Erdbeere ~苺~ 5話 地球という星から、始まったのだ 忍者ブログ
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2014年04月15日 (Tue)
地球という星から、それは、その運命は始まった
<5話/シリアス/甘/ヒロイン視点>

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あれから、色々なことがあった。
何年もフリーザの元に仕えて、その中で数少ないサイヤ人である一人のラディッツが死んだ。

でも、それだけじゃベジータは止まらなかった。
ただただひたすらに、反逆の時を待ち続けている。

私に分かるのは、それだけ。

私にできるのは、従うことだけ。


正直、悲しかった。
私が出来ることが、少なすぎて。

私は世間知らずのお姫様に近かったのだ。

そこから教わったことも、まだ少ない。


「・・・ベジータ、ナッパ、遅いなぁ」


今日は二人でどこかへ行ってしまったっきり。
どんな遠征でも早めに連絡が来るはずなのに、今日はスカウターに連絡は無かった。

嫌な予感がする。
その予感のせいで、私は夜になっても眠りにつくことが出来なかった。


「・・・・」


いつもなら私も連れて行くのに。
普通の地上げじゃないのかな?

ああもう、ちゃっちゃと「今から帰る。さっさとメシの準備でもしろ」とか連絡入れろっての。

いつもはウザイって思うけど、無いならないでめんどくさい。
スカウターを意味なくいじり続け、苛立ちに足を揺する。


「・・・はぁ、外出よ・・・」


このまま部屋の中にいてもラチがあかない。

待っているのがめんどくさくなった私は部屋の外に出て、そこでようやく外が騒がしいことに気がついた。

なんだ?何人かが帰還室へと走って行ったような。
ぞわりとまた嫌な予感がして、私もその走って行った人たちの方へついていくことにした。


しばらくして響く、着陸音。誰かが帰還報告なしに帰還したのだろうか。

帰還したポットを見てみれば、微かな気を感じる。
そっとスカウターに手を這わせ、ポットの中にいる気配の気を調べた。


「・・・・っ!」
「これはどういうことだ?一体なぜ出てこな「退いて!!さっさと開けんのよ!!」
「こ、これは、ベリトア様!?」


スカウターに間違いが無ければ、あの気はベジータだ。
一人用のポットをこじ開け、生命維持装置を付けるまでに弱ったベジータを引きずり出す。


「ベ、ベジータ様が・・・」
「ちょっと何ボケッとしてんの!!さっさと治療の準備をしなさい!!」
「は、はいっ!」


治療室へと急ぐ間、傷だらけのベジータを抱えた私は、自分の気を精一杯こめてベジータの生命を維持させた。

どうやったらここまでの傷を?一体誰に?
いやそれよりも・・・いったいどこに行ってたの?私を置いて。

どこに行くでも、連れて行ってもらっていたのに。


「ベジータ・・・」


とりあえず、治療する方が先だ。
気を注ぐのを続けながら治療室へと運び、最新のメディカルマシーンへとベジータを入れる。

そこから先は、私に出来ることはない。
メディカルマシーンを扱える人に後を頼み、私はその場でただひたすら待つ。

ぶくぶく。

不気味な音が響くこの治療室で、ベジータだけを見つめながら、ただひたすらに。


「それにしても、すごい傷ですなぁ・・・ですが、これならあっという間に」
「・・・凄い技術ね。私はあんまり使ったことないから、ここまで早いなんて知らなかった」
「確かにベリトア様はあまり来ませんな。まぁベジータ様も滅多に来られませんし・・・」


私はこういう、治療室って感じの匂いがする場所は嫌いなんだ。
だからこそ避けてきた。どうせ治療なんて出来るし。

ベジータもそれを分かってくれていたのか、最初こそ文句は言ったが、慣れてからは私の治療に気を貸してくれるようになった。


・・・・そんなことを考えてる内に、メディカルマシーンの中のベジータが、いつものような元気な姿に戻っていく。


「よし・・・これで大丈夫だ」


メディカルマシーンが開く音がすると、ベジータが乱暴に装置を外し、ゆっくりと目を開けた。
すごい。スカウターを通さなくても分かる。彼の気が、また上がったのを。

戦闘民族サイヤ人とは、本当に戦いの中で強くなっていく種族のようだ。

なんて他人事みたいに言ってるけど、私自身も確かに、生死の淵に立たされた時は、強く成長した記憶がある。


メディカルマシーンから出たベジータが、治療してくれた人の話を聞きながら、私の方を静かに向いた。
私が居ることに今まで気づかなかったのか、しばらくしてから驚いたように目を見開く。

―――って。
は、はだ、はだか・・・・。


「うわあぁああこっち向くな馬鹿ベジータ!!!」
「っ!!き、貴様、何故そこに・・・っ」
「ベジータが危なさそうだったから心配で・・・ってか、私を置いてどこいってたのさ」
「・・・・それは・・・いや、来い。部屋に着くまでに話してやる」


服を着ながら、ベジータは私を手招きした。




































ベジータはわざと人通りが少ない方を選ぶと、そこでベジータがどこに行っていたのか、何が起きたのかを話してくれた。
私を連れて行かなかった理由は、命令違反の巻き添えになるからだと。


何故そんなところで無駄な優しさを見せるんだか。

本人は優しさだとは、思ってないみたいだけどね。
足手まといだからだーとかも付け加えてたし。


地球で戦ったサイヤ人のこと。地球でナッパも死んでしまったこと。
そして・・・ドラゴンボールというもののこと。

全て教えてもらった私は、ベジータをじっと見つめた。


「・・・俺はこのまま、ナメック星のドラゴンボールを探す」


あぁ、ベジータの中に秘められていた野望が。
プライドが、反逆の時を待ち続けていた心が、私の目の前でむき出しにされている。

あの目は、本気だ。
私にはそんなベジータを止めるつもりはない。


「お前はどうする」
「それ、分かってて聞いてる?」
「・・・・先ほど聞いた話じゃ、フリーザ達がドラゴンボールの話を聞き、同じドラゴンボールを狙っているらしい」
「え・・・フリーザが・・・?」
「あぁ。俺はもう今すぐにでも出発する」


止めるつもりはなかったが、まさか、フリーザがいるなんて。
それはつまり、下手すればあのフリーザと戦うことになるということだ。

勝てるか?

たぶん、無理だろう。
フリーザには底知れぬ力がある。まだ、見たことの無いであろう力も。


だが、それを恐れるような私でもない。
私は尻尾をベジータの右腕に絡めると、にんまりと笑った。


「私が仕えるのは、ベジータだけだよ」
「ほう、それはつまり?」
「ついていくに決まってんでしょ」
「・・・・まぁ、お前に拒否権はないがな。元から連れて行く予定だった」
「うわ、何よそれ!!だったら最初からそう言いなさいよね!!な、なんか無駄に恥ずかしいこと言わされた気分なんだけど・・・っ!!」


ぎりりと唇を噛んでベジータを睨む。
睨んだ先のベジータは野望に燃えた瞳で、私にニヤリと悪い笑みを返した。


「俺様だけに仕えるんだろう?今更、逃げられるとでも思っているのか?」


キザな台詞。
そんな台詞も、ベジータが言うと様になる。

何だか弄ばれているような気がしてむかついた私は、ベジータの右腕に絡めていた尻尾を解いて、軽くベジータを叩いた。


「都合いいやつ。地球とかいうのには連れてってくれなかったくせに」
「それはしょうがないだろう。ただでさえお前はフリーザに反抗的で目を付けられてたんだ。下手に連れて行けばお前は殺されたかもしれない」
「あれれ、ベジータってば優しいんだねー?」
「・・・勘違いするなと言った筈だ。それは同時に、足手まといになるということだからだ」
「それなのに今回はつれていくの?」
「当たり前だ。もうフリーザの下にいる必要はなくなったからな」


ああいえば、こういう。
ベジータには敵わないな、ほんと。

心のどこかで、私のことを考えていてくれたんだろうと良い風に解釈して笑う。
すると戦闘服を新しく身に付けたベジータが、不機嫌顔で私の尻尾を掴んだ。

そこで、違和感に気づく。


「ベジータ・・・尻尾は?」
「・・・・・」


不機嫌顔が、更に不機嫌に。
触れちゃいけないことだったのかな?と思いつつも、私はベジータの尻尾が生えていたあたりに手を伸ばした。

メディカルマシーンで治らなくても、私の術なら。
そう思って力を込めた矢先、ベジータの手に阻まれた。


「ベジータ?」
「良い。そのうち生えてくる」
「そっかぁ・・・可愛かったのに」
「貴様のその尻尾も切ってやろうか?」
「嘘ですすみません・・・・」


可愛いという言葉に苛立ちを感じたベジータが、私の尻尾を引きちぎるんじゃないかって勢いで引っ張る。
私はそれに”本気”を感じ、即座に謝って手を離してもらった。


こんなことしてるけど、行ったら最後なんだよね。

私達、反逆者だ。失敗すれば死しかない。


でもベジータとなら。
ごくりと喉を鳴らした私を、ベジータが小馬鹿にしたように笑う。


「怖いのか?」
「怖いって言ったら?」
「ハッ。貴様がそのようなことを言うタマじゃないことぐらい知ってる」
「何さ。私だって一応レディだってのに」
「・・・・良いから、さっさと来い」


スカウターをセットしなおしたベジータの、声。
私はその声に従い、やる気満々で準備を整えた。

向かうは、ナメック星行きの宇宙船。
誰に見つかろうがお構いなしに、私達は部屋を飛び出す。
走っている途中でたくさんの声を聞いたが、それに立ち止まるような時間は無かった。


走って、ナメック星行きを登録した宇宙船に飛びこむ。
止めに来た奴らが宇宙船の窓を叩くがお構いなし。

私は慣れた手つきで宇宙船の行先を決定すると、窓を叩くやつらを無視して


「さー、いくよ、掴まってねベジータ!」
「・・・・あぁ」


――――飛んだ。



































「ねぇねぇ、ナメック星ってどんなところなの?」
「さぁな」
「何だ。あんまり前情報ナシなんだ。あんまり重力が重たいところじゃなきゃいいけど」


自動操縦に変更した後、私はのんびりと天を仰いだ。
無機質で狭いこの空間でやることなど、ベジータとお話しすることぐらいしかない。


「おい」
「んー?」
「お前、回復以外に他に出来る能力はあるのか?」
「え?あ、うん、えっと・・・・」


ベジータが他の人のことを深く聞くなんて、珍しいな。
驚いてしどろもどろになれば、ベジータが少し面白そうに私を見つめる。


何だかんだで、こんなゆっくりベジータと話すことってなかったよね。
いっつも戦いの話だったり、罵り合いだったり。

何年も一緒だったのに、いつも私からベジータのことを聞くから、こんな風にベジータから聞かれたことはあんまりないというか。


だからかな?意外とベジータもおしゃべりだったりするのかも。

色々な想像をしながら、私はベジータに聞かれた質問に答えた。


「んー、私の気の扱いは超能力に近いものがあるから、その場その場で色んなことが出来るよ」
「試しにやってみろ」
「どうしたのよ急に?」
「暇だろ」
「うわ、暇つぶしの道具なわけ?ったくしょうがないなー」


手のひらにそっと気の球を浮かべ、治療の時とは違う力を込める。
強く、強く頭の中にイメージする。気を、イメージしたものに繋げる。


「ほう、それはなんだ?」
「これは幻想を見せる気の力だよ。私の頭の中に浮かべたものを、気とリンクさせて・・・たとえば・・・お腹空いたから、お菓子の世界!」


頭の中にケーキで出来た家を浮かべ、そこから気を放出させた。
すると周りに散らばった気が私のイメージを具現化し、幻想として宇宙船の中をケーキハウスに作り上げる。


「ね?色んなものに使えるんだよ」
「お前の種族は器用だな。まぁ、お前しか見たことはないが」
「まぁ、ベジータが来たころには他の星から潰されてたしね」
「大人しい種族ということだけは聞いていたが、お前を見ていると大人しいフィレット族が想像できんな」


何気に失礼なことを言われたのが気に食わず、私はケーキの幻想を一気にうにょうにょとうごめく奇妙な虫へと変化させた。

ベジータがあの顔に似合わず、うにょうにょとしたものが嫌いだということを知っているからだ。
してやった表情で気を放出すれば、ベジータが青ざめた顔で私を掴む。


「おい貴様!!さっさとそれを消せ!!!!」
「それが人に物を頼む態度かね?」


ベジータがいつか言った口調をマネして返したら、ベジータの眉間の皺が深くなった。
いい度胸だとばかりに額に青筋を浮かべ、私の腕を掴み、床に押し付ける。


な、なにこの、体勢。

これって、押し倒されて・・・る?


普段なら、「何すんのよ馬鹿!」と声を上げて弾くところだけど。
私を鋭い目つきで睨んでくるベジータを見て、不覚にも。

――――どきっと、しちゃって。

私は動きを止め、ベジータを見つめた。
ベジータもいつもと違う私の反応に気付き、慌てて私を突き飛ばす。


「フン。何だ?顔が赤いぞ?・・・・お前も餓鬼だな」
「・・・なっ!何勘違いしてるの!!別に私はベジータにドキドキしたわけじゃないよ!!」
「別にそんなことを言ってないが?」
「・・・・っぐ。ベジータだって慌ててたくせにー。シャイなのー?シャイボーイなの?」
「それ以上口を開けば、お前はこの宇宙空間を永遠とさまようことになるが?」


それはつまり、私を宇宙空間へ投げ捨てるってことですかねベジータさん。
私の腕を掴み、私が抵抗できない力で扉へと向かうベジータを見て、さすがの私も必死に謝る。


「ああああまって!!待ってっ!!ごめん!ここで私が死んだら呪うよ!?いいの!?」
「あぁ、かまわん。俺様が呪いごときに負けるとでも?」
「ごめんなさい死にたくないです・・・」


引きつった顔で、屈辱を感じながらも、最終的には弱弱しく謝った。
それに満足したベジータが、そっと私の手を離して満足げに笑う。

あー、もう。悔しいな。

もう何年も傍にいるけど、こういう態度のベジータが嫌いになれない自分が居る。


――――いや、知ってる。本当は分かってるんだ。
嫌いになれないどころか、惹かれて、しまっていることに。

本来は自分を弄び、殺し、ただ楽しむために私の故郷に訪れたこの男を。

私は。


「・・・・」


これは信頼?
これは絆?

これは、服従?


理解できない感情に苦しみながら、それを振り払うために私は宇宙船のレーダーをチェックした。


「ん、前方に何か見えてきたみたいだけど・・・これ?」
「・・・あぁ、それだ。いくぞ、ベリトア。準備をしろ」
「・・・・アイアイサー」


見えてきた緑色の星とベジータを交互に見つめて。
私はおちゃらけた敬礼をしながら、見てきた星に向かって着陸の準備を宇宙船に命じた。








































見つめる未来は、そう、勝利だけ
(ここが、ナメック星・・・)
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見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)