いらっしゃいませ!
名前変更所
布が取り払われた台の上。
そこにあったのは、見覚えのあるオレンジのボール。
「ドラゴンボールよ!!7個揃ってるから、当てた人の願いを叶えるだ・け!」
ビンゴの景品にドラゴンボール使っちゃうって、本来なら大問題なんだけどね。
あの願い玉は世界のルールすら壊してしまう可能性のあるものだ。
まぁ、今ここにいる人たちなら、問題ないだろうけど。
「お、おい、ちょっとまてよ!」
皆が盛り上がってる中、急にヤムチャがドラゴンボールを指さしながら叫んだ。
「ドラゴンボール、1個少なくないか・・・?」
「え・・・?」
「ほんとだ、四星球がない!!」
星が4つ刻まれたドラゴンボール。
それが景品の中のボールには存在しなかった。
ブルマのことだ。
そういうミスはしないと思うんだけど。
疑問に思いながら周りを見回していたら、急に後ろで叫び声が聞こえた。
聞き慣れない声と、トランクスの声。
「こ、こうなったら・・・ピラフ様!」
「っ・・・おい貴様ら!!この小僧を殺されたくなかったら100万ゼニーよこせ!!」
声の先にいたのは、変な生物と、犬と、黒髪の少女だった。
人質として取られているのはトランクスで、黒髪の少女に銃を突きつけられている。
しかも変な生き物の手には無くなった四星球。
どうやら騒ぎの原因はこの子達らしい。
・・・・でも。
「おい、何を笑ってるんだ!ほ、本当に、殺すぞ!?」
少女が叫んでも、誰も慌てない。
当たり前だ。だって人質はトランクスだから。
むしろ人質に取ってる方が危ない気がする。
「・・・・なにあれ、ピッコロ。あんな子達いたっけ?」
「人質にとってるあの女は、トランクスの”がーるふれんど”らしいぞ?」
「え、ガールフレンド?じゃあお遊戯会か何かかな?」
まーた癖のありそうな女の子だこと。
そう思いながらトランクスに銃を突きつけている女の子を見て笑う。
「サイヤ人の彼女って、中々に気の強い人多いよね」
「・・・フン、確かにな」
「ってか、お遊戯会にしてはちょっといき過ぎなんじゃない?あれ、本物よ?」
「ん?」
「銃。玩具に見えるかもしれないけど、ばっちり本物だ」
「・・・・それでも問題ないんじゃないのか?」
ピッコロの言葉に、思わず納得してしまうのが悲しい所。
人間にとっては最強の武器でも、私達にとってはただの玩具にすぎない。
とりあえずどうするか?と皆がざわついている中、悟飯がテンション高く手を上げた。
「おー?これは楽しい余興ですねー?いいでしょー!!僕も参加しますよー!!」
やたらハイテンションで飛び上がったかと思うと、悟飯は一瞬で変身スーツを取り出す。
赤いマント。
全体的にださいデザイン。
グレートサイヤマン、とかだったっけ。
私は変身したことよりも、むしろそれを常備していることに驚いていた。
「可愛い悪党たちめー。悪い奴らはこのグレートサイヤマンが許さないぞー!!」
「ひゅーひゅー!!いいぞ悟飯ー!!」
変な動きに変なテンション。
酔っ払った周りからの野次。
悟飯は変身ポーズを取った後、何やら女の子たちに話しかけ始めた。
その会話を捉えているピッコロの耳が、ひくひくと動く。
「なんて言ってるの?」
「顔を狙って撃てと言っているようだ」
「派手好きだよねほんと・・・」
いつからそうなったんだよ、悟飯。
そんな私の嘆きも虚しく、ノリノリの悟飯は余裕の表情で余興を続ける。
「さぁ、悪党!!思いっきり撃ち給え!!」
悟飯の言葉と同時に、女の子がトランクスを離して銃を両手で構えた。
「もう、どうにでもなれ・・・!!!」
少女の叫びと同時に放たれる銃弾。
悟飯はそれを、笑顔のまま人差し指で弾き飛ばす。
しっかりと顔を狙って撃たれたものだが、悟飯にとっては生ぬるい攻撃だろう。
あんな銃より、私の隣にいる鬼師匠の気弾の方が早―――――
「ったーーーい!!」
余興とは関係ない場所から聞こえてきた声は、ビーデルのものだった。
足を抱えて蹲る姿を見て、皆が駆け寄る。
「うう・・・っ」
「弾いた銃が当たったのか」
「これ、悟飯!自分の嫁さんに当ててどうするだか!!」
「ご・・・ごめんなさい~~~!!」
平謝りする悟飯。
ビーデルの足には、痛々しい銃弾の痕が残っていた。
それを見たデンデが集団の中から顔を出し、ビーデルの傍に駆け寄る。
「僕が治しますよ!」
「ありがとうデン・・・神様」
デンデが手をかざした瞬間、見る見るうちに傷跡が消えた。
同時にデンデが首を傾げ、小さくビーデルに囁く。
私には良く聞こえないけど、ピッコロは聞こえているようだ。
「デンデ、何て?」
「・・・直に分かる」
「えー、内緒なの?ケチ」
「こら悟飯!!悟飯はしばらく酒は禁止だ!!」
「はい・・・すみませんでした・・・」
傷も治り、調子に乗った悟飯はチチから説教を受けていた。
やっとビンゴ大会が再開できるわね!と喜んでいるブルマの奥で、震える影が一つ。
「僕の方にも、飛んできたんだけどね・・・・」
ビルスだ。
ビルスの額に少しだけ見える銃弾の痕――――どうやら運悪く、ビルスにも当たってしまっていたらしい。
殺気に満ちた声は、そこまで耳の良くない私にも聞こえていた。
隣にいたベジータが、わたわたと慌ただしく周囲を見回す。
「かゆい・・・不愉快です」
「では、地球を破壊されますか?」
「リニューアルしたほうがいいんじゃないかな、この星は」
優雅に座ったまま。
落とせば地球が一瞬で砕け散るであろう気の塊を手の中に出現させる。
じょ、冗談じゃない!
あんなもの防げないぞ!?
「お前たち!!!」
緊張が一気に高まったその時、ビンゴゲームの舞台の方からベジータの声が聞こえた。
バン!と鋭い音と共にベジータに浴びせられる光。
スポットライトを浴びたベジータが、綺麗な姿勢でバレリーナのように回転し始める。
そして合わせるように後ろから流れだす曲。
えっと、こ、これは。
「ビンゴ!」
・・・・踊り、始めた。
そのおかげでビルスの攻撃の意志は止まっている。
というより・・・そのために踊りだしたのか、ベジータ。
「ビンゴ!楽しいビンゴ!」
ベジータがプライドを捨てて。
普通に見たらシュールなんだろうけど、笑うにも笑えない光景だった。
いやだって、あのベジータが地球を守るために。
「地球は楽しい〜と・こ・ろだよ〜!」
全力で、踊ってる。
「ごーはーんもーおーいしーい!楽しいビンゴ!楽しいビンゴ!」
サイヤ人の王子が。
プライドを捨てて。
しかもキレッキレだ。
さすがサイヤ人。
「・・・ちょっと引きましたね」
「あぁ、あいつがあんなに踊りも歌も下手だとは・・・ウィスの歌といい勝負だ」
「それは心外」
ベジータのダンスのおかげで、ビルスは破壊意欲を消されたようだ。
また何事もなかったかのように食事を始める彼を見て、ほっと胸を撫で下ろす。
下ろしたところで、今の踊りを納めておけばよかったと後悔する。
感動してたとか言ってたけど。
ほら、それはそれ。
これはこれだから。
「いやー、カメラ出すの忘れちゃった、勿体な・・・・がふっ!!」
言葉の途中で脇腹に鋭い気弾が打ち込まれた。
息が詰まってしゃがみ込んだ先には、この世の者とは思えないぐらいの殺気を放ったベジータの姿。
「何か言ったかクズ野郎」
「・・・・なんでも、ないです」
そんなベジータに何か言えるわけもなく。
私は腹部を押さえながらふらふらと立ち上がり、ピッコロに肩を寄せた。
「・・・・お前が余計なことをいうからだろうが」
「いやーだってさ。あの感じ、ピッコロが教習所に通ってたころ以来で・・・ぐふっ!?」
お、同じ所に、また。
二撃目を耐え切れなかった私は、そのままずるずるとピッコロにもたれ掛かった。
痛い。痛すぎる。
悶絶する私を放置して、ピッコロは私を放り投げる。
「あ、ちょ、ごめんなさい!悪かったです・・・!」
「知るか」
「なんでそんなに怒るのよ・・・かっこよかったよあのピッコロも。写真で取っておくぐらいね!」
「・・・・何?」
なんとか立ち上がった私に、次はピッコロの殺気が襲いかかった。
「おい、どういうことだ?今なんと言った」
「え?な、なにが?」
「貴様まだあの時の写真を持っていやがるのか・・・ッ!!」
「わーー!!勘弁してよ!死んじゃうから!!ごめんなさい!!」
首を締めてこようとするピッコロに慌てて謝る。
いやでもね?
あんなレアな写真、捨てられるわけないでしょ?
ピッコロの私服だよ。
もう二度と見れないレベルのレア・・・・
「どうやら本当に死にたいらしいな・・・!」
「あ、待って、息が・・・っ!悟飯助けてっ!!」
その後、本気で死にかけた私を助けたのは、ビンゴゲーム開始の合図だった。
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