いらっしゃいませ!
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5.誰が俺を好きにならないって?
もう何度達したか分からない。
分かるのは与えられる快楽と、桐生の表情だけ。
どうして承諾してしまったのか、未だに自分でも理解できなかった。
こんな恥ずかしい事、どうして桐生に許したんだろう。
桐生の指が音を立てて私の身体を犯してく、こんな行為を。
「っ、あぁっ・・・」
「・・・フッ・・・良い声だな」
「ふ、ぅ・・・っ!んぁ、あぁあっ!」
声を抑える気力すら、私には残されていなかった。
声を出し過ぎたというのもあるが、一番の理由は桐生の容赦ない攻め。
何度達しても、桐生は私の中に埋め込んでいる指を止めようとしない。
朦朧とする意識の中、掠れた声で桐生を呼ぶ。
「あ、きりゅ・・・っ」
「どうした?」
「もう、いい・・・っ。大分、楽に・・・なったから・・・っ」
「・・・そのわりには、まだ辛そうに見えるぜ?」
「これ、ぐらいなら、解毒剤を・・・っ」
再び指が動きだし、私の声を喘ぎに変えた。
何も言わせてくれない、容赦ない動きは私を乱す。
壊れちゃいそうだ。
もう、何も考えられないほどに。
媚薬の効果で早くも絶頂を迎えそうになる私を、桐生の口付けが更に狂わせた。
「んっ、んんっふ!」
「・・・・好きだ」
「あぁぁっ!!ひ、ぁ、やぁぁ・・・っ!!」
囁かれる告白。
それは本当?なんて、聞けない。
遊びだって言われたらどうする?
私より良い女はいっぱいいるんだ。
気まぐれの告白だったら、私はもう。
「・・・何考えてるんだ?あけ」
「ん!あぁあぁっ・・・!?」
「こんな状況で他の考え事なんて、いい度胸じゃねぇか」
「ま、って・・・、違っ・・・」
「俺の告白なんて、聞く気もねぇってか?」
「違う、んだ・・・っ!あぁあぁ・・・っ、や、もう、だめ、ぇ・・っ!ひゃぁあぁぁっ!!」
もうイきたくないという願いは、叶わなかった。
桐生の指が私の弱いところを的確に刺激し、快楽へと導く。
良い様にされてるという事実が、むかついてしょうがない。
そりゃ、自分で承諾したことなんだけどさ。
・・・ああああもう!めんどくせぇ!
「も、やめ、これ以上はっ・・・死んじゃう、って、の・・・!」
ぐいっと強く押しのけると、逆に桐生の力が強くなった。
動かしていた指も2本から3本に増え、圧迫感に声を上げてしまう。
「っあぁぁ・・・!!」
「答えを聞くまで、やめねぇぜ」
「なん、の・・・っ」
「お前の気持ちの答えだ、あけ」
「っ・・・」
「もう一度だけ言ってやる。・・・・あけ、好きだ」
嫌でも目に入る、桐生自身の昂ぶった部分。
ズボンを押し上げて主張するそれは、桐生の告白を不安へと変えた。
やっぱり、その場の雰囲気の告白なんじゃ、とか。
ここでもし素直になってOKしたら、食われて終わるだけなんじゃ、とか。
「・・・・」
「・・・あけ?」
「・・・・ほん、と、に・・・・」
「どうした?言ってみろ」
「ほんとに、その言葉を・・・信じて、も、いいのか・・・?」
不安げにそう尋ねると、桐生が意外そうな顔を私に向けた。
動かしていた指をぴたりと止め、私に話の続きを促す。
「遊び、じゃ、ねぇのかよ・・・?」
「何・・・?」
「私なんか、より、良い女・・・いっぱい、いるじゃねぇか。私なんか可愛くもない。お前に・・・何もしてやれない。・・・私、なんか・・・」
一度口にしてしまえば、後は簡単なことだった。
心の中にたまっていたものを、吐き出すように口にしていくだけ。
隠していた、女心の全てを。
「私、は・・・ずっとお前を見てきた・・・。だからこそ、私なんか、相応しくないって・・・分かっていた」
ずっと不安だった心。
「でも、お前から・・・たとえ、遊びだったとしても・・・私を女として見てくれる言葉を聞けて・・・嬉し、かった」
言い寄られて、期待してしまった心。
その全てを話した時、桐生は嬉しそうに私の頬を撫でた。
「あんまり答えにはなってねぇが・・・お前の気持ちはよく分かった」
「・・・ん」
「要は俺の事が好きだって、そういうことだろ?」
・・・え、いやちょっと待て。
確かにそういう考えてあってるのかもしれないが、それはそれで可笑しいだろ。
いや、可笑しくないのか?
やばい。ちょっと混乱してきた。
熱が冷めて来たこともあり、キッと桐生を睨み付ける。
「ま、待て。違う。その解釈はおかしいだろ・・・!?」
「違うのか?」
「違うだろ!いや、違わないかもしれねぇけど・・・それはお前の答えにはなってないだろ!」
「俺が遊びかどうかってことぐらい、今まで一緒に居たお前なら分かってるんだろ?」
「なっ・・・」
今まで一緒にいた私なら?
その言葉を聞いて、私は今までの桐生を振り返った。
キャバ嬢と遊んだり、ママさんとお酒を飲んだり。
でも基本桐生は、来るもの拒まず去る者追わずのタイプだ。
極度な遊びはしないし、たとえしても相手を本気で弄ぶような言葉は口に出さない。
どうして私、こんなに桐生のこと理解してるんだろうな。
ずっと連れ添ってきたから?
それとも無意識に―――桐生を追っていたのだろうか。
「好きだ、あけ」
「・・・っせぇ」
「良いのか?その言葉だけじゃ、肯定の方だと取るぜ?」
「・・・・好きにしろよ馬鹿」
「・・・素直じゃねぇな」
「そんな奴を好きになるお前は、ほんと悪趣・・・んっ!」
言葉を唇で止められる。
何度抵抗して声を出そうとしても、桐生はそれを読んだかのように私の唇を塞ぎ続けた。
舌を絡め合い、痺れる感覚に身を捩る。
やっと離された頃には息も上がり、まともに声が出せる状態ではなくなっていた。
「この、意地悪、な、奴めっ・・・」
「そんな俺を好きになるお前は、悪趣味だな?」
「っ・・・・!!」
返された。
やられっぱなしが気に食わない私は、すぐに息を整えて叫ぶ。
「お前の事なんか好きなるわけな・・・んっ・・・!?」
また、塞がれた。
したことも、する予定も無かったキスを、この数日間で何回体験したのだろう。
何回もしたからといって、慣れるわけでもないのだが。
「ん、んんっ・・・・は・・・・」
解放された瞬間、桐生の声が耳元で響いた。
最初に見せた悲しそうな表情とは違い、そこにあるのは自信の表情のみ。
「誰が俺を好きにならないって?」
・・・勝てないな。
潔く負けを認めた私は、降参のポーズを取って苦笑を浮かべた。
そしてそのまま、熱が冷めた身体をソファから起こそうとする。
今なら解毒剤を作るのも余裕だと思ったからだ。
が、しかし。
「・・・・おい。何だよこの手は」
「まだ、終わってねぇだろ」
「おいこら!待っ・・・!」
「お前の嫌がることはしねぇ。だけどこれだけなら・・・お前は嫌がってなかっただろ?」
ツーっとなぞる指先。
蜜溢れる場所をなぞるその手が、失ったはずの熱を呼び覚ました。
後ろから抱きかかえられ、逃げられない状況でその部分に指を押し込まれる。
耳元に掛かる桐生の吐息と、腰に当たっている桐生のアレが、私の羞恥心を更に煽った。
「あぁっ・・・!や、まっ・・・て・・・!」
「もう待てねぇよ。いつから待ってたと思ってんだ・・・」
「あぁあっ、や、ぁ、ふぅっ・・・!!」
「お前が最後までするのを嫌がってるのは分かってる。だからせめて、お前が俺だけに見せる姿を・・・見せてくれ」
「・・・っあぁ、ぁあぁあっ!!」
突き立てられた指が、私の弱い部分でクイッと曲げられる。
気持ちを全部曝け出した後だからこそ、先ほどより恥ずかしい行為に耳を塞ぎたくなった。
でも、そんなことを桐生が許してくれるわけもない。
容赦ない攻めは私の体力に関係なく続き、それから何度も快楽の波へと連れ去られた。
閉じようとする足は桐生の足に塞がれ、逃げ場のない中、乱され続ける。
「ひゃ、ぁぁぁっ・・・!」
「そんな顔、俺以外の奴に見せるなよ・・・」
「あ、あぁっ、あ・・・分かっ、た・・・っ!分かった、からぁっ!も、ぅ、あぁっ・・・!」
「ずっと、こうしたかったんだぜ・・・」
桐生の声に、また余裕が無くなるのを感じた。
ずっと?
私も、そうだ。
ずっと、こうしたかったんだ。本当は。
でも強い心が邪魔をして、私は女じゃないんだという性格がそれを隠してしまっていた。
気づかされたからには、桐生に責任を取って貰わないとな?
「き、りゅ・・・」
「なんだ?」
「・・・好き、だ」
やっと言えたその言葉は、今まで見たことのない桐生の表情を引き出させた。
驚いたような、照れたような。そんな面白い表情。
それを見た私は、こんな状況にも関わらず吹き出してしまった。
「ぶっ・・・!!」
「・・・てめぇ・・・」
「あ、やぁっ・・・!だ、だって、お前、変な顔・・・んぁあぁっ!あ、卑怯、だぞっ・・・・!!!」
笑う私を、桐生が無理やり快楽の世界へと引き戻す。
その時の表情も、どこかいつもの桐生よりぎこちなくて。
私は少し身体をずらし、腰に当たっていた桐生のソレに手を這わせた。
私ももっと、桐生の色んな表情が見たい。その一心で決意を固める。
この人になら、彼になら、桐生になら・・・私は。
「お、おい・・・?」
「桐生・・・辛いだろ?」
「・・・あぁ。だが別に・・・」
「良いぜ。やろう」
「・・・!おい、あけ・・・。良いのか?・・・手加減なんて出来なくなるぞ」
「じゃあ駄目」
そう言いながらも、私はゆっくり桐生のズボンのベルトを外した。
戸惑う桐生の表情が、忘れていた女としての心を呼び戻していく。
「・・・・初めてなんだから、少しぐらい・・・手加減しろ」
「初めて・・・?」
「・・・・んだよ!?い、意外かっ・・・・!」
「・・・やっぱり、手加減できねぇかもしれねぇな・・・」
「じゃあ駄目だって言ってんだろ?」
「しょうがねぇだろ。愛した女を俺だけの物に出来るなんて・・・手加減出来るわけ、ねぇだろ」
「おわっ!?ちょ、ちょっと・・・!?」
ぐるんと視界が回転した。
気付けば桐生が私の目の前に居て、私を押し倒している。
桐生の瞳に宿った、男としての欲望の瞳。
耳元で囁かれた言葉を聞いた私は、覚悟を決めて目を瞑った。
「二度と俺から離れられないようにしてやるよ・・・覚悟は、いいな?」
そして次の日、腰を痛めた私が秋山に絡まれるのは言うまでも無く。
(まだまだ秋山と桐生の間には、謎の火花が飛び散っていた)
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