Erdbeere ~苺~ 最終章 さよならは、なしで 忍者ブログ
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2012年05月26日 (Sat)
最終章/ヒロイン視点

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あれから数日後。
私は伊達さんと一緒に、とある騒ぎの主を待っていた。

外から聞こえてくる、数人の慌ただしい声。
「会長待ってくださいよー!」というかわいそうな声が、車の中にいる私達にも聞こえてくる。
なんつーか、本当にアイツは騒ぎを起こすのが得意っていうかなんというか。

可愛そうだけど、今回ばかりはしょうがない。
必死になって走ってくるとある人物のために扉を開けると、すぐにその人物は車に飛び乗って扉を閉めた。


「伊達さん、頼む」
「分かった」
「お帰りー、“元東城会4代目”」
「・・・あぁ」


騒ぎの主である桐生を連れ、私達は車を走らせる。
この騒ぎの原因は、4代目である桐生が“襲名式”と“引退式”を同時に行ったから。

聞いたことのない無茶苦茶な展開に、思わず私も苦笑を零す。
だって聞いたことねぇしな。襲名式と引退式を同時にやる奴なんて。


「それで、五代目は誰にしたんだ、桐生」
「ん?あぁ。世良会長や親っさんに、恥ずかしくねぇ奴にしたよ」
「ふーん。ま、なんとなく想像つくけど」
あけは知ってるのか?」
「さー?当たってるかわかんねぇけど、あいつかなーって」


私の頭の中に浮かんでいるのは、私に手助けをしてくれたアイツの顔。
二人に恥ずかしく無い奴っていったら、あいつぐらいしか浮かばない。


「おい、元会長」
「なんだ?」
「つけられてるぞ」


伊達さんの言葉に後ろを見ると、確かに立派な車が後を追いかけてきていた。
でも、心配は無さそうだ。
ゆっくりと近づいてくる車の中を見て、私は五代目がアイツだということを確信した。

世良会長とおじいちゃんの意思を継いでくれたアイツになら、任せられる。
そう、寺田なら、東城会を立て直してくれるだろう。


「おい、もしかして今のが・・・」
「あぁ。あいつならきっと、東城会を立て直してくれるさ」


そのまま、桐生を連れて駅まで車を走らせる。
後ろから身を乗り出すようにして桐生の顔を覗き込むと、何故か鼻を摘ままれた。

いや、これはもう摘まむとかいう優しいものじゃない。
桐生にとっては優しい力なのかもしれないが、私にとっては強烈な力すぎて悲鳴が上がった。


「いだだだだだあぁぁああ!」
「お前がそんなマヌケ顔で覗き込んでくるのが悪い」
「く、くそ、鼻を折る気かお前・・・!」


鼻を押さえ、静かに後部座席に戻る。
なんだよ、ちょっと元気になったからって調子に乗りやがって。

あれから数日間、私たちは遥と一緒に静かな時を過ごした。
そして桐生はその時、決心したらしい。


遥と共に、堅気として生きることを。


遥のためを思うなら、それが正しい選択だ。
ちょっと寂しいって思っちゃったのが本音だけど、私はこれまで通りの生活をするだけ。

もちろん、桐生や遥とはこれからも会い続けるつもりだ。
守れって言われたからには、簡単に傍を離れるわけにはいかない。

個人的な感情で、離れたくないってのも・・・あったけどさ。


「ったくよー。女に対する力の加減がなってねぇよなー」
「フン・・・。お前に力の加減なんていらねぇだろ?」
「んだとこら!もう遊びに行ってやんねーぞ!」
「別に遊びに来いって行ってねぇだろうが」
「じゃあなんで住所渡したんだよ?遥と暮らす場所、別に教える必要なかっただろ?」
「それは遥が教えろって言ったから教えたんだ。いらねぇなら返せ」
「あぁあああ!やめろ!返せって!悪かったからっ!」

「お前ら、俺を無視していちゃつくんじゃねぇ」

「いちゃついてねぇ!」
「そんなんじゃねぇよ、伊達さん」


伊達さんいわく、あの事件の後から私達はもっと仲良くなったように見えるらしい。
別にそんなつもりはないけど、そんな風に言われると照れくさくなる。

私は桐生が遥と暮らす場所をメモった住所の紙を奪い返し、何とかポケットの中に戻した。
桐生と遥は神室町から離れ、別な場所で暮らすらしい。
まぁ、神室町は危ないし、当たり前の判断だ。


「たまに遊びに行ったり、飲みに行こうぜ、桐生」
「あぁ。・・・こっちに来るときに、道に迷うなよ」


馬鹿にされてる。これ絶対馬鹿にされてる。
やっぱり、仲良くなったわけじゃないよ伊達さん。

桐生が単純に、馬鹿にしてくる回数が増えただけだ。
仕返しとばかりに無言で桐生の頬を引っ張り、ぐいーっと伸ばす。


「おらおらっ!」
「お、おい、やめろ、あけ・・・!」
「馬鹿にする罰だ!」
「お前、調子に乗るとっ・・・!」
「おわぁっ!?」


ひょいっと身体を持ち上げられ、何かよく分からないけど助手席に引きずり込まれた。

こいつ、なんて力してやがるんだ!
いくら女だからっていって、後部座席から暴れる女を軽々引きずり込むなんて!

驚く私を尻目に、桐生は私を膝の上に座らせてお腹に手を回した。
え、なにこれ。なにこれ私子供?


「見ろよ伊達さん。親子みたいじゃないか?」
「そうやって見ると、やっぱりあけは小せぇなぁ・・・」
「お、おい、お前らな・・・っ!?」


しばらくの別れなんて関係なし。
さよならなんて言う暇もなく、私たちは最後まで言い合いを続けた。

さよならなんて言う必要、ねぇよな。

だってまたすぐ・・・会えるだろ?


「てめぇ殺す!おらぁっ!」
「っ!?て、てめ、頭突きしてきやがって・・・!」
「ふふーん!ざまぁみ・・・お、おわ、ちょ、ま・・・ぎゃはははははっ!!」
「ほら、どうした?」
「ひぃ、ちょ、あははははは!く、くすぐるの、くすぐるのはっ!は、んそく・・・あははははっ!」
「フッ・・・・」
「ひぃひぃ・・・あ、やめ、もうやめろって、あははははは!」
「そんなんじゃ止められねぇなぁ・・・・」
「こ、この、鬼畜っ・・・あはははははっ!あ、やめ!やめてくださいっ!ごめんなさいすみませんでしたっ!」

「お前等だから、俺を無視していちゃつくんじゃねぇって」

「「そんなんじゃねぇ!!」」









































ありがとう、桐生
遥、元気でな
(長いようで短かった戦いが、私の未来を“変えて”終わった)
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