Erdbeere ~苺~ 7章 真島の兄さん 忍者ブログ
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2013年02月23日 (Sat)
7章/※ヒロイン視点

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神室町の方に戻ると、桐生の携帯に狭山から着信が入った。
どうやらずっと連絡なしだったことを怒っているようだ。

とりあえずゴタゴタがあったことを説明し、合流するよう伝える。
すると以外にもすぐに狭山が駆け付け、私たちと合流した。
街の騒ぎにいち早く気が付き、先に街の方へ出てきていたらしい。

さすが警察というか、何というか。

確かにいつもと街の様子が違うのを感じ、あたりを見回す。


「・・・様子が、変だな」
「ええ。騒ぎが起きてるみたいよ。急ぎましょう」
「おう!・・・行くぜ!」
「おいこら、先に行くなって言ってるだろ!」


桐生に怒られながらも、私は真っ直ぐ騒がしい場所を目指して走った。

走るたび、左肩の傷口が響くように痛む。
それでも真っ直ぐ走り続けていると、突然異様なものを見つけて足を止めた。

足元に転がっているのは、見知らぬスーツの男。
だが、その胸元には、見覚えのある代紋。


「・・・・なぁ、桐生。これ・・・」
「あぁ・・・やはり騒ぎを起こしてるのは千石組らしいな。急ぐぞ」


騒ぎを起こしてるのが千石組ってのは確実になった。
それは分かったけど、なんでそいつらがこんなところで転がってるんだ?

騒ぎが起こってるのは向こうの通りだろ?
もしかして、誰かが先に食いとめてくれてるのか?

疑問ばかり浮かぶ私の目の前に、その答えが見え始める。


「そぉら!!!」
「ガハッ・・・!こ、この、男・・・・何者・・・・や・・・・」
「なん、や・・・もう、終わりかいな?情けないのぅ・・・・」


大通りで戦う、一人の影。
千石組の男が倒れるのと同時に倒れたその影を、私は必死に走って受け止めていた。

ガンッ!と道路に腰を受け付けてしまったが、そんなことはどうでもいい。
急いでポケットから痛み止めを取り出し、倒れた男―――真島の兄さんに飲ませてやる。


「兄さん、大丈夫か!?」
「ああ・・・平気や、あけちゃん」
「真島の兄さん・・・」
「桐生ちゃん・・・約束やったからの。ちゃんと、守ったで・・・・?」
「・・・・あぁ。ありがとう、兄さん・・・」


“東城会を守って欲しい”
闘技場で交わした約束を、兄さんはたった一人で守ってくれたのだ。

神室町を襲う千石組を、たった一人で倒し、食い止めた。

その傷は深くはないが多く、出血量も尋常じゃない。

とりあえず、痛み止めは飲ませたし・・・次は軽く治療するか。
狭山に病院への電話を任せつつ、薬を取り出そうとした私を、兄さんが震える手で止める。


「待てや、あけちゃん。桐生ちゃん連れて、はよう東城会に戻るんや」
「何言ってんだよ!兄さんをこのまま放っておけるわけ・・・!」
「元々奴らの狙いは、お前さんたちが本部を抜け出すことやったんや・・・。だからこないな目立つことして・・・早う戻らんと、本部が危ないで・・・」


本部が危ない?
兄さんの言葉に、私と桐生が顔を見合わせた。

当たり前だ。
千石組が街で大暴れし、龍司が本部から手を引いた今、一体誰が本部を狙うと・・・。


「新藤や。奴は千石からの金で・・・寝返ったんや・・・」


新藤と言えば、錦山組の奴だな。
そいつが関西の金で寝返った?世話になった東城会を、近江に売ったって言うのか?

それが本当なら、急いで戻らないといけない。
本部は今、動けるやつが大吾や柏木さんぐらいしかいないはずだ。

ただでさえ郷龍会の若い奴らが暴れたせいで、人数不足になってるっていうのに。

加えて身内からの裏切り―――対処しきれる確率は少ねぇだろう。


「でも、兄さん・・・」
「彼のことは私が見るわ。貴方達は先に行って」


兄さんを放っておけない。

そう言おうとした私を遮り、狭山が兄さんを奪うように抱きかかえた。

良いのか?なんて、確認する間も与えてくれない行動の速さ。
驚く私を余所に、手に持っていた血止め薬まで狭山に奪い取られる。


「さ、狭山・・・」
「早く行って」
「・・・さんきゅーな、狭山」
「恩に着るぜ、狭山」
「貴方達にお礼を言われる筋合いはないわ」


相変わらずな態度に笑いつつ、私はもう一度お礼を言ってから走り出した。
向かうは本部。早く皆の無事を確かめなければ。

どうか、どうか皆で無事で。

ぜってぇ許さないからな、新藤・・・!!




















東城会本部前に着いた時には、既に遅かった。
入口近くには、郷龍会とやり合ったときよりも多くの構成員が横たわっている。

そして異常なほどの、静けさ。
一戦終わってしまった後、って感じか。
でもまだどこかで戦ってるかもしれない。大吾達が食いとめてるかもしれねぇしな。


「中に居る可能性が高い・・・よな」
「あぁ。・・・いけるか?あけ
「・・・・おう!」


純粋に私を頼ってくれる桐生の言葉。
その言葉に思わず顔がニヤけてしまうのを感じた私は、桐生より先に本部の建物内へと足を踏み入れた。

敵がいるかどうかなんて確認しない。

どちらにしろ、騒ぎを起こすことは避けられねぇことなんだからよ。

バンッ!と力任せに扉を蹴り破り、扉の前に立っていたらしき男を吹き飛ばす。
勢いよく吹き飛んだ男はそのまま気絶したらしく、ピクリとも動かなくなった。


あけ。もう少し大人しく出来ねぇのかお前は」
「どーせもう始まってんだ・・・騒いだって問題ねぇだろ?」


そう、もう戦いは始まっている。
私たちがこの本部に入った瞬間から、ずっと。


「ったく・・・おい、右だ!構えろ!」
「言われなくても・・・・分かってるっての!」


お互い読み取った気配。

私たちの言葉が合図となったのか、さっきから気配丸出しだった錦山組の連中が飛び出してきた。

だが、こんな奴ら敵じゃない。
微かに痛む左肩を庇いながらも、必死に桐生の動きに合わせて戦い続ける。

吹き飛んでいく男達。壊すように蹴り開けられていく扉。
本部を隈なく探すように進んでいるが、大吾達の姿は未だ見つからない。


「ったく・・・大吾達はどこだ・・・・よ!」
「けほっ・・・んの、クソアマァ・・・ごふっ!?」


武器を持って襲い掛かってくる奴もいたが、そんなのが私達に通用するはずもない。
特に喧嘩を始めた桐生は無敵だ。化け物と表現しても良いぐらいに。

背中を守る私ですら、恐怖を覚えてしまうその威圧感。
曲がり角の奇襲に注意しつつ角を曲がり、奥の方にある扉を見て桐生を止める。


「・・・あの部屋、ビンゴくさくねぇか?」


曲がった先がヤケに静かで、私はひっそりと桐生に耳打ちした。
桐生も怪しいと感じ始めていたのか、足音を消し、その扉へゆっくりと近づいていく。

中の様子はもちろん見えない。
だが、その雰囲気だけで十分だった。
別の部屋では感じられなかった雰囲気がここにはある。それだけで。


「ここ、か?」
「・・・みたいだな。準備はいいな、あけ
「いつでもおっけーだぜ!」


私の返事と共に開け放たれる扉。
そしてその中の光景を見た私は、予想以上の悪い状況に顔を顰めた。
























新藤・・・。
(現れた私達二人にも、その男は笑みを浮かべたままだった)
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