Erdbeere ~苺~ 壁などそこにはなく 忍者ブログ
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2011年11月13日 (Sun)
桐生さん/ギャグ甘/ヒロイン視点

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「っはー・・・まじ疲れた!」


歩きにくいドレスを路地裏で脱ぎ捨て、軽くなった服にシャツを羽織る。
普通女なら絶対にしないような行動をする。それが私だ。
ずっと女物の服を着てるより、ささっと着替えた方が早い。

まぁでも、おかげで幾つか新しい情報が手に入った。
ガヤガヤと賑やかな町を、いつも通りに歩き回る。

情報買うやつが出るまで、とりあえずはぶらつくか?
手に入れた情報をなくさないようにメモした私は、大きく息を吸って背伸びをした。


「あー・・・」


暇だ。暇なのは大嫌いだ。
忙しいのも、嫌いだけど。


「しょうがねぇし、とりあえずお菓子でも買いに・・・・」
「よぉ、ねぇーちゃん」
「・・・・はぁ・・・」


歩こうとした瞬間、後ろから掛けられる声。
それは紛れもなく、気味悪さを含んだ若者の声だった。
振りかえれば予想通り、ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべた男たちが数人いた。

普通の女性なら、びびって逃げ出そうとするだろう。
相手が悪かったってことだ。女なら誰でも襲えるとか思うのが間違い。


「何の用?」
「おうおう、気の強いねぇちゃんだなぁ・・・どう?俺たちと遊ばねぇ?」
「興味ねぇーからパス!」
「そう言わないで、な?」


男の手が肩に回され、そのまま腰へと降りる。
ああもう。本当に気持ち悪い。

男はざっと・・・10人ぐらいはいるだろうか。
こんな女捕まえて遊ぶようなことに、10人も使うなよ。
苛立ちが、どんどん積もっていく。


「ねぇーちゃん?な?逃げられんし、俺たちと遊ぼうぜ・・・」
「断るっつったら?」
「そういうのも燃えるなぁ・・・無理やりも嫌いじゃねぇ、ぜっ!!」
「そーかよ!」


鳩尾を狙って蹴り上げてきた男の足を、手で受け止める。
そしてそのまま、足首を本来曲がらない方向へと曲げた。
生々しい音が響くと同時に、男が悲鳴を上げて地面に転がる。


「ぎゃぁあぁあぁああぁ!」
「兄貴!!・・・っの、てめぇ!」
「なーんだよ?足出してきたから、礼儀を教えてやったんだろーが!」


もう一人、さらに一人。

手を出して来た奴は、捻りあげて壁へ叩きつける。
足を出してきたやつは、足をつかんでそのままそこら辺のゴミ箱へ投げ捨てる。

ほんと、単純な作業だ。

10人近くいた男たちはあっという間に減り、地面に転がる男たちの数の方が増え始めていた。
その時だった。私のポケットから着信音が鳴り響いたのは。


「まじかよ・・・」


まだ倒し切ったわけじゃないが、相手はあと3人。
私は挑発するように電話を取り出すと、余裕の表情で取ってやった。
当然の如く、煽られた3人が一斉に襲い掛かってくる。

私はそんなことを気にも留めず、電話の相手に挨拶をした。


「よーお!桐生じゃん!どうした?」
『どうした、じゃないだろう。お前が来いって言ったんじゃねぇか」
「あ、情報だったっけ!忘れてた!」
『お前なァ・・・』


苛立った桐生の声が、受話器越しに響く。
まったく。情報料ほとんどタダでやってるってこと、忘れてるんじゃないのか?

殴りかかってきた男の拳を避け、がら空きのお腹に膝蹴りを入れる。


「ガァッ、ハッ・・・!」
『ん?お前、何をしてるんだ・・・?』
「あー?まぁ、なんていうの。じゃれ合いっつーか」
「このアマ!!」
「おわっと・・・あぶねぇなこの野郎!」


電話しながら喧嘩なんて、難しすぎるだろ。
案の定、最後の一人となったところで私は携帯を地面に落とした。
それを見た男がニタリと笑い、携帯を踏みつぶそうとするが、もちろんそんなことをわせるわけがない。


「てんめぇ、やめ・・・うわっ!?」


最後の一人に殴りかかろうとした瞬間、突然足を誰かにつかまれて尻餅をついた。
足をつかんでいたのは、往生際の悪いさっきの男。
顔を血だらけにしながらも、ニタニタとした気持ち悪い笑みは忘れてない。


「ッ・・・くそ、はなせ!」
「ひひっ!放すわけねぇだろうが!」
「がっ・・・!」


手を振りほどこうとしている内に、後ろの男が私の後頭部を思いっきりなぐりつけた。
やばい。ちょっと視界が揺れた。

いやまぁ、痛いのには慣れてるけどさ。
こんなんで意識飛んだら、危ない仕事なんてやってられないし。
私は歯を食いしばって痛みに耐えると、仕返しとばかりに殴ってきた男の頭を鷲掴みにした。

本当なら壁に叩きつけるぐらいしてやりたいが、足つかまれてるし、これで許してやるか。


「ひっ!?や、やめ・・・!」
「おらぁっ!」


自由な片方の足で、そいつの顔面を膝蹴りする。
うわー、痛そう。ま、痛いからやったんだけどな。


「ほら、もう終わったぜ。さっさと放せよ!」
「へっ・・・やなこった!」
「う、ぐあぁあぁ・・・!」


急に、足の先に焼けつくような痛みが走った。
どうやら、ナイフか何かで刺されたようだ。
予想していなかった激しい痛みに、思わず膝を折ってしまう。

そこを待ってましたとばかりに、男が私の上へのしかかる。
くっそ!ふざけんな、こんなこと・・・!

男は私で遊ぶというより、怒りを発散したいのだろう。
私の足に刺していたナイフを勢いよく抜くと、動けない私に向かって振り下ろして――――――


「ッ・・・・!」


さすがに怖くて目を瞑る。
だが、いつまで経っても覚悟した痛みは来ない。
恐る恐る目を開けると、そこには予想外の人物が立っていた。


「まったく、お前は何をしてるんだ」
「え?何って見て分からないの?」
「・・・・」


ギシギシギシ。
冗談で発した言葉に、目の前の人物・・・・桐生が、怒りの表情で私の頭をつかむ。

「ぎゃぁあぁああ!やばい、やばい!頭がギシギシなってるっ!」
「そうか」
「それだけ!?いや、頭が壊れちゃうって!ちょっと!ごめんなさい!」


さすがに喧嘩慣れしてるとはいえ、桐生ほどの男を振りほどけるわけがない。
このままでは本気で頭を潰されると思った私は、すぐに謝罪の言葉を口にした。
桐生は不満そうに、私から手を離す。


「それにしてもさすがだな」
「・・・あんたが居なかったら、大怪我してただろうな・・・癪だけど、感謝してやるよ」
「フッ・・・」
「な、なんだよ・・・!」
「本当は怖かったくせに、強がってるお前が面白くてな」
「っ!?」


桐生に言われて、自分の手を確認する。
うわ、情けないぐらい震えてやがる・・・最悪だ。


「ったく、素直に助けぐらい呼べ」
「お前の助けなんて、いらねぇよ・・・!」
「とりあえず、今の貸しで今日の情報量はチャラになるよな?」


少しだけ、穏やかな表情で笑う桐生を、私は思いっきり睨み付けた。
元々そのつもりで助けたんだろうに、こいつ。
結局こいつには色々助けてもらったり、弱みを握られたりで、情報料を請求出来たことがない。

さすが、というべきか。
私がこいつに、弱くなってってるだけというべきか。


「しょうがねぇな・・・好きなだけ情報くれてやるよ。まずは私の家に帰・・・っぐあ・・・!」
「!おい・・・!」


足を怪我してたのを忘れていた私は、足の痛みに膝を折った。
そのまま、桐生に倒れ込む。


「足、やられてるじゃねぇか」
「うっせ・・・!」
「・・・・」


心配されるのが嫌で、痛みに歪みそうになる顔を隠した。
顔は見えないが、頭上で桐生が楽しそうに笑っているのが分かったような気がした。
性格悪すぎだと、心の中で悪態をつく。
だってそうだろ?こいつ知り合って話すようになってからずっとこうなんだ。
私のことを子供扱いして、馬鹿にして、弱いところを見たら嬉しそうにする。

そうやって考え込んでいると、急にふわっと身体が浮いたのが分かった。
驚いて顔を上げた先には、桐生の少し意地悪い笑顔が。


「っ・・・!ちょっとまてこらぁっ!」
「なんだ?うるせぇぞ耳元で。黙れ」
「黙れじゃねぇだろ!下ろせ!下ろせって!」


俗に言うお姫様抱っこをされていることに気づき、慌てて逃げ出そうとするが敵わない。
私はもう抵抗することを止め、ゆっくりと桐生に身体を任せた。


「むかつくけど、落ち着くな・・・このままアジトまで頼むよ」
「俺はタクシーじゃねぇぞ、おい」
「いーじゃん。情報奮発してやるって」


何だかんだ言って、私はこの関係が嫌いじゃない。
じゃれ合ってるみたいでさ。





「桐生、若干はげてきてねぇ?」
「・・・あぁ?」
「おいまて、それ私の酒だぞ!投げようとすん・・・ぎゃぁあぁああ!」








嗚呼、そう、まるで兄弟みたいに。
(気づいてはいけない感情に気付くまで、あとわずか)
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