いらっしゃいませ!
名前変更所
ハッピーバレンタイン。
今まで私には必要の無かったイベントも、今では必要イベントになってしまっていて。
チョコ、か。
あー・・・かったりぃなぁ・・・。
【秋山/甘/※ヒロイン視点】
2月14日。
バレンタインデーと呼ばれるその日に、私はいつも通りの町を歩いていた。
ただ町はいつもよりどこか派手で。
まぁ、そうだよな。バレンタインデーだもんな。
どこもこの日にチョコを売り出そうと、可愛い売り子を外に出して叫んでいる。
だから出来れば今日は、ずっとアジトに籠っていたかったんだが。
「あー・・・やっぱ渡さなきゃだめか・・・?」
ふと頭に浮かぶ、彼のこと。
秋山はこういうイベントが好きだから、私が忘れたら拗ねるのが目に見えている。
でも買うのはめんどくさい。
そう思いながらも足は店へと向かっており、私はすっかりこの雰囲気に流されていた。
「いらっしゃいませー」
初めて入る、甘ったるいお店。
チョコ専門店と書かれているだけに、チョコの量もハンパじゃない。
っていうか、アイツはどんなのが好きなんだ?
あんまり味の好みとか聞かねぇから、分かんねぇや。
でもあんまり、甘いのが好き・・・ってイメージじゃない。
「酒入りだったら食えるかな、アイツ」
こうやって見ると、色んなチョコがあるみたいだ。
甘いものは好きだが、こうやって選ぶことはしなかったからなぁ。
いっそ、私が好きなのを買って、二人で食べるってのもアリか。
色々見て回っている内に、どんどん時間が過ぎていく。
「はー、やべぇ。段々めんどくさくなってきたぜ」
こういうの、私には向いてないってことが良くわかった。
でもここまで来ちまったからには、何か選ばないと・・・。
そろそろ、歩き回りすぎて店員の目が痛い。
早く買えよって思われてるよな、完璧に。
「あけちゃん?」
「んあ?」
慌てて何か買おうとしていた私に、後ろから声が掛かった。
聞きなれた声にいつも通りの返事を返すが、違和感に気付いて即座に後ろを振り返る。
甘くて渋い、聞きなれた声。
今一番に考えていた、そして一番に会いたくなかった相手。
「うあぁ・・・!?秋山!?なんでここに!!」
「あけちゃんを探してたからだけど?」
「・・・?探してた?」
「だってあけちゃん、ずっと電話してるのに出ないからさ」
「え、電話?」
秋山に言われて携帯を取り出すと、そこには大量の着信履歴が残されていた。
もちろん、全てが秋山からの履歴。
こんなに掛けられてなんで気付かなかったんだと思うほど、それはもうすごい量で。
チョコレートと携帯、そして秋山の表情を見た私は、咄嗟に目を逸らした。
何故私がこの着信に気付かなかったのか―――それに、秋山が気付いている顔をしていたから。
でもそれが、許されるはずもなく。
「はい、あけちゃん。こっち見ようか?」
「見ねぇ」
「とりあえずほら・・・おいで」
「・・・・っ」
手を掴まれ、店から引きずり出された。
店員から、そしてお店に居た客からの視線も痛い。
なのにこの男は容赦なく私を引きずり出し、しかも路地裏に連れ込んだ。
もがいても逃れられないその力に、徐々に諦めながら足を進める。
「何だよ、秋山」
「まだ恍ける気なの?そんな可愛いことされたら、我慢出来なくなっちゃうけど?」
「はぁ?一体何言って・・・っ」
言い返そうとした瞬間、唇を塞がれて言葉が遮られた。
長く、焦らすような触れるだけのキスに、何とか逃げようと身体を捻る。
だけどそれは、本当に無意味な抵抗で。
その抵抗に気付いた秋山は私の身体を壁に押さえつけ、更に深く口づけた。
触れるだけのキスとは違い、舌を弄ばれる感覚に身体が震える。
「ん、ふっ・・・・」
噛む、わけにはいかない。
だけど好きにされるのが気に食わなくて、私は思いっきり足を振り上げた。
かろうじて出た抵抗に秋山はまた笑い、軽々と私の足を受け止める。
「くそ!てめぇ・・・っ!」
「はいはい。そんなに怒らないで?」
「お前のせいだろ!?」
「だってあけちゃんが可愛いことするからじゃない」
「何もしてねぇだろ!」
「え?だってあけちゃんさ・・・・」
耳元で、わざと息を吹き込むような。
そんな声で囁かれる。
「俺へのチョコ選ぶのに夢中で、電話に気付かなかったんでしょ?」
否定できないその言葉。
一瞬にしてペースを乱された私は、何も言葉を返せずに詰まる。
そんなことをすれば、あとは秋山の思う壺だと分かっているのに。
この男には敵わないと分かっているからこそ、私は潔く諦めて秋山の手を掴んだ。
「・・・・あー、そうだよ。そういうことにしとけよ」
「ヤケに素直だね?今日は」
「バレンタインデーだからな、サービスだ。んで?何か食べたいチョコはあるか?」
「んー、そうだねぇ・・・・」
“―――君が、食べたいな”
よくそんなベタなセリフ吐けたもんだぜ。
まぁ、しょうがないからくれてやるよ。
「・・・んじゃ、好きにどうぞ」
「言っとくけど、今日は手加減出来ないよ?」
「いつもしてねぇじゃん」
「そうかもしれないけど・・・明日、動けないと思っててね」
「・・・・しょうが、ねぇな」
いつもの私には関係の無いバレンタイン。
だけど今日だけは、お前に私を。
ハッピーバレンタイン、駿。
【真島/微エロ/甘々/※ヒロイン視点】
「ほら、兄さん」
「ん?なんや、これは」
「バレンタインチョコ」
「なんや、あけちゃんもこないなことしてくれるんか?てっきり忘れとるかと思っとったわ」
真島の兄さんの事務所。
そのソファで寝転がっていた私は、ふと思い出したかのようにチョコを兄さんへと投げ渡した。
特に深い意味は無い。
お店の前を通りかかったら、好きな人へいかがですか?と書いてあって、買ってしまっただけだ。
それに、滅多にこんなことしてやれないから。
日ごろの感謝の気持ちを込めてあげたチョコは、すぐさま兄さんの胃袋の中へと消えた。
「なぁ・・・・あけちゃん」
「ん?」
「苦すぎちゃう?」
「そうか?兄さんは甘いのが苦手だと思って、少し苦めのを選んだっちゃ選んだけど」
「ま、ええわ」
そういうと兄さんはソファへと近づき、寝ている私の顔を覗き込んだ。
綺麗で鋭い兄さんの目が、少し眠そうな私の表情を映し出す。
・・・と。
ぼけーっと兄さんの目を見ていたら、いつの間にか兄さんの顔は目の前まで迫ってきていた。
慌てて顔を逸らそうにも、もう既に顎を強く掴まれていて。
逃げられない距離に私は目を瞑り、次に起こることを予想して覚悟を決めた。
「口直し、や」
「っ・・・・」
苦い。
兄さんの舌が私の唇を割って入り、我が物顔で犯していく感覚。
――――苦い。
舌に苦味が残っているのに、どこか甘みを感じてしまう私は病気なのだろうか。
それとも、もう、手遅れなだけ?
兄さんに溺れてしまっているだけ?
「あかん」
「・・・?どう、した?」
「甘いわ」
「苦いんじゃなかったのかよ」
「せやからこれで・・・ちょうどいいぐらいやな」
「っ・・・!」
またチョコを口に放り込んだ兄さんは、食べた瞬間すぐに私の唇を塞いだ。
兄さんの口の中にあったチョコが、ドロドロに溶けて私の口に流れ込む。
正直、苦いのは嫌いだ。
だけど兄さんのせいで、そんなことすら考えられなくなる。
触れ合う舌が熱い。私に触れてくる、兄さんの手も。
「っは・・・ぁ・・・」
今まで興味の無かったことに、色々と興味を持つようになった。
兄さんとこういう風に触れ合うのも、そんなに嫌いじゃない。
ただ、恥ずかしいということだけは除いて。
長い口づけの後、恥ずかしくて兄さんの胸に顔を埋めると、兄さんがクツクツと笑った。
何だよ!?とイラついた表情で睨みあげれば、兄さんの意地悪い表情が目に入る。
「なんや?あけちゃん。そないな物欲しそうな目で見られると、止まらなくなるで?」
「なっ・・・・んな顔してねぇよ!!」
「強がりやなぁ・・・」
「強がりじゃないっての!」
「・・・・ホンマ、良い女や・・・」
また、口づけられた。
何度も何度も角度を変えて、貪るように口付けられる。
やめてって意味で殴っても、兄さんはビクともしない。
それどころか服の中に手を入れられ、やんわりと胸に手が触れた。
「っ!な、なにすんだよ!!」
「ダメや。今日はバレンタインやろ?・・・甘いもの、貰うで」
「チョコあげただろうが!チョコで我慢を・・・っ」
「無理や」
「っ~~~~!」
もう、無理だ。
諦めて身を投げ出した私に、兄さんがまた、意地悪い笑みを浮かべた。
「やっぱチョコよりも旨そうやわ」
「馬鹿ッ!!こんなところで触んなっ・・・・んっ!」
【龍司/ギャグ甘/微エロ/ヒロイン視点】
ベッドの中。
時計の針は既に12時を回っており、私は気怠い感覚に再び目を閉じた。
腰が痛い。
喉も、少し乾いた。
全ての原因は隣に寝ている男なのだけれど。
「また寝るんか」
「うるせぇー・・・誰のせいだと思ってんだよ・・・・」
「昨日あれだけ啼いてたんは誰や?」
「っ・・・平気でそういうこと言うなっての・・・!」
バレンタインデー。
世の中の人たちが騒ぎ立てるそのイベントがあったのは、約数時間前。つまり昨日。
そして私がこうなったのも、昨日のそのイベントが原因だ。
チョコレートを用意しなかったから、代わりの物を何かやるよって言ったらこうなったのだ。
“チョコレートの代わりに、お前をもらうわ”って言われて。
何一つ抵抗を受け入れてもらえないまま、好き勝手にされて。
「まだ痛むんか?」
「当たり前だろ・・・お前の体力に付き合わされたんだ・・・っ」
身体中に咲く、独占欲の証。
無茶な要望に応えた証拠である、手首の痣。
そして、走る腰の痛み。
昨日の龍司は、一切手加減という言葉を知らなかった。
抵抗すれば手首を縛り、暴言を吐けば焦らしに焦らされて狂わされる。
そんな追い詰めるような行為に私は一晩中啼かされ、この有様というわけだ。
「龍司、水ー」
「自分で取れや」
「水ー」
「・・・・」
「龍司、水・・・んぁっ!」
水が飲みたくて何度も要求していると、急に龍司が私の耳を舐めた。
それに反応して声を上げる私を、龍司がニヤリと意地悪い笑みで見つめる。
くそ、こいつ。私がこういうの苦手だって知っててやってるんだ。
むかついてデコピンを食らわせてやろうかと思ったけど、やったらまた倍返しを食らいそうだったからやめた。
これ以上やられたら、本当に腰が立たなくなってしまう。
「うー、腰・・・痛い・・・・」
「寝とけや。今日は特に何もないやろ」
「寝るけど・・・良いから水くれよ」
「そない喉乾いたんか?・・・・まぁ、あれだけ声出せば当「だー!!良いから水っ!!!」
平気で恥ずかしいことを言おうとする龍司を止め、大きな声で声でもう一度水と叫んだ。
さすがの龍司もからかいすぎたと理解したのか、笑いながら枕元にあった水を手に取る。
何だよ。意地悪ばっかしやがって。
あるなら最初から出せよな!
そう文句を言おうとした私に気付いた龍司が、急に私の首元を掴んで引き寄せた。
―――そして。
「え、ちょっと、待っ・・・!」
塞がれた唇。
割って入ってくる舌を押し返そうにも、龍司の力が強くて押し返せない。
それでも意地で唇を結んでいると、急に龍司の手が私の胸に伸びた。
すーっと撫でるような感覚に、思わず身体の力が抜ける。
そしてその瞬間を狙って、龍司が舌を滑り込ませてきた。
割って入ってくる舌。流れ込んでくる水。
喉を癒す感覚はあるが、龍司の容赦ない口づけに意識が薄らいでいく。
「っは・・・はぁっ・・・・」
「水、飲めたやろ?」
「普通に、飲ませろって・・・」
「なんや。まだ足りんかったんか」
「違うっ!そういう意味じゃないっ・・・んっ!!」
また、力強く口づけられた。
逃げられない強さに、諦めて全てを預ける。
冷たい水の感覚が、とても心地良い。
なのに龍司が口づけを止めないから、すぐに身体は熱くなっていって。
「龍司・・・っも、やめ・・・・」
「良い顔しとるで、あけ」
「ふっ、ぁ、どこ触って・・・!!」
かろうじて着ていたバスローブの紐を外され、何も身に着けていない状態になる。
慌てて布団の中に潜ろうとするが、龍司はそれを許さず、逃げようとする私の腕を掴んだ。
掴んで、引き寄せて、私の首元に顔を埋める。
チクッと鋭い痛みが走ったかと思うと、私の首にまた一つ、赤い花が咲いていた。
しかも、シャツのボタンをきちんとしめないと見える位置に。
ドレスなんて論外だろう。仕事の服は絶対に着れない。
「っ!!てめぇ!見える位置につけんなって言っただろ!?」
「こうすれば仕事で、派手な服は着れへんやろ」
「困るんだけど?」
「勝手に困れや。ワイはそないな仕事、許したつもりはあらへん」
「っ・・・・ぁ・・・!」
チクリ、と。また痛みが走る。
首筋に、まるで血を吸うヴァンパイアのように吸い付かれて、壊れそうになる。
痛いのに、動けない。
抵抗出来ない。
龍司の香りがふと鼻をくすぐって、もっと私をおかしくさせる。
もう、しょうがない、よな。
このまま龍司に任せよう。
心のどこかで嫉妬してくれている龍司が、少し嬉しかったから。
・・・・このまま。
「今日まで、だからな・・・?」
「ええから、大人しくしとけや」
低く囁かれた声に、私はそっと頷いて目を閉じた。
チョコのかわりに私を。
ハッピーバレンタイン、龍司。
【桐生/エロ表現有(R18)/ギャグ甘/ヒロイン視点】
「ねぇ、お姉ちゃん」
「ん?」
「チョコレート、準備した?」
「・・・は?」
チョコレート?準備?
朝出かける前に遥から飛び出した言葉を、私はまったく理解することが出来なかった。
なんか今日、誰かの誕生日だったっけ。
遥の言葉に真剣に悩んでいると、遥が驚いた表情で私のことを見ているのに気付いた。
そ、そんなに忘れちゃいけないことだったか?
そんなことあったか!?カレンダーには何も書いてないぞ!
「お、お姉ちゃん落ち着いて?」
「いやだって、そういう風に言うってことは・・・重要なことなんだろ?」
「うん・・・お姉ちゃんにとっては重要かな?」
「私にとって・・・・」
何だろう。
私に関わるもので、チョコレートが必要なこと。
・・・・やっぱり、誰かの誕生日や記念日ぐらいしか思い当たらない。
でも桐生との記念日は今日じゃないし。
考えても思い浮かばなかった私はお手上げとばかりに降参し、遥に答えを促した。
「わりぃ。わかんねぇ・・・答えはなんだ?」
「えっとね、今日はバレンタインだよ!」
「バレンタイン・・・あぁ・・・!?」
「ってことで、お姉ちゃん頑張ってね!!」
「え、あ、あぁ・・・?」
学校に行く遥を見守りつつ、言われた言葉を頭の中で整理する。
バレンタインデー。それは愛する男に女が贈り物を送る日。
今までの私には縁のないものだったから、すっかり忘れてしまっていた。
やっぱり、こういうのは送った方が嬉しいのか?
気になることは聞けば早いと、私は玄関に立っていた桐生に声を掛けた。
「なー、桐生」
「ん?どうした?」
「今日、バレンタインだろ?何か欲しいの、あるか?私にあげれるものだったらやるけど・・・」
バレンタイン。
その言葉を聞いて、桐生が驚きの表情を私に向けた。
まさか覚えているとは、とか。そんな感じの表情だ。
悪かったな、イベント事に疎い女で。
「んな驚いたような表情すんなよな・・・」
「お前がそう言ってくれるとは思ってなかったんだ。・・・それで?なんでもいいのか?」
「あぁ。私がやれるものだったらな」
チョコレートは準備してないし、やれるものをやるのが妥当な方法だ。
―――なんて思って言ったことを、私はすぐに後悔した。
気づいたら抱きかかえられている身体。
桐生が意地悪い笑みを浮かべながら向かっている先は、おじさんの部屋だ。
って、まて。おじさんの部屋?
まさかと思い桐生の方を見れば、耳元で低く囁かれる。
「何でもくれるんだろ?だったら、1週間・・・お預け食らった分、もらうぞ」
「い、いや、まてよ・・・まだ朝だぜ・・・?メシ食ってからでも十分・・・」
「そんな短時間じゃ満足できねぇ」
「はい!?」
そんな短時間って、いったいどれだけやるつもりだ。
単純に身の危険を感じ始めた私は、おじさんの部屋に降ろされた瞬間、逃亡を試みた。
が、しかし。
もちろんのこと、あの桐生から逃げられるわけも無く。
すぐに桐生の腕の中に捕まると、後ろから抱きしめられた状態でシャツの中に手を入れられた。
胸元をやんわり行き来する手が、桐生に教えられた快楽を私に与え始める。
「あっ、ぁ・・・・!」
「どうした?・・・もう感じてんのか?」
「っ・・・うる、せ・・・んっ、う・・・ぁ!」
桐生だけが知っている、私の弱点。
そして桐生だけに教えられた、女としての感覚。
後ろから掛かる桐生の息が熱くなっていくのを、ぼんやりとする意識の中で感じていた。
桐生も感じてくれてるんだって思うと、嬉しくなるのと同時に、恥ずかしいと思う気持ちが勝ってしまう。
「き、りゅっ・・・ん、あ、せめて・・・布団・・・でっ・・・・」
「ダメだ。俺への贈り物なんだろ?」
「あぁぁ・・・っ、ク、そ・・・っ!バカ・・・っ」
「・・・・まだ余裕だな」
「っ!!違っ・・・・」
ズボンの中に入ってきた手が、濡れはじめていた下着をずらし、一気にその濡れている場所へと指を突き立てた。
休む暇もなく与えられるその感覚に、踏ん張っていた足がガクガクと震える。
激しく、だけど的確な場所は触れずに動く指。
焦らすようなその動きに身体が震え、身体を支えるために壁に手を突く。
すると耳元に桐生の顔が近づき、トドメとばかりに甘い声で囁いた。
ワザと息を吹きかけるような喋り方が、更に私の理性を蝕む。
「どうした?少し腰が動いてるぜ?」
「んな、こと・・・っ」
「ほら・・・言ってみろ。どうしてほしいか」
「な、んで・・・!誰がそんなこと・・・ひぁっ!!」
「なら言わせるまで、だな」
容赦ない攻め。
なのに触れてほしい場所は的確に避ける。
まるで、じわじわと浸食されていくような感覚。
その感覚に耐えられなくなった私は、小さな声で桐生が求めるものを口にした。
「桐生、が、・・・ほしい」
「ん?なんだ?」
「・・・っ!!くそ・・・っ桐生が、ほしいって・・・言ったんだよ・・・!!」
“良い子だ”
そんな風に優しく囁かれたら、もう、何も考えられなくなる。
今日は大人しく桐生に捧げよう。バレンタインデーのプレゼントとして。
「・・・ハッピー、バレンタイン・・・一馬」
「最高の贈り物だ。・・・美味しくいただくぜ、あけ」
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