いらっしゃいませ!
名前変更所
嫉妬深さは時に人を狂わせる。
一度大切な者を目の前で失ったことがある人は、失うことを恐れ、愛を歪ませることがある。
そんなことを、誰かから聞いたことがあったが。
秋山は、後者だろうか。
「ねぇ、あけちゃん」
抑揚のない声。
低く、私にだけ聞こえるように囁かれたその声は、私を捕らえる。
捕まえて、閉じ込める。
外を見せないように覆われていた目が、やっと明かりを宿した。
床に落ちる、目隠し。
目を細めてそれを追いかけても、光になれない目にはまだ見えない。
秋山の表情さえも、分からない。
「言ったよね?どこにも行っちゃダメだって」
秋山が壊れるのは、私が黙ってどこかに行ってしまった時。
ひどく恐れるのだ。私が勝手に居なくなることに。
そして私が桐生や他の男と関わると、もっと酷くなる。
いつからだっただろうか。
こんな風に、秋山が狂い、私を閉じ込めるようになったのは。
思い出せない。
たくさんの女を追いかけ、遊んでいた男が。綺羅びやかな世界の男が。
私だけに執着し、狂ったのは。
――――狂わせたのは、いつだっただろうか。
「・・・ごめん」
「またそうやって・・・・あけちゃん。悪いけど、お仕置きが必要だね」
「ッあ・・・」
秋山が不安定なのを分かっていて、私は秋山の前からわざと姿を消したりした。
わざと桐生たちと絡んだ。
わざと、秋山を不安定な闇の中に突き落としていった。
そう、狂ったのは彼。
狂わせたのは、私。
他の女を見ないように。
・・・他の女のように、”女”としての力で秋山を繋ぎ止めておけない私の、歪んだ愛。
「ほら、ちゃんと口開けて」
「ん・・・」
「・・・・いい子だね」
口づけを落とされれば、大人しく応じる。
秋山の光のない目が、私だけを映しだして。
低くかすれた声が私の耳元を、くすぐる。
彼は知らないのだろう。
きっとこの行為に、私が恐れ、震えているとばかり考えてるんだ。
でも、本当はそうじゃない。
この歪んだ愛の悪夢を、本気で楽しんでるのは・・・・私。
「どうしたの?あけちゃん。怖い?」
「・・・ちが、う」
「へぇ?そのわりには元気ないねぇ。ちゃんと俺の方見なきゃ・・・ダメでしょ」
秋山の指が私の頬をなぞる。
そのまま指は首筋をたどり、胸元に触れ、服を脱がしていく。
抵抗は出来ない。
私の腕は手錠で繋がれているから。
足は足枷をされ、唯一自由なのは口だけ。
それでも、私は、私にしか見せないであろうこの秋山の”異常な行為”が好きだった。
「っ・・・・」
「さーて。今日はどうしようか?この前お仕置きしたばっかりだったのに・・・またすぐこんなことするんだから、今日はもっと厳しくしなくちゃねぇ」
耳元で囁かれる言葉に、身体が跳ねる。
意地悪く笑う秋山の表情が、私の感覚を奪っていった。
「あれ?もしかしてあけちゃん・・・期待しちゃってる?」
「ッ・・・ふざけんな」
咄嗟に口に出した言葉は、本音なのだろうか。
自分でも分からない。
期待、してるかもしれない。
触れてくる手が、近づく唇が、私を震わせる。
「ふぅん・・・ま、いいや」
ニヤリと唇が意地悪い笑みを浮かべて。
私の頬を、首筋を、全てをなぞる。
「ちゃんと声出してよ。・・・今日は、寝れないと思って」
痛みも、快楽も。
秋山が支配しているようで、支配しているのは私。
ほら、私だけを見てる。私だけに触れて、私だけを求めてる。
――――最高、だ。
「あけちゃん、ほら、ちゃんと」
俺だけを、見て?
(こんな悪夢なら、いつまでも見続けていたい)
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