Erdbeere ~苺~ ハブと龍 忍者ブログ
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2012年07月28日 (Sat)
桐生VS力也/桐生落ち/ほのぼの/ギャグ甘/微エロ/※ヒロイン視点

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朝起きた瞬間から、そのことに気づいて私は頭を抱えた。

頭が痛い。
吐き気がする。
節々が痛い。

この条件が重なって起こる事と言えば、一つしか思いつかない。
そう・・・風邪だ。


「(まじかよ・・・・)」


昨日まで何ともなかったのに、どうして今になって。
今は子供たちも夏休みに入って、ちょうどあさがおが忙しくなる時期だ。

こんな時期に休みたくない。休んでられない。

痛む身体に鞭を打ち、身体を引きずるようにして立ち上がる。


「ってー・・・!」


今まで軽く風邪を引いたことはあったが、こんなにだるかったのは初めてだ。
何とか表情に出さないよう気を付けながら、朝ごはんの支度をしてるであろう遥達の元へと急ぐ。

台所へ近づくと、良い匂いが既に漂って来ていた。
いつもなら食欲を誘う匂い。でも今の私には正直キツイ匂い。


「遥、おはよう」
「おはようお姉ちゃん!もう少しでご飯出来るから、待っててね」


笑顔で言う遥に、私は申し訳なく重いながらも首を横に振る。


「いや、今日私は朝ごはんいらねぇや」
「え?どうして?」
「んー、昨日食い過ぎたからかな。食欲湧かねェんだよなー」


誤魔化し気味に言うが、遥はあまり気にしてないようだった。
このまま家に居ても誰かに移すかもしれないし、関節の痛みを紛らわせるために何かしよう。

まぁ、何をするかはもう決まっているけど。

遥が料理する横に置いてあった買い物リストを横取りし、さっさと部屋から出ようとする。
もちろん、働き者の遥が止めに来ることも計算済みだ。


「お姉ちゃ「最初はぐー」
「へっ!?」
「じゃんけんぽーん」


突然のじゃんけんに、遥が慌ててぐーを出す。

遥はいつもじゃんけんの時、ぐーを出す癖があるのを私は知っていた。
先読みして出したパーをチラつかせながら、勝利の笑みを浮かべる。


「よし、んじゃ私が勝ったから買い物いってくるな」
「もー・・・。お姉ちゃんったら強引なんだから・・・でも、ありがとう」
「うっせぇなぁ。空いた時間で少しは遊べ。んじゃな」


こういう会話は日常茶飯事。
特に体調不良を悟られることなく、私は家から出ることが出来た。

沖縄の日差しが、私を容赦なく照らしつける。
頭が痛い。割れそうなぐらいに。

思わず眩暈がしてふら付けば、見えていなかった何かにぶつかって尻もちをついてしまう。


「ったー・・・!」
「おいこら!どこみて歩いてんだよこのアマ!」
「・・・」


どうやら、チンピラグループにぶつかってしまったようだ。
いつもなら反撃してボコボコにするところだが、今はそんな体力も無い。

私は痛む頭を押さえながら立ち上がり、私を睨み付けるチンピラ達に頭を下げた。


「わりぃ・・・。少し考え事してて、見えてなかったんだ。許してくれ」


素直に謝ると、しばらくして頭上から笑い声が聞こえてきた。
何かと思って顔を上げた瞬間、グイッと掴まれた胸ぐら。


「姉ちゃん、良く見ると可愛い顔してるなァ・・・」
「俺達とちょーっと、良いところいかねぇ?」


ああもう、なんだってこんな時に限って。
イライラが頂点に達した私は、胸ぐらを掴んできた男の腹部に蹴りを飛ばした。

そのまま蹲る男の顎を掴み、勢いよく膝蹴りを加えてやる。
すると男は舌を噛んだらしく、口を押えながら向こうの方へと転がって行ってしまった。


「はっ・・・ざまぁねぇな」
「てめぇ!!!」
「ぐっ!?」


男の仲間が私の腕を押さえつけ、動きを封じてくる。
逃げられると思って体勢を低くしていた私は、再び襲ってきた眩暈にそのまま体勢を崩した。

熱い。

身体が、熱い。

チンピラ達が笑いながら私の服を掴んでいるが、抵抗の力が出てこない。
どうすればいいかと考える頭も、今の私には・・・。


「おい!何してんだてめぇ!!」
「・・・・!」


突然、聞き覚えのある声と共に、私を掴んでいた男が吹っ飛んだ。
他の男達も声の主に襲い掛かろうとするが、すぐに殴られて逃げ帰って行った。

この声の主を、私は良く知っている。
私はソイツの顔を見ることなく立ち上がると、確信を抱きながらお礼を言った。


「ありがとよ、力也。助かった」
「いやいや、姉貴にそんな・・・。つか姉貴、大丈夫っスか?」
「んあ?あぁ」
「顔色、かなり悪いっスよ・・・?」
「大丈夫だって。気にするな・・・って」


また、視界が揺れる。
思わず目を閉じて踏ん張った私を、力也が咄嗟に抱きかかえた。

え、いや、待て。

ここ、道路だぞ?人通りが多い場所だぞ?こいつ、何してやがる!


「おおお、おい、こら、おろ、おろせっ!!」
「駄目ですよ、姉貴。熱あるじゃないっスか。とりあえずどこか休める場所まで運びますから!」
「これでか!?ふざけんな、私を恥さらしにするつもっ・・・けほっ!!けほっ・・・!!」
「ほらほら、安静に!」


こいつ、やけに楽しそうにしやがってこの野郎。
いつもならぶん殴ってやる所なのに、そんな力さえも今の私には出てくれない。

しょうがなく、私はお姫様抱っこされたまま近くの公園へと運ばれた。
皆の視線が限りなく痛かったが、この際しょうがない。

・・・元気になったら、こいつしばき倒してやろう。


「・・・とりあえず、ありがとな。しばらく休んだら良くなるから、大丈夫だ」
「駄目っスよ!まず飲み物買ってきますから、待っててください!」
「あ、あぁ・・・・」


もうこうなったら止められない。
結局あの桐生を、結局兄貴と呼び続けてる強者だ。

抵抗する気力も失せ、私は全てを力也に任せる。
力也が準備してくれた濡れタオルが頭を冷やし、少し気分を軽くさせた。


「っ・・・はぁ・・・」
「無茶はだめっスよ。兄貴も心配しますよ?」
「心配させねぇために出てきたんだろ・・・」
「姉貴っぽいっていえば、姉貴っぽいっスねぇ・・・」
「どういう意味だそれは・・・。とにかく、心配はいらねぇ。休んだら買い物行くからな」


休むっていうのはどうも苦手だ。
甘えるのと同じような気がして、むずがゆくなる。

そんな私を見た力也が、呆れ気味に買い物リストをふんだくった。
突然の事に、私は反応すら出来ない。


「・・・力也?」
「これなら、俺が買ってきますよ姉貴」
「いいっつってんだろー?お前は琉道一家の方に・・・」
「姉貴」


見上げた先にあった力也の表情は、いつもより真剣そのものだった。
悲しそうにしながら私の方へ顔を近づけ、こつんとおでこをくっつける。


「こんなに熱あるのに、姉貴を無理させることなんて・・・出来ないっスよ」
「力也・・・・」
「大事な姉貴なんすから、無理しないでください」
「あぁもう、姉貴姉貴ってくすぐってぇなぁ・・・。やめろっていってんだろ」


真剣な表情に言い返すことが出来ず、しょうがなく話をずらして抵抗した。
力也は目を見開いたまま、どこか悩んだように私を見つめる。


「やめろって言われても・・・」


姉貴は、姉貴じゃないですか。

それあれだろ。桐生の時も言ってただろお前。
理由になってねぇよと突っ込みを入れかけた私に、力也の手が触れる。

それは桐生が私を撫でる時に似ていた。
優しく、愛おしむように私を撫で、数秒後、ハッとしたように手を離す。


「あ、す、すんません」
「・・・?なんだお前。今日の力也おかしいぞ」
「・・・・姉貴、俺・・・・」


突然ぎゅっと抱きしめられた。
力也の心臓の音が、直に聞こえる。

突然どうしたんだ、こいつ。

顔真っ赤だし、まさかこいつも風邪?


「お、おい、力也、だいじょ・・・」
「俺は、俺は、姉貴のことがっ・・・!」


力也が何か言いかけた瞬間、


「力也!」
「ッ・・・!あ、兄貴・・・」


後ろから桐生の声が聞こえ、力也が慌てて私から身体を離した。
風邪なのを隠したかった私にとって、この状況は最悪としかいえない。

案の定、近づいてきた桐生は、即座に私の方へと顔を近づける。


「熱あるなら、どうして休まないんだ、お前は」
「うっせーなー。このぐらい平気だってことだよ」
「平気なら、力也に看病される必要もないんじゃないのか?」
「それは・・・たまたま、会ったから・・・・」


嫌な威圧感。

有無を言わせない視線。

頭の痛みもあってあっさりと折れた私は、両手を上げて降参のポーズを取った。
怒らせたら後が怖いしな、桐生は。


「わかったよ、桐生。大人しく帰る」
「あ、じゃあ、姉貴、俺がおぶって・・・!」
「いや、良い。俺が連れて帰る」


力也と桐生の空気が一瞬、冷たくなったような気がした。
喧嘩でもしたのかお前等?と聞こうとした私を、桐生が軽々持ち上げる。

恥ずかしがって顔を背ければ、耳元に熱い吐息が掛かった。
思わず上げそうになる声を飲み込み、楽しそうに笑う桐生を睨み付ける。


「て、んめぇ・・・」
「無茶した罰と・・・お前が鈍い罰だ」
「に、ぶい・・・?」


疑問を口にする暇は与えられず、耳を軽く甘噛みされた。
桐生の後ろには力也が着いて来ている。声を出すわけにはいかない。


「っ・・・・!」
「・・・・そうだ。あさがおまで我慢しろ」


その声は、少し怒っているようにも聞こえた。
逆らえないまま耳に息を吹きかけられ、足を手で弄られる。

な、なに?どうして怒ってるんだ?
鈍いって、一体何が?
混乱する私を尻目に、桐生の悪戯は続き、あさがおに帰りつくころには全ての体力を奪われていた。


「っ・・・く、そ・・・」
「大人しく寝ておけ」
「言われなくなって・・・っ!」


桐生から逃げるように離れ、さっさと自分の部屋へ戻る。
その時に聞こえてきた力也と桐生の声は、私の耳には届かなかった。

とりあえず、あれだな。
元気になったら、何が鈍いって意味だったのか聞かないと。























俺からアイツを奪おうなんざ、100年早ぇ。 
――――望むところですよ、兄貴。
(キザな笑みを浮かべた桐生に、力也も同じような笑みを返した)

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