Erdbeere ~苺~ 5.お前の心は俺にも分からない 忍者ブログ
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2015年07月09日 (Thu)
ビルス夢/創造天使ヒロイン/甘/※ヒロイン視点

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創造と破壊は正反対。

世界に生命が満ち溢れすぎても駄目だし、無さ過ぎても駄目。


世界のバランスのためには、破壊神も必要って話なんだけど。
もちろんそれはバランスのためであって。

バランスを考えない破壊はもっての外。


「ちょっっと!!!何考えてんのよ!?」


宇宙空間の中。
破壊されたばかりの星を目の前に、破壊したであろう犯人に怒鳴り掛かる。

怒鳴り掛かられた猫人間――――ビルスは、それでも神かってレベルで呑気な表情をしていた。


「何って、見ての通りだよ?」
「見てのとおりだよ?じゃない!ここは私の管理区間だし、この区間の破壊が進みすぎてるって話をこの前したばっかでしょ!?」


破壊と創造は対であり、バランスに必要不可欠なモノ。

だがそれは行き過ぎれば一瞬で世界を破滅させる恐ろしい存在。


私はここ一帯の銀河の生命を生み出している天使だ。
そして39年前のビルスの破壊のせいで、一番大打撃を負った地域。


なのに・・・またコイツ、ここの星を壊しやがって・・・!!


「完全には壊してないだろ?半分は残してあげたさ」
「半分残ってればいいって問題じゃない。ウィスも何とか言ってよね!?」
「・・・仕方がありませんよ、ビルス様は「ウィス」」


ウィスが何かを言いかけた瞬間、ビルスが一瞬で気を上げて黙らせた。


「え、何?嫌がらせ?嫌がらせなの?」
「さーね?」
「なに、やるつもり?」


わざと私の管理地域狙ってるっていうなら、こっちにだって考えがある。

創造の天使。
聞こえはいいけど、その力は破壊神と同等のモノを持っている。


やろうと思えば私自身が破壊を行うことだって出来る。


「ここでやりあえば、君の星もっと壊れちゃうと思うけどなぁ・・・」
「~~~~っ!もういい!帰る!!」


毎回こうだ。
どちらにせよ、たまに目覚める気まぐれ破壊神の破壊を止めることは難しい。


私は諦め、自分の星に帰ることにした。

苛立ちながら踵を返した私に、ビルスの手が伸ばされる。


「どこにいくんだ?」
「帰るの、私の星に」
「なら僕達も着いて行くか、ウィス」
「はい」
「え、なんでよ!?」


まさか。


「私の星まで壊すつもりじゃないよね?」
「ご飯が美味しくなかったら半分壊すかもね」
「へ?なんで食事用意しなきゃいけないの」
「僕のためにさ」
「あぁ、ついでに私のためにも」
「ア、アンタ達ね・・・・」


好き勝手言う二人にもう怒りすら湧いてこない。

出来れば二人を追い返したいけど、どうせそれも叶わないだろう。


諦めた私は手の中に杖を出し、うるさい二人の手を掴んだ。
こうなったら更に文句を言われる前に連れて行くのが一番。


「おや、潔いね?」
「もしここで断っても、ウィスに頼んで私の星まで来て私の星を壊す・・・どう?」
「正解だね」
「なら連れて行くしか選択肢ないだろ!」


半ギレで杖を回し、魔法を発動させた。
ウィスもこの類の魔法は使えるけど、私のは特別。

自分の星には一瞬で飛べる、お手製の魔法の杖だ。


「はい、つきました」


がらりと変わる視界。

すっと軽くなる空気。


周りを見回せば、見慣れた私の星があった。


花畑や透き通る湖だけがあるこの星に降り立つ、破壊神とその従者。


「んー。すごい違和感」
「何がだい?」
「アンタ達がここにいるの」
「あら、それは心外ですねぇ」
「壊しちゃう?」
「やめろ!」


バシッとビルスの腕を掴み、そのまま自分が住む城へと引っ張った。

まったく、なんでこんな奴らに奉仕しなきゃいけないのだ。
心の中でブツブツ文句を言いながら、魔法でバシバシ扉を開けていく。


一面大理石の城。

白と紫だけが支配する怪しい空間。


「これが天使の城とはな」


何?
天使の城だから、真っ白な世界で埋め尽くされてるとでも?

残念ながら私はそんな性格はしていない。


この城も、私の趣味。


「その後ろについてる翼は偽物だったりしてな?」
「ビルス様、天使の翼は神聖なるものなのですよ。あまり触っては・・・」
「おいウィス。すんごくふさふさだぞ」
「なんと?ではわたくしも失礼して・・・」
「・・・・き、貴様ら・・・」


歩いている最中すら静かに出来ないらしい。

突然私の天使の翼を触りだしたビルスが、その感触を気に入ったのか強く触り始める。
でも、ここで怒って暴れても、被害に合うのは私の星なわけで。


「・・・あんまり触るな」
「別にいいだろー?減るもんじゃないし」
「千切れたらどうするの?それ、生えるまでにかなり時間掛かるんだけど」
「ちぎれるのか?これ」
「っだ!!ばかか!!言ってる傍から抜くな!!」


ぴりっとした痛みと共に、ビルスの手元に現れた白く光る羽根。

私の、天使の羽根だ。


別に抜かれたからと言ってどうかなるわけじゃないが、一応痛みはあるのだ。
抜かれて良い気がする奴なんて居ないだろう。


「ほー、抜いても光るのか。面白い羽根だねぇ」
「そら天使の羽根だからね。そこら辺の鳥の羽根とは違う」
「なら記念にもう少しもらっていくか」
「っだ!!痛い!!」
「我慢しろ」
「意味分かんないよ!」


あぁもう、怒鳴りすぎて疲れてきた。

何言ったって無駄。
それを理解した私はただ黙って二人を城の奥へ案内した。


城の奥には大きな机とシャンデリア。

手に持っていた杖で床をコツンと叩く。


―――――すると。


「ほう、これはこれは」


ウィスがテーブルを見て目を細めた。


さっきまで何も無かった机の上に並べられた、料理の数々。
私が祝い事のために時々準備したものを魔法で復元したのだ。

湯気が立ち上る料理を目の前に、私のことなんか放置して料理にむしゃぶりつく二人。


「何なんだ・・・」


美味しそうに料理食べてくれるのは嬉しいけど。


「これはなんという食べ物だ?」
「それは確か、そう、ハンバーグっていう食べ物だったかと思いますよ」
「なんで知ってるんだ」
「前に天使の総会に呼ばれた時に食べたんです」
「なーんでお前だけ食べてるんだよウィス!」
「そう怒らないでくださいよ、今回は全てビルス様に差し上げますから」
「もう食べたあとだろうが」


本当に神様なのか、こいつら。

どうせ私の方なんか見ちゃいないんだろうと、食事に夢中な二人を置いて自分の部屋の方へそっと歩き出した。


























コツコツ。
私の歩く音だけが聞こえる冷たい廊下。

まるでお化け屋敷のような暗さ。

その暗さの中に光る、紫色の光。


「ふー」


自分の部屋についた私は、大きなベッドに身体を投げ出した。


自分の身体がふかふかのベッドに沈む。
このぐらいふかふかじゃないと、寝た時に翼が痛いから。

あー、ウィス達は自分で帰れるし、このまま一眠りしちゃっても・・・。


「おい」
「っわ!?」


突然頭上から聞こえた声に変な声が出る。
目を開けると、そこにはさっきまで食事をしていたはずのビルスがいた。


「・・・何?」
「勝手に居なくなるなよ。星、破壊してもいいのか?」
「なんで私が居なくなったら破壊していいことになんのよ」
「なら勝手に居なくなるなよ」


なんでさ。

アンタはいつだって破壊を自由に楽しむ神でしょ。
なんでそんなこと言うの。


それもまた、気まぐれ?

私でからかって遊ぶため?


「からかって遊ぶなら他をあたって?」
「別にからかうなんて言ってないだろ?」
「じゃあなんで私がいなきゃいけないのさ。食事は出したでしょー」
「・・・・・さぁ、な。なんとなく」
「ビルスって分かんないわ。へんなやつ」


気まぐれな破壊神のことなんて、分からなくて当たり前なのかもしれない。

私はベッドに寝転がったまま欠伸を浮かべる。
それにつられて、ビルスも大きな口を開けた。


「ふぁう」
「眠いの?」
「・・・少しね」
「39年も寝たくせに?」
「お前のせいだろ。お前を見てたら眠たくなった」
「なにそれ」


ほんと、何考えてるんだか。


「お前の心も、僕には分からない」


突然つぶやかれた言葉。
ぎしりとベッドが軋む。


気づけば私を押し倒すようにして、ビルスが私の上に乗っていた。


何この状況?

そんな疑問を口にする前に、ビルスが笑う。


「分からない?・・・読んだくせに」
「全部読めるわけじゃないのはお前も知ってるだろ」
「知らないわよ。私はアンタみたいに心を覗いたことないし」
「なら覗けばいいだろ?」
「・・・興味、ない」


興味ないなんて嘘。

何を考えてるのか。
私の地域の星ばっかり破壊するのはなんでなのかとか。


知りたいことばっかりだけど。

何故か、見たくなかった。


「知りたいかい?」


あぁ、また。


「僕が知りたいことを教えてくれるなら教えてあげてもいいよ」


何言ってるんだ。
アンタの知りたいことなんて全部こうやって見てるくせに。


「それだけは見えないんだ。僕でも、お前の知りたい部分だけは見えない」
「へぇ?何が知りたいの?」
「お前の、僕への気持ちだ」
「ビルス・・・への?」


いきなり何を聞くかと思えば。


「大事なことさ。お前は、お前の星を壊す僕が嫌いか?」


さみしげに揺れたビルスの表情に、ごくりと喉が鳴った。


手も、何も動かせない。
この体勢だって抵抗すれば逃げ出せるはずなのに、それが出来ない。

なんで。


「・・・・」
「答えろ」


ぞわり。

ビルスの低い声が私の耳元で響いた。
命令口調なのも、今は気にならない。


大体、そんなの意識したことあると思う?

好きか嫌いかなんて、分かりきったこと。


「・・・・ッ嫌いなやつを自分の星に呼ぶと思う?」
「じゃあ、好きか?」
「へっ?」
「好きかって聞いてるんだ、僕のことが」


神様が恋愛を語るなんて思ってなくて。
動揺だけが私の心を支配する。


「ぐちゃぐちゃだな、お前の心は」
「誰のせいだと思ってるのよ」
「僕のせいかな」
「分かってるならどいてくれる?アンタの質問の答えを探しに、寝てくるから」
「ならその答えが出るまで、僕もここで寝よう」


気まぐれな破壊神の質問。

どうせ、深い意味なんて無いんだ。


「起きたらすぐ聞くからね、覚悟しておくように」
「・・・わかったわよ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ」


また、私をからかうための、ただの遊び。


―――――なんて思ってた私が甘かったと思わされるまで、あと1年。
私達はわずかな昼寝をして、同時に目を覚まして・・・そして彼は口にした。


「さぁ、質問の答えは出たかい?」



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