Erdbeere ~苺~ 4話 私が仕えるのは、そう、貴方 忍者ブログ
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2014年04月14日 (Mon)
私が仕えるのは、そう、忠誠を誓っているのは・・・貴方だけ
<4話/シリアス/ヒロイン視点→ベジータ視点>

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文字通り、粉々だった。

私達が遠征で居なかった間に、この星が、ベジータ星が負った運命は。


粉々になった、私の第二の星。
私が故郷だった星は、もうとっくに空っぽだけど。
この星は空っぽなんかじゃない。そう、文字通り粉々になってしまったのだ。


そして私たちは、フリーザの元に仕えることになった。

生き残ったのはベジータと、私と・・・同じく遠征に出ていたラディッツ、そしてナッパ。
あれだけたくさんいたサイヤ人の血は、こんなにも少なくなってしまった。

たった、たった数日で。


生き残ったサイヤ人は、ベジータの、そしてフリーザの元に仕えることになった。
それが決まった後、いつもとは違う部屋に戻ってきた私の前で、ベジータの表情が変わる。


―――ああ、分かる。彼の気持ちが。

誇り高き彼の、プライドが、唸りを上げているのが。


「くそっ・・・・」


私は彼に仕えてきた。
ベジータ王に気に入られ、私自身も戦いが好きだったからこそ、ベジータに仕えることに苦は無かった。

楽しいことが好きだから。
王女として閉じ込められるよりは、マシだったから。


最初はうるさくてめんどくさいと思ってたけど、中々ベジータは良い人で。

プライドやら何やらの塊だけど、わりと良い所も、面白いところもある。


だから分かるんだ。
彼がどれだけ悔しいか。

・・・そして心の奥底に、何を秘めているのか。


「ベジータ」
「・・・うるさい。俺に気安く喋りかけるな雑魚が」


冷たい瞳を向けられる。
それでも私は、ベジータの傍から離れなかった。

普段ならこんな苛立ちを向けられたら、キレちゃうんだけど。
今のベジータの傍に、何を言われても居たいと、思えたから。


「消えろ」
「・・・・」
「消えろというのが聞こえないのか!!!」
「っさいわね。聞こえないっつの」


ツンとした態度を取れば、ベジータの殺気が膨れ上がる。


「貴様・・・」
「・・・ベジータの気持ちを、私ごときが分かることなんて出来ない、でも」


私の声は、静かな声で言い放った。
ベジータの目を、まっすぐ見つめて。

私の心を。


「私は、ベジータ様に仕えるよ」
「・・・」
「私は、ベジータだけに」
「・・・分かってる」
「あれ、分かってくれたんだ?」


クスリと笑って無駄口を叩いても、彼は答えない。
彼の瞳に映っているのは―――きっと、そう。

プライドと、いつか彼がNo1となる、未来。








































フリーザに仕えるようになってから、数日後。
私はフリーザに一人で呼び出された。

いつもなら、ベジータと一緒なのにと心の中でふて腐れる。
だってアイツ苦手なんだもん。そんなこと、本人様の目の前じゃ言えないけどね。


「フリーザ様、お呼びでしょうか」
「あぁ、良く来ましたねベリトアさん。今日は少しお話がありまして」
「私にですか?なんでしょう」


使い慣れない敬語で、跪きたくない奴に跪く。
身体がぞわぞわするのを感じて、たった数年でベジータに影響されてしまったことを、強く身体に感じた。


こんな奴に跪くなんて、私のプライドが傷つくわ、なーんて。

跪いたまま顔を隠し、ぎりりと唇を噛む。
フリーザには気づかれないよう、嫌悪感を示した。


「時にベリトアさん。何故貴方は報告書を全てベジータさんの名前で出しているのですか」


フリーザが言っているのは、地上げの報告書のことだろう。
私たちがフリーザ達に仕えてから、やっている仕事は宇宙の地上げ。

惑星を出来るだけ綺麗な状態で支配し、それを売る仕事。

でも、私には興味のないこと。
それを得た先でもらえる地位など、私には必要ない。


必要なのは、ベジータの地位。
ベジータが上るだけの力。

いつの間に私は、こんなにベジータへ気持ちを入れ込んでしまっていたんだろう。


でも、楽しいんだ。
ベジータは嘘無く、私を見てくれる。

良い意味でも、悪い意味でも、ね。

箱の中に閉じ込められていた王女の世界から、救い出してくれた王子様、なのかもしれない。


聴けばすごく良い響きだけど、実際は結構ドロドロしたもので。
星の破壊とか、人の死とか、たくさんあったんだけど。


王女の箱に閉じ込められていた私を救い出してくれた。
言い合いながらも、何だかんだで私を見てくれていた。
一緒に戦って、戦闘がどういうものなのかを教えてくれた。


「私にとって、ベジータ様が全てです」


今までの中で、一番綺麗な笑みを浮かべてフリーザへと顔を上げる。


「だから、いいんです。地位とかめんどくさいですし、全てベジータ様へあげてください。そして・・・」


笑顔の裏に隠された毒を、フリーザは感じ取っているかもしれない。
それでも構わない。私はフリーザに何の感情もないからだ。

ベジータのために、従う。

まぁ、こんなこと本人の前じゃ言ってあげないけどね。


「私への命令は、全てベジータ様を通していただけると」
「・・・・ほう、何故です?」
「私の全てはベジータ様に」
「ふふ・・・面白い、実に面白い。分かりました。ベジータに、ですね」
「では、失礼します」


出来るだけ感情を抑え、何も悟られないようにフリーザへ背を向ける。
そして何も言わず、フリーザの部屋を後にした。






































「聞いた通りですベジータさん。ベリトアはああ見えてとても厄介なのですよ。きちんと貴方の方で制御をお願いしますよ」
「・・・・・」


俺はとある日、フリーザに呼び出された。
理由はベリトアのことでだ。きちんと俺が制御しなければ、害になる存在と見なして消すと言われたからだった。

何故、フリーザに何故そこまで言わせたのか。
その理由が今のベリトアとフリーザの会話で、理解することが出来た。


アイツがそこまで、俺に忠誠を誓っているとは、思いもしなかった。
ただ面白いから、そうだと思っていたというのに。

あいつの目はいつものように、嘘をついていなかった。

真っ直ぐな目で。嘘の無い純粋な瞳で。


「ベジータさん?」
「分かりました。アイツは全て、俺の方に任せてください」


俺もベリトアが帰って行った扉を潜り、フリーザの元を去った。


「・・・ちっ。アイツ」


ベリトアのやつめ、余計なことを。
苛立ちの中に妙な心地よさを感じながらも、俺はそれに気づかず、ベリトアの居るであろう部屋に足を進めた。

この苛立ち、とりあえずアイツにぶつけなくては。


「おい、ベリトア。入るぞ」
「っ・・・ちょ、ちょっと待っ・・・・」


扉の先から聞こえた小さな叫びも気にせず扉を開けると、ベッドの上で苦しそうな表情をしているベリトアの姿が目に入った。


「なっ・・・・」


まじまじと見つめてはいけないものだと分かっていながらも、一瞬思考がマヒした俺に、そんなことは出来なかった。
良く見れば、ベリトアは上半身裸で・・・こちらに向けている背中に、酷い痣がある。

それだけじゃない。
服で隠れていたであろう全ての場所に、深い傷がある。
この前の遠征で受けた傷か?平気そうな顔をしていたが、まさかこんな傷を負っているとは。


「ハッ・・・馬鹿め。下等生物ごときにやられたのか?」
「・・・はは、まーね」


何故だ。
何故そこまでして、俺に仕える必要がある。

何故お前は―――俺に嘘をついているようなそぶりを見せない?


純粋すぎる奴は苦手だ。
こいつはそんな純粋には見えねぇ。そのくせして、あんなことをフリーザに。


チッ。この俺様が気にすることじゃねぇはずだ。
仕える奴は使ってやればいい。それだけの、それだけのはず。


「・・・・っつかベジータあんたね」
「なんだ?」
「なんだ?じゃないよ!!人の裸見るな馬鹿!!ハゲ!!」
「馬鹿だと!?貴様・・・っ」


罵倒しながらも、ベリトアの気がゆらりと揺らめく。
揺らめいた気が傷口を覆うように増えていき、徐々にベリトアの傷口を消していった。

それでも遠征から帰って来たばかりのせいか、気が弱く、傷口の治りも遅い。

荒い息を吐きながらベッドのシーツを掴むベリトアに、俺は静かに近づいた。


「なっ、なに・・・?」
「・・・・」
「ちょ、ちょっと、一応恥じらいが、あ、あるんだから・・・・」


俺の視線から逃れるように身体を捩る。
いつもは見せない女の表情。―――少し、笑みがこぼれた。

恥ずかしさに揺れる尻尾。
それでも続く治療。
俺はそんなベリトアの身体に触れるか触れないかの位置に手をかざし、強く気を送り込んだ。


「え・・・?」
「そんな弱々しい気じゃ、いつまで経っても終わらねぇ。さっさとしろ」
「あの、えっと・・・・あ、ありがと・・・・」


痛々しい姿のまま、弱々しく座っているベリトアを見てられなかった。
調子が狂うぜ。そんな素直な表情を浮かべられたら。


「・・・いいからさっさとしろと言ったはずだ」
「な、なに・・・?なんか、あったっけ?」


遠征だっけ?それとも任務?
少しビク付きながらそう尋ねるベリトアに、俺は送り込む気を増やしながら言った。


「メシだ」
「へ?」
「メシだ。さっさと作れ」
「えー!?なんでよ。外で食べて来ればいいじゃん!」
「なんだ?俺に逆らう気か?」
「・・・何、なんか、今日、機嫌良くない?」


”私の全てはベジータ様に”
その声が、俺の中に再び響く。

心地いいと思ってしまう、声が。


「そうか?」
「うん・・・まぁ、いいけど。とりあえず何食べたい?」
「肉」
「・・・・肉、ね。アバウトー・・・でもまぁ、分かったよ!りょーかしたっ!」


笑顔を浮かべたベリトアが、俺から気を吸収しながら治療を早める。
一生懸命に治療を早めようとするベリトアを見ながら、俺もそっとベッドへ腰かけた。














































何故だろうか。この場所が落ち着くと思えるのは。
(「って何隣に座ってるの」「お前に気をやってるんだ、感謝しろ」「い、いやまってよ。一応レディなのよ?裸見るってどうなのよ」「安心しろ。お前ごときの裸、何とも思わん」「ハァ!?アンタそれどうなのよ!!ショックだわ!!思われても困るけど!思われないのも悲しいっつの!!」)
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