いらっしゃいませ!
名前変更所
静かな風。
耳をすませば聞こえる水の音。
一人が好きな俺にとって、誰も居ない滝壺での瞑想は落ち着きの時間だ。
ただこの時間が続くのは朝の数時間だけ。
彼女が起きない時間にだけ味わう、一人だけの時間。
昔は、いや、今も好きな時間だが。
アイツの魔力が起き始めると何故か気が散ってしまってこの時間がつまらなくなる。
アイツも俺が一人になりたがることを知っているから、ここまで来ないというのに。
「・・・・」
無意識に魔力を探る。
ゆらゆらと動き始めた魔力が、しばらく動いてからまた一箇所に落ち着いた。
これは寝室だな。
どうやらまだ眠いらしく、また寝ようとしているらしい。
「ったくアイツは・・・・」
俺がいないとすぐ怠けようとする。
・・・にしても、アイツの魔力は全てが分かりやすい。
まるで感情と一体化しているんじゃないかというほど、魔力が感情を表しているのだ。
例えるなら悟飯か。
あいつの気も、怒りという感情によって跳ね上がり、悲しみにくれれば不安定になる。
「・・・・・あの馬鹿が」
しばらく様子を見ていたが、どうやらそのまま眠ってしまったらしい。
起きた魔力が微かに感じられるほどまで下がったのを見て、俺は静かに目を開けた。
こうなれば瞑想どころじゃない。
目指すは神殿。
アイツが眠る部屋。
「俺が居ないと怠ける癖は良くないな」
舞空術を使えば帰ってくるのなんてすぐだ。
俺は静かに寝室の扉を開け、中途半端に寝るゆえを見下ろす。
ゆえは俺の気配に少し覚醒したのか、小さな声を漏らして寝返りをうった。
「ん・・・・」
「おい、起きろ」
途中で起きたのだろう。
布団が床に落ちていて、彼女自身の寝相も酷いことになっている。
髪の毛には俺があげたリボンがひとつ。
どうやら起きて自分で髪を結ぼうとして・・・眠気に負けたらしい。
「フッ・・・・」
あどけない笑みに思わず俺も微笑む。
だが、このまま寝かせとくわけにはいかない。
それはそれ、これはこれだ。
「おい、起きろ」
修行は俺達の日課だ。
普通の日常も好きだが、俺達にとっての修行や戦いは大事な刺激の一つ。
何も無い日々は、つまらないだろう?
だからといってこの日常を失いたいわけでもなく。
「起きろ、ゆえ」
肩を掴んで揺らしてみる。
予想通り、反応はない。
「ゆえ」
目覚めが悪いのはいつものことだ。
ギシリとベッドを軋ませてベッドに乗った俺は、そのままゆえに覆いかぶさった。
乱れた髪。
よだれの跡。
間抜けな表情が俺の心をざわつかせる。
耳元に噛み付いて舐めれば、ぴくっとゆえの身体が跳ねた。
「っん、こら・・・・」
「起きろ、ゆえ」
「んー・・・っ、もー、ピッコロ、ダメだってば・・・・」
どうやら夢の中のようだが。
夢の中でも彼女を支配しているのは、俺らしい。
「ゆえ、起きろ・・・・」
「んー・・・・」
「起きろ!!」
「っひ!?」
舐めた距離のまま。
少し大きめに声を上げると、驚いたゆえが身体を起こした。
寝間着のワンピースが崩れて胸元が見えている。
そこにあるのは、俺が付けた赤い華。
「起きないとどうなるだろうな?」
見える胸元に手を這わせて。
口付けようとした俺の頭を、ゆえの手が力強く阻む。
「こ、こら、起きた!!起きたから!」
「そうか?残念だな・・・・」
「朝から盛んな変態っ」
「お前が起きないのが悪いんだろう?」
「もー・・・・」
文句を言いながらも、ベッドの上で準備を整えていく。
パチンと指を鳴らせば寝間着が俺と同じ胴着に変わり
もう一度鳴らせば乱れたベッドが綺麗な状態に戻った。
「はい、起きました」
「遅い」
「ええー!?こんな早く起きて何したいのさ・・・?」
「そんなの、分かってるだろう?」
分かってないなら、そんな格好しないだろう?
何も言っていないのに俺と同じ胴着に着替えたということは。
「さっさと出ろ。この前見つけた滝壺で修行だ」
「はいはいー。まったく、修行馬鹿なんだからさー」
なんだかんだ言いながら大人しく着いてくるゆえを見ながら、俺は静かに空中へと浮いた。
空から注ぐ、痛いほどの太陽光。
ゆえを起こして、修行して。
それだけで大体は昼を過ぎる。
俺の耳に届くのは滝の落ちる音と。
遠くで休憩する、ゆえの荒い息遣い。
「・・・・・」
ちらりと盗み見た先のゆえは、滝壺に足を入れて涼んでいた。
俺と同じ胴着を肌蹴させているその姿は、少し・・・目の毒だ。
白い肌に浮かぶ汗。
水と戯れるゆえが顔を上げ、目が合う。
「なーに?セクシーな私に見惚れた?」
そう言いながらゆえはわざとらしく水しぶきを立てて足を動かした。
バシャバシャという耳障りな水の音に、俺は鼻で笑う。
「色気もクソもないな」
「え、ひど」
「言われたくなきゃ少しは女らしくするんだな」
「女らしくなんてしてたらピッコロの修行で死んじゃうわ」
俺の方を睨みつけ、べーっと舌を出す。
あの行動のどこが色気があるといえるのだろうか。
言葉の代わりに呆れ顔を見せてやれば、むくれた表情のゆえ。
本当に、飽きないやつだ。
俺の言葉にコロコロと表情を変えて。
だがどんな状況でもいつも笑ってやがるんだ、こいつは。
今も。
「まったくー。私の魅力が分かってないだけですっ」
拗ねながらにんまりと笑って、水と遊び続けている。
「どんな風に色気があるのか説明してほしいな」
「ど、どんな?・・・・こ、こんな風に?」
動揺しながら服に手をかけ、一瞬で紫色の水着を身に纏った。
細い身体。
程よくついた筋肉。
滴り落ちる、汗。
「太ったか?」
「じ、事実だとしてもそんなこと言っちゃダメでしょ!!」
俺の言葉にお腹を気にし始めた。
その姿を見て、思わず笑ってしまう。
もちろん冗談に決まっている。
どれだけ食べていても、俺と共に毎日修行しているアイツが太るわけがない。
「ねー、ピッコロー」
「なんだ」
「泳がない?暑いよー!」
「水中戦でもしたいのか?」
「なんでだよ!普通に泳ぎたいの!」
「勝手に泳いでろ」
「一緒に泳ごうよー!夏の恒例行事だよーーー!!」
「・・・・・・」
我慢しきれなくなったのか、ゆえは俺に声を掛けながら滝壺に飛び込んだ。
今までで一番高い水しぶきが上がり、透明度の高い水の中にゆえの姿が映る。
水の中からでもゆえとの視線がかち合う。
「ぷはっ!!」
「遊んでる暇があるなら瞑想でもしろ」
「ピッコロも泳ごうよ!ねー!!」
「いらん」
「気持ちいいよー?」
「いらん」
目を瞑って断り続けていると、水の音が消えた。
気になって目を空けた瞬間、ぐいっとマントを引っ張られる。
慌てて体勢を立てなおそうとするが、思ったよりも力は強く。
俺は体勢を立て直せないまま、滝壺に落ちた。
「っ・・・・!貴様・・・!!!」
「あっはははは!!落ちてやんの!!」
「いきなり引っ張るな!!」
「気づかないのが悪いんじゃないのー?ちゃんと気配探ってた?修行でしょ、修行」
生意気に笑うゆえの気配は一つも感じない。
チッ。無駄に気配を消すのがうまくなりやがって。
苛立ち紛れに魔術でマントを消し、そのままゆえの頭をわしづかみにした。
「うえっ!?」
「油断大敵だ」
「~~~~~~~!!??」
そして、沈める。
沈められたゆえはジタバタと暴れ始め、最終的に魔法で俺の腕を弾いた。
「っは!!な、なにすんの!!死んだらどうする!!」
「悪魔が溺れて死んだら笑いものだな」
「死ぬんだよ一応身体は人間なんだから」
「魔法で息すればいいだろう」
「あ、確かに」
くだらない会話も俺たちの日常。
こうやって終わりのないやりとりを繰り返し、夕方を迎える。
結局、ゆえのワガママに付き合った俺は滝壺に身を委ねていた。
泳ぎ疲れたらしいゆえが夕日を見ながら、濡れた髪をぎゅっと絞る。
「・・・・」
綺麗だ。
素直にそう思った。
俺のために伸ばすようになった黒髪が。
幾度と無く愛した肌に滑る雫が。
俺を魅了し、思考を崩していく。
「ゆえ」
「ん?」
「こっちに来い」
「うん?」
手を伸ばせば何の疑いもなくゆえが俺の手を掴んだ。
その手を強く引き寄せ、背中から抱きしめる。
「濡れちゃうよ」
「貴様のせいでもう濡れてる」
「あれ?そうだったっけなー?」
「くくっ・・・なんならまた沈めてやろうか?」
「や、やめてよ!」
「冗談だ。ほら、じっとしてろ」
ひたひたと雫を落としている髪に手を伸ばし、魔術を掛けた。
一瞬で濡れていた黒髪がふわりと風に舞うようになる。
こいつは俺が見ていないと髪も乾かさない。
元が短かったからめんどくさいなどと言うが、伸ばさせたのはこの俺だ。
全て、俺のものなのだ。
独占欲が強い?歪んだ愛情?なんとでも言え。
どんな愛情でもコイツは、受け取って微笑んでくれるのだから。
「あんがと!」
「もう入るなよ」
「はいはい。ピッコロも乾かしてあげるよ」
自分でやればいいのに。
俺達は何も言わず、互いの服を乾かし、いつもどおりの胴着に戻した。
「もう暗くなってきちゃうよ」
「ったく・・・またお前のせいで修行が遅れたぞ」
「いいじゃんいいじゃん!ほら、帰ろ?」
「・・・あぁ」
文句を言いつつも伸ばされた手を取り。
静かに舞空術で神殿へと戻った。
毎日同じ日常なのに飽きない。
終わることも望まない。
同じ、日常。
夜になるとゆえと俺はデンデ達と食事をする。
といっても食べるのはゆえとポポだけだ。
俺とデンデはゆえから貰った美味しい水を胃の中に通すだけの晩餐。
そしてそれらが済んだら風呂に入って、俺達の部屋でくつろぐ。
「ふはー、熱かったー!」
「あがったか」
ゆえから借りていた本を読んでいた俺は、お風呂あがりのゆえを見て本を閉じた。
俺がコイツを待つ間見る本は大体が借りた本だ。
今までは神殿の本を読んでいたが、既に全て読んでしまった。
それを言ったらゆえが天界の本とやらを魔法で出してくれたのだ。
最初はかなり難しかったが今ではすんなりと読めている。
「あ、それ面白かった?てか何の本だっけ」
当の本人はかなり昔に読んだ本らしく、殆ど忘れているらしい。
俺はわざと本の表紙を見せつけるようにゆえに見せた。
「お前たちの言う”魔法”と”魔力”についての文献だ」
「そんなのあったっけ・・・・」
「お前な・・・・」
「まぁまぁ、いいじゃん!」
笑ったゆえが、ベッドに腰掛けていた俺の隣に座る。
そして何かスプレーのようなものを取り出し、髪に振りかけた。
ふわりと香る甘い香り。
どうやらスプレーの正体のようだ。
「いい香りだな」
「ブルマに貰ったの!魔法もいいけど、たまにはこういうの使いなさいって」
「それはなんだ?人間たちが使う香り水とかいうやつか?」
「香水ね?これは髪の毛をつやつやにする効果があるやつなんだってー!」
嬉しそうに髪に触れるゆえの手を取り、俺も髪に触れた。
いつもよりさらさらした感触が俺の指を通り抜ける。
同時に甘酸っぱい香りが鼻を擽り、魅了した。
思わず毛先を鼻に近づけ、その香りを吸い込む。
「っわ、ちょっと・・・・」
「落ち着くな」
「誰かさんのせいで随分伸びましたよ。暑いし重たいんだからね」
「なら切れば良いだろう?」
特に髪の長い短いに好みはないつもりだった。
だが、ゆえの長い黒髪を見た時、触れていたいと思ったのだ。
それがなくなるのは勿体無いと。
そう言った俺の言葉を聞いて、ゆえは髪の毛を切らなくなった。
「も、勿体無いって言ったのはピッコロじゃんか」
「そうだな。勿体無いと思うぞ」
「・・・そ、そんな風に言われたら、切れない・・・よ。ずるい」
むくれたゆえがそのままベッドに横になる。
めんどくさそうに魔法で全体の電気を消し、枕元に小さな明かりを灯した。
「もう寝るのか?」
「なんか泳ぎすぎて身体がだるい~~」
「それはお前だけだ」
「あだっ!」
広いベッド。
二人が両手を広げて眠れるスペースがあるのに、俺達は近づいて寝る。
互いに向き合って。
時々、今みたいに拗ねて背を向けられることもあるが。
「寝る」
「くくっ・・・拗ねるな」
「寝るんですー。邪魔するなっ」
俺に背を向けて眠るゆえの腰に手を回す。
眠りを妨げるように頭を撫でたり、首筋に顔を埋めたりしてやる。
そうすると湧き出てくる欲があるわけで。
他の人間のように元々こんな欲をもって生まれた種族じゃないだけに、俺は湧きでたこの欲を抑える方法を知らない。
「っ・・・!」
腰から服をめくり、そっと肌をなぞる。
ゆえは我慢しているのかベッドのシーツをぎゅっと握りしめた。
いつぞやゆえに言われたことがある。
”飽きないのか?”と。
確かに毎日のように俺はゆえを愛している。
ただそれを口にすることはない。
この行為こそがその言葉の変わりなんだ。
「っは、ちょ、っと・・・」
「何だ?」
「くすぐったいよ・・・・」
「そうか?・・・・触れてるだけだろう?」
「さ、触り方がイヤラシんだッ!っあ!こ、こら・・・っ」
もぞもぞと耐えるように動くゆえが可愛らしい。
俺はバレないように笑い、髪の香りを嗅ぎながら動かす手を徐々に上へずらしていった。
「っ・・・ぁ」
寝巻き代わりのシャツをめくり、胸のあたりまで直接触れる。
そこで俺は違和感に気づき、顔を少し上げた。
「お前・・・下着つけてないのか?」
「つ、つけてるっ」
「つけてないだろう?ほら・・・」
上にずらした手に、いつもあるホックの感触は伝わらない。
変わりに伝わってきたのは熱い肌の感触。
俺はそのまま手を前に回し、未だ俺に背を向けるゆえの胸を優しく揉んだ。
シーツを掴んだゆえの手が更に強く震える。
「や、ピッコロ・・・!」
「下着つけてなかったのは期待してたのか?」
「んなわけないだろ!調子のんなこの変態ッ!」
「そのわりには・・・・」
「っひ、ぁ・・・!」
「硬くなってきたな?」
胸の頂点を指で抓めば、ゆえの口から甘い声が漏れた。
その声に俺の熱が上がる。
もう、止められない。いや――――。
止める気など無い。
「っふ・・・ピッコロ・・・」
「どうした・・・?」
「だ・・・め、もう・・・」
「触られると大きくなるらしいと言ってたのはお前だろう?」
「お、大きくなりたいとは別に・・・っ」
「そうか」
「んんっ!は、ぁ・・・」
腰が動き、無意識かゆえの手が俺の手を掴む。
「ッピッコロ・・・」
ぐっと強く腕を引かれ、思わず動きを止めた。
どうしたのかと聞こうとすれば、言葉よりも先にゆえが俺と向かい合うように身体をずらした。
「キス、して」
馬鹿が。
何故そうやって俺を煽るんだ、お前は。
「んっぅ」
「っは・・・・」
深い口付け。
お互いに舌を絡ませ、苦しげな息を吐く。
その間にも俺はゆえの服を魔術で消し、柔らかい肌の感触を味わう。
「んん・・・は・・・っ」
「いつ触っても気持ちいいな、お前の肌は・・・」
「ピッコロの肌も、すべすべしてて気持ちいいよ・・・?水しか飲まないからじゃない?」
「ふっ・・・そうか?」
ゆえの手が魔法で俺の服を消した。
熱くなった手が、俺の緑の肌を這う。
他の人間には無い俺の肌。
それを気味悪ごとなく、丁寧に触れていく。
その光景がまた俺を煽るんだ。
「んっ!!」
胸からそっと下に手を滑らせる。
行き着く先は、俺を求めて熱くなった蜜の出処。
優しくなぞるように指を這わせると、とろとろとした熱い液が俺の手を汚した。
ゆえはもう抵抗する力もないのか、与えられる快感に震えながら俺の手をぎゅっと掴んでいる。
「熱いな・・・」
「ふ・・・ぁ」
「気持ちいいか・・・?」
「っ・・・・」
一本差し入れた指。
まとわり付くようにヒクつく中が、俺の支配欲をゾクゾクさせる。
少しざらついた部分で指を曲げると、ゆえが俺の胸に顔を埋めた。
熱い吐息が俺の胸に掛かる。
声を抑えたいんだろうが、それは無駄な行動だ。
「ゆえ」
低く囁く。
それだけで指にまとわり付く感触が強くなる。
「ゆえ、気持ち良いか・・・?」
抵抗したって無駄だ。
俺はお前がその口で言うまで問い続ける。
お前が愛を教えたのはそういう男、いや――――”大魔王”だ。
「いじ、わる。聞くな馬鹿・・・・」
「言うまで止めないぞ?」
「んっ、ぁ・・・!」
「次が欲しいんだろう?ゆえ。ほら・・・言え」
お前がどんなに我慢しても分かる。
欲しがる吐息。
感じる場所。
お前が次に何を求めてるのか。
どうすればお前の理性が、壊れるのか。
「ゆえ・・・・」
「ぁ、ピッコロ、お願いっ・・・・」
「・・・・なんだ?」
「もっと、入れて・・・お願い・・・!」
「何をだ・・・?」
「ピッコロの、指、もっと・・・・」
「くくっ・・・・欲しいか?」
「欲しい・・・」
崩された理性の中。
ゆえが涙目で俺を見上げ、震えた声で強請った。
二本目を入れれば吐き出される吐息が深くなる。
一度いかせてやろうと空いてる指で上の蕾も刺激した。
「っああぁ!!や、やぁ、だめっ・・・!!」
「お前が強請ったんだろう・・・?」
「や、いっちゃ・・・っ」
「いけ・・・いくなら俺の方を向け」
「っ・・・だめ、見ないでよっ・・・・」
「なら止めるか」
「あ・・・・」
顔を埋めて隠すゆえを見て、俺は手を止める。
「ピッコロ・・・・」
切なそうな声が俺を呼んだ。
思わずゆえの中に自分の欲を突き立てたくなったが、それはまだ早い。
ただ愛すだけが行為じゃない。
俺の支配欲を満たし、彼女の乱れる姿を目に焼き付ける。
それは世界を支配するよりも強く、俺を満たす。
「ほし、い」
「ん?」
「ピッコロのこと、ちゃんと見るから・・・ちょうだい」
びくっと身体が震えた。
震えた原因は俺の熱に触れた冷たい手。
「ね、ちょうだい・・・・」
誘われる。
緩む表情を見られたくなかった俺は、ゆえを抱き起こして後ろを向かせた。
「たまには後ろからしてみるか」
「っぁ・・・・」
四つん這いに立たせたゆえの中に、一気に熱を沈める。
焦らされていたゆえはそれだけで達したらしく、腕を崩してベッドにうつ伏せになった。
艶かしい、といえば良いのだろうか。
俺と繋がる場所だけを上げて揺さぶられるゆえの姿は、今まで以上に色気のあるものだった。
ただ、貪る。
「っ・・・く、いつもより、締まるな・・・?」
「あ、や、ぁあぁ、なんか・・・っ!あぁああっ」
飽きることなんて無い。
「気持ちいいのか?ゆえ」
「気持ちいいっ・・・や、ぁ、おかしく、なっちゃ・・・・!!」
「奥まで当たるな・・・この体勢だと・・・」
「っあ、ふぁ、あぁあ、んんっ」
野性的に繋がる体勢。
お互いの表情が見えない分、快楽に全ての神経が集中する。
更に深く腰を沈めれば、シーツにポタポタと涙が落ちた。
「ぁ、ピッコロ、ピッコロぉ・・・!」
「っ・・・!」
「あ、だめ、いっちゃ・・・!!ぁああぁあっ」
「く、ぁ・・・!!」
締め付けに誘われて熱を吐き出す。
腰を上げて繋がったままの体勢でぐったりとうつ伏せになるゆえの姿は、吐き出したばかりの俺の熱をすぐに高まらせた。
それに気づいたゆえが、顔だけこちらに向けて俺を睨む。
「っこ、の・・・変態・・・!!」
「何がだ?」
「何がだ、じゃないっ!も、ちょっと休憩・・・・!」
「ダメだ」
「っあ!!」
一度腰を引いたあと、強く打ち付けた。
ゆえに抵抗できる力があるはずもなく、涙目で俺を睨むことしか出来ない。
「さっきまで強請っていたのはお前だろう?諦めろ」
「ま、毎日毎日こんな、死んじゃうから・・・っ」
「死んだことないだろうが」
「それはたとえだから・・・!」
「なら問題ないな」
「ば、かぁ・・・・」
飽きるなら飽きる理由を教えて欲しいぐらいだ。
そう囁いて俺は彼女の背中に噛み付いた。
赤い華が咲くのを見て、また欲を満たす。
きっと明日も、明後日も。
変わらず俺はコイツをこうやって愛しつづけるだろう。
「おはよ・・・・」
「あぁ、おはよう」
「腰、痛い」
「鍛え方が足りないんじゃないのか」
「んなわけないだろ・・・・」
今日は呆れ顔のゆえを見て目を覚ました。
こうやって俺達の日常は過ぎていく。
変わらず、ずっと、このままで。
俺は柄になくそれを強く望んでいるんだ。
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★海賊 ハート泥棒
【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)