Erdbeere ~苺~ 惑わされて、壊されて 忍者ブログ
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2011年11月14日 (Mon)
桐生さん/ヒロイン視点/甘/微エロ

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相変わらず情報集めの仕事をしていた私は、久しぶりの休暇に退屈していた。
ここの所、またあの桐生が色々持ち込んできたりして、情報集めに忙しかったせいか。
仕事の無い日が、つまらなく感じる。


「暇なのは嫌なんだって・・・」


イライラしながら携帯をいじる。
なんか楽しいことないかな?なんて思っていると、頭の中にふと桐生の顔が浮かんだ。
慌てて携帯で連絡先を開き、ニヤリと笑う。

忙しくなったのも、元はといえば桐生のせい。
遊びに付き合ってもらうぐらい、全然安いもんだよな。


「~♪」


そうと決まったらさっそく連絡。
桐生の番号に電話を掛け、ゆっくりとソファに寝転がる。
意外にも、桐生は2~3回のコールですぐに電話に出た。


「よ!」
『・・・なんだ』


ただいま、午前10時。
桐生も久しぶりの休暇だったのか、眠そうな声をしている。
っというより、今まで寝ていたのかもしれない。

そんなことはお構いなしに、話を続ける。


「おーい!起きろ!寝てんじゃねぇぞ!」
『っせぇなぁ・・・少しは静かにできないのか?』
「私の遊びに付き合えよ!じゃねぇと、これからの情報料とっちゃうぜ?」


私の軽い脅しに、電話の向こうでため息が聞こえた。
その後、ごそごそと服を着替えるような音が響き始める。

さすがの桐生も、私には勝てないみたいだ。
まぁ普通の情報なら、お金で買うと数百万するものもある。
サイの花屋が売ってる情報より質が良いんだ。もっと高いのもあるんだ。

桐生でも、さすがに払えないだろう。


『ほんとお前、きたねぇな』
「睡眠妨げられたからって怒んなよ!ほら、デートってことだぜ?」
『・・・・チッ。待ってろ。迎えに行く』


プツッという音と共に、電話が乱暴に切られる。
そう、桐生には情報のほかに、もう一つ断れない理由がある。

それは私と桐生の関係。
パートナー・・・いや、恋人同士といえばいいだろうか。
お互いに色んな関係を持っているが、何だかんだで1番信頼出来る仲だ。


「んー、たまにはちゃんとした服に着替えるかー・・・!」


あんまり女女しいのは好きじゃない。
でも、自分から「デート」って言ったからには、少しは女らしい恰好をするのもありだろう。

私は着ていたスーツを脱ぐと、軽いワンピースに着替えた。
スカートはすーすーするから嫌いなのだが。女らしい服と言われてもよく分からないからこれしか着れないってのもある。


「動きづらいのは嫌なんだどなぁ・・・」


ボサボサの髪の毛を軽く整え、桐生が迎えにくるのを待つ。
あいつはたぶん、セレナにでも泊まっていたんだろう。
それならここからも近い。ってことはもうそろそろ・・・。


「おい、人呼び出しといて何寝てんだ」
「寝てないよー?寝転がってただけ!」
「どっちも同じだ」


ガツンッと、重い拳を頭に落とされる。
相変わらず女でも容赦ない桐生に、私は涙目で睨みあげた。


「ってぇ、何すんだよ!」
「んで?どこ行くつもりなんだ」
「無視かよ・・・」


桐生は全く私の睨みに動じることなく、どこに行く?と聞いてきた。
あ、そういえば、デートとか言いつつどこも考えてなかった。
私は不機嫌な桐生を見つめつつ、考え込む。

やば、完全に決めてなかった。
早く決めないと、また桐生が怒りそうだ。

デートだし、やっぱりいつもは行かないような場所へ・・・・。


ん?いつも行かないような、場所?


「桐生!」
「あ?」
「カラオケ行こうぜ!」
「は?」


見事に1文字返事を返す桐生を、私は無理やり引っ張って外に出る。


「ちょ、ちょっと待て。なんでカラオケなんかに・・・」
「えー?歌ってくれねぇの?桐生の歌、聴いてみたいんだけど・・・」
「・・・・」

ちょっと潤んだ瞳で、おねだりするように首を傾げる。
もちろん、仕事で使う演技モードだ。
桐生は急に女の子らしくなった私を、無表情で見つめている。

そして数秒後。
ガシッと大きな手が私の頭をつかみ、そして力を込めはじめた。


「あだだだだあっ!」
「俺相手に演技使ってんじゃねぇぞ!」
「痛ぁ・・・でも、歌聴いてみたいんだよ!いーじゃんか、こうやって二人っきりで遊べることも少ないんだしさ・・・」


その言葉に、桐生は優しげな笑みを浮かべて私の手を掴んで歩き出した。


「き、りゅう?」
「最初っから素直にそういえばいいんだ。行くぞ」
「・・・おう」


優しく握られた手が、何だか恥ずかしい。
桐生はそんな私の気持ちを察することなく、手をつないだままカラオケへと足を踏み入れた。


「お二人様ですか?」
「・・・・あぁ」


慣れないながらも、足早に受付を済ませて部屋に入る。
店員さんが「ごゆっくりどうぞ」と言って扉を閉めた後、私はすぐに桐生へとマイクを投げ渡した。


「おい、おまえ・・・」
「さ、桐生歌えよ!」
「俺が終わったら・・・お前も歌えよ?」
「・・・わ、分かった!でもとりあえず、桐生の歌聴いてみてぇんだ」


曲を選ぶ機械をいじりながら、桐生の方をチラリと見る。
相変わらず慣れていないようだが、何とか探り探り曲を探しているように見えた。
そして良い曲を見つけたのか、ピッピッという操作音が響く。


「ったく、しょうがねぇなぁ・・・」
「ひゅーひゅー!」
「・・・・お前の願いを聞いたんだ。代わりに、今夜はどうなるか分かってるよな?」
「ッ・・・!」


少し低めの声で囁かれ、思わず身体が震えた。
前奏が始まる中、桐生は黒い笑みを浮かべて私を見ている。
くっそ、なんか素直に聞いてくれると思ったら・・・交換条件ってことかよ。

別に、桐生と夜を過ごすのは嫌いじゃない。
恥ずかしいのは、もちろんあるが。

でもそれ以上に思うのは、明日が動けなくなりそうってことで。


「・・・て、手加減しろよ・・・!」
「出来たらな」
「てんめっ・・・!」


自分でも、顔が赤くなっていくのが分かる。
曲さえ始まって無ければ、きっと殴りかかっただろう。
私は握りしめていた拳を静かに抑え込み、桐生の歌に対する期待で感情を押し殺した。

上手いのか、下手なのか。
それは歌いだしで、すぐに明らかになった。


「Midnight shadow・・・ 切り裂く・・・」
「・・・!」


低く、渋みのある声。

ぶっきらぼうに棒立ちしながらも、紡がれる声はとても綺麗だった。
しかも、かなり上手い。上手すぎる。


「(・・・やべぇ・・・)」


想像以上だったこともあり、顔が一気に熱くなっていくのを感じた。
意外な1面を見れてる嬉しさと、極道とはまた違うかっこよさ。

まるで女の子のようにトキメキ始めている自分を、私はどうにか抑える。


「(ままままて、落ち着け、まるで恋する乙女じゃねぇかっ!)」


こんなの、絶対私じゃない。
私だって極道の1員として数えられも可笑しくない仕事をしてるんだ。

なのに、こんなことで動揺しちまうなんて。


「(な、なんでこんなに無駄にうまいんだよこいつ・・・!)」


動揺を隠すため、必死に合いの手を入れるふりをする。
しかしそれはすぐバレてしまい、私の様子がおかしいことに気付いた桐生が歌いながら私の隣に座った。

この野郎。分かってて隣に座ってるんじゃねぇのか・・・。
毎回桐生に色々と負けているような気がして、私は軽く桐生の背中を叩いた。


「・・・どうした?顔が赤くなってるぞ」
「うっせぇ・・・!」


間奏中に、桐生が私の肩を抱きしめる。
そして耳元に唇を近づけると、思いっきり低い声で囁いた。


「・・・あけ


ゾクリ。

身体が縛られたように痺れて動かなくなる。


「なん、だよ・・・!」
「こっちを見ろ」
「っ・・・!」


首を振って抵抗すると、無理やり顔を桐生の方へ向かされた。
そのまま、強引に唇を奪われる。


「ン、ふ・・・!」
「俺の前では、素のお前で居ろっていっただろ」
「んなこと言ったって、簡単にできねぇよっ!」
「できねぇなら・・・させるまでだな」
「ま、まて・・・!」


抵抗も虚しく、またすぐに口を塞がれる。
口内を自由自在に舌で貪られ、息をする暇も与えてもらえない。

こいつとこういう仲になったのは、かなり前のことだ。
お互いに似たような境遇からぶつかり合うことも多かったが、そのおかげもあって本音も言い合える仲にもなっていた。

そして深い関係になってから桐生と私が交わした約束が、今の桐生の言葉。


“お互いに、無理はしない。二人きりの時は、素をさらけ出すこと”


「(でも、ンな事簡単にできるかよ・・・恥ずかしいじゃねぇかよ、女女しくすんのは・・・)」
「何、考えてんだ」
「ッ!?な、なんも考えて・・・ま、まって、もう息がっ・・・」


桐生の口づけは、私の言葉を遮るというより、ただ求めるかのようなものに感じた。

乱暴に、だけど優しく。
まるで食べられているかのようだ。

身体が震えて、目の前がくらくらし始める。


「も、きりゅ・・・やめろ・・・って・・・!」
「言っただろ?お互いに正直になれって・・・俺は正直に、お前を求めてるだけだ」
「だ、だからってこんな・・・苦しいっての!」
「ちょっとぐらい壊れても構わねぇだろ?いつもお前が仕事で女の恰好してんの・・・我慢してんだぞ」
「っひゃ・・・!」


ふわり、と。
撫でるようにスカートから伸びている足を撫でられ、思わず悲鳴を上げる。

いつの間にか、カラオケなんてものはなくなっていた。
あるのは、二人きりの空間だけ。


あけ
「・・・うるっせ。何度も呼ぶなよ・・・一馬」


私は情報屋だ。しかも特殊な。
自分が女だということを利用し、様々な人から正確な情報を抜き取る。
どうやら桐生は、私がほかの人の前で派手な格好をして「女」を売っているのに嫉妬しているらしい。

いつもは見せない、極道とも遥達のおじちゃんとしてでも無い・・・ただの男としての姿。


「俺以外のやつと、仕事でもカラオケなんかに行くんじゃねぇぞ」
「え?」
「男と密室で二人っきりになったらどうなるか・・・今、分かっただろ?」


強く肩を押さえつけられ、ソファに押し倒される形になる。
抵抗として上半身を起き上がらせようとしてみるが、まったく歯が立たない。


「分かったな?約束だぞ」
「・・・りょ、りょーかい!」
「んじゃ、続きといくか」


静かだった空間に、桐生が何やら機械をいじって曲を転送する。
流れ始めてきた曲は、明らかに女性の歌。
まさか、と思って桐生を見上げた私に、バシッとマイクが押し付けられた。


「お前の、番だろ?」
「・・・下手でも、笑うなよ!」
「わらわねぇよ・・・たぶんな」
「たぶんってなんだよッ!」


響き始める歌。にぎやかなやり取り。
この時間がいつまでも続けば良いのにと思いながら、私は女としての笑顔で桐生に優しく微笑みかけた。









お互いに、自分にしか見せない表情を。
(偽らせない、隠させない―――――全てを曝け出させてやるから)
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