Erdbeere ~苺~ ふりか本当か分からない 忍者ブログ
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2022年06月02日 (Thu)
ギャグ甘/恋人未満/ゾロと一緒にバロックワークス相手に大暴れする話

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ウイスキーピークでの歓迎パーティ後。

ものの見事に食い潰れ、飲み潰れ――――そして一部は“ふり“をして床に寝ころんでいたことに気づいていたくろねこは、大きな欠伸をわざとらしく浮かべてゾロの肩をつんつんと突いた。


「嘘寝下手くそ腹巻きマン。起きてる?」
「ぶっ殺すぞ・・・」
「あ、やっぱり起きてた」


暴言で嘘寝を見抜かれたゾロは、舌打ちしながら顔を上げる。


「あれだけでゾロが酔いつぶれるわけないもんねぇ」
「・・・・・・」
「何その顔」
「おめーは本当に酔いつぶれたのかと思ったぜ」
「・・・・ちょっと危なかった」
「オイ・・・・」


月夜に照らされるくろねこの頬は、少し赤い。

酒を吹き飛ばすように勢いよく立ち上がったくろねこがふらつくのを支えながら、ゾロとくろねこは住人にバレないよう屋根の上に登った。


「気づいてたんだ?」
「あたりめーだろ。怪しすぎんだろうが」
「だよねぇ」


目の前に映る綺麗な月。
屋根に登り終わると、ゾロがポケットからお酒を取り出した。


「・・・・まだ飲むの?」
「あァ。酒自体はうめぇからな」
「結構敵いると思うけど、大丈夫?」
「雑魚何人集めても同じことだろ」


くろねこが屋根の影に隠れて下を確認する。
二人の予想通り、味方のふりした住人――――バロックワークスの社員達がぞろぞろと店の前に集まりだした。

海賊たちを歓迎し、警戒心を解かせ、それから賞金へと変える。
馬鹿相手には成り立ちそうなビジネスだと思いながらくろねこは刀に手を添える。

とはいえ、ゾロ、くろねこ、ナミ以外は本当に潰れているのだが。


「バロックワークスか・・・」
「知ってんのか?」
「犯罪集団だから私のカモだしね」
「・・・・そういやそうだったな」
「こういう犯罪集団がいてくれるから義賊は美味しいわけですな~」


悪戯に舌を出して楽しそうにするくろねこにゾロはやれやれと首を振る。


「がめつい女だぜ・・・・」
「船で飲んでる酒、ほとんど私が買ったんだからな。文句言うなら今度買わないから」
「・・・・スミマセンでした」


酒を人質に使われればゾロも素直に謝るしか無い。

現金なゾロの態度にまた楽しそうに笑ったくろねこが、ふと真剣な表情を浮かべる。
店を囲っていた集団が、揃って武器を取り出し始めたのだ。
そろそろ始まりそうだよと無言で視線を送れば、それに気づいたゾロが息を吸い込む。


「なぁ、わりぃんだがな」


下の奴らの会話を遮るようにしてゾロの声が響く。


「あいつらを寝かしといてくんねぇか?昼間の航海で疲れてんだよ」


堂々と屋根の上に姿を表し、抜いた刀を月明かりに当てるゾロは、下にいる大量の人数を見ても余裕の笑みを崩さなかった。

言葉通り、雑魚が何人いても同じこと。
くろねこは暇そうにそのやり取りを見つめている。


「き、貴様、いつの間に・・・!完全に寝込んだはずでは!」
「剣士たるもの、油断しすぎるような馬鹿はしねぇよ」


海賊を両手を広げて歓迎する町。

―――――そんな馬鹿な町、あるわけがない。

たとえあったとしても、それならもっと分かりやすく荒んでいるものだ。
今までの経験上、ここまで分かりやすい罠もないとくろねこはやる気のない欠伸を浮かべた。

つまりは、この町全体が賞金稼ぎの巣窟。


「賞金稼ぎ、ざっと百人ってとこか?」
「相手になったげるよ、バロックワークス~!」
「なッ・・・・なぜ、わが社の名前を!!」


狼狽える巻き髪にゾロが悪役顔で答える。


「昔似たようなことしてた時にスカウトされたんだよ。当然蹴ったけどな」


バロックワークス。

何もかもがヒミツ主義の犯罪組織。

その社員は何千人規模にも及ぶと言われているが、詳しい情報は何も分かっていない。
誰しもがコードネームで呼び合い、素性は隠し。
もちろんボスのことなんて知らない。

ただ忠実に仕事という名の犯罪をこなすだけの組織。


「そこまで知っているのであれば消すしかあるまい・・・・また、サボテン岩に墓標が増える」


その言葉に、思い出されるのはサボテン岩に刺さっていた大量の墓標。


「あー、あれそういうやつだったんだ」
「・・・・何呑気に納得してんだ」
「ゾロが片付けてくれるでしょ」


めんどくさいという表情のまま動き気配を見せないくろねこにゾロは深いため息を吐く。
そして、殺せ!という掛け声と共にその場から姿を消した。



◆◆◆




「てめぇも真面目にやりやがれ!!」
「えー?」


銃を持った集団に追いかけられながら戦うゾロは、余裕ながらもまったく戦う気配を見せないくろねこに怒鳴り声を上げた。


「襲われてるのが可愛い女の子なら分かるけど、いかつい男だし・・・」
「ほんとにぶった斬るぞてめぇ!!」
「あ、ゾロ後ろ」
「分かってらぁ!!」


言い合うゾロの後ろに現れた敵を、ゾロは見向きもすることなく峰打ちで屋根から落とす。

何十人、何百人といても同じことだ。
このメンバーではゾロに勝つことは出来ない。

むしろ今までよくあの墓標を積み上げるだけの成果を出せたものだ。

感心しながら戦いをぼーっと見つめていたくろねこに、背後からショットガンを持った男が忍び寄る。それに気づいていながらも無視することにしたゾロは、前の前にあったはしごを登り始めた。


「五億円の首、もらったぁ!!!」


響く銃声。

ゾロはくろねこの方を確認すらしない。


「ちょっとー、心配してくれてもいいんじゃない?」
「する必要どこにあんだよ。女最強剣豪様がショットガンで吹っ飛んだらそりゃ笑いモンだな」
「女の子は守られたいもんなんだよ」


へらへらと笑いながらショットガンを片手で弾き飛ばしている女が言うことじゃないと、ゾロは顔をヒクつかせてその言葉を無視した。

上に上に登れば登るほど、追いかけてくる人数は減っていく。
先に登っていってしまったゾロを追いかけていると、くろねこの目の前に大量の人の雨が降ってきた。どうやらはしごを全部落としてしまったらしい。

仕方なくその場で思いっきり跳躍したくろねこは、隣の建物の屋根へと移った。

その瞬間、あぶねぇ!!と切羽詰まったゾロの声が響く。


「ん?」


呑気な声と同時にくろねこの顔面を捉えた、全力のスイング。
豪快に木が割れる音が響き、くろねこの体が地面に横たわる。


「お、おいっ!!」
「来るな!こいつの首がへし折れてもいいのかい?」


横たわったくろねこの首を押さえ、持ち上げているのは、シスターとしてナミと酒比べをしていた図体のでかい女だった。

その図体に負けない力を持っているのか、押さえられたくろねこの首がみしみしとなっている。


「力であたしに勝てる男なんていない・・・そこで黙ってみてな」
「待てッ・・・!」
「カイリキ・・・・メリケンッ!!!」


女は思いっきりくろねこの体を地面に叩きつけ、その後を追うようにメリケンを装着した拳を振り下ろした。何かが割れるような音が響き、建物全体がひび割れていく。


「なんだ、五億ってのも所詮この程度か」
「てめェ、クソッ!!まだ酔ってたのかこの馬鹿女ッ!!!」


ほんのり赤かった頬を思い出し、ゾロは急いで建物を飛び移る。

酔ってなきゃ、こんな雑魚にやられるわけがない。
酔ってたとしても怪しいもんだ。

そう思いながら急いでくろねこを抱き起こそうとしたゾロは、砂埃が消えた瞬間その手をぱっと離した。


「いだっ!!」
「てめぇ・・・喧嘩は洒落じゃねぇんだぞ・・・?」


睨み殺す勢いのドスの効いた声に、さすがのくろねこも余計なことを言わないように立ち上がる。


「そんなに怒んないでよ・・・・ちょっとまだお酒が残ってて、くらっとしちゃっただけだから・・・・」
「なっ・・・なんで、無傷・・・!?」


ゾロが見たのは、無傷で寝転がるくろねこの姿だった。
メリケンを食らった箇所が少しだけ赤らんではいるが、酒で酔っているのとさほど変わらない。

さすがにこれ以上ふざけるのはやめようと、再度殴りかかってきた怪力女の手を掴んだくろねこが笑う。


「確かに私は君より怪力じゃないかもしれないけど・・・・」
「がっ・・・ああぁぁああ!?」
「こういうのはコツだよコツ」


先ほどと同じ、何かが割れるような音。

さほど力を入れているようにも見えないくろねこの腕から、女の体が崩れ落ちた。


「続けようか、バロックワークス」
「喧嘩は洒落じゃないんだよ、君たち」
「てめェが言うな!!!!」
「った~~!そこさっき殴られたとこ!小突かないで!!」
「腫れてすらねェだろうが・・・」


どこか締まらない二人を見て、なぜこんなやつに百人もいて負けるのだと思う男の表情は誰しもが同情するものだっただろう。

それでも見た目で判断してはいけないのがこの世の鉄則。
悪人顔で笑う三刀流と、武器すら抜いていない可愛らしい少女の組み合わせは、確実に彼らにとっての凶悪な敵だった。


「とうとう、私達の出番かしらね」


やる気満々で踏み出した青髪の女性を見て、くろねこが目を輝かせる。


「あの人可愛い~!」
「てめぇ何クソコックみたいなこと言ってやがんだ」
「良いじゃん。・・・・自分がなれないような可愛い子ってのは、どうしても憧れちゃうもんがあってさ」


くろねこは冗談めいた調子でそう呟いたが、ゾロにはその言葉が冗談には思えなかった。

確かにくろねこはそういった可愛らしいタイプではない。
立場としてもくろねこを“レディ“として扱うのは、サンジぐらいのものだろう。


「(だからあのクソコックの対応に慣れない感じだったのか)」


船でくろねこに対してレディ扱いをするサンジは、それはもう何度も何度も見た。

船に乗ってから毎日呆れるほどにその対応を続けられているというのに、そのたびにくろねこはぎこちないお礼や笑みを返している。

最初はサンジに好意があるのかと思っていたが、この感じを見るに、どうやらそうではないらしい。何故かほっとしていることに気づいたゾロは、その理由には気づかないままバロックワークスの幹部を見下ろす。


「で、どいつから掛かってくるんだ?」
「・・・・いくぞ、ミス・ウェンズデー!」
「えぇ、Mr.9」


ゾロの煽りを引き金に、Mr.9とミス・ウェンズデーが動き出した。

ミス・ウェンズデーの方はカルガモを呼び出し、なにやら下で大騒ぎしている。
それを呆れ顔で見ていたゾロの後ろに、いつの間にかMr.9が立っていた。


「よそ見しててもいいのか?・・・この俺のアクロバットについて来れるか!?」


大げさに回転しながらアクロバットを見せつけ金属バットで殴り込んでくるMr.9に、ゾロはぴくりとも反応を示さない。手合わせしなくても分かる相手の実力にゾロは刀を一本だけ抜くと、高速の突き攻撃をMr.9にお見舞いしはじめた。


「っは、ほっ、よっ!!」
「お得意のアクロバットはどうしたァ?」
「そんなにみたいなら見せてや――――あ?」


あぁあぁぁああ!と、漫画のような叫び声を上げて、足を踏み外したMr.9が落ちていく。


「もっとマシなやつはいねぇのか」
「ここにいるよ」
「あ?・・・どこだよ?」
「ここ」


くろねこの言葉に下を見ると、ミス・ウェンズデーがカルガモと共に伸びていた。


「どこがマシなんだ?」
「可愛い」
「てめぇほんといい加減に・・・ッ」
「あ、ゾロ、後ろ」
「あァ!?・・・・うお!!?」


鳴り響く、ラッパの音色。

いつの間にか忍び寄っていた巻き髪男のショットガン攻撃に、ゾロは慌てて床を斬って飛び降りた。


「私の恐ろしさ、とくと見よ!」


バロックワークスの幹部はナンバーで管理されており、そのナンバーが小さいほど強く、地位も高くなる。巻き髪の男はMr.8と呼ばれていた。Mr.9よりは強いだろうが、それでもまともにやりあってゾロに勝てる見込みのある人間ではない。

ギリギリ当たらない位置に座っていたくろねこは、逃げる素振りも見せずに下に逃げたゾロを見つめていた。

それに気づいたMr.8がラッパの銃口を突きつけながらくろねこに歩み寄る。


「お前は逃げないのか?」
「ゾロ倒してからにしたほうがいいよ。ゾロに勝てないなら私には絶対勝てない」
「ッ・・・・・!砲撃用~意!!」
「うげ!?」


Mr.8の巻き髪からにょんと伸びだす銃口を見て、さすがのくろねこも声を上げた。

その銃口から火が吹く前にゾロと同じように下に飛び込むと、ちょうどナイフを持ったミス・ウェンズデーの元に飛び降りることになった。

ナイフの先には未だ爆睡しているルフィがいる。
お互いに状況も分からないまま、数秒後には「あ」と声を上げ、くろねこは咄嗟にミス・ウェンズデーの手からナイフを弾き飛ばした。


「あ、避けろくろねこ
「お、ぅ、わっ!?」


どこからか飛んできたMr.9がミス・ウェンズデーと共に吹き飛んでいく。

そのまま走ってきたゾロは寝転がるルフィのお腹をトランポリンのように利用すると、大きく飛び上がり、そして―――――。


「うし、終わりッ!」


静まり返る町。

その光景を害する死屍累々な地面。


「おつかれ、お酒持ってきたよ」
「おう。気が利くじゃねェか」


一番高い建物の上に二人、月を眺めながら座る。

ゾロは乱暴に瓶の蓋を開けると、まるで水のように酒を流し込み始めた。


「やっと静かになったな」
「そうだねぇ・・・・ふわぁう・・・・」


眠そうに目を細めるくろねこの横顔を見て、ゾロはふと手を伸ばす。


「んー?」
「・・・・赤くなってるじゃねぇか」


月明かりに照らされる、くろねこの額の赤み。

先程までは暗くて良く見えなかったのだろう。
腫れてはいないが微かに傷がついている。

あれだけ全力で、しかも二回殴れておいて、かすり傷程度というほうがおかしな話なのだが。
飲んでいた酒の瓶を傾け、手ぬぐいに垂らしてからくろねこの額に押し当てる。


「ッつ、え、ちょっと、何してんの?」
「あ?分かるだろ、消毒だ」
「いや手ぬぐい汚れちゃうじゃん!」
「はァ?んなもん洗えば良いだろうが」
「いやいや!こんな傷ほっとけば治るってのに・・・!」
「顔の怪我は・・・・あんまり、よくねぇって言うじゃねーか」


ゾロの発言にくろねこが驚きの表情を浮かべた。


「ゾロ・・・そんな気遣い出来たんだね・・・・あだだだだだ!!!」
「そうだろ?早く治るといいな?んー?もっと消毒したほうが早く治るかもなァ?」
「いひゃい~~~!!!!」


ぐりぐりぐり。

予想通り失礼な発言をぶちかまされたゾロは、くろねこの額に容赦なく手ぬぐいを押し当てた。痛みによる悲鳴を聞きながらも念入りにアルコールを擦り込んでやれば、涙目で怒るくろねこと目が合う。


「・・・・・・」


何故かは分からないが、ゾロは時折、くろねこに強く惹かれるものを感じていた。

女性に興味があるわけでもない。
剣豪として惹かれる――――という感情とも少し違う。

変に体が疼くような、もどかしい感覚。


「うー、もう、いいですかぁ?」


誰も見たことがないであろうその情けない顔を独占したくて、首を振る。


「駄目だ」
「えぇ!?もう消毒出来たでしょ!」
「まだだ」
「うぐえー!」


押さえつけながら、月明かりにその涙目の表情が見えるように。


「いつ終わるのー!!」
「俺が満足するまでだ」
「・・・・・サボったの根に持ってるやつ!」
「そりゃそうだろ。雑魚の相手ばっかさせやがって」
「いだだだだだ!!!」


本音は、恨み言に包んで。


「ゾロ、ね、ちょっと」
「ん?」
「こ、この体勢、恥ずかしい・・・!」
「ほーぉ?」
「凶悪な顔してる!!ぎゃーーーー!!!」


からかうように顔を近づけたゾロを前に、真っ赤になって叫ぶくろねこを見て、ゾロはサンジに感じていたモヤモヤの原因に気づいた気がして笑った。



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