いらっしゃいませ!
名前変更所
「なんかゆえちゃんボロボロじゃない・・・?」
「アンタのところの旦那さんにやられたんだっ・・・!」
正しくは、ベジータとピッコロの二人にだけど。
ボロボロの状態のままビンゴゲームのカードを取りにいった私は、二人分貰ってピッコロに手渡した。
「はい、ピッコロもやろ!」
「あぁ・・・たまにはいいか」
「そんなこと言って。どうせドラゴンボールで新しい訓練場でも作りたいんでしょ?」
「そういうお前は何が狙いだ」
「私?私はあの2等のダイヤモンド!」
私が指差す方向に光る、見たこともないほど大きなダイヤモンド。
あれで何百万・・・いや、何千万、何億の領域になるだろう。
ダイヤモンドの輝きと同じように目を輝かせる私を、ピッコロが呆れ顔で笑う。
「お前、あんなもの魔法で出せるだろうが」
「何言ってんのさ。宝石は出したものより、ちゃんとした本物が綺麗だもん!」
「・・・・ほう?お前がそんなことを言うのは珍しいな」
「正直言うと、部屋に飾ろうかなって思っただけかな。ほら、殺風景でしょ?」
本音を言うと、そんなものだと思ったと呆れられた。
なにさ。私が宝石にはしゃぐのそんなに変?
なんでも出せるっていったって、それは本物を知らないと出来ないことだ。
あんな大きな宝石なんか見たことないから、魔法でだって似たようなのしか作れないし。
こういう雰囲気の時こそ、珍しいものが欲しくなるってやつもある。
「じゃあ、ビンゴゲーム始めるわよー!最初は18番!!」
そして始まったビンゴゲーム。
隣のチチと18号がマジな感じで怖いです。
ピッコロもそっけないふりしてワリと真剣な表情してる。
えーっと、18番、18番。
「お、あった」
「俺もだ」
「なんかピッコロとこういうゲームしてるの、中々シュールだね」
「・・・・ふん。好き好んでやるわけないだろうが」
「そのわりには真剣な表情でしたけどー?」
「ドラゴンボールでもっと楽しい修行がしたいだろう?」
「ぜんっぜん」
「・・・・・」
「っだ!ふ、ふむな・・・・」
喧嘩しながらも順調にビンゴゲームを進めていく。
数回数字が発表されて。
段々とビンゴになってきた人が増えた。
私の手元のカードは1ビンゴ。
ピッコロはぎりぎりのところでまだ0ビンゴのようだ。
「早くしないと、私がドラゴンボール取っちゃうよ?」
「お前はダイヤモンドが狙いなんだろうが」
「いやー、でも旦那が変なトレーニング施設をお願いしようとしてるって分かれば、それを阻止するしかないでしょ?」
「貴様がやりたくないだけだろうそれは」
「バレた?その通りなんで、全力で阻止します」
「フン。揃えるのは俺だ」
ただのビンゴゲームなのに、ここまで熱くなれるのもまた可笑しいと感じるのは。
やっぱりピッコロにはこういうの、似合わないからだろう。
良い意味でも、悪い意味でも、平和が似合わない人だから。
「お、2行目ビンゴきた!」
「何?」
「あれ、ピッコロももう少しだね。でもこの分だと私の方が上かなぁ?」
「貴様のようなやつに運が味方するとは思えんな?」
「それどういう意味だ!」
「貴様より俺の方が行いがいいということだ」
「うわ、元魔族の方にそんなこと言われても説得力ありませんね?」
「少なくとも貴様よりはマシだ」
ま、たまにはこういうのも。
新鮮で好き、かな。
ビンゴゲームも落ち着いた頃。
私はパーティの雰囲気に少し疲れて、皆とは少し離れた場所にあるプールに来ていた。
暑い身体を冷やすため、足だけプールの中につけてみる。
「・・・・疲れたのか?」
「んー。今日はちょっとお酒も飲んじゃったからかな。暑くてね・・・」
私の後を着いてきていたらしいピッコロが、後ろに立つ。
そんな彼の足に背中を預けて、ゆっくり足をばたばたさせた。
「ブルマの誕生日パーティって毎回濃厚だけど、今回は特に色々ありすぎて・・・」
「お前にしては珍しい。気疲れか」
「酷いな・・・否定出来ないけど・・・」
普通のパーティならまだしも、今回はウィスとビルスまでがいる。
ベジータのおかげでビルスの破壊を免れたが、すぐに地球を無に返すことが出来る存在がいると思うと疲れてしょうがない。
いまの私には、彼が暴れても止める力は無いのもまた疲れの一つだ。
天使化すれば戦えないことはないが・・・出来れば避けたい。
そんな力を出して地球で戦えば、どちらにせよ地球は無事で済まない。
「ピッコロもプールどう?」
「いらん、俺は暑くないからな」
「気持ちいいのにー」
水の音がまた涼しさを感じさせる。
後ろから聞こえる皆の騒がしい声さえ無ければ、凄く落ち着く空間だ。
「ふー、つめたーいっ」
「そんなに冷たくなりたいなら、いい方法があるだろう?」
「へ?」
「そら」
「っーーーあぁああぁ!や、やめてよ!何てことするんだ!!」
ピッコロに預けていた背中から感じた、痛みにも似た冷たさ。
慌てて後ろを見上げれば、悪い笑みを浮かべたピッコロと目が合う。
そんなピッコロの手にあるのは魔術で出したであろう”氷”
こ、こいつ。
「心臓麻痺で死んじゃったらどうすんの!」
「そんなので悪魔が死んだら笑いもんだな」
「死なないとは限りませんー!身体はちゃんと人間のものなんだから!」
「なら試してみるか?」
「や、やめろ!人の背中に投げ込むぐらいなら、食べさせてよね」
背中に氷を投げ込もうとする手を掴んで、無理やり口に持って行こうとする。
が、逆にその手を思いっきり掴まれた。
「ちょっ・・・!」
「食わせてやるぞ、ほら」
「ま、また?もー・・・・」
「なら放り込むだけだな」
「わ、ちょ、背中はやめて!」
服を引っ張られて思わず暴れる。
水の中に入れていた足がばしゃばしゃと水を跳ね、私の服を濡らした。
「ああー!もう・・・せっかく作ったドレスなのに・・・・」
「・・・・」
「?ピッコロ、どうし・・・」
水で濡れた髪を、ピッコロがさりげなく手に取って口付ける。
何の違和感もなく行われたその行為に、思わず固まった。
見惚れたっていうのが、正確な表現かもしれない。
ピッコロがそういうことすると、意外と絵になるから困るんだ。
「ピッコロ、何してるの・・・」
「ふっ・・・お前も少しは大人になって、似合うようになったな?この髪が」
「え、なんでいきなり馬鹿にされてるの私」
水面に映る黒髪の私。
元々は戦闘中心の天使だったから、髪なんて邪魔なものでしかなかったんだけど。
ピッコロに似合うと言われてから伸ばすようになったのだ。
背中まで伸びた、真っ直ぐな黒い髪。
悪魔の身体が成長するにつれて、少しずつ私に似合うようになってきたのは事実かもしれない。
まぁ、サイヤ人と一緒で、雰囲気ぐらいしか成長しないんだけどね?
「乾かして、ピッコロ」
「・・・なんで俺が・・・」
「ピッコロのせいで濡れました」
「貴様が勝手に暴れたからだろうが」
「氷入れたやつに言われたくないんだけど!」
文句言いながらも、ピッコロの手は私の髪を梳く。
心地よい感覚。
目を閉じて背中を預ける。
「・・・重い」
「し、失礼な。そんなに食べてないっての」
「嘘つけ。さっきまでアイスとお菓子を総取りしてたやつは誰だ?」
「み・・・・見てたのかっ」
「くくっ・・・他の奴らよりも食べてたな?」
「だって美味しいんだもん・・・」
「なら重いと言われても文句は言えんな」
「こんな短時間で体重は増えませんっ」
くだらない会話でも私達にとってはこれが日常。
「ほら、出来たぞ」
心地よい感覚が消えて目を開ければ、乾いたさらさらの髪が水面に映った。
ふわりとした風が私の髪とスカートを揺らす。
同時に後ろに立つピッコロのマントも揺れた。
・・・・かっこいい。
見惚れてしまうほど、その姿はカッコ良かった。
「・・・・?なんだ?」
私の視線に気づいたピッコロが、不思議そうに尋ねる。
私はぼーっとピッコロを見たまま素直に答えた。
「見慣れてるはずなのに、やっぱりマントのピッコロはかっこいいなって思っただけ」
「・・・・フン」
ツンとした態度。
それが照れ隠しだってことは知ってる。
だってほら、耳が少し赤くなってるでしょ?
「ふふっ・・・」
その反応に満足した私は、ピッコロのマントを引っ張って無理やり隣に座らせた。
「っ・・・なんだ」
「何って、いちゃいちゃ?」
「くだらん」
「いいじゃん。悟飯達もほら、いちゃいちゃしてるんだから」
指差す方向に映る、悟飯やクリリン達の仲睦まじい姿。
それを見ても、ピッコロはフンと鼻を鳴らして目を逸らした。
「知った事か」
なら、腕を振りほどけばいいのに。
そう言いながらも私に掴まれた腕を振りほどかないのが、彼の優しさ。
これを理解するまでに凄く時間がかかった。
でも理解すれば幸せ。
「ピッコロー」
「・・・うるさいぞ」
ピッコロの4本の指を自分の指に絡ませる。
その爪は触れれば何かを切り裂いてしまうほど鋭い。
けど、私に触れるときはその爪は無くなる。
最初の頃はよく傷ついて隠してたけど。
いつの間にかそれは無くなった。
「ピッコロの指長いね」
「お前の手が小さいんだ」
「わりと大きい方だと思うんだけどな・・・」
「どこがだ?」
ピッコロの手が私の手を覆う。
見えないぐらい覆われて、抜け出せない。
私の手をすっぽり覆ってしまうほどの大きさ。
腕を絡めて、その逞しさを肌で感じる。
「ピッコロって全体的に大きいよね」
「・・・お前が小さいんだ」
「いや、2mもある時点で普通より大きいでしょ・・・」
だって私の身体半分ぐらいは違うよ?
隣に座ってるのに見上げなきゃいけない。
「見上げたくなければ頑張って成長するんだな」
「無理だよ!」
「なら諦めろ」
「ピッコロが縮めばいいと思う」
「無理だ」
「えー?私のために縮んでくれたっていいでしょ?」
言いながらピッコロの首もとを掴んで引き寄せる。
「だってほら、こういうことだって出来やす・・・」
口付ける直前。
ぴくりとピッコロの耳が動くのを見て、直前で止めた。
ピッコロが徐々に視線を動かすのに合わせて私も顔を逸らす。
「・・・・」
「・・・何あれ」
「まずいな・・・」
「え?」
ピッコロと私が向けた視線の先で、ビルスとブゥが何やら言い争っていた。
私には聞こえないことも、ピッコロの耳には聞こえているんだろう。
感じる嫌な予感。
慌てて近づこうとした私達をよそに、その嫌な予感は一瞬で的中した。
「馬鹿っていったなお前!!お菓子にして食べちゃうぞーーー!!!」
「・・・・っ完全に、怒ったぞ!!!」
せっかく楽しんでたいちゃいちゃな雰囲気が。
粉々に砕け散った瞬間だった。
PR
この記事にコメントする
サイト紹介
※転載禁止
公式とは無関係
晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
検索避け済
◆管理人 きつつき ◆サイト傾向 ギャグ甘 裏系グロ系は注意書放置 ◆取り扱い 夢小説 ・龍如(桐生・峯・オール) ・海賊(ゾロ) ・DB(ベジータ・ピッコロ) ・テイルズ ・気まぐれ ◆Thanks! 見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。(龍如/オール・海賊/剣豪)
簡易ページリンク
【サイト内リンクリスト】 ★TOPページ 【如く】 ★龍如 2ページ目 維新
★龍如(峯短編集)
★龍如(連載/桐生落ち逆ハー)
【海賊】 ★海賊 さよならは言わない
★海賊 ハート泥棒
【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)