Erdbeere ~苺~ H4.覚醒の連鎖 忍者ブログ
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2023年07月18日 (Tue)


4話/ギャグ甘/※ヒロイン視点


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基地に連れてこられた私は、とりあえずパンと一緒に弱々しいふりをしておいた。

―――――ふり、というか。
まじで酔ったし、お腹も痛い。本気で弱々しい、かもしれない。

悟飯を戦わせるのが目的なら、これぐらいがちょうど良いのかも知れないけど。


「今回はピッコロの眷属もいる。ガンマ2号、こいつを見張っといてくれ」
「りょーかいしました!」
「お前たちは孫悟飯にこれを見せておびき寄せてこい」
「はい!」


立ち去るピッコロの背中に視線を送ると、気づいたピッコロがテレパシーを送ってきた。


「(お前は大人しくしてろよ。間違っても俺が合流するまで暴れるな、いいな?)」
「(はーい・・・・)」


手錠ははめられたふり。
パンも、怖がったふり。

悟飯を連れてくるために敵の本拠地に置き去りにされた私は、近づいてくるガンマ2号に怯えるふりをして見せた。


「ッ・・・・アンタ、ピッコロをやったやつ・・・!」


―――――一応ここでは、ピッコロはやられたものとする。


「おやー?君はあのときの眷属か。・・・・にしても君、そういうのが流行ってるのかい?」
「・・・・?そういうのって?」
「いやほらそれ、悪魔のコスプレ?」
「コスプレじゃない。悪魔だ」


ぱたぱたと羽を動かすと、それを見た2号が子供のように目を輝かせた。
何故かパンも一緒に、私の羽に手を伸ばそうとしてはしゃぎ始めている。


「おぉ!本物なのか!へぇー、こりゃ面白い!」
「お前、知らないのか?悪魔というのは種族にいるんだ。ちゃんと書庫の本は読んだか?」
「もー、1号はお硬いなぁ」


へらへらと笑う2号。
厳しい目を向ける1号。


「そう怯える必要はない。悪の組織さえ倒せれば、俺たちは女や子供に手を出したりはしない」
「そうそう。僕たちにそんな趣味はないからね~」


やはりこの二人のやり取りに、悪意は感じない。

17号や18号と対峙した時と同じ、微妙な違和感。


「(やりづらいな・・・・・)」


完全な悪ならこっちも隙をついたり何なりと出来る。
仕方なく今は人質のふりを続行することにして、パンと一緒に悟飯が来るのを待った。


「それで?僕の戦いの感想はどうだった?」
「文字が賑やかだった」
「だろうだろう?エフェクトにもこだわってるんだ、僕は。どうだい?悪の組織が全滅したら、僕の仲間にならないか?」
「2号!」
「そう怒るなよ1号~。だって面白いじゃないか、悪魔なんて。漫画みたいだ!」
「・・・・ハァ」


しばらくガンマ達と話をしていると、外が騒がしくなった。

それと同時に、悟飯達の気が近づいてくるのを感じる。
パンもそれに気がついたのか、嬉しそうに私の方を見上げた。

そのまま人質として案内された私達は、アジトの出入り口が良く見えるテラスへと連れ出される。


「(空間防壁が這ってあるみたいだけど、本当にここで戦うのかな・・・)」


雨の中、呼び出されたガンマ達が広場に飛び出していった。
マゼンタ達も悟飯とガンマの勝負を見学するらしく、広場の方に出て楽しそうに笑っている。

そこに走る、一筋のひこうき雲。

途中で飛行機が爆発したかと思うと、悟飯がその場に降り立った。
飛行機から飛び出してきたもう一つの影が、飛行機の中にいたであろう隊員を抱えてこちらへと向かってくる。―――――ピッコロと、15番の人だ。


「大人しくしてたか?」
「うん!」
「そりゃもちろん」


94の番号とピッコロの気に安心した私達は、こちらを見た悟飯に手を振った。


「ッ、パン、ゆえさん・・・ッ!!」
「パパ!」


悟飯が一気にこちらへと飛び込んでくる。
さすがの瞬発力に、前に立っていたガンマ1号は反応しきれなかったらしい。


「2号!」
「おっと、行かせないよ!」


私達の目の前まで迫っていた悟飯が、2号の蹴りを食らって入り口へと戻されていった。
本気の悟飯なら食らいそうにない攻撃を受けて吹き飛んでいくのを見ると、まだまだ本調子じゃないらしい。

そのまま、悟飯と1号との勝負が始まった。

厄介なことに、1号は2号とも変わらない戦闘力を持っていた。番号的に先に生み出されたのだから少し弱かったりするんじゃない?なんて甘いことを考えていた私を、目の前の戦闘は容赦なく打ち砕く。


「(それどころか、1号の方が強いかも知れない。冷静に相手の動きを見て、すぐに対応出来るようになっていってる・・・・性格の、問題もあるかもしれないけど)」


悟飯の攻撃が段々と1号を捉えられなくなっていくと、痺れを切らした悟飯が超サイヤ人に変化した。発せられる黄金色と大量の気を見ても、1号はまったく表情を歪めない。


「・・・・余裕そう」
「あぁ。おそらくまだまだ余裕だろうな」
「あいつ、強いね。パパ、かてるかなぁ?」
「今のままでは・・・・無理だな」


先程よりは少しずつ攻撃が入りつつあるが、それも一時的なものだろう。超サイヤ人になったことで、スピードと攻撃力が上がったからだ。圧倒的な差になっていない以上、このまま戦えばおそらく不利になるのは悟飯。


「お前も冷静な解析が出来るようになってきたな」
「そりゃ・・・・下手すりゃ次戦うのは私だからね」
「いい心がけだ」


段々と体力が落ちてきている悟飯に対し、1号は一切疲れを見せていない。


「やっぱりあいつ、動きを学んでるね」
「あぁ」
「うーん、あれなら私は2号とのほうが希望ありそう」
「だがあいつも相当なパワーだぞ。飄々としているからこそ、戦術に掴みどころもない」
「じゃあこのままピッコロが2号とやれば完璧じゃない?守ってくれるんでしょ?」
「・・・・・」


きゅるん、と音が付きそうなほどわざとらしい上目遣いをした私に、ピッコロが気色悪いと言わんばかりの舌打ちをしてみせる。


「今ので守る気が失せた」
「嘘でしょ!?」
「ったくうるさいぞ。少しは人質らしくしろ!」
「あがっ!!」
「きゃー!!たすけて、ぱぱー!」


まだ痛みの残る腹部に二発目の追撃を受けた私を見て、パンが棒読みの悲鳴を上げた。その様子を見た悟飯の気が、一気に収束し始める。


「パン!ゆえさんッ!・・・くそ、こんな・・・!許さない、許さないぞッ・・・・!」


あのときの、セルの時に感じた気と同じ。
冷たい、氷のような鋭い気。冷酷な瞳。甘さの消えた、怒り。


「いいぞ、悟飯が覚醒した!」
「やったー!」


蹲る私に対し、パンの咄嗟の機転を褒めるピッコロは私のことなど見向きもしない。
そんな私の心配をしてくれたのは、後ろ側で見ていた2号だった。


「おい!無抵抗な女性や子供に手を出すのは駄目だろう!次やったら承知しないからな!」
「「・・・・・・え?」」


私の様子を見ていた2号が、心配そうに私の顔を覗き込む。


「大丈夫かい?痛かっただろう。後で僕が博士に頼んで回復薬を・・・・」
「だ、だい、じょうぶ」
「とても大丈夫なようには見えないんだけど・・・・」


2号にピッコロのことがバレないかヒヤヒヤしながら2号との会話を済ませた私は、広場から聞こえる2号を呼ぶ声にほっと胸を撫で下ろした。


「2号!お前も一緒に戦うんだ!」
「ハッ!」
「おっと待て。それなら俺と戦おうじゃないか」


その心配も、まったくもって意味がなかったらしい。

飛び降りようとした2号の腕を掴み、そのまま投げ落としたピッコロは、身に着けていたヘルメットと服を一瞬で消し飛ばした。見慣れた道着姿になったピッコロに、体勢を立て直した2号が大げさな反応をして見せる。


「なんと!これはピッコロ大魔王じゃないか!」
「言っただろう。俺はただのピッコロだ!」
「本当に生きていたようだな。まさか懲りずに、僕にやられにきたのかなぁ?」
「先程とは、一味違うつもりだ」
「・・・・・今度は逃げるなよ!!!」


始まった2号とピッコロの勝負。
戸惑うマゼンタ達と共に、なんでピッコロさんが?と不思議そうな顔をしながら1号に技をかける悟飯も中々に肝が座っている。


「説明してる暇はない!戦いに集中しろ!」
「は、はい!ピッコロさん!」


崩れていく建物。
戦いの場所が次々と転換していく中、二人の姿が見えなくなっていく。

追いかけて勝負を見守りたかったが、パンがいる以上そうもいかない。
手錠を引きちぎり、パンを守るように立った私は、気と気配だけで勝負の行方を追うことにした。

集中すれば、崖下で殴り合っているであろうピッコロと2号の気配がする。
どちらが優勢なのかは見なくても分かる。悔しいが、2号の方だ。
ピッコロの気があちこちに移動しながら弱まっていくのに対し、2号の気配は一切乱れない。


「(潜在能力を解放したピッコロも中々にすごかったのにな・・・・)」


しばらく見守っていると、ふと一気にピッコロの気が弱くなった。
焦りが顔に出たのか、まだ遠くの気配を探れないらしいパンが不安そうな顔で私を見上げる。


「ピッコロさん、大丈夫だよね?」
「・・・・・・」


大丈夫だよ、と笑顔で言う事ができない。

急激に弱まっていく気がふらふらと落ちていく。2号にやられ続け、落ちて行っているのであろう。聞こえてくる轟音と共に、土煙が上がる。


「・・・・ピッコロ」


轟音と、小さく聞こえたピッコロの声。


「ピッ、コロ・・・・?」


ぷつり、と。
糸を切るように小さくなった気に、私はもう一度テレパシーで呼びかけた。


(ピッコロ・・・・!)


ピッコロが、負けるはずない。


(ピッコロ、返事をして)


私の、師匠なんだから。


(ピッコロ――――!)


その瞬間、だった。



















(―――――うるさいぞ)


ぶっきらぼうに返ってきたテレパシーと共に、とてつもない量の気が柱として空に上がった。

その気の質は間違いなくピッコロのものだが、悟空やベジータのゴッドにも近づきそうなこの気の量を、私は知らない。


「な、なにが、起きて・・・・?」


気の柱と共に上がってきたのは、オレンジ色に光るピッコロだった。

気だけじゃなく体型も変化しているのか、見た目はいつものピッコロよりもだいぶいかつくなっている。

より、戦闘向きに、パワータイプになったような。
それを見た2号が叫びながらピッコロへと向かっていく。


「今度は、なんだぁ!!!!」


それは、人造人間である2号のパワーが落ちたから、なんて説明では間に合わない光景だった。

あの状態の悟飯ですらある程度食らう攻撃を、まるで赤子のパンチを食らうかのようにびくともせず受け止めるピッコロがこちらへと歩いてくる。2号は何度かピッコロの腹へとパンチを繰り出したが、まったく食らっていないことに気付くと、顔を引きつらせながら手を引いた。


「・・・・・」
「・・・・・」


無言で見つめ合い、そして。


「ハァッ!!!」
「がっ―――――!?」


大ぶりの一撃を、2号の頬に叩き込んだ。

地面に沈んだ2号を見届けて、ピッコロが自らの体を確かめるように拳を握りしめる。
どうやら、ピッコロも今まで気づいていなかった力のようだ。

背中にちらりと見えるマークは、アジッサの木だったか。
冷静に状況を読み解こうとしていた私だったが、すぐ我に返って頭を横に振った。


(いやいやいや!あれなに!?)


まさか、これが神龍の言っていたおまけ?


(にしてはやりすぎじゃない!?)


あんなに苦労していた2号を一発ノックアウトするなんて。
どう考えてもその気の量は今までの一時的な上昇のものとは違う。

え、あれってまさか自由に使えちゃったりするの?

だとすれば次から修行は―――――。

恐ろしいことを考え出してその場から動けなくなる私に対し、パンは元気よくマゼンタ達を追いかけて飛び降りていった。数秒遅れて追いかけた私の目の前で、マゼンタの付き人がパンに銃を放つ。


「このガキ!!」
「ちょ、ちょっと!子供になんてこと・・・!」


私が止めに入るよりも先に、横から飛んできたビームによって銃が叩き落された。


「ッ、何をする2号!」
「今ようやく分かった。・・・・どっちが、悪か!!!」


やはり2号達は私達を倒すため、というよりは悪を倒すために戦っていたらしい。
銃を失った付き人がパンにぼこぼこにされるのを見届けながら、ピッコロへと駆け寄る。


「おい悟飯。もういい。戦いをやめろ!」


私達は、ガンマ達が思う悪者じゃない。
悪者じゃないのなら、戦う必要はない。

私達を悪ではないとみなしたガンマ達は、すぐに戦いの手を止めた。

未だに理解できていないらしい悟飯にパンが可愛らしく説明する様子を見ながら、私もピッコロに謎を尋ねる。


「ねぇピッコロ」
「ん?」
「さ、さっきの変身・・・・あれ、何?」
「あぁ。あれがおそらく神龍のおまけ、というやつだろう」
「・・・・・あれって、すぐに使えるの?」
「ん?あぁ。ベジータ達の超サイヤ人みたいなものと同じだな」


その答えに、私は思わず「うげ」と声を上げた。


「・・・・・その反応。お前どうせ、修行でこれを使われたら嫌だ、などと考えているのだろう?」


図星を突かれ、全力で首を横に振る。


「そ、そそ、そんなことない。むしろやりがいがあって良いなぁって思ってます!」
「ほう。なら遠慮なく使ってもいいな」
「・・・・絶対私が何も言わなくても使うつもりだったよね?」
「さぁな?」


意地悪く笑うピッコロに、テレパシーで叫んだ自分が馬鹿らしくなって目を逸らす。その視線を追いかけるように手を伸ばしたピッコロが、私の耳元で囁いた。


「心配かけたな」
「・・・・ん」
「お前のバカでかい声が聞こえたもんでな。おかげで覚醒にも力が入っちまった」


軽く、触れるだけのキスが頬に当たる。


「・・・・無事で、嬉しいけど、複雑」
「フン。素直に喜べないのか?」
「師匠がこれだから・・・・」
「ピッコロさーん!ゆえさーん!」


パンから事情を聞いたらしい悟飯が、私達の方へと駆け寄ってきた。


「ピッコロさん!全部聞きました。ご迷惑をおかけしてしまって・・・・」
「まったくだ」
「それよりも、さっきのやつはなんですか!?何だか、オレンジ色に光ってましたよ!すごい気の上昇で・・・驚きました!」
「そうだな・・・俺も、覚醒した、というところだろう」
「へへ、すごいなぁ。名前つけてくださいよ!」
「名前、か。そうだな・・・・名付けるとすれば、オレンジピッコロか?」
「おれんじ・・・ぴっころ・・・・」


ダサいネーミングセンスをかき消す、ヘリの音。

近づいてくるヘリの音に顔を上げると、カプセルコーポレーションのマークが目に入った。

そこから感じるのは、複数の感じ慣れた気。
どうやら、助っ人を連れてきてくれたようだ。
既に誤解が解け、ある意味和解状態になったここには必要のない助っ人になってしまったが。


「助っ人つれてきたわよー!・・・ってあら・・・・?」


ボロボロになった敷地。
ひと目見て、戦いが終わった後と分かる空気感。

そして、新しい人造人間達。

ややこしいこの状況を追加で説明しないといけなくなった私は、助っ人のタイミングにげんなりと肩を落とした。まさかそれが、フラグになるとも知らずに。











「セルが、セルマックスが、起動した――――――!」

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 ・気まぐれ

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(龍如/オール・海賊/剣豪)