Erdbeere ~苺~ 夜の蝶は毒を持つ 忍者ブログ
2025.03│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
いらっしゃいませ!
名前変更所
2025年03月09日 (Sun)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2013年06月26日 (Wed)
20000キリリク/桐生さん/※ヒロイン視点

龍3のキャバつく設定
スカウトした女性ではなく、ヒロインとNo.1キャバ嬢を目指す!

拍手




「頼む。キャバ嬢No1に・・・なってくれ」
「・・・・はっ?」


こいつは突然何を言ってるんだ。
そんな気持ちで私は目の前の桐生を見据え、もう一度「はぁ?」と聞き直した。

私の聞き間違えで無ければ、こいつは今、この沖縄の街にあるキャバクラで、No1になってくれと言われた気がする。

気のせいか?
いや、気のせいだよな。
なんだって私がキャバ嬢に・・・。


「頼む。あのキャバクラを立て直すために、一時的にNo1まで上り詰めてくれればいいだけなんだ」
「はぁ・・・まじ・・・で言ってるんだよな、それ」
「・・・あぁ」
「・・・・」
「他のどの女より、お前が一番出来ると感じた。だから・・・頼む」


桐生の話はこうだ。

とあるキャバクラに調子に乗ったNo1キャバ嬢―――ナツメって子がいて、
その子が好き勝手するから、No1の座を奪い取って改心させてやろうっていうもの。

そのナツメって子も相当調子に乗っているようだが、だからといってそれを引き受ける桐生は何なんだ。

大体、私みたいなキャバ嬢に向いてない奴を、どうしてスカウトするんだよこいつは。


「あのなぁ・・・絶対他の女の方がいいって」
「いや、お前しかいない」
「それは、お前が普段私と一緒にいて、私を知ってるからだろ?」
「だからこそだ。俺がコーディネイトするからには、俺がやりやすい相手の方が良い」
「・・・お、お前なぁ・・・・」


なんでそんな見ず知らずの人の店のことを引き受ける?
お前のその、私をNo1に出来るっていう自信はどこからくる?

そんな色んなことを聞きたくなったが、聞いても無駄だということを表情から感じ、深いため息を吐いた。

どんな人に対しても真剣だから、何も言えない。
私はお手上げだとばかりに両手を上げ、そのままくしゃくしゃと髪をかき上げる。


「わーったよ、分かった!引き受けるっ!そのかわり、No1になったら美味しい酒奢ってくれるんだろうな?」
「もちろんだ。やるからには、な」
「よっし!!んじゃ、さっそくやるぞー!!」
「まずはその話し方からだな」
「うっ・・・・」


痛いところを突かれ、私はヒクッと顔を引き攣らせた。
この後、想像以上の厳しいキャバ嬢生活が待っているとも・・・知らずに。
















思った以上に、桐生が本気だった。
話し方から洋服、全てキャバ嬢として叩き込まれ、メイクまで桐生に色々と指導されていく。

いつも情報屋としてキャバ嬢になる時は、ターゲットを一人に絞っているからこんな苦労はしない。

その人好みに全てを着飾り、作ればいいだけ。

でも今回の目標はNo1の座。
一人のお客さんに気に入られたからといって、手に入る称号じゃない。
だからこそ桐生の指導に逆らえず、私は必死に桐生の指導を頭に叩き込んだ。


「その仕草はやめろ、あけ
「・・・わーったよ」
「・・・・あけ?」
「・・・分かったわよ。そう怒らないで」


まず、1日騙すために女口調になるってだけでも辛いのに。
色んなお客さん相手にこのままで居なきゃいけないっていうのが、私にとっては苦痛だった。

それでも、一度やると言ったら取り返しが効かないのが桐生。
今逃げ出せば、たぶん追いかけてくる。いや、絶対追いかけてくる。

そんなことをしたら後で何をされるか分からないので、私は大人しくスケジュールに従い続けた。

桐生のスケジュールは、短期間で私を育て上げようとするもの。
朝の2時間で言葉遣いや仕草を指導し、残りの時間で接客。
接客している内に桐生がお客さんのリサーチを進め、お客さん好みに私を変える。

それの繰り返し。


「ほら、もう一度会話の練習をするぞ」
「少し疲れたんだけど・・・休ませてくれない?」
「じゃあ、服から変えるか?」
「うん。お願い」
「あぁ、分かった」


桐生がロッカーを開け、お客さんからリサーチしたのに合う服を取り出す。
朝のお客さんは派手好きが多くて派手にしてたけど、どうやらお昼は清楚好みが多いようだ。
桐生の取り出してきたシンプルなドレスに、ぐーっと背伸びをしながら服を脱ぐ。

清楚好きなら、このアクセサリーも全部外さなきゃな。

派手好み用に着けていたイヤリングを外した私は、ネックレスが取れないことに気付いて桐生を呼んだ。


「桐生、ごめん。服の前にこのネックレスとってくれない?」
「ん?あぁ、分かった」


ウィッグをかき分け、首筋を桐生に差し出す。
桐生はそっとネックレスを外した後、首筋にそっと手を這わせた。

その感覚がくすぐったくて身を捩れば、耳元で桐生に囁かれる。


「可愛いぜ」
「・・・・うっさい!」


勢いよく振り返り、桐生の手を首筋から叩き落とした。
それからテキパキとドレスを身に着け、先ほどとは全然違う雰囲気の女へと変身する。

赤いドレスから白へ。
ウィッグもくるくるからストレートに変えて。
ゴテゴテだった化粧も、軽めにして。

全身が映る鏡の前でぐるっと回り、いつもの男っぽい自分の姿が無くなったことにクスッと笑った。


「どう?桐生」
「いつものお前はすっかりいなくなったな」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「その調子のままで、行ってこい」
「言われなくても」


挑発しあいながら、私はスタッフルームの扉を優しく開ける。
扉の前で女性としての演技の笑顔を浮かべれば、入口から入ってきた男性がパチクリと私の方を見た。

そして黒服の男に、私の方を指差して何かを伝える。

―――ああ、これは。


「ちなつさん、ご指名きましたよー」
「(よっしゃ!)は~い!」


心の中はガッツポーズ。
でも表では清楚を装い。

指名してくれた男の前まで静かに歩き、もう一度微笑む。


「ご指名ありがとうございます。ちなつです。よろしくお願いします!」
「笑顔の素敵な子だね・・・よろしく。俺はアキラ。ほら、座って?」
「ありがとうございます!失礼します!」


元気いっぱいに笑顔を振りまいて。
それでもって、きちんと相手の目を見て話す。

相手がポケットをごそごそし始めたら、用意してあったライターを取り出しやすい場所に準備しておく。
注文しやすいように、メニューもそれとなく会話中に置いてあげる。

さりげない心遣いが相手の心に・・・いや、汚い話をすれば、売り上げにつながるわけだ。

そのためなら、どんなに精神を削っても私は相手に媚を売る。
汚いと言われようが、桐生がやる気なのだ。今更アイツの心を変える事も出来ないだろう。


「ちなつって呼んでもいい?」
「もちろん、アキラさんの好きに呼んでください」
「じゃあ、俺のことも呼び捨てでお願い」
「え、いいんですか?」
「あぁ、俺だけ呼び捨てってのもおかしいだろ?な?」
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・アキラ、何のお話し、する?」


飲み物は進めない。
食べ物も、進めない。

親しくなったところで、自然と会話の方へ持っていく。

一番先に注文させるより、親しくなった後の方が高いものを払ってくれやすいから。

後のためなら、先は捨てる。



楽しく会話を始めた私達は、その後2時間以上もずっと喋り続けた。









「ふー、ほんと、楽しいな」
「ほんと?嬉しいな・・・ありがとう!」


開けさせたお酒の金額、しめて300万。
にっこりと笑顔をたもったままアキラを見送り、また次の約束を取り付ける。

見た目はチャラいホストのような男だが、話をしていて分かった。相当な金持ちだ。
笑顔をにこりではなくニヤリに変えながら、お店の中へと帰る。


「ただいま」
「・・・・」
「ん?桐生どうした・・・・どうしたの?」


危うくいつもの口調になりかけたのを抑え込み、女性口調に戻した。
だが、桐生の表情は何故か曇ったまま。

気になって顔を覗き込むと、すごい勢いで桐生が顔を上げた。

その表情は少し怒りを含んでいて。


「き、桐生?な、何か失敗したかな?」
「・・・・やっぱりやめろ」
「何を?」
「その口調だ」
「へ?何でよ。貴方がやれってい・・・」


やばい。
そう判断した瞬間に身体を離したが既に遅く、私は桐生に右手を掴まれていた。

何すんだよ!!と声を上げた瞬間に塞がれる唇。
いつもより激しい口づけに、私はすぐに力を奪われた。
逃げようとすれば、ドレスから晒されている背中をすぅっと撫で上げられ、快楽で押さえ込まれる。

このままじゃ、やばい。
力が、入らない。

っていうかいきなりなんだよ!どうしちゃったんだよ!

何も悪いことをした覚えがない私は、ただただ終わるまで桐生から与えられる口づけに応え続けた。


「ん、んんっ、んっ・・・・」


駄目だ。
逃げられる、わけがない。

この感触を私に教えたのは、紛れもない桐生なのだから。

アキラという男には感じない何かが、私の身体を襲うのが分かる。
うっとりとした表情でキスを受け続けていた私は、ふと目に映った桐生の色気溢れる笑みにゾクリと震えた。


「ッ・・・・」
「どうした?」
「そ、それはこっちのセリフだっ!!いきなり何すんだこの変態!!」


ここで騒ぐのはあれなので、一応拳はおさめておく。
それでも怒りを抑えられなかった私は、キッと桐生を睨みながら腕を組んだ。

そんな私を見て、桐生は詫びれる様子もなく笑みを浮かべ続ける。


「お前が悪いんだ」
「私のせい!?お前の言うとおりにしたんだろーが!もういいっ」


こいつ、私がめんどくさがりながらもこんなことしてるって、分かってねぇのか!?
情報屋の時以外でこんなことするなんて、まっぴらだってのに。

自分勝手なやつ。
はげてしまえ。

そんなことをブツブツ言いながら、それでも結局、

桐生の言うとおりに動く私は、どれだけ甘くなってしまったんだろうか。


「・・・・で、私はどうすればいい。何が気に食わないんだ?」
「・・・・・そのまま続けろ。だが、一人客が終わるたびに、きちんとここに戻れ」
「へ?なにそれめんどく・・・・分かったよ。分かったからそんな顔すんな!!!」


ギロリ、と。
攻め立てるような視線を感じて、私はわしゃわしゃと髪をかき上げた。

桐生が何を考えているのか・・・・ちょっとだけ、分かるような気もするが。

こうなったら、聞き出してやるしかねぇな。
もし勘違いだったら、ぶん殴ってやるぐらいのことをしなきゃ気がすまねぇし。


「・・・・?どうした、あけ。次の客に・・・・」


お店に出ろと促す桐生に、私はツンとした表情で返した。


「やんねぇ」
「何?」
「お前がどうして今みたいな行動に出たのか、きっちりお前の口から言わない限り動かないっつったの」


お客と仲良くなって。
それを積み重ねてNo1になる。

桐生、もし私の考えが間違ってなけりゃ


・・・嫉妬、してんだろ?


自分でやれって言ったくせに
嫉妬して、こんな口づけして、なのに気持ちも言わないで。

そんなの、さすがの私にでも許されるわけないだろ?


「・・・・お前」
「なんとなくわかるぜ、お前の考えてること」


ニヤリ、と笑えば、悔しそうに表情を歪める桐生。
図星だなと思いながらも、私はさらに続ける。


「でも、自分から突然こんな仕事私にさせておいて、そりゃないんじゃねーの?」
「・・・・」
「言わなきゃ、動いてやんねーけどぉ?」


いつもやられてる分、やり返す。
年に1回か2回しかないチャンスに、私は意地悪く微笑んだ。


「な、桐生。いつも私に言ってるだろ?・・・素直に言えよ」
「・・・・何のことだ」
「うひゃー、目が泳いでますよ桐生さーん?ってあだっ!?いたっ!つまむなっ!!」


頬を抓まれ、思わず叫ぶ。
そしてそのまま無理やり引き寄せやれ、耳元で囁かれた。


「俺以外の男に・・・あまり触らせるな」
「・・・・ん、分かってるよ」


私が劣勢に立たされると、しつこいぐらいにそういうこと言うくせに。
こういう時はちょっと照れくさいのか、顔を見せずに言うんだ。

それを知ってるからこそ、しかけた悪戯。
いつかこれすらも倍返しされるんだろうな、と。桐生に見えないところで笑った。


「・・・ほら、行ってこい」
「はいはい、行ってきますよーっだ」










































結局、私がNo1になるまで、彼の嫉妬は続くに続いて。
(No1になる頃には、私の精神がずたぼろになったのは言うまでもない)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
←No.224No.223No.222No.221No.218No.217No.216No.215No.214No.213No.211
サイト紹介

※転載禁止
 公式とは無関係
 晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
 検索避け済

◆管理人
 きつつき
◆サイト傾向
 ギャグ甘
 裏系グロ系は注意書放置
◆取り扱い
 夢小説
 ・龍如(桐生・峯・オール)
 ・海賊(ゾロ)
 ・DB(ベジータ・ピッコロ)
 ・テイルズ
 ・気まぐれ

◆Thanks!
見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)