Erdbeere ~苺~ 1.彼が猫になっちゃった! 忍者ブログ
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2024年11月15日 (Fri)
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2014年10月14日 (Tue)

そのネコはとても毛並みが綺麗だった。
(秋山夢/ギャグ/スカイファイナンス)


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花ちゃんが怒ってる。
それはいつものことだが、今日は今までで一番怒っていた。

何故なら今日は集金日。

・・・なのに、スカイファイナンスにいないどころか、連絡も一切つかない。


「まったく、社長は~~!!」


心配になる。というのが、普通なら先だが。
秋山のような人がそう簡単にやられる人じゃないということを、私達は知ってる。

だからこそ、この反応なのだ。
私は目の前に出されたお茶を飲みつつ、花ちゃんを見上げた。


「ま、まぁ、落ち着けよ・・・・」
「落ち着いてられませんっ!!あけさんも探してきてください!」
「分かった分かった・・・」


このままここにいても、花ちゃんの怒りは収まらなさそうだ。
とりあえず花ちゃんと一緒に秋山を探すことに決めた私は、花ちゃんが探さなさそうなところを探してみることにした。

スカイファイナンスを出れば、冷たい夜風が頬に触れる。

花ちゃんが怒りのオーラを出しながら夜の街に消えていくのを見ながら、私もその逆側に向かって足を進めた。

アイツの行く場所で、花ちゃんが見つけられない場所。
少しだけど、思いつくような気がして、秋山と飲みに行った場所でも見に行くことにした。


「んー、どこかなぁ」


ある程度の飲み屋なら、花ちゃんでも見つけられるだろう。
今まで見つけてきたのも花ちゃんなのだから。

それでも見つけられないのなら、かなり特殊な場所に隠れてるに違いない。

ひと通り歩きまわる予定で裏路地に入ろうとした私は、ふと足を止めた。


「・・・・」


誰にも、わからない場所。
思いつかないような、場所。

飲みに行った場所も、裏路地も、いつかは必ず見つかる場所だ。

いつも一緒にいる花ちゃんが分からないのなら、それはもっと特殊な場所。

飲み屋街に歩こうとしていた私は足を止め、来た方角を引き返した。
目指すは、すぐ近くにある私のアジト。


私のアジトは、ニューセレナの裏路地の部分にある。
必然的にスカイファイナンスとも近くなるのだが、私のアジトは普通の人じゃ見つけることの出来ない場所だ。

だが、一部の特別な人間・・・秋山のようなやつには、入り方を教えてある。


「ったく、勝手に使うなっていったのによ・・・」


裏路地に入った私は、一見何もないコンクリートの冷たい壁を手でなぞった。

壁に出る鍵穴を開くための操作。
ここの扉には花屋のところにあるような装置が埋め込まれており、私が決めた手順通りに壁をなぞらないとドアノブと鍵穴が出ない仕組みになっている。

秋山と、花屋と、東城会の数人には鍵を渡してある。
誰にも見られてないことを確認しながら鍵を取り出すと、ふさふさとした何かが足元に触れるのを感じて咄嗟に鍵を引っ込めた。


「っ!」


情報屋の基地は、あまり見られてはいけない。
花屋の場所だって、限られた人から情報を得てしか行けないのだから。

警戒心から動きを止めた私を、その足元のふさふさはじっと見つめている。


「にゃー」
「んだよ・・・ネコか」


私の足元にすりよる、可愛らしいネコ。
そのネコの瞳は綺麗な青色をしており、毛並みは野良とは思えないほどふさふさしていた。

しかも、毛の色は見たことがないほど綺麗な・・ワインレッド。
まるで漫画か何かに出てくるかのような、使い魔のようなネコだった。


「お前綺麗だなぁ」
「にゃぁ」
「ご主人様まちか?ま、私は遊んでやれないから、またな」


数回撫でてやった後、ネコを巻き込まないように扉から少し離す。
それでもネコは何故かすぐ私の足にひっつき、離れようとしなかった。


「おいおい・・・・」


ネコはすきだから別にいいのだが。
だからといってここに住み着かれても、私がここにちゃんと毎日戻ってくる保証はない。

中途半端に餌付けするなんて、そんな無責任なこと、できねぇだろ。


「悪いけど、ずっとここにいるわけじゃねぇんだよ」
「にゃー」
「・・・・ん?」


私に近づいたネコが、首元を私に見せつけるように伸びをした。
ちりんと音を立て、首輪ではない見覚えのあるものが私の目に入る。

私は思わずネコの前にしゃがみ、その首元についていたものを手にとった。

鈴のついたアクセサリーと、独特な形をした小さめの鍵。

見間違うはずがなかった。
この鍵は、私の、ここのアジトの鍵だ。


「お前、まさか秋山のネコか・・・?」


あいつがネコ飼ってるなんて聞いたことなかったけど。
行方をくらました秋山。鍵をつけたネコ。

この2つが、偶然だとは思えなかった。
私はその鍵をつけたネコをそっと抱え、アジトの中に入る。


「お前・・・秋山のネコなのか?」
「にゃぁあぁ」


秋山、という名前に強く反応したネコを見て、確信した。
秋山のネコかどうかは分からないが、秋山に関係するネコであるということを。

でも、ネコ相手に何かを聞き出すことも出来ないし。

・・・どうしろってんだ、これ。
秋山に何かあったのか?それとも何かのメッセージ?


「んー・・・」
「にゃぁ」
「ううーん。何か言いたいのは伝わるんだけど、ネコ語なんてわからねぇよ・・・」


困った顔でネコを撫でれば、ネコも困ったように可愛く鳴いた。
まるで私の困ってる意味が分かっているかのようで、思わず笑ってしまう。

やたら、人間味のある猫だな。

だけどこのままじゃ埒が明かない。


「ごめんな、ネコちゃん。私いまちょっとやることがあんだよ。人探ししててさ」


ただ、気になるのはネコが持っていた鍵。
何度手にとっても、それはアジトの鍵。秋山にあげたものと同じだ。


「秋山のネコじゃ・・・ないんだもんな?」


静かに聞けば、ネコは不思議そうに私を見つめた後、勝手に私の手から逃げ出した。
そのまま、勢い良く私のベッドに飛び乗る。

・・・なんだろうか。
こういう光景、どこかでも見たことあるような気がする。

そうだ、秋山だ。

あいつ毎回、ここにくるたび、私が寝てるベッドか~なんて言いながらベッドに飛び乗るんだ。

子供っぽいだろ?
でも秋山ってそういうやつなんだ。


「・・・ったく」


少しの時間といえど、居なくなるだけで不安にはなるらしい。
秋山がいない寂しさからか、ネコに秋山を当てはめて考えてしまうほど。

随分と私も、秋山に惚れてしまったみたいだ。

苦笑しながらネコに近づき、ベッドの上で毛づくろいするネコにそっと口付ける。


「可愛いやつ、ほんと」


・・・・?


「あ?」


よく見ると、ネコが輝いているように見えた。
ついに幻でも見始めたか?と目をこするが、そのネコの輝きは止まらない。

ネコから放たれる光はどんどん強くなり、目を開けられなくなった私は目を閉じた。
その瞬間、どさりと音がして、私は何か重たいものに押し倒された。


「・・・っ?」


まぶたから感じた光が弱くなったのを確認して目を開ける。
するとそこにはネコの姿はなく、見慣れた姿が、全裸で、私の上にまたがっていた。


「おい」


私の上に乗っかっている正体に、低い声をかける。
低い声にびくっと反応した正体―――秋山は、私の方を見て、引きつった笑顔を浮かべた。


「・・・・いやー、キスで元に戻るなんて、まるでお伽話だと思わないかい?」
「おい」
「素敵だったでしょ?」
「おいこら。何無視してんだ」
「いだだだだっ!!」


苦笑する秋山を許すこと無く引っ張り続ければ、秋山が降参とばかりに手を上げる。


「い、いやさ、なんか裏路地にいったら、白衣の変な人にお菓子もらってさ」
「変な白衣・・・?」
「そうそう。久しぶりにお菓子なんてもらったから食べちゃったんだよ」
「そしたらこれか。おまえ、知らない人からモノ貰うなって子供のころ習わなかったのか?あ?」


変な白衣。
そいつには見覚えがあるからこそ、私は秋山の頬を引っ張る力を緩めなかった。

秋山が言ってるのは、怪しいゲーム開発をしてたおっさんのことだろう。
桐生もよくそいつの開発したもので、妙な技を覚えてたりした。

そんな怪しい奴のものを、よくもまぁ食べたもんだ。

呆れてものも言えない私は、やれやれと首を振って秋山から離れる。


あけちゃん?」


心配かけさせやがって。
・・・こんな、くだらない理由だったとは。

こんな奴を心配してたのが、馬鹿らしい。


「お、怒ってる?」
「当たり前だろ。お前がいなくなって1日以上だぞ、1日以上」
「・・・・心配してくれたの?」
「・・・・はぁ」


裸で私のベッドにちょこんと座っている秋山に、ため息を付きながら近づく。


「心配しないわけねぇだろうが・・・・」


恋人がいなくなって、心配しない奴はいない。
ベッドに腰掛けて秋山の手を握り、その温もりが存在することに安堵した。


「・・・よかった」
「・・・あはは、ほんと、ごめんね」


腰に手を回すと、秋山の手も私の腰に回る。
そこでふと秋山が裸だったことを思い出した私は、空気を読まず離れようとするが、秋山の手がそれを許さない。


「・・・おいこら変態。はなせ」
「やだよ、久しぶりに触れられたんだからさ」
「たった1日だろ」
「その1日で寂しがってたのは誰だっけ?」
「・・・ぶっ飛ばすぞ」
「やだなー、そんな恥ずかしがらないで、ね?そんな姿見られたの初めてだよ」
「触るな」
「やだー」
「離れろ変態」
「だーめ、ほら、こっちむいて」
「離れ・・・っ」
































塞がれた、唇
(結局はこうやって、彼に負ける)
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