Erdbeere ~苺~ 13章(2) 真の戦い 忍者ブログ
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2012年05月20日 (Sun)
13章2部/ヒロイン視点

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圧倒的不利な状況で、私たちは背中を合わせ戦いを続けていた。
寺田を裏切った部下と、神宮の部下と。敵は溢れるように出てくる。

腹部の血は納まる事なく流れ続け、私の体力を容赦なく蝕んだ。
でもここで、気絶するわけにはいかない。
全てを見届けるまでは、桐生達を守るまでは、私は絶対に負けないと決めた。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」
「いい加減に諦めたら・・・ぐあっ!?」
「ざけんな・・・!敵に易々と近づいてんじゃねぇぞ!」


銃を持ってる女相手に、易々と近づいてくる敵共。
ナメられているとしか思えないその行為が気に食わなくて、私は容赦なくそいつに銃弾を放った。

銃の引き金を引くたび、腹部の傷がぴりぴりと痛む。
私はほとんど座り込むようにして銃を構え、桐生の背中を守っていた。

無理をするな、と怒られたって聞くつもりはない。


「おい、あけ。お前・・・・」
「却下。私は最後まで・・・お前を、お前の大事なものを守るって決めた」
「・・・親っさんの依頼だからか?」
「・・・・違う」


確かに当初はおじいちゃんに頼まれて、しょうがなく桐生の手助けをしていた。
でも今は違う。これは自分自身の意思だ。

四代目としての彼を、男としての彼を、守りたいだけ。
私は向かってきた男に再び銃弾を放ち、殴り合いの喧嘩をする桐生に笑いながら言った。


「これは私からの・・・お前に対する忠誠だよ」


その言葉に驚いたのか、桐生の動きがピタリと止まる。

おいおい、いくら驚いたからって喧嘩中に止まるなよな。
桐生の隙をついて襲いかかってこようとする男たちを銃弾の餌食にしながら、私は深いため息を吐いた。


「そんなに驚くことかー?」
「・・・当たり前だろ。お前が忠誠なんてらしくないことを言うからだ」
「らしくないって失礼な!ちゃんとお前には私自身の意思で協力して・・・!」
「そんなに必死になるなよ」
「なるだろうが!人が自分の気持ちを素直に伝えたらこれで・・・っ!」


そこまで口にして、しまった!と思うまでに掛かった時間はわずか5秒。
気づいたときにはもう既に、桐生がニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている後で。


「わ、わら、笑うな!」
「ほう・・・。お前、普段俺に突っかかっておきながら、そんなことを・・・なるほどな」
「人の話を聞けっ!」
「じゃあなんだ?今のはウソってことか?」
「え、いや、そういうわけじゃ・・・・ねぇけど・・・」
「だろ?じゃあそういうことじゃねぇか」


こいつ、絶対楽しんでやがる。
くそ、私らしくないことを言うんじゃ無かった。

自然に出てきてしまった言葉だからこそ、私の気持ちに一番近い言葉だ。
だから恥ずかしい。悔しい。笑ってるこいつが憎い。

仲間割れを起こしてると勘違いして襲ってくる敵を、憂さ晴らしに倒しながら声を上げる。


「わ、私はあくまでも、信頼してるってことを言いたかっただけだからな!?」
「あー、分かった分かった」
「うぐ・・・!」
「俺もお前を信頼してる」
「・・・っ」
「・・・忠誠は誓われちまったから、誓えねぇけどな」
「お、おま・・・え・・・くそっ!全部終わったら財布空っぽになるぐらいおごってもらうから覚えておけよ!」


顔を真っ赤にしながら周りを確認すると、近江連合の構成員は誰一人として立っているものが居なかった。
どうやら、今の喧嘩の最中に倒したので全部だったらしい。

それにしても、数だけは立派だったな本当。
銃の反動のせいで血が止まらない傷跡を、心配させないようにぎゅっと隠す。


「あっはっはっは!良く頑張るなぁ・・・たった二人で。だがその女はもう、死にそうか?」
「黙れよ。誰がてめぇなんかに殺され・・・」


神宮に毒を吐こうとした、その瞬間だった。
大きなプロペラ音と共に風が吹き、神宮の後ろ側に大量のヘリが現れる。

こいつ、まだ仲間を隠してやがったのか!?
着陸する前に墜落させてしまおうかと銃を構えるが、その行動は無意味に終わった。
足早にヘリから次々と降りてくる敵。正直、眩暈がする。


「何人でも・・・相手になるぜ」
「はー・・・桐生がそういうなら、私もなってやるよ」
「勇ましいことだなぁ。だが、さすがに君はもう無理だろう」
「女だからってナメんな・・・!」
「はははは・・・!口の割には、顔色が優れないようだが?」
「チッ・・・」


出血量が限界にきていることには、私も気づいていた。
でもここで、私が戦闘を離脱することは許されない。

いや、私自身が許さない。

私は唇を強く噛みしめ、間違っても意識が飛ばないように自分自身に鞭を打った。
その直後、空から聞こえてきたもう1機のヘリの音に舌打ちをする。

どれだけ数で来れば気が済むんだ?
そんな苛立ちとは裏腹に、私の想像とは違うものがそのヘリから聞こえ始めた。


「無事か!桐生!あけ!」
「伊達さん!」
「神宮京平!今、四課が逮捕状を請求した!」


さすがは伊達さんってところか。
やっぱり警察としての伊達さんが、私は好きだ。


「贈収賄、銃刀法違反、殺人教唆。お前はもう終わりだ!」
「証拠は何もない・・・。ハッタリだ!撃て!」
「・・・っ!やめろ!!」


やっと見えた希望の光さえも、神宮は容赦なく叩き潰しにかかった。
大量の銃弾が伊達さんの乗るヘリを襲い、傷付けていく。

やがて墜落を恐れたのか、伊達さんは逃げるようにヘリをビルから遠ざけた。

良い判断だ。あのまま粘ったとしても、いずれは街に落ちてしまう。
それに今の状態で署に帰ることが出来れば、証拠もばっちり揃うことになる。


「・・・くそっ・・・。こうなった以上、全員死んでもらう他無い!!」
「・・・」
「覚悟は・・・いいね?」


神宮も神宮で、この状況に焦りを感じ始めたようだ。
私は神宮の言葉に銃を構え、桐生の足元に背中を預けた。

言わなくても分かってるだろうけど、一応言っとかなきゃなって思って。


「死ぬなよ、桐生。死んだら寝顔写真とかばらまくからな」
「・・・・お前も死ぬなよ、あけ。これが終わったらその写真の事について問い詰めてやる」


どこか真剣になりきれない私たちの、第2回戦が始まった。























だって負けるわけねぇだろ?私達なんだから
(今までの関係は、決してこんなもので負けるもんじゃねぇんだ)
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