いらっしゃいませ!
名前変更所
惑星ベジータ。
その星に住むサイヤ人と呼ばれる種族は、血の気が荒く、戦いを好み、周りにある星を支配しては殺戮を繰り返していた。
そしてその星の名を貰った王子も、同じように荒く気高いサイヤ人。
ベジータ王とその息子であるベジータは、今日も適当に星を探し、殲滅を楽しもうとしていた。
―――ベリトア星。フィレット族という種族が住む、穏やかな場所。
小さく、自然と技術に溢れていると有名で。
その星が今回のターゲットとなった星だ。
「あそこだな、今回の星は」
「・・・やけに静かだな」
星に降り立ったベジータ王とベジータは、その星の様子がおかしいことに気が付き、足を止めた。
やけに静かなのだ。
しかも、自然に溢れている星と書かれていた星にはふさわしくないほど、自然と呼べるものはなくなっている。
ただの、星。
荒れた大地。
街という街も、見当たらない。
それどころか殺戮のための、怯えて逃げ出してくれる人もいない。
「なんだ、先にどこかに滅ぼされていたのか?」
「つまらないな、これじゃあ。・・・帰るか」
「いや、待てベジータ・・・あれを見ろ」
ベジータ王が指差す先にあったのは、一つの小さな宮殿だった。
その宮殿だけは異様に形を残し、結界のようなものに守られている。
・・・しかも、そこから一つの気を感じた。
スカウターを通して伝わる一つの命。
ベジータはにやりと笑うと、ベジータ王よりも先に空へと飛びあがった。
破滅の星、というのにふさわしい。
そんな星に残っている命―――そう、戦いの予感がする。
今までただ殺戮を繰り返すだけだったが、今回は違う。
楽しい予感を感じたままのベジータは、宮殿近くにあった気の所にすぐさま降り立った。
「よぉ」
低い声が、響く。
悪役としか言えないその声に、一つの気が・・・少女が、つまらなさそうに振り返った。
スカウターを通して見た戦闘力は低い。
だが少女は、ベジータを目の前にしても、悠々とフィレット族の象徴である尻尾を揺らしていた。
これから、死ぬかもしれないというのに。
ベジータは自分を無視するに近い態度を取った少女に、そっと手をかざす。
それが何を意味するかは、嫌でも分かるだろう。
だが少女は、それでもベジータを見たまま。
「・・・何?脅しのつもり?」
「何だと?」
「そうやって撃つぞって脅すつもり?うざいなー。やるんならやればいいじゃん」
「・・・貴様、今自分がどういう状態か分かっているのか?俺の気持ち次第で、生かしも殺しも出来るんだぜ。少しは泣いて叫んで許しを請うぐらいしたらどうだ?」
殺戮を楽しむ者の言葉。
少女はその言葉にまたゆらりと尻尾を揺らし、そして何故か笑った。
恐怖のあまりか?と、ベジータも笑みを深める。
「どうした?おかしくなったか?」
「別に?来るなら来ればいいじゃん、アンタこそびびってるんじゃない?」
「・・・気に障る女だぜ。そう言われると殺すのは惜しいな」
イラだちを露わにしたベジータが、素早く少女へとエネルギー弾を放った。
小手調べとばかりに放たれた小さな気の球を、少女は見ることなく尻尾だけで薙ぎ払う。
「ほぅ・・・」
「サイヤ人の王子ともあろう人が、こんなもんじゃないでしょ」
「俺のことを知っているのか」
「もちろん。だって私も、半分はサイヤ人だからね」
その言葉に、ベジータは目を見開いた。
半分サイヤ人。なるほど、フィレット族とサイヤ人のハーフなのか。
フィレット族は温厚な種族と呼ばれている種族だ。
それなのにこの少女の妙な血の気の荒さ・・・今の言葉に納得した表情を浮かべる。
血の気の荒い、フィレット族。
可愛い猫耳に猫の尻尾。見た目からは想像できない少女の口の悪さ。
久しぶりに面白いものを見たと、ベジータは再び攻撃を始めた。
先ほどよりは手加減を感じなくなったエネルギー弾に、少女も少し気を高める。
「そうら・・・どうするんだ?これを?」
「おいおいちょっと、なにそれ、馬鹿にしてんの?イラッとさせてくれるね」
また、尻尾がゆらりと。
大きく薙ぎ払うような動きの後、少女に向かっていたエネルギー弾は粉々に破壊された。
少女が笑う。
ベジータに向けられる、強い瞳。
普通の女とは違う何かを感じたベジータは、甚振ってやろうと気を上げた。
そこに、遅れてベジータ王が降り立つ。
気を削がれたベジータは、一旦少女から離れ、王の下へと近づいた。
「ベジータ、その女は?」
「フィレット族とサイヤ人のハーフらしい」
「ほう・・・面白い組み合わせだ」
「人を化け物みたいに言うなっつの」
「・・・・おまけに、面白そうな女だ」
二人を目の前にしても、一切怖気づかない少女に、ベジータ王も笑う。
そして静かに近づくと、大きな手を少女へと差し出した。
攻撃する、のではなく。
こっちへ来いと促すように。
「面白い女だな、名は?」
「そっちから名乗れよ・・・って言いたいところだけど、ベジータと、ベジータ王よね。私はベリトア。この星の王女です、一応ね」
ベリトアと名乗った少女は、面白くなさそうに自分の立場を名乗った。
王女という響きは素晴らしいものなのに、ベリトアの表情は優れない。
星によって、王や王女の立場は違う。
ベジータ星では王は称えられ、そして戦いを中心としている種族にとってはそこまで重要なものではない。
だがこの星では、違うのだろう。
王女をただの道具や人形として扱い、閉じ込めておくような星もある。
その星それぞれで、価値観が違うからだ。
ベジータ王は納得した表情で、1歩、ベリトアに近づいた。
ベリトアはそれを見ても、警戒すらしない。
「はっはっは!!気に入った!!ベリトアよ。ベジータ星に来ないか?」
「な、何を父さん・・・」
「いいじゃないか。面白い女だ。サイヤ人なら、嫌な話でもないんじゃないのか?お前はこの星に対して、そこまで良い思い出もないようだ」
「・・・正解。王女だのなんだのっていって道具扱い。ロクに出してもらえないし、戦わせてももらえない。しかも決められた人との結婚。どーよ、めんどくさいっしょ?」
出てくる出てくる、星の悪口。
ベジータ王の手を満足げに取ったベリトアは、綺麗な笑顔でベジータ王に言った。
「じゃ、これからよろしく」
その生意気な少女が、いづれ、ベジータに仕える部下になる
(ここから始まる、運命が、物語が)
その星に住むサイヤ人と呼ばれる種族は、血の気が荒く、戦いを好み、周りにある星を支配しては殺戮を繰り返していた。
そしてその星の名を貰った王子も、同じように荒く気高いサイヤ人。
ベジータ王とその息子であるベジータは、今日も適当に星を探し、殲滅を楽しもうとしていた。
―――ベリトア星。フィレット族という種族が住む、穏やかな場所。
小さく、自然と技術に溢れていると有名で。
その星が今回のターゲットとなった星だ。
「あそこだな、今回の星は」
「・・・やけに静かだな」
星に降り立ったベジータ王とベジータは、その星の様子がおかしいことに気が付き、足を止めた。
やけに静かなのだ。
しかも、自然に溢れている星と書かれていた星にはふさわしくないほど、自然と呼べるものはなくなっている。
ただの、星。
荒れた大地。
街という街も、見当たらない。
それどころか殺戮のための、怯えて逃げ出してくれる人もいない。
「なんだ、先にどこかに滅ぼされていたのか?」
「つまらないな、これじゃあ。・・・帰るか」
「いや、待てベジータ・・・あれを見ろ」
ベジータ王が指差す先にあったのは、一つの小さな宮殿だった。
その宮殿だけは異様に形を残し、結界のようなものに守られている。
・・・しかも、そこから一つの気を感じた。
スカウターを通して伝わる一つの命。
ベジータはにやりと笑うと、ベジータ王よりも先に空へと飛びあがった。
破滅の星、というのにふさわしい。
そんな星に残っている命―――そう、戦いの予感がする。
今までただ殺戮を繰り返すだけだったが、今回は違う。
楽しい予感を感じたままのベジータは、宮殿近くにあった気の所にすぐさま降り立った。
「よぉ」
低い声が、響く。
悪役としか言えないその声に、一つの気が・・・少女が、つまらなさそうに振り返った。
スカウターを通して見た戦闘力は低い。
だが少女は、ベジータを目の前にしても、悠々とフィレット族の象徴である尻尾を揺らしていた。
これから、死ぬかもしれないというのに。
ベジータは自分を無視するに近い態度を取った少女に、そっと手をかざす。
それが何を意味するかは、嫌でも分かるだろう。
だが少女は、それでもベジータを見たまま。
「・・・何?脅しのつもり?」
「何だと?」
「そうやって撃つぞって脅すつもり?うざいなー。やるんならやればいいじゃん」
「・・・貴様、今自分がどういう状態か分かっているのか?俺の気持ち次第で、生かしも殺しも出来るんだぜ。少しは泣いて叫んで許しを請うぐらいしたらどうだ?」
殺戮を楽しむ者の言葉。
少女はその言葉にまたゆらりと尻尾を揺らし、そして何故か笑った。
恐怖のあまりか?と、ベジータも笑みを深める。
「どうした?おかしくなったか?」
「別に?来るなら来ればいいじゃん、アンタこそびびってるんじゃない?」
「・・・気に障る女だぜ。そう言われると殺すのは惜しいな」
イラだちを露わにしたベジータが、素早く少女へとエネルギー弾を放った。
小手調べとばかりに放たれた小さな気の球を、少女は見ることなく尻尾だけで薙ぎ払う。
「ほぅ・・・」
「サイヤ人の王子ともあろう人が、こんなもんじゃないでしょ」
「俺のことを知っているのか」
「もちろん。だって私も、半分はサイヤ人だからね」
その言葉に、ベジータは目を見開いた。
半分サイヤ人。なるほど、フィレット族とサイヤ人のハーフなのか。
フィレット族は温厚な種族と呼ばれている種族だ。
それなのにこの少女の妙な血の気の荒さ・・・今の言葉に納得した表情を浮かべる。
血の気の荒い、フィレット族。
可愛い猫耳に猫の尻尾。見た目からは想像できない少女の口の悪さ。
久しぶりに面白いものを見たと、ベジータは再び攻撃を始めた。
先ほどよりは手加減を感じなくなったエネルギー弾に、少女も少し気を高める。
「そうら・・・どうするんだ?これを?」
「おいおいちょっと、なにそれ、馬鹿にしてんの?イラッとさせてくれるね」
また、尻尾がゆらりと。
大きく薙ぎ払うような動きの後、少女に向かっていたエネルギー弾は粉々に破壊された。
少女が笑う。
ベジータに向けられる、強い瞳。
普通の女とは違う何かを感じたベジータは、甚振ってやろうと気を上げた。
そこに、遅れてベジータ王が降り立つ。
気を削がれたベジータは、一旦少女から離れ、王の下へと近づいた。
「ベジータ、その女は?」
「フィレット族とサイヤ人のハーフらしい」
「ほう・・・面白い組み合わせだ」
「人を化け物みたいに言うなっつの」
「・・・・おまけに、面白そうな女だ」
二人を目の前にしても、一切怖気づかない少女に、ベジータ王も笑う。
そして静かに近づくと、大きな手を少女へと差し出した。
攻撃する、のではなく。
こっちへ来いと促すように。
「面白い女だな、名は?」
「そっちから名乗れよ・・・って言いたいところだけど、ベジータと、ベジータ王よね。私はベリトア。この星の王女です、一応ね」
ベリトアと名乗った少女は、面白くなさそうに自分の立場を名乗った。
王女という響きは素晴らしいものなのに、ベリトアの表情は優れない。
星によって、王や王女の立場は違う。
ベジータ星では王は称えられ、そして戦いを中心としている種族にとってはそこまで重要なものではない。
だがこの星では、違うのだろう。
王女をただの道具や人形として扱い、閉じ込めておくような星もある。
その星それぞれで、価値観が違うからだ。
ベジータ王は納得した表情で、1歩、ベリトアに近づいた。
ベリトアはそれを見ても、警戒すらしない。
「はっはっは!!気に入った!!ベリトアよ。ベジータ星に来ないか?」
「な、何を父さん・・・」
「いいじゃないか。面白い女だ。サイヤ人なら、嫌な話でもないんじゃないのか?お前はこの星に対して、そこまで良い思い出もないようだ」
「・・・正解。王女だのなんだのっていって道具扱い。ロクに出してもらえないし、戦わせてももらえない。しかも決められた人との結婚。どーよ、めんどくさいっしょ?」
出てくる出てくる、星の悪口。
ベジータ王の手を満足げに取ったベリトアは、綺麗な笑顔でベジータ王に言った。
「じゃ、これからよろしく」
その生意気な少女が、いづれ、ベジータに仕える部下になる
(ここから始まる、運命が、物語が)
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