Erdbeere ~苺~ 2話 それは信頼と呼ぶ何か 忍者ブログ
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2025年03月10日 (Mon)
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2014年04月14日 (Mon)
信頼されていないようで、実はされているというお話
<2話/ほのぼの/ベジータ視点>

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気の強い女。
それがあの女に対する、俺の第一印象だった。

あれからベジータ星に一緒について来た少女は、一気にその本性を現した。
気が強いだけでなく、生意気で、うるさくて、とにかく気に障る。


だが、確実な実力は純粋なサイヤ人よりも持っていたため、いつの間にか俺の部下になり、行動を共にするようになった。

そこからだ。
俺の全てが狂い始めたのは。


「・・・い、おい女!!」


また別の星へと行く前のこと。
共に行くはずだったベリトアが見当たらずわざわざ探していると、ベリトアは呑気に外で寝息を立てていた。

あまりの怒りに、俺はベリトアの耳元で大声を上げる。


「貴様!!!起きろ貴様!!!!!」


ぴくり。

尻尾がふよふよと動く。
だが、ベリトア自体に変化は無かった。

さてはこいつ。

一つの答えが浮かんだ俺は、軽い気を指先に溜め、奴の額へと打つ。
ペシンと軽い音が響き、寝ていたはずのベリトアの尻尾がその気を打ち返していた。


・・・やはり、こいつ。


「起きてやがったな、女!!」
「っさいな!女って誰よ。いっぱいいるっつってんでしょ!!」
「お前のことだ、女」
「・・・・」
「おい、女!!星に行くぞ!!」
「・・・・・・」
「おい女!!!!」


響き渡る声。
何故俺がこんなに声を上げなきゃならんのだ、と。
怒りに震える俺を無視し、女は未だに寝続けている。


沸点を超えた俺は、ゆらゆら揺れる女の尻尾に自分自身の尻尾を絡め、思いっきり引っ張った。
ぐんっ!と勢いよく引っ張られたせいか、女は驚いた表情を浮かべるがもう遅い。

勢いを押し殺すことが出来ず、女は壁に激突した。

辛うじて受け身を取った女が、俺の方をギリギリと睨みつける。


「何すんだこのばか!!!」
「馬鹿だと?貴様、誰に向かってそんな口を・・・!!」
「アンタよアンタ」
「き、貴様・・・」
「嫌ならアンタも、女っていうの止めてくれる?私、女って名前じゃないから」


なんだこの強情な女は。
殺気立つ俺をまた無視し、どこかへ行こうとする女の尻尾を掴む。


「おい女」
「・・・・・・」


力を込めても、はたいても。
意地なのか、尻尾以外はビクともしない。

何なんだこいつは!!
俺の力を見れば皆が恐れ、俺の姿を見れば誰もが震える。
逆らうやつは叩き潰し、屈辱を与えつくす。


それがこの俺様だというのに、こいつときやがったら。

俺が尻尾を引きちぎる勢いで引っ張ると、さすがの女も悲鳴を上げた。


「いだだだだだっ!!ちょっとまって!!抜けたらどーすんだ!!痛い!!痛い!!!」
「それが嫌ならさっさと来るんだな」
「お断り」
「・・・・引きちぎられたいか?」
「知ってる?フィレット族の尻尾って大事な部分なんだぞ?それに触ってるアンタはセクハラ王子ってことだよ」
「な、何!!??俺がセクハラ王子だと!!ふざけやがって貴様!!!」


怒りに震える俺も何のその。
名前を呼ばない限り一切従わないのが分かり切っている女に、俺は仕方なく名前を呼んだ。


ベリトア
「何ですか?ベジータ様?」


憎らしいほど、真っ直ぐな瞳が俺の方を向く。

気に食わないが、この女ほど俺に真っ直ぐ楯突くやつもいないだろう。
だからこそ、少し楽しさを感じている部分もあった。

こいつは真っ直ぐ俺を見ている。
何の欲もなく、ただ俺を、ベジータとして。ベジータ王子として。


戦闘だけを考えるサイヤ人には、純粋に戦闘を楽しむ者、そして邪心を持つものもいる。
ただ何も考えず上級戦士やエリートと関わる奴などそういない。

ただ、こいつだけは分かる。

ただ純粋に俺を見て、俺に忠誠心を捧げ、そして。
純粋に俺と一緒に居るのを楽しんでいるのが。


それを最初はうっとおしく思っていた俺が、いつの間にかこの状況を、この喧嘩を―――楽しんでいるのは何故なのか。

それは今の俺には、分からない。


分かるのはただ、今目の前にいる女が、楽しそうな笑顔を浮かべていることだけ。


「ちょっとベジータ王子?命令は?今日はどこの星だったっけ」
「ついてくれば分かる」
「はいはーい。ついていきますよっと」


こいつが着いてくるのが、心地いい、ことだけ。








































謎の感情にすら目もくれず、俺はただこいつと二人で戦いを楽しむことだけを続けた。
(そう、それが、戦闘民族サイヤ人だ)
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