いらっしゃいませ!
名前変更所
大丈夫。
その言葉が信じられないほど、こいつの身体は傷だらけだった。
無理してることが分かる。
なのに平気な顔をするこいつが、俺は心配でしかたなかった。
いつも憎まれ口を叩き、いらない余計な一言を言って俺を怒らせて。
そして戦いになれば、俺でさえ驚くような喧嘩を見せる。
「あ、ちょ、っと・・・・」
「隠すんじゃねぇ」
「んっ・・・」
どれだけ身体に教えてやれば、お前は静かにしてるんだ?
お前が大事で仕方ねぇって言ってるのに、俺の言うことを聞こうとしねぇ。
いや、だからこそお前に惹かれたんだ。
無鉄砲で、馬鹿正直な、お前に。
その割には変なところで弱気になるお前から、目を離すことが出来ない。
「手、どけろ」
「う・・・どけるから、そんな見るなっ・・・・」
「見なきゃ出来ねぇだろ?」
「ぁ・・・っ」
拒む手を退け、露わになったあけの胸に手を這わせる。
それだけであけはぴくりと反応を見せ、普段聞かせない甘い声を上げた。
その声は俺を優越感に浸らせる。
誰にも聞かせた事の無いであろうあけの声を、独り占め出来るのだから。
もっと、もっとその声が聴きたい。
そう思うのは、当たり前だろ。
「ふ、ぁっ・・・ん、んん・・・」
「声を抑えるな・・・」
「い、や・・・」
「・・・どうやら、お仕置きだってことが分かってないみたいだな」
「あ、嘘です嘘・・んぐっ・・・ん」
ゆっくりと太ももに手を伸ばし、下着だけになったその部分へと近づける。
俺が、俺だけが教え込んだ感覚に震えるあけが、とても愛しい。
―――だから、意地悪したくなるんだ。
焦らすように太ももと下着の上を、交互に触れる。
もどかしいその感覚にあけはぎゅっとシーツを掴み、俺の方を睨み上げた。
俺が意地悪でこうしてるってことを、すぐに理解したのだろう。
だが、睨まれたぐらいじゃ止めはしない。
脱ぎ掛けだった服を全て脱がし、また焦らすようにそっと触れる。
「ひ、ぅっ・・・あぁあ・・・!」
甘くなる声。
それに誘われるように熱の部分へと指を突き立てれば、その声が一層大きくなった。
俺しか受け入れたことのない場所。
上下に動く胸。熱い吐息。
潤んだ瞳。この状況でも崩れない強気の表情。
全てが、俺の理性を壊していく。
あけがまた俺の腕の中に戻ってきてくれてよかったと、そんな安心感ですら理性を崩す。
「ん、ぁ・・・ふっ・・・」
「あけ・・・」
「・・・な、んだ・・・?」
「気持ちいいか?」
「・・・んなこと、聞くなよ・・・馬鹿・・・んっ、ぅあ!」
ゆっくりと狭いソコを広げるようにして指を動かすと、あけが強く目を閉じた。
震える手はシーツを掴んだまま、抵抗する術もなく俺の行為に身を震わせている。
いつも強気な人間が、自分の前だけで崩れる瞬間。
喧嘩で相手をねじ伏せるのとは違う、心が満たされる暖かい感覚。
その感覚が欲しくてもっと指を動かせば、コンクリートむき出しの部屋に甘い声が響いた。
「ひ、あぁ・・・・!く、あぁっ、んっ!」
「まだ・・・いけるな」
「ッ・・・ぅ、あ・・・」
1本だった指を、2本に増やす。
苦しそうな声と共に、暖かい感触が俺の指を包んだ。
熱いそこに深く突き立て、奥の方で指先を曲げる。
ここが弱点だと、分かっていての行動。
あけはその感覚に耐えるように腰を引こうとするが、もちろん逃がしはしない。
「ッ・・・」
「逃げるんじゃねぇ・・・」
「待っ・・・」
「待ったらお仕置きにならねぇだろ。・・・力、抜けるか?」
「・・・ん」
突き立てていた指を抜き、そのまま己をあけのその部分に近づけた。
何度やってもなれないのか、この瞬間だけはあけが表情を厳しいものへと変える。
怖いのか。それともこの後の快楽に溺れるのが嫌なのか。
圧迫感につらそうな息を吐くあけを、優しい口づけで落ち着かせていく。
「っ・・・は・・・」
「大丈夫か・・・?」
「うっ・・・せぇよ」
いつもの、あけだ。
潤んだ瞳が俺のことを見上げ、それから安心させるように笑みを浮かべた。
憎まれ口を叩く癖に、こうやって人の気持ちを呼んだかのようなことをしてくる。
馬鹿だな。せっかくお前の身体を心配して、手加減してやってたのに。
そんなことされたら―――無理に決まってるだろ。
「うあっ!」
「お前の・・・せいだぞ」
「ん、ぁぁ・・・!」
「痛くねぇか?」
「さっきから、心配・・・しすぎだろ。心配しすぎると、ハゲ・・・るぞ・・・・ん、ぅ!」
言葉を遮る様に腰を動かせば、あけの表情が変わっていく。
その表情だ。その表情を、もっと俺だけに見せてくれ。
「ぁ、かず、ま・・・っ」
もし助けるのが遅れたら、アイツらにあけがこうやって陵辱されていたかもしれない。
お前はそうやって、平気だと笑っているが・・・・本当にそんなことが起きれば、俺は平常でいる自信がねぇ。
お前は俺だけのものだ。
独占欲が強いことぐらい、分かってるだろう?
お前が喧嘩するときの背中でさえ、誰かに預けるのは嫌だと感じるんだ。
俺は、
「っ・・・あ、あぁぁっ・・・ん、あ!」
「あけ・・・っ」
「か、かず、かずまっ・・・」
「・・・・っ」
お前が欲しい。
他の女では満たせない何かが、お前にはあるんだ。
「ッ―――」
「あ、ぁぁっ・・・」
「・・・・フッ。まだ、いけるだろ?」
「ふざけ、んな・・・っ!ぁ、や、ぁっ・・・・」
「まだ、だ」
もっと、もっと。
お仕置きという名を借りて、俺はあけを貪り続けた。
眠る間もなく、深く、甘く。
て、めぇ・・・加減ぐらいしやがれ。
(そう枯れた声で言う彼女を、俺はそっと抱きしめた)
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