Erdbeere ~苺~ 母親 忍者ブログ
2024.11│ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
いらっしゃいませ!
名前変更所
2024年11月15日 (Fri)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2011年11月27日 (Sun)
桐生さん/ギャグ甘/龍4サブイベネタ
※若干下ネタあり

拍手




「ただいまー!」


最終決戦に向けて、皆がそれぞれ身体を休める場所――――――セレナ。
時間の合間を縫ってデートに行っていたあけと桐生は、いつもとは何かが違う様子に首を傾げた。

伊達がカウンターに居ない。
それどころか、お店の中がやけに騒がしかった。

何か起きたのか?と思い、急いで部屋に入った二人は、目の前の光景に呆然とする。


「伊達さん!何かあっ・・・・」
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「桐生!あけ!良いところに帰ってきた!」


部屋中に響き渡る、赤ちゃんの泣き声。
その泣き声の持ち主は、伊達の腕の中で可愛らしい顔を涙でぐちゃぐちゃにしていた。

伊達がその赤ちゃんを泣きやませようと頑張っているが、他の3人はまったく協力しようとしない。

べろべろばー!だの、高い高いだの、伊達が頑張っているのを笑いながら見ている。

あけは苦笑しつつ、伊達の視線に嫌な予感を感じて逃げる準備を始めた。
桐生も感づいているのか、迫ってくる伊達に後ずさる。


「そう逃げようとするなよ、園長先生・・・!」
「園長先生ってなんだ!俺はあそこの管理人なだけだ。そもそも、アサガオにこんな子供はいない!」
「でも子供の扱いにはなれてるだろ?どうにかしてコイツを泣き止ましてくれよ!」


伊達自身、相当参ってるらしい。
また激しく泣き出した子供を見て、ぐったりと肩を落とす。


「もうかれこれ1時間も泣きっぱなしなんだ・・・どうにかなっちまいそうだよ。な?桐生。頼む!」


ぐいっと赤ちゃんを差し出された桐生は、少し慌てた様子で言葉を返した。


「お、おい、待て。何も俺じゃなくても・・・・」
「それが駄目なんだよ!ほら、桐生!」


ここにいるメンバーはあけを含め、子供の扱いが苦手な人が多い。
谷村はそうでもないだろうが、この様子だと協力するつもりがないのだろう。

そうなると、伊達にとって最後の頼みは桐生だけだ。
桐生のどんな言葉にも伊達は引き下がらず、必死に丸め込もうとする。


「いや桐生考えろ。お前さん将来はお父さんになるんだぞ?」
「ど、どうしてそうなる」
「お前さん、まさか子守をあけ一人に押し付けるつもりか?そんなんじゃ捨てられっちまうぞ!」
「落ち着くんだ伊達さん。まだ俺はそこまで・・・!」
「おいおい。やることやってるくせに、何言ってんだか」
「それはそうだが、あんまり落ち着く時間がないだろ?東城会の問題もまだ解決してねぇんだし・・・」


赤ちゃんの話から色々と話題が取れてきたのを、誰も止めようとしなかった。
必死にあけが何かを叫んでいるが、構わず二人は話し続ける。

秋山達に止めろと叫んでも、まったく止める気配を見せない。
こいつら絶対楽しんでやがると、あけは秋山達を睨み付けた。


「おい、お前ら止め・・・!」
「あんまりあけをいじめるなよ、桐生。この前なんか声枯れて動けなくなってたんだぞ」
「あ、あれは風邪だと言っ・・・!」
「しょうがないだろ。久しぶりだったんだ・・・」
「おいこら桐生!お前も認めんなっ!」
「ほんと、羨ましいねぇ。あけちゃん可愛いし」
「悪いがこいつは俺のだ。誰にも渡さねぇよ」
「何気嬉しい事・・・ってこらぁあ!人の話を聞けこの馬鹿野郎!!」


華麗に決まる、あけの飛び蹴り。
会話の暴走を恐れたあけは、桐生に有りっ丈の力で飛び蹴りを食らわせた。

さすがの桐生でも、突然の攻撃には反応出来なかったらしい。
飛び蹴りを食らった場所を押さえながら、苦しそうに蹲る。
それを見たあけは満足そうに笑い、そして怒りの矛先を伊達へと向けた。


「てめぇら!まずは赤ちゃん泣き止ませることから考えろッ!!」
「お、おう・・・。そうだな。悪かったからそんなに怒るなって!」
あけちゃん、顔真っ赤だよ?」


反省した伊達さんとは裏腹に、秋山はあけをからかう。
もちろんあけがそんなことを許すはずもなく、すぐさま桐生の方を指差して真っ黒い笑みを浮かべた。


「秋山さん、お前もああなりたい?」
「・・・遠慮しておきます」


秋山が引きつった笑みを浮かべる中、赤ちゃんの泣き声が響き渡る。
どれだけあやしても、赤ちゃんは泣きやんでくれない。

何かを欲しがっているのだろうか?
どうせこのままにしておいても泣き続けるんだ。早く原因を見せて泣き止ませるのが先決だろう。

そうやって真面目に考え始めたあけを、復活した桐生がぶん殴る。


「ふざけやがって・・・!」
「がはっ!?うぉ、い、てぇ」


不意に足元からお腹にパンチを貰ったあけは、呆気なく地面に倒れ込んだ。
まぁ、あの桐生のパンチを貰って、倒れないほうがおかしい。
咳き込むあけにご愁傷様と手を合わせながら、伊達は立ち上がった桐生に当たり前の如く赤ちゃんを手渡した。


「んじゃあ、俺はこの赤ちゃんの親を探してくる!あとは頼んだぜ桐生!」
「・・・!?ま、待ってくれ伊達さ・・・」


バタン。

伊達は強引な押し付けで桐生を言い包めると、逃げるようにしてセレナから飛び出していった。

親を探してくる?
こいつは誰の子供なのかとか、何も聞く暇を与えてもらえなかった。
でも親を探しに行くということは、捨て子か何かなのかもしれない。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


子供は泣き止むことを知らず、声を上げ続ける。
押し付けられてしまった以上泣き止ませるしかなくなった桐生は、引きつった顔で「いないないばぁ」をした。

しかし、あまり効き目は無く。


「おぎゃぁ!」
「くっ・・・」
「けほっ・・・おいおい?逆に泣かしてんじゃねぇか桐生」
「・・・だったらお前が変われ、あけ!」
「断る」


すっぱりと断れ、赤ちゃんを抱いているとは思えない表情を浮かべる桐生。
あけはその表情に怯えることなく、泣きつづける赤ちゃんに近づいた。


「うーん。お腹空いてるとか、そういうのがあるんじゃねぇか?」
「それもそうか・・・もしかしたら、オムツかもな」
「じゃあ、オムツねぇか探してくる」
「あぁ、頼む」


ここは普通のバーだし、オムツがあるとは思えない。
諦め気味で探しに行ったあけは、奥の方にあった棚の中からオムツやら哺乳瓶を見つけて目を丸くした。

な、なんでこんなものがここに。
準備の良さに疑問を抱きつつも、急いでそれを桐生の所へ持っていく。


「ん、あったぜ桐生」
「本当か?なんだってこんなところに・・・」
「まぁそこらへんはいいじゃねぇか。ちゃっちゃと代えてあげろよ」
「・・・あぁ」


持っていたオムツを渡して、早く代えてあげるよう促す。
何だかんだ言いながら、オムツを代えようとする桐生の手つきは慣れたものだ。

子供たちのお世話をしてる中で、何となく感覚は掴んでいたんだろう。

安心したのも束の間、先ほどの表情とはうって変わって優しい表情を浮かべる桐生に、ちょっとした悲劇が起きる。


「おい桐生。それが終わったら寝かしつけ・・・・」


その場の空気が、凍りつくのを感じた。
ふと見れば、オムツを代えようとしていた桐生の顔に赤ちゃんのおしっこが掛けられている。


「き、桐生・・・・」


ちょうど、トイレをする瞬間だったのだろう。
トイレをし終わって満足げな赤ちゃんは、人の気持ちなど知らずにきゃっきゃと笑い始めた。
今まで泣いていたのが嘘のようだ。それとは逆に桐生の表情が酷いが。


「・・・元気なヤツだなぁ」


目が、目が笑ってないですよ。

そんなツッコミを心の中で思いつつ、あけはタオルを準備して顔を拭いてあげた。

先ほどの大泣きが嘘のように、赤ちゃんは笑っている。
秋山達はやっと静かになったのが嬉しかったのか、力を抜くようにしてソファへ寝ころんだ。
そんなにうるさかったなら手伝えばいいだろ!と、突っ込むあけにも反省の色は見せない。


「俺、子供苦手なんだよねぇ」
「・・・わいがやったら逆効果やろ」
「いやぁ・・・中々貴重な姿を見れたなぁ」
「おい谷村さんよぉ。お前ちょっと表でろ」


秋山と冴島はしょうがないとして、谷村はただ楽しんでいただけだ。
怒ったあけが谷村を睨むが、谷村は涼しい顔で笑っている。
本当なら殴り飛ばすところ・・・でも今は、騒ぐわけにはいかない。

とりあえず、落ち着いた赤ちゃんがまた泣きださないよう、寝かしつけるのが先決だろう。
そのことを桐生に伝えると、桐生がめんどくさそうにあけの方へ赤ちゃんを差し出した。


「・・・へ?」
「お前がやれ」
「はぁ!?やんねぇよ!」


おしっこを掛けられたのがよほど嫌だったのだろうか。
桐生はあけの断りを聞こうとしない。
だが苦手なものは苦手なのだ。あけも何とか逃れようとして言い合いになる。


「絶対いやだ!私はこういうの、苦手なんだよ!」
「俺が得意なように見えるか?」
「でも慣れたかんじだっただろ?っつーかせめて、私じゃなくて谷村さんにしろ」
「あいつが引き受けるとも思えん。寝かしつけるんだ・・・お前が適任だと俺は思うんだが」
「なんで?」
「女の腕の中の方が、寝心地良いだろう?」


桐生の強引な押しにも、あけはまったく動じない。
しょうがないな、と。諦めたように見せかけた桐生があけの肩を掴んだ。

そして秋山達に聞かれないよう、耳元で囁く。


「俺との子供が出来たときのために、練習でもしておけ」
「・・・・っ!?」


その言葉にあけらしくない、戸惑いの表情が浮かんだ。
赤ちゃんを渡されても、顔を真っ赤にしたまま抵抗しようとしない。
秋山達が不審そうに見守る中、悔しそうなあけが桐生を睨む。


「・・・ばか。後でなんか奢れよ?」
「あぁ。後でいくらでも付き合ってやるぜ」
「よっしゃ。高いのいっぱい食ってやる!」


あけは赤ちゃんを優しく抱きかかえると、寝かしつけるように子守唄を歌い始めた。
何気なく歌を聴いていた四人は、あけの意外な歌声に耳を傾ける。

寝かしつけるための、簡単な鼻歌に近い子守唄。
いつもの低い声色とは違い、大人の女性の声で紡がれる声は、セレナに残る四人の男達を魅了させた。


「~♪」
「んぅ・・・むにゃむにゃ・・・」
「お・・・」


意外とすぐに寝てくれたことに、ホッと胸を撫で下ろす。
あけはスヤスヤと眠り始めた赤ちゃんを布団の上に置き、ため息を吐きながら額を拭った。


「ふぃー。これで少しは大人しくなるだろ」
「・・・・」
「・・・ってなんだよ、何でそんなにこっち見てんだ!?」


男四人の視線を感じて、あけが気持ち悪そうに身を捩る。

そしていつも通り、本人置いてけぼりの会話が始まった。
四人の会話を聞いたあけは意味を理解して喚くが、誰も聞こうとしない。
それどころか、また会話の内容が酷くなっていく。


「いやぁ、やっぱりあけちゃんは良い奥さんになりそうですねぇ。桐生さん?」
「おい、てめ・・・」
「当たり前だろ」
「おい」
「いいのぉ。見てるだけでお腹いっぱいや」
「おい、おまえら、そういう会話はやめろっつってんだろ!」


怒りのあまり、バンッ!と机を叩くあけ
もちろん、その音に赤ちゃんが大人しく寝ているわけもなく。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「ぎゃー!お前らのせいでまた起きただろうが!!」
「えー?どっちかっていうとあけちゃんのせいだよ?」
「秋山さん、あとで一発ビンタな!」
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「くっ・・・分かった分かった、今行くから泣くなって!」


最終決戦前。
今日もセレナは平和である。





















男勝りな彼女も、彼の前ではただの女性。
(紡がれる子守唄を、彼が独占しようとするのはまた別の日の話)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
←No.46No.45No.44No.43No.42No.41No.40No.39No.38No.37No.36
サイト紹介

※転載禁止
 公式とは無関係
 晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
 検索避け済

◆管理人
 きつつき
◆サイト傾向
 ギャグ甘
 裏系グロ系は注意書放置
◆取り扱い
 夢小説
 ・龍如(桐生・峯・オール)
 ・海賊(ゾロ)
 ・DB(ベジータ・ピッコロ)
 ・テイルズ
 ・気まぐれ

◆Thanks!
見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。
現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。
(龍如/オール・海賊/剣豪)