Erdbeere ~苺~ 理解できなくてもそれは愛 忍者ブログ
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2025年03月10日 (Mon)
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2015年06月24日 (Wed)
ビルス夢/ほのぼの甘/治癒天使ヒロイン/※ヒロイン視点

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「壊さないでくれます?」
「破壊神の僕に言ってんの?」
「破壊神だから言ってんの」


神の世界。
花畑が一面に広がるこの天界は、私達天使の領域。

この領域に入れるのは神とか界王ぐらいまで。


不届き者が、この美しい天界を壊さないようにするためのルールなんだけど。
私の目の前で堂々と星の一部を壊した神は、そのルール外の存在でどうしようもない。


「ビルス・・・カンベンしてよ」
「君が来るのが遅いからだろ」
「いや・・・いつ起きるか分からなかったし、大体アンタの星遠いし・・・・」


そう言いながら私はビルスが壊した星の一部に魔法を掛けた。


一瞬で全てが元に戻る。

私は治癒を司る天使。
再生の、天使。


ある意味、ビルスとは真逆の存在。

そんな私達がなんでこんなに普通に話してるのかというと・・・長くなるからやめよう。


「んで、一応聞くけど何用?」
「美味しいものを食べに来た」
「・・・えー」
「ふぅん?嫌そうだね?別にいいんだよ、もう少し壊しちゃうだけだから」
「あーたんまたんま!分かったよ、ちょうど聖域のお酒も手に入ったし、飲む?」
「へぇ・・・美味しそうだねぇ。いただこうか」


ま、簡単に言えば腐れ縁だ。

壊す者の傍には必ず再生がある。
ただそれだけの話。


私とビルスは、幼なじみのような関係。

ビルスが壊して・・・壊しすぎてバランスが崩れたら、私が再生してバランスを戻す。


「どうぞ」
「相変わらず眩しいな」
「天界だしそんなもんでしょ」


真っ白いタイルで覆われた神殿。
殺風景なそこを、二人でくだらない会話をしながら進む。

開けた場所まで出ると、そこには料理とお酒が用意してあった。


してあったっていうか、したんだけどね。
ビルスが起きる気配がしたから、来ると思って。


「ふぅん、気が利くね」
「・・・・・んのやろ」


心を読んだらしいビルスがニヤリと笑って私の顔をのぞき込んだ。


「僕が来るの、そんなに楽しみだったのかい?」


真顔で言われ、言葉に詰まる。

冗談なのか本気なのか。
捉えにくい言葉は返答に困る。


返答に困っていると、ビルスが意外そうな表情を浮かべた。


「へぇ、そんな顔もするんだね。いつもばかみたいな顔しかしないと思ってたんだけど」
「何気に失礼じゃない?今から帰ってもらっても結構ですけど?」
「帰せるものなら」
「やんの?」


ばちりと二人の間で気が弾ける。


分かってる、分かってるよ。
やりあったって私達は真逆の存在。

不毛な戦いになることぐらい、分かってる。


私には決定的な攻撃力は無いし。

たとえビルスに決定的な力があっても、私はそれを上回る力で再生する。


「いやー、私達の戦いほど不毛なものはないよね。やめとこ」
「懸命だな」
「・・・・っさいないちいち。早く座れっての」
「んー。相変わらずいい匂いだ」


鼻をヒクヒクさせながらビルスが特等席に座る。
パーティによくあるような、長いテーブルの一番端っこ。

まぁよくある、王様が座るようなポジションだ。


私は彼がそこを好きなのを知っていた。
だからそこは彼のための料理を置いてる。


「ほんと、最高じゃないか。これが出来てどうして僕の星に来れないんだい?」
「遠い」
「・・・じゃあこの星壊しちゃえば早いか」
「やめてよ!?私どこに住むんだよ!!」


ここは私の星だ。

私の星が壊されちゃ、居場所がなくなってしまう。


右手にエネルギーを貯め始めたビルスを慌てて止めれば、面白く無さそうに力を収めてグラスに注いだお酒を口にした。


「お・・・これ、すんごく美味しいね。なんて飲み物?」
「ワイン、だよ」
「こんなのどこで?」
「下界にもあるらしいけど、これは天界の飲み物」


赤色に揺れる液体。
ゆっくりと舌で味わってから流し込めば心地よい香りが鼻を抜ける。


うん、やっぱり美味しい。

ビルスの好きな味だろうなって思って、見つけてよかった。


「だからそこまで僕のために準備してくれるなら、僕の星に来ればいいだろ」


神というのは厄介だ。

心の領域なんて軽く無視して全てを見てくる。
むかつくから返事をせず、そのままワインを飲み干した。


「・・・・だから私も言ってんでしょ。めんどくさい」
「ならこの星を壊すまでだ」
「だから私どこで暮らすの」
「僕の星にくればいい」
「なーんでよ!大体アンタ、何十年に1週間ぐらいしか起きてないじゃん!」
「お前が居てくれれば少しは起きるさ」
「は?なにそれ、料理作らせる気?」
「・・・・いや違う」


違う?

ビルスにしては珍しい回答だ。


じゃあ何のために私を。


「簡単なことだけど簡単なことじゃないんだよなぁ。なんて言えば・・・まぁ、とにかく僕の星に来て欲しいんだよね」


珍しい回答の次に、意外な発言。


「・・・なんで?」
「お前がいないとつまらない」
「へ?」
「よく分かんないけど、お前がいると楽しいんだよ」


その発言、まるで。

ごくりと喉を鳴らす。


「なにそれ、恋愛みたいな」
「恋愛?食えるのか?」
「んなわけないでしょ・・・」


そっか。
ビルス達神様はさほどそういう知識は必要ないから、知らないのも不思議じゃない。

ちょっと期待しかけた心を抑え、ワインを注ぎながら答える。


「まー、その人を独占したいとか、自分だけのものにしたいとか、もっと触りたいとか、キスしたいとか、えろいことしたいとかそういうの」


適当だったかな?とビルスの方を向けば、ビルスは注がれたワインじゃなくて私を見ていた。


すごく真面目な顔。
いつも飄々としている表情はどこにいったのか。


「ビルス?」
「・・・・」
「ワイン飲まないんだったら飲んじゃ・・・・」


―――――え?


「んっ!?」


目の前に迫ったビルスの顔。
それはビルスの顔と判別出来ないほどに近く、そして、熱い。

唇が、塞がれてる。


キスされてる。

キスというより、唇を食べられてるような感じ。


「っは・・・!ちょ、ちょっと!?」
「なんだい?」
「なんだいじゃないでしょ!!何してんの!?」
「キス」
「いやそうじゃなくて、なんでキスなんか・・・!」
「お前が言った、その”レンアイ”とかいう感情に僕の気持ちが当てはまったからさ」
「・・・・は?」


ああ、もうダメだ。
おちょくられてるの?

混乱する頭を押さえこんでワインから手を離す。

するとその手を追いかけるようにビルスの手が伸びてきて、私の手を掴んだ。


そのまま、椅子ごと倒れて押し倒される。


「うえっ!?いだっ!!」
「その、えろいことってのは知識しかないが・・・確かにお前相手だとしてみたいと思うな。まるで戦いの前のような高揚感がある」
「いやいや冷静に何言っちゃってんの!?神様が天使犯すなんて聞いたことな・・・ひっ!?」


猫が主人を舐めるように。

ぺろりと耳元を舐められた私は、お世辞にも可愛いとは言えない悲鳴を上げた。


悲しいけど、ビルスの力に敵うわけがない。
気で弾き飛ばそうとしても、わりと本気で抑えこまれてて動けなかった。


「ビ、ビルスっ!」
「・・・・ふむ。こういう感情を下界の人間たちは抱いているのか。面白いものだなぁ・・・下界の人間がしてることを、僕達がしてはいけないなんて決まりは・・・ないよねぇ?」
「な、ないだろうけど、こういうのは同意が必要なの!!」
「嫌なのかい?」
「っ・・・・」
「僕じゃ、嫌か?」


急に真面目な表情で見下されて。
心臓がどくんと、大きく跳ねた。


好きかどうかで言われたら、好きだ。


ビルスはほんと昔からの付き合いで、腐れ縁みたいなものだったけど。


一緒にいれるならいたい。
アンタが寝過ぎるから、寂しいんだよ。


「僕が我慢強くないことは知ってるだろ?早く答えなさい」


静かな声。
命令口調。

ゾクリと震えた背筋。


自然と開く、唇。


「ま、ビルスにだったらいいかな」


あくまでも余裕じみた表情で答える。

するとビルスが不敵な笑みを浮かべて、私の唇に噛み付いた。


「んっ!」
「やっぱりこの星は破壊しよう」
「へ!?」
「もっとお前に触れたくなった。・・・だから、この星は邪魔だろ?」
「いやよく分かんない。星は全然関係ないでしょ!?」
「この星にお前がいると、お前はめんどくさがって僕のところに来ないじゃないか」
「いやここ私の星・・・・」
「お前の星は僕の星だ」
「へ、なにその無茶苦茶な理ろ・・・・」


言葉の途中でまた唇を塞がれた。
そして感じた、ありえないほどの強い気。


い、いや、ちょっと待ってよ。

この破壊神、本当に私の星を―――――!


「じゃ、破壊だな」
「あぁああぁあ待っ・・・・!!!」


























信じられない。

宇宙空間にバリアを張って耐えた私は、自分の星が一瞬で消えたことを理解できなかった。


ああ、でも、認めるしか無い。
私の星の座標にあるのは、小さく砕け散った隕石だけ。

破壊神とはいえ、再生の天使の星を壊すなんて・・・最悪だ。


星の再生をしようにも、粉々にされすぎていて上手く再生できない。


「ここまで破壊すれば再生出来ないだろ」
「もうそれは見事なまでに出来ませんけど???どうしてくれんの?」
「帰るぞ」
「は?」
「帰るぞ」


こいつ、本気だ。
本気で自分の星に私を住まわせる気だ。


横暴なくせに、差し出してくる手は優しくて。

不覚にもトキメキそうになった自分が悔しい。


「・・・・どうやって帰るの」
「僕が連れてってあげるよ。特別だ、感謝しろ」
「感謝する気失せた」
「ふぅん?」
「っい!?」


ぐいっと顔を近づけられ。

逃さないとばかりに強まった腕の力に、思わず悲鳴を上げる。
もちろん、目の前には不満気なビルスの顔。


「ビ、ビルス・・・っ」
「お前の弱点、わかったぞ?」
「っなにが・・・!!」


さすがにオイタが過ぎるとぶん殴りかけたその時。
また、唇を塞ぐ感触がした。


キスっていうより食べられてるこの感じ。

ビルスの口的に、しょうがないのかもしれないけど。


「んっ、も・・・!べたべたになるじゃんか!」


抗議しても止まらない。


「ね、ビル・・・」
「おやおや、お邪魔でしたかね」
「あぁ、邪魔だね」
「それは失礼致しました」
「・・・・ウィス」


ビルスの後ろに現れたのは、彼の従者であるウィスだった。
ビルスとの付き合いが長いイコール、ウィスとの付き合いも長い。


私はビルスを突き飛ばすと、ビルスを指さしながらウィスに詰め寄った。


「ちょっとウィス。あいつになんて教育してるわけ?」
「何をそんなに怒って・・・あら、貴方の星は・・・」
「どこぞの破壊神さんに壊されたの。破壊神とはいえ、聖域の星を壊すなんて許されることじゃないけど!?」
「それは申し訳ありませんでした。・・・では、やり直しましょうか?」


ウィスが杖を構える。

そっか、ウィスなら戻せる!
感動して頼もうとした瞬間、ものすごく不機嫌なビルスに頭を掴まれた。


「んぐえ!」
「・・・・もう少し可愛い悲鳴を上げたほうがよろしいのでは」
「っそう思うならコイツどうにかしてよ・・・・!」
「そう言われましても、ビルス様が嫌そうにしてますし」
「そういうことだ。おいウィス。早く僕達を連れて星に帰るぞ」
「あら、ゆえ様も連れて帰るので?」
「星が無いんだからしょうがないだろ。僕の星に連れて行く」
「え、ちょ・・・・」
「分かりました、では」
「まっ・・・!?」


何度目だろう。

この展開。


結局ウィスにもビルスにも話は聞いてもらえず。
10分後、私はビルスの星に足を付けた。

少し不思議な気が漂う、不思議な星。


周りには色んな星が漂い、この星を照らしている。


「・・・」
「なんだ、不機嫌そうだな?」
「誰のせいだと・・・・」
「いいだろ別に。さっさと来なよ、案内してあげるから」
「へいへい」


もう諦めるしかないので、大人しくビルスに着いて行くことにした。

私の前を歩くビルスは何故かとてもご機嫌で。
文句を言いたかった口も、自然と閉じる。


「・・・・」
「あれ、やけにおとなしいね」
「もう諦めましたー。せっかくだからこの星を堪能してやろうと思って」
「なら僕の傍に居ればいい。堪能させてやるよ」
「・・・・・・」


ニヤリと笑って私の方を向き、私の手を取る彼は――――。


「・・・・っ簡単には、満足しませんから?満足できなかったら文句ばっかり言ってやる」
「その時はまた口を塞いでやる」
「・・・・」


かっこよかった。


・・・悔しい、けど。


認めるしかないようだ。
この強引な破壊神に、少しずつ惹かれていることに。


「ま、ビルスが起きててくれるなら少しは楽しいかもね」


最後の仕返しに呟いた素直な言葉も、彼には何も効いてなかった。


「んー、まぁ、起きててやってもいいよ。お前が僕の傍に居るならな」
「・・・はいはい」


あぁ、もういいです。
勝てなくても。

どうぞご自由に、破壊神様。


「元々そのつもりだ」


・・・・むかつく。






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