Erdbeere ~苺~ 色んな距離 忍者ブログ
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2012年07月01日 (Sun)
桐生さん/甘/ヒロイン視点

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歩み寄っては遠ざかる。
それが、私たちの歩幅の距離。

私は歩くのが遅いから、アイツにいつもおいていかれる。
でも、そんなの気にしない。
私は私で、アイツの後ろを歩くのが嫌いじゃないから。


「おい、どうした?」


心配で振り返ってくるその姿も。


「さっさとしろ」
「うっさいなー。お前が歩くの早いんだよ」
「・・・早く歩け」


文句言いながらも、きちんと歩幅を合わせてくれる優しさも。
全てが私に向けられていると思うと、凄く幸せな気持ちになる。

これが、私だけの特権。
どんなキャバ嬢達にも与えられない、ギクシャクした優しさ。


「この後、どうするんだ?」
「んー?桐生に任せるー」
「任せたら・・・ホテルになるぜ?」
「別に、それでもいいかなー」
「・・・・お、お前、何か変なものでも食ったのか?」


適当に返していた私に、桐生がピタリと足を止めた。
まぁ、そうだよな。いつもなら、私が怒ってドロップキックを食らわせる所だ。

でもたまには、私だってそういう気分になることだってある。
彼を感じたい。そう思う時が。

素直に桐生の元へ駆け寄ると、桐生がいつもより嬉しそうに私の手を取った。

大きな温もりが、私の体温を急上昇させていく。


「そういうお前も悪くはないが・・・手加減、出来なくなるぜ」
「いつもしてないクセに、良く言う」
「あれでもしてるつもりなんだ」
「お前の手加減のレベルが分からねぇよレベルが!」
「知りたいか?」
「あぁ、ぜひとも教えて貰いたいな!次の日、全然腰が立たなくなるってのに、どこが手加減なのか・・・!」
「だったら、今日本気でやってやるよ。いつもとどれだけ違うか・・・教えてやる」


ようやく甘くなっていた雰囲気が崩れ、一気にいつも通りの空気に戻った。
これはヤバイ、と。目が座り始めている桐生から、無意識に逃げようとする。

が、もちろん。
自分よりはるかに大きな彼から逃げられるわけがない。
あっという間に腰を抱きしめられた私は、逃げ場のない恐怖に顔をヒクつかせた。


「いやいやいやいや!ちょっと待てよ!本気で言ってんのかお前ぇえええ!」
「煽ったのはお前だろ。責任とってもらうぞ」
「ストップ!ストーップ!落ち着け馬鹿桐生ッ!」
「いや、待たない。お前が言ったんだ。待つ必要はねぇ」


腰に回された腕に、力が入る。
逃げられると思うなよ?と、主張するかのように。

隣り合わせの距離。
同じ歩幅で歩くこの距離も、悪くはない。
隣で楽しそうに笑う桐生の顔を見て、私も少し笑みを浮かべた。


「はー・・・しょうがねぇなぁ・・・」
「観念したか?」
「したよ。どうせ逃げられねぇもんな」
「よく分かってるじゃねぇか。ほら、行くぞ」


腰から手が離れて、またあの距離感に戻る。
彼の背中を見ながら歩くその道は、とても長く感じられた。

この後で、何でこの逃げるチャンスで逃げなかったのかと、後悔するはめになるとは知らずに。
私はただ彼の後を追い、歩きつづけた。
























本気、とは言ったものだ。
一睡も出来ずに一夜を明かすことになった私は、恥ずかしさで布団から出ることが出来なかった。

ほんと馬鹿。アイツほんと馬鹿。
心の中で罵倒を繰り出すも、桐生にはまったく通じていない。
桐生はのんびり煙草をふかし、満足げに私の方を見ていた。


「くそっ・・・・」
「言っただろ?いつも手加減してるってな」


腰が立たないっていうのは、いつもと変わらない。
でもそれ以上に、精神的な面でズタボロにされた私は、手加減という言葉に納得せざるを得なかった。

本気でやると言った彼がしてきた、アブノーマルなプレイの数々。

焦らされ、ご奉仕を要求され、道具を使われ、薬を飲まされ。

屈辱という言葉が嫌いな私に対し、全力で屈辱的状況に追い込んでくれた。
ムカついて涙目で睨み付ければ、笑っていた桐生の顔が意地悪く歪む。


「どうした?あんまりそんな顔してると、続きを期待してるように解釈するぜ?」
「なっ・・・・!?そ、そんな顔に見えるのか!この顔が!お前に対しての怒りの表情だぞこれは!」
「涙目で睨まれてもな・・・」
「・・・ばーかばーか。ほんと、ばーか」
「うるせぇ」
「んっ・・・・」


強引に唇を奪われ、私は再びベッドに沈んだ。
0の距離。この距離も、私は嫌いじゃない。

背中を見て歩く距離も、この距離も、隣り合わせの距離も。
全部幸せに感じてしまうから、私には勝ち目がないのだろう。

これが、惚れた弱みってやつか。

諦め顔でそう呟いた私に、桐生の甘い声が降りそそいだ。


「諦めろ。お前は一生・・・俺には勝てねぇよ」


また、0の距離。
力でも口でも勝てないことを味わった私は、この距離に酔わされて第6ラウンドまで運ばれた。










































どんな体力してんだよ、お前。少しは萎えるって言葉を知れよ!
(そう罵倒する私の言葉でさえ、彼は楽しそうに聞いていた)
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