いらっしゃいませ!
名前変更所
いつ見ても本当にお堅いと思う。
このピッコロとかいうやつ、ナメック星人だから性別がないらしい。
だから恋愛事とかには一切興味なし。そして地球の常識にもあんまり。
・・・地球人じゃない私が言うのもあれだけど。
ただこうやって毎日修行して、彼のことを見ていると、悲しくなってくるのだ。
私は、彼に分かってもらえない感情を彼に抱いて、毎日生きているんだなって。
「はぁ」
いつからだろう。
私だって半分はサイヤ人。戦いが好きだっただけのはずなのに。
冷たくも、優しい彼に。
惹かれてしまったのは。
叶わないと分かっていても、その心を抱いてしまった。
「・・・・」
いつか心を読まれたらおしまい。
それでも思わずには、いられない。
休憩に入った私をよそに、荒地の上空で修行し続ける彼を見つめる。
あーあ、こんなにも私が思ってること知らないで。
そりゃそうだよね。彼だって思ってないはずだ。
「はぁ・・・」
憂鬱、の一言。
いつしか修行も上手く出来なくなっていた。
傷つけたくない、とかじゃない。
かっこいい、なんて。
あー、私ってこれだいぶ末期なのかな。
「うん・・・かっこいい、な、うん」
病気だ、と呟いて私は一旦日陰に帰ることにした。
ずっと上空の彼を見ていたから首が痛い。
「ふぁう・・・」
岩場の影に隠れ、眠たくなってきた目を擦りながら傍にあった湖に近づく。
そういえば修行に入ってから一度も水分補給してなかったな、なんて思いながらそのまま湖に手を伸ばした。
ただ、水を飲むためだけに。
そのはずだった私の目に、それが映らなければ。
「・・・・え?」
湖の奥に光った、謎の映像のようなもの。
よーく目を凝らしてみれば、それは一度見たことのあるものだった。
「神殿・・・?」
神様がいるといわれる、神殿。
そう、私が湖に映ってると思ったそれは、神殿だった。
でもなんで、こんなところに?
空高くある神殿が、こんな湖に映り込むわけがない。
「ちょっと。神様だかポポだか分からないけど、私をからかうのはやめてくれる?」
こんなことが出来るのは、神様かポポだろう。
そう思って湖にわしゃわしゃと手を突っ込むと、突如湖が激しく歪み始めた。
波打つ、とかそんなものではない。
ぐにゃりと歪んでいるのだ。
まるで吸い込まれるような感覚に襲われた私は、慌てて湖から手を離そうとして―――謎の緑の手に掴まれて尻もちをついた。
「ひっ!?や、やっぱり神様でしょ!?イタズラしにいったの謝るから~~!」
全力で謝る私をよそに、その手は更に力を入れて私を掴む。
「ちょ、ちょっと、離し・・・・ん?」
突然のことにパニックになって暴れていた私は、しばらくしてその手が”引きずり込む”ことを目的としていないことに気づいた。
暴れるのを止めれば、手の力も弱まっている。
私は静かに呼吸を整えると、緑の手が生えてきている湖に向かって声を掛けた。
「・・・・脅かさないでよ。なんの用なの、神様」
落ち着いて声を掛ければ、緑の手が徐々に上の方に伸びていく。
でも、なんだか様子が可笑しい。
私が知ってる神様は、よぼよぼのナメック星人。
だけど今伸びてきている手は、若々しい手だ。
「あれ・・・?」
徐々に伸びてくる手。
露わになり始めたその姿に、私は見覚えがあった。
神様だから、とかじゃない。
だってそれは、”ピッコロ”だったから。
間違うわけがない。この、私が。
ピッコロの気を。
「ピッ・・・コロ・・・・?え?なんで、え?」
私を脅かすための分身?
だってピッコロは今も、上で修行してる。
気を、感じるのに。
「・・・ピッコロ・・・?」
「・・・なんだ」
「え・・・?こ、これ、なんの悪戯?」
「悪戯などではない。・・・こうしなければ、俺の未来が変わりそうなんでな」
「未来・・・?え?どういうこと?」
よくわからない。
悪戯じゃないの?分身じゃない?
じゃあ、このピッコロは、誰?
「とにかく、”今”の俺に見つかると都合が悪い。こっちへこい」
「え?うわぁっ!?」
湖から出てきたピッコロに腰を掴まれた私は、そのまま荷物のように抱きかかえられ、森の奥深くへと連れ去られることになった。
連れ去られてる最中思ったのは、このピッコロが少し優しいということだった。
荷物抱きにされてる時点で、優しくないかもしれないけど。
そういうのじゃ、ない。
なんか、雰囲気がこう・・・違うのだ。
あと力が違う。気の力が今のピッコロとは違う。
なんかこう、柔らかい何かが入っている。
安心、するような何かが。
「どうした?」
「んー・・・なんか、今のピッコロと違うなって思って」
「ほう、さすがはベリトアだな。そうだ。俺は今の俺とは違う」
表現にひっかかりを覚えた私は、抱き抱えられながら話を続けた。
「さっきも、今の、とかいってたよね。どういう意味?」
「そのままの意味だ。俺は今のピッコロじゃない」
「・・・・と、いうと?」
「・・・俺は、未来の時間軸から来た」
はい?
抱えながらでも私のキョトン顔が分かったのか、ピッコロが鼻で笑う。
こういうところは今のピッコロと変わってないなと思いながら、私はピッコロの腰をぴしっと叩いた。
「ちょっと、笑ってないで説明してよー」
「そのままの意味だが」
「いや、信じられないでしょ?いきなり未来のピッコロです、なんていわれてもさ」
「まぁそうだろうな。だが、真実だ」
「ううーん・・・まぁ確かに、信じれないわけでもないけど・・・」
口では信じてないといったが、別に彼のいうことが全て信じれないわけじゃない。
明らかに今とは違う気の種類。
穏やかな表情と、優しげな声。
うん、やっぱり違う。
「・・・なんか、大人っぽくなった?」
「ほう?それはどういう意味だ?この俺様が子供っぽかったとそういうことか??」
「いだだだだだだ!!!!!」
私の一言に怒ったピッコロが拳を振り下ろす。
そこでやっと地面に足がついた私は、痛みを堪えるためにその場で悶えた。
「うあぁぁぁぁ痛いいい・・・・」
「フン。お前はいつまでも変わらないな」
「当たり前でしょ。そう簡単に変わるとでも思ってんの?」
「別に変われと言ってるわけじゃない。・・・むしろお前はそのままがいい」
やっぱり、違う。
ピッコロはこんなこと言わない。
少なくとも、今のピッコロは。
「・・・ピッコロ、えっと・・・それで、私に何の用?」
「お前には俺の未来がかかってる」
「え?み、未来?え、なんで??」
「・・・・・お前がいなければ、俺は」
”困るんだ”
そう囁かれた声は、ピッコロのものなのにピッコロじゃなかった。
ドキドキする。こうされたいとずっと思っていたから。
い、いやでも、ピッコロの言葉はそういう意味じゃないよね。
勘違いしちゃいけないと首を振れば、楽しそうに笑うピッコロの表情が目に入る。
「な、なんで笑うのさっ」
「いや・・・やはりお前をからかうのは面白いな」
「・・・うわなにそれ。傷つくなー」
傷つかないわけがない。
未来のピッコロが知ってるかは分からないが、私は。
「俺のことが好きなんだろう?」
意地悪い、声。
反論する声さえも出ず、私はその場に固まった。
そう、だけど。間違ってないけど。
なんで。なんで?
「俺が心を読めるのを忘れているだろうお前」
「わ・・・わす、忘れて、ないけど・・・・」
ドキドキしてるとか、そんな気持ちしか私は彼に見せてない。
今この場で、心を読まれたとしても。
―――彼を好きだという直接的な気持ちは抱いていなかった。
それに彼はナメック星人。
恋愛など、分からないはず。
そんな彼に恋を抱いているから大変なわけで。
「そうだな。今の俺にはこの気持はわかるまい。だが俺には分かる」
「・・・ややこしいな。どういうこと?」
「俺にはお前が必要なんだ。お前のその気持が。今の俺にお前のその気持を・・・伝えてやってくれ、ベリトア」
ちょっともう、本当によくわからない。
突然出てきて気持ちを伝えろだのなんだの、もしかしてこれ私の夢?
そう思ってほっぺたを摘んでみるが、すぐに鋭い痛みが走るのを感じて悲鳴を上げた。
「いだっ!」
「夢だと思っているのか?」
「そりゃそうでしょ!叶わないって分かっててもしてる恋だったんだから。なのにいきなり未来から来たとか言うピッコロが、気持ちを伝えろだのなんだの・・・・」
「夢だと思うなら、覚まさせてやる」
意地悪い響きが甘さに変わった瞬間。
唇に温かい感触を感じて、私は目を見開いた。
目の前に見えるのは、ピッコロの顔。
目が合ったのに気付いて慌てて目を瞑れば、少し離れた唇から笑う声が漏れる。
「真っ赤だな」
「っ・・・アンタねぇ・・・!!!!」
もう一度口づけられたところで怒りが勝った私は、拳を振り上げた。
もちろん、当たるとは思ってない。
でもそれは本当に空を切り、私はまた呆然とすることになった。
「え・・・」
いない。
いたはずなのに。
「どういうことよほんとに・・・・」
なんなの、あいつ。
やっぱり嫌がらせ?分身?
でも分身だとしても、あんなことピッコロに出来るわけがない。
恋愛なんて分からないって言ってたのはアイツ自身だ。
それにあの感じ、やっぱりピッコロじゃないんじゃ・・・・。
「おい」
じゃあ誰?
他にピッコロに似たやつなんていない、よね。
ネイルはピッコロが融合したっていってたし。
神様はおじいちゃんだし。
「・・・・おい」
どういうこと?
まさか本当に、夢――――
「俺を無視とはいい度胸だな」
「あだっ!?」
また頬を抓もうとして、頭に走った衝撃に声を上げた。
上を見上げれば、さっきまで修行していたはずのピッコロが私の頭を掴んでいる。
「ピッコロ・・・」
「・・・なんだ」
「・・・・う、ううん、なんでも、ない」
伝えれる、わけがない。
私の望みが作り上げたかもしれないあの幻想を信じるなんて。
今この心地よい関係を、その幻想の一つで崩すかもしれないんだ。
うん、私はこれで十分。
「・・・・」
”お前がいなければ、俺は・・・困るんだ”
本当に、いいの?
彼は本当に未来から来たんじゃないの?
来ているんだとしたら、今の私がピッコロに気持ちを伝えないことで、ピッコロの何かが変わってしまうんじゃないの?
でも勇気が出ない。
なんなのさ、結局自分勝手なのは変わってないんだからピッコロは。
言って欲しかったなら、ちゃんと勇気までくれればいいじゃん。
勝手だ。ほんと勝手。あのクソ緑。
「貴様、本当にどういうつもりだ・・・?」
「いだだだだだだだ!!!はげる!!はげちゃうっ!!!!」
心の中で緑を罵倒するのと同時に、頭をがしがしと掴まれ悲鳴を上げる。
「なんなのさ、人が考えこんでる時にぃ・・・・」
「ほう?俺が見たのはクソ緑とかいう罵倒だったがなぁ・・・?」
「あ、ちょ、ちょっと、心見るのダメ。禁止」
「・・・・なぜだ?」
「いやプライバシーでしょ。ほんとやめて。特に今はやめろ!!」
「そこまで言われると逆に見たくなるというものじゃないか?」
にじり寄られ、思わず後ろずさった。
今読まれたら、まずい。
今の私はいつものように心を無にしたりなんて出来ないから。
いつもはピッコロに心がばれないように、頑張って封じてきた。
でも今は、そんな余裕ない。
「くくっ・・・いつもは生意気なお前がそういう態度を取るとはな」
「う、うるさいな・・・」
「読まれたくなければ組手で俺に勝て。最近修行にも身が入っていなかったようだしな。・・・たっぷり相手してやる。お前が勝てばワガママ聞いてやってもいいぞ?」
「うぐ・・・ちょ、ちょっと!たんまっ!」
組手で勝て、といった言葉に私は慌てて首を振る。
当たり前だ。私がピッコロに勝てるのはあくまでも気を使った術で上手くさばいた時だけ。
組手といった力や近接の読み合いだけの勝負になれば、経験と知識の少ない私が圧倒的に不利になる。
もちろん、ピッコロはそれを分かってて私に修行をつけてくれているのだが。
「ほんとたんま!!ワガママとかいいから!いいから!」
「・・・・・・」
私の必死さに、ピッコロが顔をしかめながら手を止める。
一安心したのも束の間、止まっていた手は組手を始めるぞとばかりに構えられ、ピッコロの悪い笑みが私の目に映った。
「いままでお前がこの手の掛けで遠慮したことはない。ますます怪しいな・・・」
「うっ・・・・」
「さぁ、来い。来ないのならこっちから行くぞ!!」
「うわぁあぁあぁ!?」
意地が悪い。それしか言えない。
今まで以上にどこか楽しそうに襲い掛かってくるピッコロを見ながら、私はとにかく自分の気持ちを抑えることに専念しながら戦った。
気持ちを抑えながら、しかもピッコロの動きを読みながら。
そんな器用な戦いが私に出来るわけもなく、私はあっという間にピッコロの手の上で転がされるような戦い方しか出来なくなっていった。
わざと大振りの攻撃を見せたかと思えば、その隙を突こうとした私の動きを捉えて反撃してくる。
元々力で勝てないのに、動きや素早さまで越えられてしまうんだからめんどくさい。
これが組手じゃなければ、ちゃちゃっと終わらせてやるのに。
そんなこと考えながら動いていた私は、一瞬の隙をついて懐に飛び込んだピッコロに反応することが出来なかった。
「しまっ・・・・」
「終わりだな」
逃げる速度は足りない。
防御なんて、無理だ。
全てがダメな条件。
殴られるのを覚悟して防御の構えを取れば、覚悟していた痛みは来なかった。
「負けだな?」
「・・・うぐ・・・・はいはい、参りましたー」
降参とばかりに手を上げた私に、ピッコロがすぐさま手をかざす。
「それじゃあ早速見せてもらおうか。お前の最近の修行の身の入らなさもそのせいなんだろう?」
「あわ、ちょ、ちょっと待って・・・!」
「何だ」
「何だ、じゃないよ・・・ほんとプライバシーの侵害だから!ね、読まれるぐらいなら言うから・・・!」
その言葉に、またピッコロの笑みが意地悪く歪んだ。
この笑顔でさえもかっこいいと思ってしまうのは、末期なんだろう。
・・・・この状態じゃ、もう隠せない。
でも、見られるぐらいなら自分の口から言うよ。
未来のピッコロ。
信じるよ、アンタのこと。
「私ね」
すぅっと深く息を吸い込む。
声が震えそうになるのを押さえて、私はピッコロを真っ直ぐ見つめた。
「ピッコロのことが好きなの」
私の言葉に、ピッコロの目が見開かれる。
「何?ベリトア、今、なんて・・・」
「・・・好きだっていったの」
「・・・それがベジータや孫が経験したやつか。どうも、俺にはわからん」
「知ってるよ。・・・だから言いたくなかったんだ」
くだらん!と言われなかっただけマシなのか。
聞いてくれただけ、マシなのか。
どちらにせよ、悪い結果になることには変わりないだろう。
深いため息を吐いてピッコロから目をそらした私は、ピッコロの次の言葉に驚かされることになった。
「・・・恋愛とは、どういうものだ?どういった、感情だ?」
あのピッコロが、理解しようとしている。
「え・・・?」
「お前が言ったんだろう。さっさと言え。恋愛とはどういう感情だ」
「そ、それは、えっと・・・相手を傍に置いておきたいって感じかな・・・。その人と一緒にいると落ち着くとか、楽しいとか・・・。その人を自分のものにしたい、とか・・・」
並べるのは、私がピッコロに抱いている気持ち。
言ってて恥ずかしくなるけど、これぐらい言わなきゃ分かってもらえない。
地球育ちだから、ある程度のことは分かってくれそうだろうけど。
「ほう・・・それで?」
「えー、まだ?ううんとね・・・誰よりも守りたいって思うし、誰よりも近くにいたいと思う。その人が他の人に抱きついてたり触られてたらモヤモヤするし・・・」
触れようと思えば触れれる距離。
私はなんて恥ずかしいことを口にしてるんだろう。
「触りたいと、思、う」
そこまで何も言わずに聞いていたピッコロが、私の伸ばしかけた手に優しく手を重ねた。
見下されるような体勢からピッコロがしゃがみ、より近くにピッコロを感じるようになる。
目の前にあるピッコロの顔。
冷たくて、鋭い瞳が私を捉える。
人間じゃない、人間の要素どこにもないのに。
どうして私はこんな、ドキドキして。
「っ・・・・」
「ふっ・・・大丈夫か?相当心拍数が上がっているぞ」
「この場に及んでからかうなんて酷いやつ・・・ほんと」
「俺を誰だと思ってやがる。そんな優しさ、求めるほうが間違ってるだろう」
「・・・・うっせ」
むかついて頭突きしてやろうかと思ったけど、これ以上近づくのは私の心臓にも悪い。
「あーもう、ホントムカつく。とりあえずそういうこと。好きってそういうことなの!」
修行のために彼に近づいた。
最初はただそれだけのはずだった。
彼は私より戦略性のある戦いと、パワーに溢れていた。
私が上回っていたのは、気の扱い方とスピード。
私にないものを彼は持っていた。
そして日が経つにつれ、彼は私の動きを見切るようになり、理解し、強くなっていった。
「・・・・」
その頃だった。
彼の小さな優しさに、胸が苦しくなるようになったのは。
ボコボコにされてる悟飯が羨ましいと思ってしまうほど。
私もピッコロと同じマントつけたいな、なんて。
「・・・・そうか」
まったく分かってないような返事。
分かっていた、ことだ。
「・・・・うん」
「・・・・」
「なにさ。嫌になった?」
「いや・・・考えていただけだ。確かにお前が他の奴らに触られているのは気に食わない、とな」
「・・・へ?」
今、なんて、言った?
「ピッコロ・・・?」
「お前がベジータや孫とつるんでるのを見るのは苛立つものがある、といったんだ。俺にはまだわからんが・・・お前の言ってる”恋愛”の感情の一つなんだろうな」
「・・・そ、そう・・・なんか、複雑だなー」
「何が複雑なんだ?」
「いやだってさ・・・」
「お前がいうその恋愛とやらに、別に付き合ってやってもいいぞ」
また、私には理解し難い言葉が聞こえた。
戸惑う私をよそに、ピッコロが私の頬に優しく触れる。
「お前のいった気持ちとやらに、俺も近いようだからな。理解出来なかったらその時に言おう。・・・それまでは、お前がその恋愛とやらを俺に教えてくれ」
「・・・いいの?」
「何がだ?」
「恋人同士ってこと、だよ?一緒にいたり、触ったり・・・キスしたり、するんだよ?」
「ほう・・・・」
”したいのか?”
そう聞こえた時には、もう私の唇は塞がれていた。
確かめるように唇を舐められ、思わずぴくりと肩が震える。
すると、そんな私の様子を見たピッコロの表情が、辛そうに歪んだ。
小さく首を傾げれば、少し苛立った声でピッコロが囁く。
「困るな・・・その表情は」
「っ・・・・」
「なんだか、こう、本能的に・・・お前を苛めたくなる」
「・・・・相変わらず、意地悪いなほんと・・・・」
それでも、好きなんだけどね。
心の中でそう言えば、彼にもそれが聞こえたのか、また意地悪く笑われた。
「あれ、ピッコロいるじゃん」
「・・・あぁ」
「どこいって・・・ってあー!!1回しか使えないっていってた時の壺・・・使っちゃったの!?水なくなってるじゃん!!」
神殿の上でのんびりと過ごしていた私は、ピッコロが抱えていた壺を見て叫んだ。
デンデがポポと神殿の奥で見つけてきた時の壺ーーーその壺の中には特殊な水が入っており、その水に触れることで時空軸を歪ませ、少しの間だけ過去に干渉出来るというモノ。
干渉出来るのはほんの小さな時間だけ。
それで過去のピッコロを見るために私が使うつもりだったのに、いつの間に!!
「私が使いたかったのにーー!!」
「フン・・・残念だったな。俺が使わせてもらった」
「だから怒ってるんだよ!!このやろ!!」
「やはりお前はそのままがいいな」
「っ・・・な、なにさ、いきなり・・・そんなの通用しないからね!お詫びに殴られな!」
「けっ・・・俺様に勝てると思ってるのか?来い!」
「この修業馬鹿がーーーっ!!むかつくからその触覚抜いてやる!!!!」
「私ね、ピッコロに告白するの怖くて・・・死んでしまいそうだったんだ」
(そう彼女が話していたからこその行動だということを、ピッコロは何も言わない)
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