、俺は敬語であけに聞いた。

昨日、大吾さんに助けられて俺の部屋から逃げ出したあけ
その彼女が目の前に居る。

だが、分かっているはずだ。
戻ってくればもう一度、同じことをされる可能性があることぐらい。


そんなことぐらい、あけが分からないはずがない。

なのに、どうして。


「何故って・・・約束したし?」
「・・・は?」
「は?って酷いな!約束しただろ!離れないって」


さも当然とばかりに言うあけを、俺は抱きしめることもできなかった。


「ま、色々された分はのちのちたっぷり返させてもらうとして・・・」


ニヤリと悪い笑みを浮かべながら、あけが俺の上にまたがる。
思わず身を引けば、キスが出来そうな位置まであけの顔が近づけられた。


「順序はおかしくなっちまったけど、私も・・・すきだよ」


”だから、お前が普通に愛せるようになるまで付き合ってやるよ。”

まるで子供を扱うような言葉で。
俺の耳元で囁かれる。


あけ・・・」
「ま、さすがに鎖はやめてくれよなー。痛いんだからあれ。一種のプレイとして今回のは許してやるよ・・・・峯だからな」


キスも何もせず、俺はただ目の前にいるあけを抱きしめた。
帰ってくるなんて思わなかった。こうやって触れられると思わなかった。

もう二度と、会えないと。


「・・・泣くなよ、峯」
「・・・・」
「こういうの得意じゃないけど、私でよければ・・・傍にいさせてくれ」


気づけば俺の頬には、大粒の涙が伝っていた。
無表情のまま涙を流す俺に、あけが優しい笑みをこぼす。


「半年補佐やったけど、峯の色んなところが好きだぜ。ちょっと意地悪なのがむかつくけどなー」
「・・・・意地悪、か」
「あぁ。でも、ま、それも含めて好きだぜ。意地悪なところも、ちゃんと私の事見てくれてたことも」


あけの小さな手が、俺の涙を拭った。
その手に俺の手を合わせれば、感じた温もりにまた涙が零れる。

温かい。
この温もりを離したくない、でも。


もうあんなふうに繋ぎ止めるのは止めよう。
俺も信じるんだ。あけを。

鎖ではなく、愛で繋ぎ止めるために。


「・・・・愛してる」







































呟いた愛の言葉は、あけの笑顔に変わって。
(今度は愛という鎖で、彼女を繋ごう)

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